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帰って来た公都
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翌日には、ココナの熱も下がり、目を覚ました。気分は最悪ですと呟いたココナを抱きしめ、最高な気分だと言ってしまった。
「アンナ様、それは……」
「ココナが、私のことを守ってくれたから、最高の気分なのよ!残り、2日しか、コーコナには滞在できないけど、その手をしっかり直して、チャコたちに合流してくれるかしら?」
「それは、もちろんですが……差別とか、起こりませんかね?」
「あの町に対してよね……私が関与することも考えたけど、今は、まだ、いい方法が思いつかないわ。あの町は、最貧困の領民が肩を寄せ合って集まっていた。私、気付けなくて……」
「いいんです。今、気付いてくれたから。それに……あの人、どうするのですか?」
「あぁ、あの老人ね。公に預けるわ。私の裁量でどうこうするのは、ね。領地の名が変わったのに、まだまだ、ダドリー男爵がいた頃と変わらない場所があったんだなって、反省したわ」
ココナはベッド側に座る私の手を取り、優しく握る。包帯に滲む血の色がやけに目についた。
「アンナ様は、少し頑張りすぎです。人が足りないのは、私もこのお屋敷で働いていたらわかります。人を育てたいんですよね?」
「…………えぇ、できるだけ早く。それも10年以内に。領地だけでなく、公宮内にも他領にも。私と心同じくしてくれる友人が必要なのよ」
「スピアは、文官として、ものになるのにどれくらい時間がかかりますか?」
私を見上げるココナ。その目は、知っている。ウィルやセバス、ナタリーを思い出すような強い意志だ。
「最低1年はかかると思う。なかなか覚えることも多いし、交渉術も身につけないといけないもの」
「……見た感じ、スピアは交渉が苦手そうですよね」
「そうなのよ。なんとか、ならないかしらね?」
「アンナ様は、むしろ得意ですからね!」
そんなことはないわよと苦笑いすると、きゅっと目を瞑った。
「私も、人を育ててもいいでしょうか?」
ポツリと呟くココナ。あんなことがあったからと、躊躇っているようだ。
「もちろんよ!ココナが育てた子たちが、いつか、アンバー公爵のために働いてくれるなら、高給で雇うわよ!ねぇ、ココナ。この領地には、仕事に就けない人がいる。単純な肉体労働に向かない人もその中にいるでしょ?」
「たしかに。そのための教育ですか?」
「そうね。化膿性を広げてあげることは、悪いことじゃないし、やりがいを伸ばしてあげることは、その人だけじゃなく領地も成長する。ヨハンは、自分の好きな研究をするの。それをね、助手が手伝う。その助手が、目の色変えて研究したいことであれば、任せてしまうのよ」
「何故ですか?ヨハン教授であれば、片手間でたくさんの研究を続けることは、難しくないですよね?」
「答えは簡単。片手間だからよ。助手と言っても、ヨハンの周り助手たちは、それぞれの道では第一人者よ。最先端の研究をしているのよ」
「……それは、つまるところ、ヨハン教授なりの育成ってことですか?」
本人はそう思っていないだろうけどね?なんて茶化すと、ココナは驚いていた。
「普通の育成は、ディルみたいに課題を出してってするんでしょうけどね。おもしろいわよね?ココナもココナなりの方法を考えて、育ててみて!頑張ってね!」
肩に手を置くとコクンと頷いた。ココナはこれから、あの育った町と向き合うのだ。その中で、辛いこともあるかもしれないけど、おれずに、前を行くものとして、あの町の人たちを導けるだろう。
「ママ?もうすぐ、パパに会える?」
「もうすぐ会えるかな。あと少しで、公都だから」
ココナと話してからあっという間に2日が過ぎた。その後、公都へむけ馬車に揺られ、あと少しで公都へとつく。馬車の中は、アンジェラと二人。夏の終わりとはいえ、生暖かい風が、馬車の中に入ってくる。
「ジョー、もうすぐ公都の門をくぐるから、すぐですよ!」
「パパに会うの楽しみ!」
公都に帰る前にアンジェラと引き合わせた四人の孤児たち。それぞれに課題を出してはいるが、アンジェラに再度、会わせてみたとき、いい顔していた。この先、アンジェラのよき理解者として、側にいてくれることだろう。あの『予知夢』でみた、未来のように。今は、別の馬車でエマが簡単に今後のことを説明している。
「そうだね。久しぶりのジョージア様だね。ジョーは、ママとパパ、どっちが好き?」
「……うーん、パパ?」
「あら、負けちゃったわね」
残念そうにしていると、向かい側に座っていたアンジェラが隣に座り直す。
「強いママはもっと好き!」
「あら、それは嬉しいわ!じゃあ、もっと、ママは頑張るからね!」
ギュっと抱きついてきたアンジェラの銀の髪を撫でる。ジョージアそっくり娘は、無邪気に笑って甘えてきた。
「あと少しですね!アンバーのお屋敷が見えてきました。アンナとジョーとの家族ごっこ、とても楽しかったです。本当の家族ができたようで」
「……アデル」
「また、パパする?」
