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どういう?
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アデルが唖然としてこちらを見ている。アンジェラの適性をきいてきたのは、アデルの方だったのに、聞いた方が、呆然となっていることに苦笑いをしてしまった。
「適正って言葉が、ないのよ。アンジェラには。なんでも、出来てしまう。それがあの子なの」
「生まれて、まだ3歳ですよね?それで、わかるのですか?」
「それには、少しだけ、私なりの考えというかがあるのよね……私はもちろん、得意不得意があるし、ジョージア様も見ての通り。二人とも万能ではないのだけど……」
「……ハニーローズは、私たちとは違うということですか?」
「……違うわ」
「どういう?」
「アンジェラが、特別なのだと思う。ハニーローズも万能ではないの。書物で確認したところってだけだから、全部を把握しているわけではないのだけどね」
王配の手記やその他、アンバー公爵家に代々受け継がれている日誌を思い浮かべていた。ハニーローズの能力は、原初の女王、ロサオリエンティスが言ったように、『過去見』ができる。
文献を読むより詳細に過去を知ることができるうえに、そのときの状況を把握でき、どういう対応がよかったのかの分析までをするのが、ハニーローズだ。
いわば、過去辞典のような存在。その辞典が、困っていることに対し、どういう対応をするのが正解なのかを『予知』でもしたかのような仮説をたてながら、これから起こるもしくは起こったことへの対処の話をする。
容姿も美しく、通る声、頭脳明晰な彼女たちは、公爵という地位まであった。耳を傾けない人物などいなかっただろう。
世界の救世主と言われているのは、厄災が起こったときの対処方法が、誰よりも早く、適格だったから。もたつけば、もたつくほど、国も領地も人も疲弊してしまう中、彼女たちだけが、過去を知り、未来を明るいものへと導いていく存在である。
奇跡に近いような対応が、みなの期待が集まった所以なのだろう。
ハニーローズだけでも、十分ビックリするような能力を手にし、使いこなせる。
アンジェラが、何故、特別だと私は感じたのか……。過去のハニーローズたちには、もたなかった能力を持っていると仮説をしていた。
ハニーローズたちは、『過去を視る』ことはできても、『未来を予見』することはできなかった。
一代限りの能力だと、私は自身の『予知夢』のことを考えていたが、そうではなかったらしいことを、薄々感じ始めていた。それが、今回、カイルたちを助けることに至ったことで、確信となった。
アンジェラは、私の能力である『予知夢』まで、手に入れている。ときおり、夜中に泣いて起きることも、昼寝後のご機嫌にも身に覚えがある。
なにより、私の『予知夢』の能力が、少しずつ衰えていることにも関係があるように考えていた。
「ロサオリエンティスが、私に似たらって言っていたけど……」
「それは、なんというか……」
微妙な顔をして、アデルが唸っている。言いたいことはわかる。自身も振り回されている一人なのだから、『大変』の一言につきるのだろう。
「それにしても、ロサオリエンティスって、ずっと昔の女王の名ではないのですか?ハニーローズ……の元となっているんでしたか?」
「そう。そっくりなのよね。アンジェラに。キラキラした銀髪にジョージア様そっくりのトロっとした蜂蜜のような瞳。アンジェラを授かったときに、初めて会ったのよね」
「……あった?」
昔の人ですよね?と困惑しながら、ロサオリエンティスのことを考えているようだ。
「夢の中でね?少し話をしたわ!ロサオリエンティスは、ジョージア様やアンジェラの血縁だけあって、とても似ているのよね!」
「……肖像画しか、みたことありませんけど、確かに素敵な方ですよね?王配の肖像画は、みたことがないんですけど……ありますか?」
「王配の手記に書いてあった。描いてもらったことが、ないんだって」
信じてくれているのか、どうかはわからないが、アデルは、私の話に頷いてくれる。アデルからすれば、ハニーローズであっても、私であっても、特に何か変わることはないそうだ。
「護衛は護衛です。傷ひとつつけることなく守りたい……常に考えておりますが、未だ、アンナにはかないませんからね」
肩を少しだけ竦め、これからも努力は続けますよ!と笑う。
「……アデル。今は、アンジェラのことを誰も感じていないけど、成長をすれば、いずれ、周りだけでなく、本人も人と違うということに気が付いてしまう。そんなとき、私たち家族はもちろんアンジェラの側にいるし、味方にもなるし、大切にするわ。ハニーローズとしてではなく、アンジェラとして。そのときにね?家族以外にも手を差し伸べてくれる人がほしいの。ウィルであったり、セバスであったりと考えてはいるんだけど……どう考えても、家族みたいなものだからね……私の友人たちは」
「確かに……ウィル様になんて、本当の親子かってくらい懐いていますよね?これ、いっていいのかはわかりませんが」
