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「……ダリアは、それでいいの?」
「いや、セバスはいい男だよ?」
「でも、一生ものとまでは言わないけど……人生が左右されることなんだし」
「それほど、心配されることでは。貴族令嬢はみなが、通る道です。このご縁は、私にとって願っても手に入れられるかどうかわからないほどのもですから」
覚悟を持って生きてきているのですよと微笑むダリアに深く頷くナタリー。前子爵である父親に政略結婚の駒にされたとナタリーは言っていたことを思い出す。それを思えば、私はジョージアとの政略結婚という名の望む結婚が出来たことは幸せなのだろう。それでも、うまくいかない夫婦はいるものだが、我が家はすこぶる良好な関係が続いている。数年を除いては。
「みんなダリアのことばかりね?どうして、セバスじゃダメなの?私は、セバスのこと、とてもいい旦那様になると思うのに……仕事ばかりさせちゃう悪い領主が友人だから、そのあたりは苦労するかもしれないけど、そこは、同じ領地に住まう私たちが助け合えばいいだけのことだし……ねぇ?ダリア。私、エルドアからずっと二人の様子を見て来たけど、お似合いの二人だと思うの」
「そう言っていただけてとても嬉しいですわ!アンナ様。私、不安もありましたが、こんなに心配をしてくださる方々がいるとは思ってもみませんでした」
クスクスと笑うダリア。ジョージアにノクトとイチアが顔を見合わせているが、セバスもダリアも幸せならいいのではないだろうか?
「私、言わせてもらいたいのだけど……」
「なんだい?アンナ」
「ジョージア様も第二夫人がいたわけじゃないですか?」
視線を逸らそうとするジョージアにニコリと笑いかける。
「ノクトは公爵の責任を息子へ押し付けた上に、夫人を置いてアンバー領へ来ているわけでしょ?」
「あぁ、えっと……」
目が泳いでいるノクトへ小首を傾げてみる。
「イチアはそもそも結婚もせず、自身の進みたい道へ邁進しているわけだし」
「そ、それはですね?」
焦るイチアは椅子ごと後ろにズレていく。
「三人とも、セバスのことをどう思っているかしらないけど、私にとってはとても大切な友人だし、頼りにしているの。何より、幸せにもなってほしいって思ってたときにダリアという伴侶を見つけた。ここまで見る限りでは、とても仲がいいようにみえるし、私は二人を応援したいの。どうかしら?」
三人をそれぞれ見て、ん?というと、返事も返ってこない。何を思ったか、助け船をだしたのは他でもないウィルだ。
「俺は姫さんのいうこと、わかるな。セバスにとって、いい伴侶を見つけたと思う。俺が言うのもなんだけど、セバスに釣り合うのは姫さんしかいないとすら思っていたからなぁ。あぁ、よかった。セバスが姫さんのことを好きにならなくて」
「それは、どういうことよ!」
「聞き捨てならないな?ウィル!」
「姫さんもジョージア様も怖すぎ!セバスの日常会話についていけるのって、姫さんかサシャ様くらいだって言っているんだ。その他にダリアっていう女性がいることがわかった。姫さんと違って、大人しそうだし、最高じゃない?」
「……私だって、大人しいときは大人しくしてます!」
「10分も無理だろ?セバスに寄り添うではなく、セバスが寄り添うって感じするし、そもそも、二人が友人なのが不思議なくらいって、よく言われてるよな?」
「そうだね。僕とアンナリーゼ様が友人だっていうと、だいたい驚かれるかなぁ?」
そうなのですか?とセバスの隣で微笑みながら、聞き返していた。
「私はお二人が友人だと聞いて、特に違和感もなかったですけど……少し話せば、セバス様の知識はとても多いことがわかりますし、アンナ様の奇抜な考え方も土台があってのことですから、通じ合える部分があるのだろうとずっと思っていました。自然と寄り添う姿は、とても羨ましいくらいで」
「ダリア……寄り添うって。私たち、ただ、横並びに並んで、領地のことを話していただけよ?セバスと顔を合わせると、ずっと領地の話をするわよね?」
身もふたもない私たちの話の内容に大きなため息をついたのジョージアだ。何をいうのかと、みなが身構えていた。
「さっきから……アンナは俺の奥様だから、誰かの隣にとかはないから。特に、ウィル!ないから」
「ないに決まっているでしょ?ジョージア様。姫さんがいうに、俺にも運命の女性がいるらしいからね。姫さんとか、お断り」
言われようが酷いな……と思いながら、私は話を進めてもいいかと問えば、いいとなったので、やっと結婚式の話ができる。
「今ね?領地の屋敷でセバスとダリアの結婚式をしたいと思っているの」
「領地の屋敷で?」
「そう。デリアとディルのように。ただ、領地の屋敷は狭いから、中庭が小さいのよね。それで、考えたんだけど……」
「アンジーたちの誕生日会のようにするつもりかい?」
「そう!そのつもり。幸い、石畳の街道も屋敷の前は出来上がって綺麗だから。どうかしら?」
私の提案に、領地に残っていたジョージア、ノクト、イチアが考えているようだ。アンジェラの誕生日にはそれぞれ役目があるので、その役割を踏まえて、結婚式を想像したようで、それぞれがいいと頷いていた。どうやら、良い結婚式ができそうである。
「いや、セバスはいい男だよ?」
「でも、一生ものとまでは言わないけど……人生が左右されることなんだし」
「それほど、心配されることでは。貴族令嬢はみなが、通る道です。このご縁は、私にとって願っても手に入れられるかどうかわからないほどのもですから」
覚悟を持って生きてきているのですよと微笑むダリアに深く頷くナタリー。前子爵である父親に政略結婚の駒にされたとナタリーは言っていたことを思い出す。それを思えば、私はジョージアとの政略結婚という名の望む結婚が出来たことは幸せなのだろう。それでも、うまくいかない夫婦はいるものだが、我が家はすこぶる良好な関係が続いている。数年を除いては。
「みんなダリアのことばかりね?どうして、セバスじゃダメなの?私は、セバスのこと、とてもいい旦那様になると思うのに……仕事ばかりさせちゃう悪い領主が友人だから、そのあたりは苦労するかもしれないけど、そこは、同じ領地に住まう私たちが助け合えばいいだけのことだし……ねぇ?ダリア。私、エルドアからずっと二人の様子を見て来たけど、お似合いの二人だと思うの」
「そう言っていただけてとても嬉しいですわ!アンナ様。私、不安もありましたが、こんなに心配をしてくださる方々がいるとは思ってもみませんでした」
クスクスと笑うダリア。ジョージアにノクトとイチアが顔を見合わせているが、セバスもダリアも幸せならいいのではないだろうか?