アンジェラが、窓から覗き込み、外で護衛をしていたアデルに問うと、少しだけ嬉しそうにしながら、機会があれば……と言葉を濁した。
「アンナ様、それは……」
「ココナが、私のことを守ってくれたから、最高の気分なのよ!残り、2日しか、コーコナには滞在できないけど、その手をしっかり直して、チャコたちに合流してくれるかしら?」
「それは、もちろんですが……差別とか、起こりませんかね?」
「あの町に対してよね……私が関与することも考えたけど、今は、まだ、いい方法が思いつかないわ。あの町は、最貧困の領民が肩を寄せ合って集まっていた。私、気付けなくて……」
「いいんです。今、気付いてくれたから。それに……あの人、どうするのですか?」
「あぁ、あの老人ね。公に預けるわ。私の裁量でどうこうするのは、ね。領地の名が変わったのに、まだまだ、ダドリー男爵がいた頃と変わらない場所があったんだなって、反省したわ」
ココナはベッド側に座る私の手を取り、優しく握る。包帯に滲む血の色がやけに目についた。
「アンナ様は、少し頑張りすぎです。人が足りないのは、私もこのお屋敷で働いていたらわかります。人を育てたいんですよね?」
「…………えぇ、できるだけ早く。それも10年以内に。領地だけでなく、公宮内にも他領にも。私と心同じくしてくれる友人が必要なのよ」
「スピアは、文官として、ものになるのにどれくらい時間がかかりますか?」
私を見上げるココナ。その目は、知っている。ウィルやセバス、ナタリーを思い出すような強い意志だ。
「最低1年はかかると思う。なかなか覚えることも多いし、交渉術も身につけないといけないもの」
「……見た感じ、スピアは交渉が苦手そうですよね」
「そうなのよ。なんとか、ならないかしらね?」
「アンナ様は、むしろ得意ですからね!」
そんなことはないわよと苦笑いすると、きゅっと目を瞑った。
「私も、人を育ててもいいでしょうか?」
ポツリと呟くココナ。あんなことがあったからと、躊躇っているようだ。
「もちろんよ!ココナが育てた子たちが、いつか、アンバー公爵のために働いてくれるなら、高給で雇うわよ!ねぇ、ココナ。この領地には、仕事に就けない人がいる。単純な肉体労働に向かない人もその中にいるでしょ?」
「たしかに。そのための教育ですか?」
「そうね。化膿性を広げてあげることは、悪いことじゃないし、やりがいを伸ばしてあげることは、その人だけじゃなく領地も成長する。ヨハンは、自分の好きな研究をするの。それをね、助手が手伝う。その助手が、目の色変えて研究したいことであれば、任せてしまうのよ」
「何故ですか?ヨハン教授であれば、片手間でたくさんの研究を続けることは、難しくないですよね?」
「答えは簡単。片手間だからよ。助手と言っても、ヨハンの周り助手たちは、それぞれの道では第一人者よ。最先端の研究をしているのよ」
「……それは、つまるところ、ヨハン教授なりの育成ってことですか?」
本人はそう思っていないだろうけどね?なんて茶化すと、ココナは驚いていた。
「普通の育成は、ディルみたいに課題を出してってするんでしょうけどね。おもしろいわよね?ココナもココナなりの方法を考えて、育ててみて!頑張ってね!」
肩に手を置くとコクンと頷いた。ココナはこれから、あの育った町と向き合うのだ。その中で、辛いこともあるかもしれないけど、おれずに、前を行くものとして、あの町の人たちを導けるだろう。
「ママ?もうすぐ、パパに会える?」
「もうすぐ会えるかな。あと少しで、公都だから」
ココナと話してからあっという間に2日が過ぎた。その後、公都へむけ馬車に揺られ、あと少しで公都へとつく。馬車の中は、アンジェラと二人。夏の終わりとはいえ、生暖かい風が、馬車の中に入ってくる。
「ジョー、もうすぐ公都の門をくぐるから、すぐですよ!」
「パパに会うの楽しみ!」
公都に帰る前にアンジェラと引き合わせた四人の孤児たち。それぞれに課題を出してはいるが、アンジェラに再度、会わせてみたとき、いい顔していた。この先、アンジェラのよき理解者として、側にいてくれることだろう。あの『予知夢』でみた、未来のように。今は、別の馬車でエマが簡単に今後のことを説明している。
「そうだね。久しぶりのジョージア様だね。ジョーは、ママとパパ、どっちが好き?」
「……うーん、パパ?」
「あら、負けちゃったわね」
残念そうにしていると、向かい側に座っていたアンジェラが隣に座り直す。
「強いママはもっと好き!」
「あら、それは嬉しいわ!じゃあ、もっと、ママは頑張るからね!」
ギュっと抱きついてきたアンジェラの銀の髪を撫でる。ジョージアそっくり娘は、無邪気に笑って甘えてきた。
「あと少しですね!アンバーのお屋敷が見えてきました。アンナとジョーとの家族ごっこ、とても楽しかったです。本当の家族ができたようで」
「……アデル」
「また、パパする?」
アンジェラが、窓から覗き込み、外で護衛をしていたアデルに問うと、少しだけ嬉しそうにしながら、機会があれば……と言葉を濁した。
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