ジョージア様には内緒ね?クスクス笑いあっているうちに、目的地であるコットンの農場へとついたようだった。
「適正って言葉が、ないのよ。アンジェラには。なんでも、出来てしまう。それがあの子なの」
「生まれて、まだ3歳ですよね?それで、わかるのですか?」
「それには、少しだけ、私なりの考えというかがあるのよね……私はもちろん、得意不得意があるし、ジョージア様も見ての通り。二人とも万能ではないのだけど……」
「……ハニーローズは、私たちとは違うということですか?」
「……違うわ」
「どういう?」
「アンジェラが、特別なのだと思う。ハニーローズも万能ではないの。書物で確認したところってだけだから、全部を把握しているわけではないのだけどね」
王配の手記やその他、アンバー公爵家に代々受け継がれている日誌を思い浮かべていた。ハニーローズの能力は、原初の女王、ロサオリエンティスが言ったように、『過去見』ができる。
文献を読むより詳細に過去を知ることができるうえに、そのときの状況を把握でき、どういう対応がよかったのかの分析までをするのが、ハニーローズだ。
いわば、過去辞典のような存在。その辞典が、困っていることに対し、どういう対応をするのが正解なのかを『予知』でもしたかのような仮説をたてながら、これから起こるもしくは起こったことへの対処の話をする。
容姿も美しく、通る声、頭脳明晰な彼女たちは、公爵という地位まであった。耳を傾けない人物などいなかっただろう。
世界の救世主と言われているのは、厄災が起こったときの対処方法が、誰よりも早く、適格だったから。もたつけば、もたつくほど、国も領地も人も疲弊してしまう中、彼女たちだけが、過去を知り、未来を明るいものへと導いていく存在である。
奇跡に近いような対応が、みなの期待が集まった所以なのだろう。
ハニーローズだけでも、十分ビックリするような能力を手にし、使いこなせる。
アンジェラが、何故、特別だと私は感じたのか……。過去のハニーローズたちには、もたなかった能力を持っていると仮説をしていた。
ハニーローズたちは、『過去を視る』ことはできても、『未来を予見』することはできなかった。
一代限りの能力だと、私は自身の『予知夢』のことを考えていたが、そうではなかったらしいことを、薄々感じ始めていた。それが、今回、カイルたちを助けることに至ったことで、確信となった。
アンジェラは、私の能力である『予知夢』まで、手に入れている。ときおり、夜中に泣いて起きることも、昼寝後のご機嫌にも身に覚えがある。
なにより、私の『予知夢』の能力が、少しずつ衰えていることにも関係があるように考えていた。
「ロサオリエンティスが、私に似たらって言っていたけど……」
「それは、なんというか……」
微妙な顔をして、アデルが唸っている。言いたいことはわかる。自身も振り回されている一人なのだから、『大変』の一言につきるのだろう。
「それにしても、ロサオリエンティスって、ずっと昔の女王の名ではないのですか?ハニーローズ……の元となっているんでしたか?」
「そう。そっくりなのよね。アンジェラに。キラキラした銀髪にジョージア様そっくりのトロっとした蜂蜜のような瞳。アンジェラを授かったときに、初めて会ったのよね」
「……あった?」
昔の人ですよね?と困惑しながら、ロサオリエンティスのことを考えているようだ。
「夢の中でね?少し話をしたわ!ロサオリエンティスは、ジョージア様やアンジェラの血縁だけあって、とても似ているのよね!」
「……肖像画しか、みたことありませんけど、確かに素敵な方ですよね?王配の肖像画は、みたことがないんですけど……ありますか?」
「王配の手記に書いてあった。描いてもらったことが、ないんだって」
信じてくれているのか、どうかはわからないが、アデルは、私の話に頷いてくれる。アデルからすれば、ハニーローズであっても、私であっても、特に何か変わることはないそうだ。
「護衛は護衛です。傷ひとつつけることなく守りたい……常に考えておりますが、未だ、アンナにはかないませんからね」
肩を少しだけ竦め、これからも努力は続けますよ!と笑う。
「……アデル。今は、アンジェラのことを誰も感じていないけど、成長をすれば、いずれ、周りだけでなく、本人も人と違うということに気が付いてしまう。そんなとき、私たち家族はもちろんアンジェラの側にいるし、味方にもなるし、大切にするわ。ハニーローズとしてではなく、アンジェラとして。そのときにね?家族以外にも手を差し伸べてくれる人がほしいの。ウィルであったり、セバスであったりと考えてはいるんだけど……どう考えても、家族みたいなものだからね……私の友人たちは」
「確かに……ウィル様になんて、本当の親子かってくらい懐いていますよね?これ、いっていいのかはわかりませんが」
ジョージア様には内緒ね?クスクス笑いあっているうちに、目的地であるコットンの農場へとついたようだった。
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