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新しい特産品にどう?
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今まで味わったことのないものには、殊更、興味を引かれる。そうやって、私は、今まで生きてきた。
口に入れたとき、不思議な味がしたのだが、次第に美味しく感じてくる。
「オリーブオイルは、温暖な気候の場所で栽培することになるのですよ!」
王妃の言葉に、温暖な気候は、領地にあっただろうか?とアンバー領の地図を頭の中で広げた。私以外にも、セバスもナタリーも同じようにしたのだろう。少々、お口がお留守になっていたり、ぼんやりしたりしている。
「姫さんは、常に何かを狙っている感じ……ギラギラしすぎじゃない?」
「おいしいものが大好きなだけよ?ウィルもそうでしょ?」
笑いかけると、そうだけどさ……と曖昧な言葉で濁される。ここは、王妃との昼食会だ。私語は程々にしなくてはならないと思い、口を噤んだようだった。
「これは、どうやって作っているのですか?」
「オリーブという実を搾圧器で絞るんです。エルドアでは欠かせない調味料のひとつとして使われていますが、ローズディアでは使わないのですか?」
「……私は、ローズディアでもトワイスでもこんなオイルは見たことないです。見たことある?」
友人たちに聞くと、みなが首を横に振る。なので、これは、エルドア独自に発展しているものなのではないかと思える。
そんな私たちを見て、驚いている王妃と王太子。
「食べるのももちろんで、食卓には欠かせないものですが、石鹸や化粧品、薬品にも使われることもあるものです。痛みやすい魚などを瓶に詰めてこのオリーブオイルにつける調理法なんかもありますよ?使い勝手がいいものですから、エルドアでは、重宝しています」
「……そうなのですね。オリーブの実……ですか?それを分けていただくことは出来ますか?」
「実をですか?今は、実を取れる時期ではありませんから、あまり工場の方にもないかもしれませんけど……見学されますか?」
「いいのですか!」
「えぇ、もちろん。アンバー公が望むのであれば、それくらい」
「本当にいいのでしょうか?王妃様」
「もちろんです。私たちは、アンバー公に、それだけの価値ある時間をいただけているのですから。オリーブの関係について、必要なものがあれば、何なりといってください。例えば、オリーブの苗木が欲しいとか……」
「……思っていましたが、でも、あの」
「遠慮をされているのですか?構いませんよ。オリーブを育てるには、時間も手間もかかります。一朝一夕でできるものではありませんからね。気候も関係しますし」
はい……と肩を落としてみたものの、実は、温暖な気候と言われて思いついた場所があった。ヨハンに教えてもらった地底湖を抜けた先。海に面した場所は、比較的、年中気候が穏やかだと聞いている。
「確か、アンバー領は葡萄酒も有名だったと記憶してるが……」
「はい、葡萄酒は、領地の特産品のひとつです。それが、どうかしたのですか?」
「いや、葡萄の育つ土地というのが、実は、オリーブの生育にもよいとされていて、室のいいものができると報告がある」
「葡萄の育つ土地……私の領地は、葡萄栽培にかけて、右に出るものはいないと自負しています。葡萄酒は特に、他国の貴族たちもこぞって買い求めてくれる一品ですし……そうですか。葡萄の……」
「アンナリーゼ様、よかったですね。領地に帰って教授たちに相談した上で、育ててみてはいかがですか?」
「そうね!そうするわ!」
セバスもいろいろと考えてくれているようで、頷くいてくれる。私の考えてくることがわかっているようだ。
「王妃様、オリーブの苗木を少し分けていただいても構いませんか?」
「もちろんよ!好きなだけ持っていきなさい!」
王妃に許可をもらえたことで、嬉しくなり、もう一口、オリーブオイルを丁寧に馴染ませてから、パンを齧った。とてもおいしいので、思わず頬が緩んでしまう。
「私、もしかして、失敗すると思われています?」
温かい目で見られていることに気が付き、ニコリとする。そんなことは……オホホと王妃は笑っているので、失敗しませんよ?と微笑むと、挑戦的にこちらを見ている。
「他にも、工場や農園を見ていくといいでしょう。ローズディアでは栽培がないというなら、参考になるかと。王太子、案内なさい」
「はい、喜んで」
「いえ、王太子殿下にそこまでご迷惑は……」
「そう言わないでちょうだい。あなたが提案した麦などの提供や肥料の融通の話を聞いているのよ。それに見合ったものは、これくらいしか」
「そんなことないです。それ相応のものはいただきますから。商売とはそういうものですよ!」
「お上手ね?」
終始、王妃の手のひらで転がされている気分だが、それも悪くない気がする。
……たまには、誰かの用意したところで、躍らせてもらうことも悪くないわ!