「私、言わせてもらいたいのだけど……」
「なんだい?アンナ」
「ジョージア様も第二夫人がいたわけじゃないですか?」
視線を逸らそうとするジョージアにニコリと笑いかける。
「ノクトは公爵の責任を息子へ押し付けた上に、夫人を置いてアンバー領へ来ているわけでしょ?」
「あぁ、えっと……」
目が泳いでいるノクトへ小首を傾げてみる。
「イチアはそもそも結婚もせず、自身の進みたい道へ邁進しているわけだし」
「そ、それはですね?」
焦るイチアは椅子ごと後ろにズレていく。
「三人とも、セバスのことをどう思っているかしらないけど、私にとってはとても大切な友人だし、頼りにしているの。何より、幸せにもなってほしいって思ってたときにダリアという伴侶を見つけた。ここまで見る限りでは、とても仲がいいようにみえるし、私は二人を応援したいの。どうかしら?」
三人をそれぞれ見て、ん?というと、返事も返ってこない。何を思ったか、助け船をだしたのは他でもないウィルだ。
「俺は姫さんのいうこと、わかるな。セバスにとって、いい伴侶を見つけたと思う。俺が言うのもなんだけど、セバスに釣り合うのは姫さんしかいないとすら思っていたからなぁ。あぁ、よかった。セバスが姫さんのことを好きにならなくて」
「それは、どういうことよ!」
「聞き捨てならないな?ウィル!」
「姫さんもジョージア様も怖すぎ!セバスの日常会話についていけるのって、姫さんかサシャ様くらいだって言っているんだ。その他にダリアっていう女性がいることがわかった。姫さんと違って、大人しそうだし、最高じゃない?」
「……私だって、大人しいときは大人しくしてます!」
「10分も無理だろ?セバスに寄り添うではなく、セバスが寄り添うって感じするし、そもそも、二人が友人なのが不思議なくらいって、よく言われてるよな?」
「そうだね。僕とアンナリーゼ様が友人だっていうと、だいたい驚かれるかなぁ?」
そうなのですか?とセバスの隣で微笑みながら、聞き返していた。
「私はお二人が友人だと聞いて、特に違和感もなかったですけど……少し話せば、セバス様の知識はとても多いことがわかりますし、アンナ様の奇抜な考え方も土台があってのことですから、通じ合える部分があるのだろうとずっと思っていました。自然と寄り添う姿は、とても羨ましいくらいで」
「ダリア……寄り添うって。私たち、ただ、横並びに並んで、領地のことを話していただけよ?セバスと顔を合わせると、ずっと領地の話をするわよね?」
身もふたもない私たちの話の内容に大きなため息をついたのジョージアだ。何をいうのかと、みなが身構えていた。
「さっきから……アンナは俺の奥様だから、誰かの隣にとかはないから。特に、ウィル!ないから」
「ないに決まっているでしょ?ジョージア様。姫さんがいうに、俺にも運命の女性がいるらしいからね。姫さんとか、お断り」
言われようが酷いな……と思いながら、私は話を進めてもいいかと問えば、いいとなったので、やっと結婚式の話ができる。
「今ね?領地の屋敷でセバスとダリアの結婚式をしたいと思っているの」
「領地の屋敷で?」
「そう。デリアとディルのように。ただ、領地の屋敷は狭いから、中庭が小さいのよね。それで、考えたんだけど……」
「アンジーたちの誕生日会のようにするつもりかい?」
「そう!そのつもり。幸い、石畳の街道も屋敷の前は出来上がって綺麗だから。どうかしら?」
私の提案に、領地に残っていたジョージア、ノクト、イチアが考えているようだ。アンジェラの誕生日にはそれぞれ役目があるので、その役割を踏まえて、結婚式を想像したようで、それぞれがいいと頷いていた。どうやら、良い結婚式ができそうである。
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