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少し解放?
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馬車に乗り込む。見送るエレーナは申し訳なさそうにこちらを見ていたが、場所さえ教えてもらえれば、私たちでも行ける。今は、エレーナに子どもたちの側についていた方がいいとなり、昨晩そちらに向かうことになったのだ。
「アンナ様、最後までお供できず……」
「いいのよ。私たちは心配ないわ。エレーナたちの方が危ないのだもの。子どもたちを守ってあげて」
ありがとうございますと頭を下げるエレーナに、侯爵のことをくれぐれもよろしく頼むとわかっているとしっかり頷いてくれた。
馬車が進む。ゆっくりゆっくりがだんだん早くなっていく。
「屋敷から少し離れたからって、少しだらしがないですよ?アンナリーゼ様」
「……わかっているわ。少しだけ」
「本当に少しだけですからね?」
えぇと返事をすると、大きく息を吐いた。これでも、気の知れた友人の前とエレーナの前では、少しだけ気の持ち方が違う。ましてや、公爵として、屋敷では過ごしていたので、肩に力が入ってしまった。
だらんとしているとヒーナが呆れたようにしている。私との付き合いも月日がしばしば流れてはいても、さすがにここまで力を抜いているところを見るのは初めてだったようだ。
「姫さんさぁ、向こうに行ったら、また、公爵するの?」
「当たり前だけど?そのために、何着ドレスを持ってきていると思っているの?」
あぁとなんとも言えない声が聞こえてきた。今回の大荷物、私の移動としては多いのだが、それもこれも、ほとんどが衣装なのだ。領地に行くのなら必要のないものだが、他国との円卓には必要不可欠のものだから、仕方がない。これでも最小限にしているのだが、大きな馬車1台分には最低なる。ナタリーの分のドレスは、あまり多くを今回持ってきていない。その代わり、同じドレスでも、着せ替えられるものを持ってきているらしい。新しく手に入れた布で、何かチクチクと作っている。
「酔わないの?」
「えぇ、これくらいならなんとも。アンナリーゼ様とおしゃべりもいいですが、疲れているように見えるので」
「本当?私はすこぶる元気だけど……」
「そういうのは、カラ元気というのですよ?ずっと移動や話合い、領地のことやお子さまたちとの時間、さらには、ジョージア様にもお時間をさいていらしたのでしょ?少し、動かれすぎですよ?」
「……ナタリーがいうのなら、そうかもしれないわね。突発的に王太子にも会っちゃったし」
「あれは、本当にビックリさせられたわ」
馬車と平行に馬で移動しているウィルは、昨日のことを言っているのだろう。私もそんなつもりなんてなかったのに、思いつきで行動する私は、きっと、迷惑だろうなと苦笑いした。
「そういえば、セバスと連絡は?」
「こっちに着く直前に連絡をしたけど……」
「今、あちらは、どうなっているのですか?」
「護衛にキースを残して、セバスは侯爵の別宅にいるわよ?」
「キースか……ちょっと、頼りないな?」
「そんなこと言わない。キースが残ってくれただけでも、ありがたいことだわ」
「……セバスは運動音痴ですからね」
心配よね……と三人がため息をつく。うちの兄と同じく、頭は切れるが、運動はからっきしダメだ。馬にも未だに乗れるのか……とあやしいくらいだった。
ヒーナは私たちのため息が、理解できないようだ。何回か会ったことはあっても、それほど、深く交流をしたことはなかっただろう。セバスは、私のせいで、常に私以上に忙しいのだから。
「あの、セバス様って、それほど運動が出来ないのですか?」
「えぇ、絶望的ですよね?」
ナタリーは自身が馬にも乗れるし、そこそこの護身術も使えるからと、セバスのそういうところには意外と厳しい。辛辣な言葉を投げかけられているとも知らず、セバスは、今日も大変な一日を過ごしているに違いない。
「確かにそうだけど……」
「姫さんも認めるのかよ?友達だろ?」
「そうね?でも、うちのお兄様も運動はからっきしだし、お父様もダメなのよ」
「姫さんとこはお母様最強だもんな。あと、おじさんも強かった」
「そうね。武門出身だと、まぁ、なんでも力で片付けちゃうわよね?」
「それ、姫さんのことだからね?」
ウィルに指摘され、そんなことないよね?とナタリーを見たら苦笑い。ヒーナは首を横に振っている。まぁ、否定はしても否定返しが来ることは、わかっているので何も言わないでおくことにする。
どうせ、ここの三人は共通認識ですもの。可愛いとか言ってくれるのは、ジョージア様くらいだわ。
アンバー領へ向かっているジョージアのことを考える。うちのお姫様に振り回されていることだろう。今回は他にも孤児を連れているので、旅自体も大変になっているはずだ。
本当なら、今頃、鎌を持って麦の収穫を手伝うつもりだったのにな。
