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ようこそアンバー領へ
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「それにしても、遠いところへよく来てくれたわね?」
「アンナリーゼ様もエルドアからこちらに向かわれたのですよね?」
「私たちは、一度、公都で公への謁見があったから、少し休んでいるの。ルーイやドールはあれから準備をして慌ただしく出発してくれたのでしょ?」
「えぇ、そうですね」
「こら、ドール」
私の話に素直に頷くドールをルーイが小突く。そんな様子を見て、クスクス笑うと決まりの悪そうに苦笑いをしていた。
話し合いが終わり、今日は屋敷に滞在することになり、外にいる馬車や御者も含め、近場の宿屋で泊まることになった。二人は屋敷で泊まるため、ゆっくり食事をとっている。
「エルドアからだと大変だったんじゃないか?」
「……はい、公爵様。オリーブの苗木もありますから、そちらの管理もありましたので」
「アンナリーゼ様と別れてから、準備にとりかかり、だいたい1週間ほどで苗木の選定から始まった引越しも終わりました」
「1週間って、大変じゃない!」
驚いている私に他の者はわかっていなかったようだが、あれだけの苗木であれば、そこそこ根も張っている。そんななか、急いで私の要望に応えようとしてくれたことに感謝しかなかった。
「大丈夫ですよ!元々、他の場所に移す予定のあったものをこちらに持ってきただけですので」
「だけって……そんなことないでしょ?人手もたくさんいったでしょうに……私がお願いしていた数より多いもの」
「それは……むしろ、こちらの事情ですから、気になさらないでください」
「そう言ってくれるなら、感謝だけ言わせてもらうわ」
それだけでと微笑むルーイに申し訳なく思えるが、本人たちは本当に気にしていない様子だったので、労いも込めて食事を勧めた。
「今日、来てくれるって知っていたら、もう少し豪勢な食事になったでしょうけど……」
「十分です!見たことのないような料理ばかりで、驚いています」
「エルドアとは少しだけ食文化が違うって聞いたことがあるけど……お口にあうかしら?」
私の言葉を聞くまでもなく、美味しそうにほうばっているドールをみれば、大丈夫だろう。
頬を膨らませて、うちのアンジェラみたいで微笑ましい。隣で、またも、ドールを小突いているルーイは、申し訳なさそうにしている。
「もうしわけありません。食い意地のはっていて……その……」
「いいのよ。おもてなしできるものって、これくらいしかないから。口に合ったのなら、遠慮なしに食べてちょうだい。アンバーの屋敷の料理自慢ですからね!お腹いっぱいに食べてちょうだい」
本当に遠慮なしに食べるドールは、パンが気に入ったようだった。どこにでもあるパンではあるのだが、やはり、アンバー領で採れた麦は甘味があっておいしいのだろう。
「ふぁんふぁふぃーねふぁま」
「食べてから喋れって……それより、静かに出来ないのか?」
弟を叱るような兄にだんだんと見えてきたルーイ。ごっくんと飲み込んだので、ドールは私に話しかける。
「アンナリーゼ様、このパン、とてもおいしいですね!麦特有の甘味もあって、口に含んだときの麦の香ばしい香り……最高を通り過ぎて、最最高です!秘訣ってあるんですか?」
「おいしいって言ってくれるなら嬉しいわ。アンバー領は元々はやせ細ってしまった土地だったの。それが、誰かの評価を得られるくらい、立派になったかと思うと、嬉しいわ!たくさんあるから、いっぱい食べてね?」
「もちろんです!」
そう言って、焼きたてのパンに手を伸ばすドール。その後ろから、服を引っ張っているルーイではあったが、実は、とても食が進んでいるようだ。
「どの料理も酒緒うまくて……永住することに決めてよかった。ルーイも住めばいいのに・……」
「……それは、話しただろう?それより、住む場所を決めないと」
「そのことなんだけど……こちらに来てもらって、何かと入り用だろうから、家は農園の近くに借りることにしたの。あと、ゆくゆくは、農園のほうに搾油工場もって考えていて、小さな町か村が作れたらなって……」
「町か村ですか?」
「そう。まだ、そこには何もなくてね?さらに、最近、領地の一部になったから、開拓も進んでなくて……今回、農園にしようとしているから、好きなだけ使ってもらってもいいんだけど……整備をね、しないといけないのよ」
ごめんね?と謝ると、とんでもない!とルーイはいう。
「更地ならいいのだけど、木が生えてたりとわりと大変で、人手もいるから、その話もしないとって思っていたところなのよ」
「そんな場所、与えてもらってよかったんですか?」
「もちろん!この領地の一部だし、これからの産業として進めていくものだからね。二人でどうこうしてというわけではないから、そこだけは安心してくれると嬉しいわ!」
私が、土地や住む場所について話すなか、もうひとつとパンに手を伸ばす二人。余程、パンを気に入ったようだ。
「気にすることなんてありません。どんな土地であろうと、農園を守ることに変わりはありませんから」