王妃は笑い、昼食会をとても楽しんでいるように見える。王があぁなったこともこれから大変だと思うが、この王妃がいれば……エルドアは安泰なのかもしれない。
「そうそう。ウェスティン伯爵は追放をしようと思うの。持って帰っていただけるとありがたいのだけど?」
突然の申し出に一同が驚いた。伯爵位のものを国外へ追放するということは、かなり重い処分だ。爵位も無くなるので、さてどうしたものかと、笑っていた顔の表情筋を笑顔にめいっぱい振り分けた。
口に入れたとき、不思議な味がしたのだが、次第に美味しく感じてくる。
「オリーブオイルは、温暖な気候の場所で栽培することになるのですよ!」
王妃の言葉に、温暖な気候は、領地にあっただろうか?とアンバー領の地図を頭の中で広げた。私以外にも、セバスもナタリーも同じようにしたのだろう。少々、お口がお留守になっていたり、ぼんやりしたりしている。
「姫さんは、常に何かを狙っている感じ……ギラギラしすぎじゃない?」
「おいしいものが大好きなだけよ?ウィルもそうでしょ?」
笑いかけると、そうだけどさ……と曖昧な言葉で濁される。ここは、王妃との昼食会だ。私語は程々にしなくてはならないと思い、口を噤んだようだった。
「これは、どうやって作っているのですか?」
「オリーブという実を搾圧器で絞るんです。エルドアでは欠かせない調味料のひとつとして使われていますが、ローズディアでは使わないのですか?」
「……私は、ローズディアでもトワイスでもこんなオイルは見たことないです。見たことある?」
友人たちに聞くと、みなが首を横に振る。なので、これは、エルドア独自に発展しているものなのではないかと思える。
そんな私たちを見て、驚いている王妃と王太子。
「食べるのももちろんで、食卓には欠かせないものですが、石鹸や化粧品、薬品にも使われることもあるものです。痛みやすい魚などを瓶に詰めてこのオリーブオイルにつける調理法なんかもありますよ?使い勝手がいいものですから、エルドアでは、重宝しています」
「……そうなのですね。オリーブの実……ですか?それを分けていただくことは出来ますか?」
「実をですか?今は、実を取れる時期ではありませんから、あまり工場の方にもないかもしれませんけど……見学されますか?」
「いいのですか!」
「えぇ、もちろん。アンバー公が望むのであれば、それくらい」
「本当にいいのでしょうか?王妃様」
「もちろんです。私たちは、アンバー公に、それだけの価値ある時間をいただけているのですから。オリーブの関係について、必要なものがあれば、何なりといってください。例えば、オリーブの苗木が欲しいとか……」
「……思っていましたが、でも、あの」
「遠慮をされているのですか?構いませんよ。オリーブを育てるには、時間も手間もかかります。一朝一夕でできるものではありませんからね。気候も関係しますし」
はい……と肩を落としてみたものの、実は、温暖な気候と言われて思いついた場所があった。ヨハンに教えてもらった地底湖を抜けた先。海に面した場所は、比較的、年中気候が穏やかだと聞いている。
「確か、アンバー領は葡萄酒も有名だったと記憶してるが……」
「はい、葡萄酒は、領地の特産品のひとつです。それが、どうかしたのですか?」
「いや、葡萄の育つ土地というのが、実は、オリーブの生育にもよいとされていて、室のいいものができると報告がある」
「葡萄の育つ土地……私の領地は、葡萄栽培にかけて、右に出るものはいないと自負しています。葡萄酒は特に、他国の貴族たちもこぞって買い求めてくれる一品ですし……そうですか。葡萄の……」
「アンナリーゼ様、よかったですね。領地に帰って教授たちに相談した上で、育ててみてはいかがですか?」
「そうね!そうするわ!」
セバスもいろいろと考えてくれているようで、頷くいてくれる。私の考えてくることがわかっているようだ。
「王妃様、オリーブの苗木を少し分けていただいても構いませんか?」
「もちろんよ!好きなだけ持っていきなさい!」
王妃に許可をもらえたことで、嬉しくなり、もう一口、オリーブオイルを丁寧に馴染ませてから、パンを齧った。とてもおいしいので、思わず頬が緩んでしまう。
「私、もしかして、失敗すると思われています?」
温かい目で見られていることに気が付き、ニコリとする。そんなことは……オホホと王妃は笑っているので、失敗しませんよ?と微笑むと、挑戦的にこちらを見ている。
「他にも、工場や農園を見ていくといいでしょう。ローズディアでは栽培がないというなら、参考になるかと。王太子、案内なさい」
「はい、喜んで」
「いえ、王太子殿下にそこまでご迷惑は……」
「そう言わないでちょうだい。あなたが提案した麦などの提供や肥料の融通の話を聞いているのよ。それに見合ったものは、これくらいしか」
「そんなことないです。それ相応のものはいただきますから。商売とはそういうものですよ!」
「お上手ね?」
終始、王妃の手のひらで転がされている気分だが、それも悪くない気がする。
……たまには、誰かの用意したところで、躍らせてもらうことも悪くないわ!
王妃は笑い、昼食会をとても楽しんでいるように見える。王があぁなったこともこれから大変だと思うが、この王妃がいれば……エルドアは安泰なのかもしれない。
「そうそう。ウェスティン伯爵は追放をしようと思うの。持って帰っていただけるとありがたいのだけど?」
突然の申し出に一同が驚いた。伯爵位のものを国外へ追放するということは、かなり重い処分だ。爵位も無くなるので、さてどうしたものかと、笑っていた顔の表情筋を笑顔にめいっぱい振り分けた。
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