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セバスたちの結婚式の構想Ⅲ
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「どうかされましたか?」
セバスが、私を見て首を傾げている。何故、そんな質問をしてくるのかわからず、私も同じように首を傾げた。
「なんだか嬉しそうだったので、アンナリーゼ様に何かいいことがあったのかなぁ?って」
セバスに指摘され、頬を両手で触ってみる。確かに両頬は緩んでいた。
「いいことはあったよ。セバスの結婚にみながそれぞれ領地に屋敷を持ってくれること。私個人としても嬉しいし、領主としても嬉しい。まずは、ダリアにお礼だよね」
「確かに、ダリア様がセバスと結婚してくれるってことは、私もとても嬉しいです」
ナタリーと頷きあっているとダリアは恥ずかしそうに俯き小さくなる。そんなダリアの手をキュッと握るセバス。見ているこちらが、恥ずかしくなってきた。
「セバス様、結婚式の件なのですが」
「うん、何かいい案があるかなぁ?こういうこと、僕は疎いから」
「アンナリーゼ様とも話合いをしたのですが、デリアの結婚式をしたときに、公都のお屋敷を式場と披露宴の場にしたのはご存じですか?」
「うん、知ってる。もしかして……」
セバスがこちらに視線を向けてくるので頷いた。その意味を受取ってくれたらしく、セバスは少し難しい表情をした。
「何か問題があるのかしら?」
「うん、公都のアンバーのお屋敷で結婚式をするのはちょっと……」
「ん?私たちは、アンバー領の屋敷で、デリアたちの結婚式のようにするのはどうかって、提案するつもりだったのだけど」
「あぁ、それなら!屋敷を借りても大丈夫なの?公爵家のものだし……出入りもあるから」
「えぇ、構わないわ。ただ、料理人に支払う特別手当てや用意や給仕をしてくれる侍従へのお小遣いはお願いしてもいいかしら?」
「それはもちろん、こちらが出すよ?でも、本当にいいの?アンナリーゼ様たちの居住で、私的な結婚式なんて……危なくない?」
「どうだろう?式を玄関ホールでして、披露宴は外ですればいいかなぁ?って思っているの。道を通行止めにしてね」
「えっ?通行止めまで?」
「お誕生日会の日も通行止めにするんだから、別に困らないわ。迂回路もちゃんとあるんだし……それに、せっかく、屋敷前も石畳になったんだから存分に見せびらかすことを考えているの」
「来賓っていうほど、僕らは呼ばないよ?」
「えぇ、私たちとセバスの両親くらいを想定しているのでしょ?」
「うん。そのつもり。それだから、そんなに大きな規模にはならないよね?」
そうねと頷いた。ただ、通行止めにするには、看板を立てる必要があるので、領地に張り紙をする旨をセバスにいうと仕方がないよねと笑っていた。
それによって、セバスの結婚を領地内で知らしめることになる。もしかしたら、予想以上に、セバスへのお祝いをしにくる領民がいるかもしれない。そんな領民を受け入れてもいいのではないかと提案した。
「なんだか、アンジェラ様のお誕生日会と同じような気がしてきました……」
「そうだね。でも、日頃から、セバスと関わりのある領民たちは、お祝いしたいと思っているはずだよ?領民でなくても、イチアなんて、盛大に祝ってくれるんじゃないかって思うわ」
イチアならありえるねと苦笑いをしているセバスだが、その顔は嬉しそうにしている。日頃から、領地にいるあいだはイチアと共に行動をしているセバス。散々心配をかけていると聞いたことがあったので、喜ばないわけがなかった。
弟子の幸せを願うのは、当然よね。ダリアという人物に興味があるとも連絡が来ていた
から、きっと歓迎してくれるはず。
イチアの喜ぶ顔を思い浮かべれば、知っている私たちは頷きあい、ダリアにはイチアのことを話した。
「じゃあ、そう言う方向で話を進めてもいいかなぁ?」
「うん、お願いするよ。アンナリーゼ様、僕たちの結婚の証人者になってくれないかなぁ?」
「私でいいの?きちんと牧師さんを呼ばなくても」
「うん、僕、決めていたんだ。ずっと、前から。もし、結婚することがあるなら、アンナリーゼ様に証人者をしてほしいって」
「どうして?」
「僕にとって、アンナリーゼ様はやっぱり特別なんだ。僕というちっぽけな人間に道を指し示してくれたこと、いつも信じて疑わないでくれていること……何より、僕は、心からアンナリーゼ様のことを尊敬しているよ。アンバー領の改革は大変だけど、そんな大変な場所へあえて足を突っ込んだこと、僕にはできないからこそ、ずっと凄いと思っていたんだ。そんな人に、お願いできるならって、思ってた。引き受けてくれるかなぁ?」
セバスが心の内にしまっていたものにふれた気がした。セバスを評価することはあっても、尊敬しているなんて、言われたことがなかったから、素直に嬉しい。
「私でいいのなら、もちろんだよ!二人の結婚式、想い出に残る素敵な結婚式にしようね!主役の二人にとって、最高の1日となるよう私に出来ることは頑張るから、楽しみにしていて!」