当初の予定に思いをはせる。いろいろと予定通りに進まない私の人生ではあるのに、全ては、最後の1日に繋がっていくのかと思うと、まだまだ、することが多いな……と呟いた。
「アンナ様、最後までお供できず……」
「いいのよ。私たちは心配ないわ。エレーナたちの方が危ないのだもの。子どもたちを守ってあげて」
ありがとうございますと頭を下げるエレーナに、侯爵のことをくれぐれもよろしく頼むとわかっているとしっかり頷いてくれた。
馬車が進む。ゆっくりゆっくりがだんだん早くなっていく。
「屋敷から少し離れたからって、少しだらしがないですよ?アンナリーゼ様」
「……わかっているわ。少しだけ」
「本当に少しだけですからね?」
えぇと返事をすると、大きく息を吐いた。これでも、気の知れた友人の前とエレーナの前では、少しだけ気の持ち方が違う。ましてや、公爵として、屋敷では過ごしていたので、肩に力が入ってしまった。
だらんとしているとヒーナが呆れたようにしている。私との付き合いも月日がしばしば流れてはいても、さすがにここまで力を抜いているところを見るのは初めてだったようだ。
「姫さんさぁ、向こうに行ったら、また、公爵するの?」
「当たり前だけど?そのために、何着ドレスを持ってきていると思っているの?」
あぁとなんとも言えない声が聞こえてきた。今回の大荷物、私の移動としては多いのだが、それもこれも、ほとんどが衣装なのだ。領地に行くのなら必要のないものだが、他国との円卓には必要不可欠のものだから、仕方がない。これでも最小限にしているのだが、大きな馬車1台分には最低なる。ナタリーの分のドレスは、あまり多くを今回持ってきていない。その代わり、同じドレスでも、着せ替えられるものを持ってきているらしい。新しく手に入れた布で、何かチクチクと作っている。
「酔わないの?」
「えぇ、これくらいならなんとも。アンナリーゼ様とおしゃべりもいいですが、疲れているように見えるので」
「本当?私はすこぶる元気だけど……」
「そういうのは、カラ元気というのですよ?ずっと移動や話合い、領地のことやお子さまたちとの時間、さらには、ジョージア様にもお時間をさいていらしたのでしょ?少し、動かれすぎですよ?」
「……ナタリーがいうのなら、そうかもしれないわね。突発的に王太子にも会っちゃったし」
「あれは、本当にビックリさせられたわ」
馬車と平行に馬で移動しているウィルは、昨日のことを言っているのだろう。私もそんなつもりなんてなかったのに、思いつきで行動する私は、きっと、迷惑だろうなと苦笑いした。
「そういえば、セバスと連絡は?」
「こっちに着く直前に連絡をしたけど……」
「今、あちらは、どうなっているのですか?」
「護衛にキースを残して、セバスは侯爵の別宅にいるわよ?」
「キースか……ちょっと、頼りないな?」
「そんなこと言わない。キースが残ってくれただけでも、ありがたいことだわ」
「……セバスは運動音痴ですからね」
心配よね……と三人がため息をつく。うちの兄と同じく、頭は切れるが、運動はからっきしダメだ。馬にも未だに乗れるのか……とあやしいくらいだった。
ヒーナは私たちのため息が、理解できないようだ。何回か会ったことはあっても、それほど、深く交流をしたことはなかっただろう。セバスは、私のせいで、常に私以上に忙しいのだから。
「あの、セバス様って、それほど運動が出来ないのですか?」
「えぇ、絶望的ですよね?」
ナタリーは自身が馬にも乗れるし、そこそこの護身術も使えるからと、セバスのそういうところには意外と厳しい。辛辣な言葉を投げかけられているとも知らず、セバスは、今日も大変な一日を過ごしているに違いない。
「確かにそうだけど……」
「姫さんも認めるのかよ?友達だろ?」
「そうね?でも、うちのお兄様も運動はからっきしだし、お父様もダメなのよ」
「姫さんとこはお母様最強だもんな。あと、おじさんも強かった」
「そうね。武門出身だと、まぁ、なんでも力で片付けちゃうわよね?」
「それ、姫さんのことだからね?」
ウィルに指摘され、そんなことないよね?とナタリーを見たら苦笑い。ヒーナは首を横に振っている。まぁ、否定はしても否定返しが来ることは、わかっているので何も言わないでおくことにする。
どうせ、ここの三人は共通認識ですもの。可愛いとか言ってくれるのは、ジョージア様くらいだわ。
アンバー領へ向かっているジョージアのことを考える。うちのお姫様に振り回されていることだろう。今回は他にも孤児を連れているので、旅自体も大変になっているはずだ。
本当なら、今頃、鎌を持って麦の収穫を手伝うつもりだったのにな。
当初の予定に思いをはせる。いろいろと予定通りに進まない私の人生ではあるのに、全ては、最後の1日に繋がっていくのかと思うと、まだまだ、することが多いな……と呟いた。
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