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白薔薇の愛情表現Ⅱ
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「アンナ様もヨハン教授も酷いです!真剣に悩んでいるんですからね!どうやって、リアンがこっちを見てくれるかって。もう、子どもたちに夢中で、サッパリなんですから!」
「そんなことないと思うけど?あぁ、そうだ。この名もない白い薔薇をリアンに届けたら?」
「どうしてですか?白い薔薇には何か?」
「ロマンチックはアデルにはほど遠そうだ」
「そんな……そんなこと言わずに!えっと、どうしたら?」
大きなため息と共に、私もヨハンも白薔薇を見つめる。指で突くと、大きな花はゆらゆらと規則正しく揺れていた。
「白い薔薇には純潔や深い尊敬っていう意味があるのよ」
「一本なら一目惚れでしたっけ?一番わかりやすいのは108本ですけど、さすがに、あげれませんからね?」
「5本ならいいかしら?」
「もちろんですよ。まだ日も高い。今から馬で走れば、明日の朝にはつくんじゃないですかね?」
ヨハンがいつになく親身になっている。二人でアデルのほうをみて意味ありげに微笑むと心配そうにしている。その様子もおかしくて笑いそうだが、アデルが、表情をコロコロ変えている。最近は、いい雰囲気っだと聞いてはたが、どうも本人には伝わっていないようだし、リアンのほうも、実際どうだかわからない。
「5本の白薔薇はどういう意味があるんですか?アンナ様なら知っているんですよね?」
「もちろんよ!きっと、リアンも知っているんじゃなくて?花、好きだから」
「それは、知っています!こっそり、お花を愛でているところを見たことがありますから!」
「そういうとき、話題にしたいわよね?」
「ジョージア様なら、必ず話題にするなぁ……好きでしょ?花も」
「そうね。私の知らないこと、たくさん知っているわよ!」
「アンナ様が知らないことなんてないでしょ?」
「あるわよ!もう、そんなこというなら、花言葉、教えてあげないわ!」
プイっと視線を逸らすと、縋るようにお願いしますと言ってくるアデル。からかうのも調子に乗りすぎだと思い始め、しかたがないなぁ……ともったいぶってみた。
「一生アンナリーゼ様の子分のまんまだなぁ?アデル」
「何を言っているのですか?ヨハン教授。そんなの引き抜きがあった時点で、一生アンナ様についてく!そう決めています。生涯を共にしたいのは、他ならぬリアンですけどね!」
「どう思う?」
「私は大歓迎だよ!もし、私がいなくなっても、この領地をきっと守ってくれるはず」
「えっ?いなくなるって、どういうことですか?アンナ様のほうが、年は下ですから、順番でいくとですね?」
「こういうのは、寿命だから、わからないでしょ?」
クスクスと笑って誤魔化す。まぁ死のうだなんて、さらさら思っていないので、目標は、ひ孫を抱くくらいに考えておいたほうがいいだろう。
「それより、白薔薇5本の意味よね?」
「そうです、そうでした!どんな意味があるんですか?」
「んーそうだな。いろいろあるけど、最愛とかあなたに出会えたことが心からの喜びとかかしら?」
「そうですね。本当に生涯を共にしたい人に贈るといいといわれてますね?」
「本当ですか?それなら、5本の白薔薇をください!」
「真っ白な薔薇がいいわ!ヨハン、どれがいいかしら?」
そう言って、白薔薇を選んでいく。ヨハンと二人、アデルとリアンの幸せを願って。
「下に降りたらジニーがいると思うんで、包んでもらってください。枯れないように」
「白薔薇は枯れてもいい意味があるから、大丈夫よ?」
「枯れ途中はダメでしょ?さすがに……」
「そうかも!」
「あの、お二人、楽しんでませんか?特にアンナ様は、毎回毎回」
「だって、他人の恋愛は楽しいのよ。幸せな気持ちになれるわ。私は、政略結婚だったし、そんな微笑ましい恋愛をしていないもの」
「……あの甘ったるい雰囲気を出していて、それを言いますか?」
アデルに睨まれるが、私たちには私たちの夫婦の形があるだけだ。余裕を持って笑いかけてやるとと憎たらしそうにされる。
恋愛も結婚も、二人で築きあげていけば、それがその二人の形なのだ。結局は他人どうしが一緒にいるのだから、あわないこともある。
「いいじゃない。これほど、みんなに応援される恋愛なんてないと思うんだけど?」
「それって、言い換えれば……領地でみんなが知っているってことですよね?」
「そうともいうけど、早くしないと、男前なリリーに奪われちゃったりしてね?」
「あぁ、リリーは、確かに頼りがいあるもんなぁ。平民だけど、アンナリーゼ様にも一目置かれているし、これは……ありだな?」
また、二人で茶化し始めたので、アデルは今度こそ怒って下山する。その後ろ姿を見て、ヨハンと二人、早くまとまればいいのになとため息をついた。
「リアンのほうにも問題はあるから……」
「男爵とのことか?」
「そうね。もう、結婚は……って、思っているところがあるのよ。その氷漬けの心も、そろそろアデルの心で溶けてきてくれているとおもうんだけどね。人って、誰かが側にいることが心地いと知っているから」
「煩わしいと思うものもいるけど?」
「そんな人じゃないわ。少なくとも、リアンもアデルも。だから、きっと、いい夫婦になれるはずなのよ。二人で孤児院をってことになると、アデルが取られて困るのは私なんだけど……」
「リアンは?」
「いてくれないと困るけど、もうすぐ、デリアが戻ってくるから……リアンはリアンの幸せを大切にしてほしいわ」
