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さぁ、出かけましょう!
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朝起きて、着替えをしていると、ナタリーが部屋に入ってきた。
「おはようございます、アンナ……リーゼ様?」
ヒーナがドレスの背中の紐を結んでいるところだったので、扉を早々に閉めて固まっていた。
「あっ、ナタリー、おはよう」
「おはようございます、ナタリー様」
「……あの、えっと……ヒーナさんが何故?」
「昨日の夜中に突然来たのよ」
「昨日のですか?私も遅い時間にお部屋を出たと思いますが……」
困ったような顔を私に向け、近寄ってくる。お手伝いしますとヒーナの隣に並んで、私の衣装を整えていく。
「ナタリーも、もういいの?」
「えぇ、この通り。朝の支度は簡単にできるようなものを選びましたの」
「私もそのつもりだったんだけど……ヒーナが、今日はこれをというから……」
紐でぎゅーぎゅーと締め付けられていくのを見ながら、宝飾品を選んでくれる。アメジストのネックレスを選んでくれたナタリー。思わず笑ってしまった。
「どうかされましたか?」
「そのアメジストのネックレス、懐かしいなって。普段は、夜会や茶会以外には宝飾品を滅多につけないから……しまってあったのよね」
「これには、何か?」
「お兄様からの卒業祝いなのよ」
「サシャ様からの?」
「えぇ、お兄様が宝飾品を贈ってくれるなんて、珍しいでしょ?」
頷くナタリーが、私の首にネックレスをつけてくれる。コンコンと扉がノックされたので、もう少しだけ待って欲しいというと、ウィルの声が聞こえてきた。ヒーナが最後に口紅をひいてくれて、公爵らしい姿になった。
「ウィルを呼んできてくれるかしら?」
「かしこまりました」
ヒーナが扉を開けると、廊下でウィルが待っていたようで、すぐに入ってくる。
「姫さん、どういうこと?」
「何が?」
「ヒーナがいる」
「えぇ、昨日の夜中に来たのよ」
「……昨日の?」
「そう、ウィルと話を終えて少ししたころかしら?」
「真夜中じゃん!」
驚いているウィルにヒーナは涼しい顔をして、私の予定をナタリーに確認していた。それを聞いてどうするのがいいのか考えているようだ。
「ヒーナ、今日はどうするつもり?」
「アンナ様と行動を共にしようと思っているのですが……何か、考えがありますか?」
「ウィル、今日は、王都を一人で回るのよね?」
「そのつもりだけど?なんで?」
「一人でウロウロと歩いているのは、目立つと思うの。ここで、変に注目を浴びることは避けたいわ」
「でも、ウィル様は、有名なんじゃ……?」
クスっと笑うとヒーナが不思議そうにしている。
「有名なのは、名前だけよ。『ウィル・サーラー』っていうね。人物自体は、それほど知られていないの」
「……確かに、私も知りませんでした。名は、知っていましたし、重要人物とは聞いていましたが」
「でしょ?そんなものなのよ。だから、ウィルが、街をうろついていたとしても大丈夫なんだけど……少し、思うところがあるの」
「何?姫さんが、気になることって」
ウィルとナタリーがこちらに目を向けてくる。気が付いていないようだったので、昨日からの話をする。
「二人とも気が付かなかった?」
「……わかりませんけど」
「ここは道沿いの屋敷よね?」
「あぁ、道沿いの…………もしかして?」
「……静かすぎる?」
「正解よ。街……こと、ここは王都。貴族街とはいえ、静かすぎると思わない?昨日は、ダリアとナタリーとのおしゃべりで気が付かなかったけど……人が少ないのか、」
「……王都から人がいないのか、か?」
ウィルの言葉に頷いた。領地を持っている領主や貴族たちは、帰る場所があるので、いない場合もあるが、屋敷自体には侍従が残るものだ。アンバー領へ行っているあいだは、ディルを始め、公都の屋敷を管理しているものがそのまま残る。それを考えれば、人が少なすぎるのだ。
「……何が起こっているんだ?」
「わからないわ。ただ、ここで、ウィルが一人で街を歩くと、さすがに目立つのよ。ヒーナ、私たちについてくるのではなく、ウィルと一緒に出かけてくれるかしら?服装は……」
「わかっています。街に溶け込める服は持ってきています」
「お願いね。ウィルもそういうことだから」
「わかった。頼むよ、ヒーナ」
「はい、こちらこそ、よろしくお願いします」
二人が向き合い、話が終わる。私は、カバンに向かい、ガサガサとして、短剣を取り出した。
それをウィルに向かって投げると、おっと……と言いながら、受取った。
「これは?」
「普通の剣を持っていたら、さすがにねぇ?」
「なるほどね。見えないようにってことか?」
「えぇ、何かしら戦えるものは持っておいてちょうだい。何があってもおかしくないと注意はしておいて」
「ヒーナは、武器持っているのか?」
ヒーナが袖を捲ると、投擲用ナイフがぶら下がっていた。他に、スカートの下にも隠してあるだろう。私と同じように。
「……ハハ、さすがだな?」
「そりゃ、元戦争屋ですからねぇ……常に持っています。主として、アンナ様の護衛も兼ねていますから」
「そりゃ、頼もしい。でも、俺と行動だから……お手柔らかにってとこかな?」
「たぶん、私たちのことは、ダリアから話があちら側に聞こえていると思うのよね。くれぐれも、気を引き締めて行動してちょうだい」
三人が頷く。そこへ、エレーナが扉をノックしたので、ナタリーが向かえてくれる。ヒーナが加わったことを伝え、今日の予定の話をした。クロック侯爵は、一度、セバスのところへ向かうことになり、私とナタリー、エレーナは買い物へ行き、ウィルとヒーナは街の散策をすることに決まった。