セバスとダリアに微笑みかければ、二人とも深く頷いた。幸せそうな二人をみれば、私の心もほっこりと温かくなった。
セバスが、私を見て首を傾げている。何故、そんな質問をしてくるのかわからず、私も同じように首を傾げた。
「なんだか嬉しそうだったので、アンナリーゼ様に何かいいことがあったのかなぁ?って」
セバスに指摘され、頬を両手で触ってみる。確かに両頬は緩んでいた。
「いいことはあったよ。セバスの結婚にみながそれぞれ領地に屋敷を持ってくれること。私個人としても嬉しいし、領主としても嬉しい。まずは、ダリアにお礼だよね」
「確かに、ダリア様がセバスと結婚してくれるってことは、私もとても嬉しいです」
ナタリーと頷きあっているとダリアは恥ずかしそうに俯き小さくなる。そんなダリアの手をキュッと握るセバス。見ているこちらが、恥ずかしくなってきた。
「セバス様、結婚式の件なのですが」
「うん、何かいい案があるかなぁ?こういうこと、僕は疎いから」
「アンナリーゼ様とも話合いをしたのですが、デリアの結婚式をしたときに、公都のお屋敷を式場と披露宴の場にしたのはご存じですか?」
「うん、知ってる。もしかして……」
セバスがこちらに視線を向けてくるので頷いた。その意味を受取ってくれたらしく、セバスは少し難しい表情をした。
「何か問題があるのかしら?」
「うん、公都のアンバーのお屋敷で結婚式をするのはちょっと……」
「ん?私たちは、アンバー領の屋敷で、デリアたちの結婚式のようにするのはどうかって、提案するつもりだったのだけど」
「あぁ、それなら!屋敷を借りても大丈夫なの?公爵家のものだし……出入りもあるから」
「えぇ、構わないわ。ただ、料理人に支払う特別手当てや用意や給仕をしてくれる侍従へのお小遣いはお願いしてもいいかしら?」
「それはもちろん、こちらが出すよ?でも、本当にいいの?アンナリーゼ様たちの居住で、私的な結婚式なんて……危なくない?」
「どうだろう?式を玄関ホールでして、披露宴は外ですればいいかなぁ?って思っているの。道を通行止めにしてね」
「えっ?通行止めまで?」
「お誕生日会の日も通行止めにするんだから、別に困らないわ。迂回路もちゃんとあるんだし……それに、せっかく、屋敷前も石畳になったんだから存分に見せびらかすことを考えているの」
「来賓っていうほど、僕らは呼ばないよ?」
「えぇ、私たちとセバスの両親くらいを想定しているのでしょ?」
「うん。そのつもり。それだから、そんなに大きな規模にはならないよね?」
そうねと頷いた。ただ、通行止めにするには、看板を立てる必要があるので、領地に張り紙をする旨をセバスにいうと仕方がないよねと笑っていた。
それによって、セバスの結婚を領地内で知らしめることになる。もしかしたら、予想以上に、セバスへのお祝いをしにくる領民がいるかもしれない。そんな領民を受け入れてもいいのではないかと提案した。
「なんだか、アンジェラ様のお誕生日会と同じような気がしてきました……」
「そうだね。でも、日頃から、セバスと関わりのある領民たちは、お祝いしたいと思っているはずだよ?領民でなくても、イチアなんて、盛大に祝ってくれるんじゃないかって思うわ」
イチアならありえるねと苦笑いをしているセバスだが、その顔は嬉しそうにしている。日頃から、領地にいるあいだはイチアと共に行動をしているセバス。散々心配をかけていると聞いたことがあったので、喜ばないわけがなかった。
弟子の幸せを願うのは、当然よね。ダリアという人物に興味があるとも連絡が来ていた
から、きっと歓迎してくれるはず。
イチアの喜ぶ顔を思い浮かべれば、知っている私たちは頷きあい、ダリアにはイチアのことを話した。
「じゃあ、そう言う方向で話を進めてもいいかなぁ?」
「うん、お願いするよ。アンナリーゼ様、僕たちの結婚の証人者になってくれないかなぁ?」
「私でいいの?きちんと牧師さんを呼ばなくても」
「うん、僕、決めていたんだ。ずっと、前から。もし、結婚することがあるなら、アンナリーゼ様に証人者をしてほしいって」
「どうして?」
「僕にとって、アンナリーゼ様はやっぱり特別なんだ。僕というちっぽけな人間に道を指し示してくれたこと、いつも信じて疑わないでくれていること……何より、僕は、心からアンナリーゼ様のことを尊敬しているよ。アンバー領の改革は大変だけど、そんな大変な場所へあえて足を突っ込んだこと、僕にはできないからこそ、ずっと凄いと思っていたんだ。そんな人に、お願いできるならって、思ってた。引き受けてくれるかなぁ?」
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「私でいいのなら、もちろんだよ!二人の結婚式、想い出に残る素敵な結婚式にしようね!主役の二人にとって、最高の1日となるよう私に出来ることは頑張るから、楽しみにしていて!」
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