微笑むルーイに私は頷く。空になったパンのカゴを取り替えるよう指示をすれば、楽しい食事会となった。
「アンナリーゼ様もエルドアからこちらに向かわれたのですよね?」
「私たちは、一度、公都で公への謁見があったから、少し休んでいるの。ルーイやドールはあれから準備をして慌ただしく出発してくれたのでしょ?」
「えぇ、そうですね」
「こら、ドール」
私の話に素直に頷くドールをルーイが小突く。そんな様子を見て、クスクス笑うと決まりの悪そうに苦笑いをしていた。
話し合いが終わり、今日は屋敷に滞在することになり、外にいる馬車や御者も含め、近場の宿屋で泊まることになった。二人は屋敷で泊まるため、ゆっくり食事をとっている。
「エルドアからだと大変だったんじゃないか?」
「……はい、公爵様。オリーブの苗木もありますから、そちらの管理もありましたので」
「アンナリーゼ様と別れてから、準備にとりかかり、だいたい1週間ほどで苗木の選定から始まった引越しも終わりました」
「1週間って、大変じゃない!」
驚いている私に他の者はわかっていなかったようだが、あれだけの苗木であれば、そこそこ根も張っている。そんななか、急いで私の要望に応えようとしてくれたことに感謝しかなかった。
「大丈夫ですよ!元々、他の場所に移す予定のあったものをこちらに持ってきただけですので」
「だけって……そんなことないでしょ?人手もたくさんいったでしょうに……私がお願いしていた数より多いもの」
「それは……むしろ、こちらの事情ですから、気になさらないでください」
「そう言ってくれるなら、感謝だけ言わせてもらうわ」
それだけでと微笑むルーイに申し訳なく思えるが、本人たちは本当に気にしていない様子だったので、労いも込めて食事を勧めた。
「今日、来てくれるって知っていたら、もう少し豪勢な食事になったでしょうけど……」
「十分です!見たことのないような料理ばかりで、驚いています」
「エルドアとは少しだけ食文化が違うって聞いたことがあるけど……お口にあうかしら?」
私の言葉を聞くまでもなく、美味しそうにほうばっているドールをみれば、大丈夫だろう。
頬を膨らませて、うちのアンジェラみたいで微笑ましい。隣で、またも、ドールを小突いているルーイは、申し訳なさそうにしている。
「もうしわけありません。食い意地のはっていて……その……」
「いいのよ。おもてなしできるものって、これくらいしかないから。口に合ったのなら、遠慮なしに食べてちょうだい。アンバーの屋敷の料理自慢ですからね!お腹いっぱいに食べてちょうだい」
本当に遠慮なしに食べるドールは、パンが気に入ったようだった。どこにでもあるパンではあるのだが、やはり、アンバー領で採れた麦は甘味があっておいしいのだろう。
「ふぁんふぁふぃーねふぁま」
「食べてから喋れって……それより、静かに出来ないのか?」
弟を叱るような兄にだんだんと見えてきたルーイ。ごっくんと飲み込んだので、ドールは私に話しかける。
「アンナリーゼ様、このパン、とてもおいしいですね!麦特有の甘味もあって、口に含んだときの麦の香ばしい香り……最高を通り過ぎて、最最高です!秘訣ってあるんですか?」
「おいしいって言ってくれるなら嬉しいわ。アンバー領は元々はやせ細ってしまった土地だったの。それが、誰かの評価を得られるくらい、立派になったかと思うと、嬉しいわ!たくさんあるから、いっぱい食べてね?」
「もちろんです!」
そう言って、焼きたてのパンに手を伸ばすドール。その後ろから、服を引っ張っているルーイではあったが、実は、とても食が進んでいるようだ。
「どの料理も酒緒うまくて……永住することに決めてよかった。ルーイも住めばいいのに・……」
「……それは、話しただろう?それより、住む場所を決めないと」
「そのことなんだけど……こちらに来てもらって、何かと入り用だろうから、家は農園の近くに借りることにしたの。あと、ゆくゆくは、農園のほうに搾油工場もって考えていて、小さな町か村が作れたらなって……」
「町か村ですか?」
「そう。まだ、そこには何もなくてね?さらに、最近、領地の一部になったから、開拓も進んでなくて……今回、農園にしようとしているから、好きなだけ使ってもらってもいいんだけど……整備をね、しないといけないのよ」
ごめんね?と謝ると、とんでもない!とルーイはいう。
「更地ならいいのだけど、木が生えてたりとわりと大変で、人手もいるから、その話もしないとって思っていたところなのよ」
「そんな場所、与えてもらってよかったんですか?」
「もちろん!この領地の一部だし、これからの産業として進めていくものだからね。二人でどうこうしてというわけではないから、そこだけは安心してくれると嬉しいわ!」
私が、土地や住む場所について話すなか、もうひとつとパンに手を伸ばす二人。余程、パンを気に入ったようだ。
「気にすることなんてありません。どんな土地であろうと、農園を守ることに変わりはありませんから」
微笑むルーイに私は頷く。空になったパンのカゴを取り替えるよう指示をすれば、楽しい食事会となった。
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