女の人の心の中は複雑だなぁ……と呟くヨハンに、助手の彼女を逃がしちゃダメだからね?とこちらも釘を打つことにした。
「そんなことないと思うけど?あぁ、そうだ。この名もない白い薔薇をリアンに届けたら?」
「どうしてですか?白い薔薇には何か?」
「ロマンチックはアデルにはほど遠そうだ」
「そんな……そんなこと言わずに!えっと、どうしたら?」
大きなため息と共に、私もヨハンも白薔薇を見つめる。指で突くと、大きな花はゆらゆらと規則正しく揺れていた。
「白い薔薇には純潔や深い尊敬っていう意味があるのよ」
「一本なら一目惚れでしたっけ?一番わかりやすいのは108本ですけど、さすがに、あげれませんからね?」
「5本ならいいかしら?」
「もちろんですよ。まだ日も高い。今から馬で走れば、明日の朝にはつくんじゃないですかね?」
ヨハンがいつになく親身になっている。二人でアデルのほうをみて意味ありげに微笑むと心配そうにしている。その様子もおかしくて笑いそうだが、アデルが、表情をコロコロ変えている。最近は、いい雰囲気っだと聞いてはたが、どうも本人には伝わっていないようだし、リアンのほうも、実際どうだかわからない。
「5本の白薔薇はどういう意味があるんですか?アンナ様なら知っているんですよね?」
「もちろんよ!きっと、リアンも知っているんじゃなくて?花、好きだから」
「それは、知っています!こっそり、お花を愛でているところを見たことがありますから!」
「そういうとき、話題にしたいわよね?」
「ジョージア様なら、必ず話題にするなぁ……好きでしょ?花も」
「そうね。私の知らないこと、たくさん知っているわよ!」
「アンナ様が知らないことなんてないでしょ?」
「あるわよ!もう、そんなこというなら、花言葉、教えてあげないわ!」
プイっと視線を逸らすと、縋るようにお願いしますと言ってくるアデル。からかうのも調子に乗りすぎだと思い始め、しかたがないなぁ……ともったいぶってみた。
「一生アンナリーゼ様の子分のまんまだなぁ?アデル」
「何を言っているのですか?ヨハン教授。そんなの引き抜きがあった時点で、一生アンナ様についてく!そう決めています。生涯を共にしたいのは、他ならぬリアンですけどね!」
「どう思う?」
「私は大歓迎だよ!もし、私がいなくなっても、この領地をきっと守ってくれるはず」
「えっ?いなくなるって、どういうことですか?アンナ様のほうが、年は下ですから、順番でいくとですね?」
「こういうのは、寿命だから、わからないでしょ?」
クスクスと笑って誤魔化す。まぁ死のうだなんて、さらさら思っていないので、目標は、ひ孫を抱くくらいに考えておいたほうがいいだろう。
「それより、白薔薇5本の意味よね?」
「そうです、そうでした!どんな意味があるんですか?」
「んーそうだな。いろいろあるけど、最愛とかあなたに出会えたことが心からの喜びとかかしら?」
「そうですね。本当に生涯を共にしたい人に贈るといいといわれてますね?」
「本当ですか?それなら、5本の白薔薇をください!」
「真っ白な薔薇がいいわ!ヨハン、どれがいいかしら?」
そう言って、白薔薇を選んでいく。ヨハンと二人、アデルとリアンの幸せを願って。
「下に降りたらジニーがいると思うんで、包んでもらってください。枯れないように」
「白薔薇は枯れてもいい意味があるから、大丈夫よ?」
「枯れ途中はダメでしょ?さすがに……」
「そうかも!」
「あの、お二人、楽しんでませんか?特にアンナ様は、毎回毎回」
「だって、他人の恋愛は楽しいのよ。幸せな気持ちになれるわ。私は、政略結婚だったし、そんな微笑ましい恋愛をしていないもの」
「……あの甘ったるい雰囲気を出していて、それを言いますか?」
アデルに睨まれるが、私たちには私たちの夫婦の形があるだけだ。余裕を持って笑いかけてやるとと憎たらしそうにされる。
恋愛も結婚も、二人で築きあげていけば、それがその二人の形なのだ。結局は他人どうしが一緒にいるのだから、あわないこともある。
「いいじゃない。これほど、みんなに応援される恋愛なんてないと思うんだけど?」
「それって、言い換えれば……領地でみんなが知っているってことですよね?」
「そうともいうけど、早くしないと、男前なリリーに奪われちゃったりしてね?」
「あぁ、リリーは、確かに頼りがいあるもんなぁ。平民だけど、アンナリーゼ様にも一目置かれているし、これは……ありだな?」
また、二人で茶化し始めたので、アデルは今度こそ怒って下山する。その後ろ姿を見て、ヨハンと二人、早くまとまればいいのになとため息をついた。
「リアンのほうにも問題はあるから……」
「男爵とのことか?」
「そうね。もう、結婚は……って、思っているところがあるのよ。その氷漬けの心も、そろそろアデルの心で溶けてきてくれているとおもうんだけどね。人って、誰かが側にいることが心地いと知っているから」
「煩わしいと思うものもいるけど?」
「そんな人じゃないわ。少なくとも、リアンもアデルも。だから、きっと、いい夫婦になれるはずなのよ。二人で孤児院をってことになると、アデルが取られて困るのは私なんだけど……」
「リアンは?」
「いてくれないと困るけど、もうすぐ、デリアが戻ってくるから……リアンはリアンの幸せを大切にしてほしいわ」
女の人の心の中は複雑だなぁ……と呟くヨハンに、助手の彼女を逃がしちゃダメだからね?とこちらも釘を打つことにした。
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