「おはようございます、アンナ……リーゼ様?」
ヒーナがドレスの背中の紐を結んでいるところだったので、扉を早々に閉めて固まっていた。
「あっ、ナタリー、おはよう」
「おはようございます、ナタリー様」
「……あの、えっと……ヒーナさんが何故?」
「昨日の夜中に突然来たのよ」
「昨日のですか?私も遅い時間にお部屋を出たと思いますが……」
困ったような顔を私に向け、近寄ってくる。お手伝いしますとヒーナの隣に並んで、私の衣装を整えていく。
「ナタリーも、もういいの?」
「えぇ、この通り。朝の支度は簡単にできるようなものを選びましたの」
「私もそのつもりだったんだけど……ヒーナが、今日はこれをというから……」
紐でぎゅーぎゅーと締め付けられていくのを見ながら、宝飾品を選んでくれる。アメジストのネックレスを選んでくれたナタリー。思わず笑ってしまった。
「どうかされましたか?」
「そのアメジストのネックレス、懐かしいなって。普段は、夜会や茶会以外には宝飾品を滅多につけないから……しまってあったのよね」
「これには、何か?」
「お兄様からの卒業祝いなのよ」
「サシャ様からの?」
「えぇ、お兄様が宝飾品を贈ってくれるなんて、珍しいでしょ?」
頷くナタリーが、私の首にネックレスをつけてくれる。コンコンと扉がノックされたので、もう少しだけ待って欲しいというと、ウィルの声が聞こえてきた。ヒーナが最後に口紅をひいてくれて、公爵らしい姿になった。
「ウィルを呼んできてくれるかしら?」
「かしこまりました」
ヒーナが扉を開けると、廊下でウィルが待っていたようで、すぐに入ってくる。
「姫さん、どういうこと?」
「何が?」
「ヒーナがいる」
「えぇ、昨日の夜中に来たのよ」
「……昨日の?」
「そう、ウィルと話を終えて少ししたころかしら?」
「真夜中じゃん!」
驚いているウィルにヒーナは涼しい顔をして、私の予定をナタリーに確認していた。それを聞いてどうするのがいいのか考えているようだ。
「ヒーナ、今日はどうするつもり?」
「アンナ様と行動を共にしようと思っているのですが……何か、考えがありますか?」
「ウィル、今日は、王都を一人で回るのよね?」
「そのつもりだけど?なんで?」
「一人でウロウロと歩いているのは、目立つと思うの。ここで、変に注目を浴びることは避けたいわ」
「でも、ウィル様は、有名なんじゃ……?」
クスっと笑うとヒーナが不思議そうにしている。
「有名なのは、名前だけよ。『ウィル・サーラー』っていうね。人物自体は、それほど知られていないの」
「……確かに、私も知りませんでした。名は、知っていましたし、重要人物とは聞いていましたが」
「でしょ?そんなものなのよ。だから、ウィルが、街をうろついていたとしても大丈夫なんだけど……少し、思うところがあるの」
「何?姫さんが、気になることって」
ウィルとナタリーがこちらに目を向けてくる。気が付いていないようだったので、昨日からの話をする。
「二人とも気が付かなかった?」
「……わかりませんけど」
「ここは道沿いの屋敷よね?」
「あぁ、道沿いの…………もしかして?」
「……静かすぎる?」
「正解よ。街……こと、ここは王都。貴族街とはいえ、静かすぎると思わない?昨日は、ダリアとナタリーとのおしゃべりで気が付かなかったけど……人が少ないのか、」
「……王都から人がいないのか、か?」
ウィルの言葉に頷いた。領地を持っている領主や貴族たちは、帰る場所があるので、いない場合もあるが、屋敷自体には侍従が残るものだ。アンバー領へ行っているあいだは、ディルを始め、公都の屋敷を管理しているものがそのまま残る。それを考えれば、人が少なすぎるのだ。
「……何が起こっているんだ?」
「わからないわ。ただ、ここで、ウィルが一人で街を歩くと、さすがに目立つのよ。ヒーナ、私たちについてくるのではなく、ウィルと一緒に出かけてくれるかしら?服装は……」
「わかっています。街に溶け込める服は持ってきています」
「お願いね。ウィルもそういうことだから」
「わかった。頼むよ、ヒーナ」
「はい、こちらこそ、よろしくお願いします」
二人が向き合い、話が終わる。私は、カバンに向かい、ガサガサとして、短剣を取り出した。
それをウィルに向かって投げると、おっと……と言いながら、受取った。
「これは?」
「普通の剣を持っていたら、さすがにねぇ?」
「なるほどね。見えないようにってことか?」
「えぇ、何かしら戦えるものは持っておいてちょうだい。何があってもおかしくないと注意はしておいて」
「ヒーナは、武器持っているのか?」
ヒーナが袖を捲ると、投擲用ナイフがぶら下がっていた。他に、スカートの下にも隠してあるだろう。私と同じように。
「……ハハ、さすがだな?」
「そりゃ、元戦争屋ですからねぇ……常に持っています。主として、アンナ様の護衛も兼ねていますから」
「そりゃ、頼もしい。でも、俺と行動だから……お手柔らかにってとこかな?」
「たぶん、私たちのことは、ダリアから話があちら側に聞こえていると思うのよね。くれぐれも、気を引き締めて行動してちょうだい」
三人が頷く。そこへ、エレーナが扉をノックしたので、ナタリーが向かえてくれる。ヒーナが加わったことを伝え、今日の予定の話をした。クロック侯爵は、一度、セバスのところへ向かうことになり、私とナタリー、エレーナは買い物へ行き、ウィルとヒーナは街の散策をすることに決まった。
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