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新しい町Ⅱ
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私たちは作業している場へ向かうことにした。私が寝込んでいるあいだに随分進んでいる開墾。根を掘り起こしているからか、土が柔らかく、ブーツが埋まる。
「土、すごいね?」
「確かに埋まりますね?」
「アンナ様、そんな場所を歩かないでください。みなが歩いている足跡がある場所を歩くようにしてください」
「教えてくれてありがとう!」
私とアデルは闇雲に歩いていたので、リリーに教えられて、近くの足跡を探して歩く。そこは、みなが踏みしめている場所で、確かに歩きやすい。
「ふぁ、歩きやすい」
「そうでしょ?掘り起こした土の上は新雪の上を歩くみたいで歩きにくいんですよ。雪道に轍を通る馬車を思い浮かべてください!」
なるほどと頷いた。出歩くことはあっても、こんな開墾しているような場所へ向かうことはないので、勉強になる。
「まぁ、農家さんたちの受け売りなんで、そんなに関心はしないでくださいね?」
「もしかしなくても、リリーも同じことをしたの?」
「もちろんですよ?平民とはいえ、警備隊ですから、そんな知識なんてないですからね?」
笑いながら、後をついてきてと先導してくれる。私の姿を見た領民が、作業を止めて挨拶してくれる。領主としてより、『アンナちゃん』としての方が定着しているので、おじさん達から呼ばれれば、愛想よく返事をして手を振る。
「アンナちゃん、久しぶりだね!」
「今日は、リリーがお供かい?」
私は駆け寄っていき、土に汚れているおじさんたちに話しかける。アデルもリリーも慌てて私の後をついてきているが、ここは領地。護衛だとしても、特に問題はないだろう。
「久しぶりね!元気にしていた?」
「もちろん!最近領地で、アンナちゃんが飛び回っている様子を見なかったから、こっちの方が心配したよ?」
「……ちょっと、南の領地や隣国エルドアへ行っていたの」
「南の領地?あの病気が流行っているって、お触れがでていたけど、大丈夫だった?」
私はうんうんと頷き、病気なんかに負けないからねと笑いかける。おじさん達も笑っていて、病気のほうが、アンナちゃんをさけていくよなんていうのだ。
「ひどいな……私だって、風邪ぐらいはひくよ?」
「本当かい?」
「信じてないなぁ?」
「信じられないだけだよ。俺たちが知っているアンナちゃんは、無敵だからね!いつも元気!暗いアンバー領を照らすお日様みたいなものだから」
「そんなこと言われると……嬉しすぎるわ!」
私たちが話をして笑いあっていると、休憩をしようと、他の人たちも集まってきた。私を見た外の領民も、みなが声をかけていく。長く領地をあけていたことは、領民の耳にも入っていたらしく、申し訳ない。
領主に見捨てられた領地と言われ続けた領民たちを不安にさせたようで、ごめんね?と謝る。
「何、言ってんだい?アンナちゃんが、俺らを見捨てるわけがないだろう?お子たちは、領地に来ていたって聞いていたから、きっと、また、公に振り回されているんじゃないかって、話をしていたんだよ」
「モテる女は辛いねぇ?」
「本当ね?私、あちこちでお声がかかるものだから……」
「ねぇ?噂話であのゴールド公爵と踊ったという話……本当かい?」
「どうだろう?私たち、公爵家ってあまり、仲がいいわけじゃないから。でも、ゴールド公爵の子息とは、少し南の領地で面識ができたよ!そのうち、アンバーにもきたいみたいな、手紙が来ていたから……もしかしたら、招待することになるかも」
そのときはもてなすよ!と領民たちは笑う。私たち貴族の関係なんて、この人たちには関係がない。豊かに暮らせる……それが、私たち領主としての役割で、期待されているのだからと改めて感じた。
「そういえば、今回もおもしろいことを考えたね?」
「そうなの。エルドアに行ったときにね?オリーブオイルというものを食べさせてもらって、はまっちゃって……特産品にいいかなって」
「あまり聞かないものだよね?」
「そうなの。エルドアでは盛んに栽培されているようなんだけど、特産品事業として確立させていないそうよ」
「特産品として、横取りしちゃう感じ?」
「そんなことしないわよ。ちゃんと、王家の許可も得て、栽培も販売もすることになっているから、独占ではないわ。こちらで、有名になれば、エルドアも本腰を入れて、事業とするんじゃないかしら?」
「そのころには、ハニーアンバー店が、ローズディアの購買網を掌握してそうだけどな?」
「好きかっていってくれちゃって!」
私たちは青空の下、笑いあう。こんな笑顔を見せてくれることが、私は嬉しいし、後ろで見守っているリリーも同じだろう。
「アンナちゃん、ここに移り住むこともできるのかい?」
「新しい町を作ろうとしているの。オリーブ農園を中心に搾油工場を建設予定。だから、ここにも人がいるわ。エルドアからの研究員も来ていることだし、しっかり、学んで、アンバー領を支える産業のひとつにしたいの。みんなそれぞれ仕事があるから、どうするかはこれから考えてくれたらいいわ。他の産業も農業もどれもこれも領地を守っていくには必要なものばかりだから」
ちがいないと笑うみなに、私も応える。仕事に戻るぞ!と誰かの声とともに、それぞれ持ち場へ向かうので、私ももう少し見て回ることにした。
「土、すごいね?」
「確かに埋まりますね?」
「アンナ様、そんな場所を歩かないでください。みなが歩いている足跡がある場所を歩くようにしてください」
「教えてくれてありがとう!」
私とアデルは闇雲に歩いていたので、リリーに教えられて、近くの足跡を探して歩く。そこは、みなが踏みしめている場所で、確かに歩きやすい。
「ふぁ、歩きやすい」
「そうでしょ?掘り起こした土の上は新雪の上を歩くみたいで歩きにくいんですよ。雪道に轍を通る馬車を思い浮かべてください!」
なるほどと頷いた。出歩くことはあっても、こんな開墾しているような場所へ向かうことはないので、勉強になる。
「まぁ、農家さんたちの受け売りなんで、そんなに関心はしないでくださいね?」
「もしかしなくても、リリーも同じことをしたの?」
「もちろんですよ?平民とはいえ、警備隊ですから、そんな知識なんてないですからね?」
笑いながら、後をついてきてと先導してくれる。私の姿を見た領民が、作業を止めて挨拶してくれる。領主としてより、『アンナちゃん』としての方が定着しているので、おじさん達から呼ばれれば、愛想よく返事をして手を振る。
「アンナちゃん、久しぶりだね!」
「今日は、リリーがお供かい?」
私は駆け寄っていき、土に汚れているおじさんたちに話しかける。アデルもリリーも慌てて私の後をついてきているが、ここは領地。護衛だとしても、特に問題はないだろう。
「久しぶりね!元気にしていた?」
「もちろん!最近領地で、アンナちゃんが飛び回っている様子を見なかったから、こっちの方が心配したよ?」
「……ちょっと、南の領地や隣国エルドアへ行っていたの」
「南の領地?あの病気が流行っているって、お触れがでていたけど、大丈夫だった?」
私はうんうんと頷き、病気なんかに負けないからねと笑いかける。おじさん達も笑っていて、病気のほうが、アンナちゃんをさけていくよなんていうのだ。
「ひどいな……私だって、風邪ぐらいはひくよ?」
「本当かい?」
「信じてないなぁ?」
「信じられないだけだよ。俺たちが知っているアンナちゃんは、無敵だからね!いつも元気!暗いアンバー領を照らすお日様みたいなものだから」
「そんなこと言われると……嬉しすぎるわ!」
私たちが話をして笑いあっていると、休憩をしようと、他の人たちも集まってきた。私を見た外の領民も、みなが声をかけていく。長く領地をあけていたことは、領民の耳にも入っていたらしく、申し訳ない。
領主に見捨てられた領地と言われ続けた領民たちを不安にさせたようで、ごめんね?と謝る。
「何、言ってんだい?アンナちゃんが、俺らを見捨てるわけがないだろう?お子たちは、領地に来ていたって聞いていたから、きっと、また、公に振り回されているんじゃないかって、話をしていたんだよ」
「モテる女は辛いねぇ?」
「本当ね?私、あちこちでお声がかかるものだから……」
「ねぇ?噂話であのゴールド公爵と踊ったという話……本当かい?」
「どうだろう?私たち、公爵家ってあまり、仲がいいわけじゃないから。でも、ゴールド公爵の子息とは、少し南の領地で面識ができたよ!そのうち、アンバーにもきたいみたいな、手紙が来ていたから……もしかしたら、招待することになるかも」
そのときはもてなすよ!と領民たちは笑う。私たち貴族の関係なんて、この人たちには関係がない。豊かに暮らせる……それが、私たち領主としての役割で、期待されているのだからと改めて感じた。
「そういえば、今回もおもしろいことを考えたね?」
「そうなの。エルドアに行ったときにね?オリーブオイルというものを食べさせてもらって、はまっちゃって……特産品にいいかなって」
「あまり聞かないものだよね?」
「そうなの。エルドアでは盛んに栽培されているようなんだけど、特産品事業として確立させていないそうよ」
「特産品として、横取りしちゃう感じ?」
「そんなことしないわよ。ちゃんと、王家の許可も得て、栽培も販売もすることになっているから、独占ではないわ。こちらで、有名になれば、エルドアも本腰を入れて、事業とするんじゃないかしら?」
「そのころには、ハニーアンバー店が、ローズディアの購買網を掌握してそうだけどな?」
「好きかっていってくれちゃって!」
私たちは青空の下、笑いあう。こんな笑顔を見せてくれることが、私は嬉しいし、後ろで見守っているリリーも同じだろう。
「アンナちゃん、ここに移り住むこともできるのかい?」
「新しい町を作ろうとしているの。オリーブ農園を中心に搾油工場を建設予定。だから、ここにも人がいるわ。エルドアからの研究員も来ていることだし、しっかり、学んで、アンバー領を支える産業のひとつにしたいの。みんなそれぞれ仕事があるから、どうするかはこれから考えてくれたらいいわ。他の産業も農業もどれもこれも領地を守っていくには必要なものばかりだから」
ちがいないと笑うみなに、私も応える。仕事に戻るぞ!と誰かの声とともに、それぞれ持ち場へ向かうので、私ももう少し見て回ることにした。
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