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適性検査Ⅱ
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「マリアは、少し食事を気を付けて食べるようにしましょうか」
「どうして?」
「もう少し、体力をつけないと、見習いとはいえ、お仕事をこなすことはできないわ。あなたたちを部屋に案内した侍女はココナというのだけど、マリアが目指すのは……」
「ココナ様のようになればいいの?」
「そうね。ココナのようになんでもこなせる侍従になってほしいわ!公都に帰ったら、まずは、私の専属侍女であるデリアに話を聞くといいわ。出産後だから、侍女への復帰は、まだ先だけど、マリアが将来目指す場所がわかるはずだから」
「じゃあ、俺は?どうしたら?」
カイルも護衛にと言う話をしただけだったので、気になったようで、マリアの隣に並ぶ。
「そうね……カイルは、手本となる人物がたくさんいるわ。私の友人のウィル・サーラーもだし、一番近しいといえば、リリーかしら?筋もいいから、たくさんの人から学ぶといいわ!それに、とっておきの好敵手もいるから、一緒に成長していけるはず」
「好敵手?」
「そう。ウィルの子であるレオがあなたと同じように剣の道を歩んでいるの。年も同じくらいだから、きっと、いい練習相手になるわよ!」
「そいつ、強い?」
「えぇ、相当に。私が教えているからね!」
「じゃあ、俺もアンナ様に教えてもらいたい!」
領地に帰ったらね?と言うと、うんと頷く。カイルは、貪欲に学びたいという姿勢をとってくれるおかげで、他の三人の目つきも変わってくる。
「さて、マリアの続き。私が想定しているのは、アンジェラについてもらうメイド。侍女はすでにいるから、二人で協力しあってちょうだい。少し不愛想な子だけど、マリアほどの元気な子なら、きっと、すぐに打ち解けられると思うわ。先輩にあたるエマの指示をよくきいてね。そうね……体を見る限り、健康そのものだから、さっきも言ったように食事に気を付け、まずは、体力の底上げからね!カイルと同じくいい筋肉をしているから、少しずつナイフの使い方を覚えて。自身の護身もあるけど、本来は、アンジェラの護衛になると思っておいて。強くなれないと、側にはいられない、そう考えてちょうだい」
「……強く」
「そう。心も体も、ナイフを操る技術もしっかり身につけて。今は、守られている側でも、1年後には、守る側になっていないとダメだから」
「エマさんも、強いのですか?」
私が頷くとがんばります!とマリアが両の拳を握り、張り切った。あとで、エマを紹介しておくようディルに言えば、おもしろそうにしている。どうやら我が家のおてんば姫と寡黙な侍女に元気なメイドという組み合わせがを微笑ましく思ったようだ。
「あの、アンナ?」
「何かしら?」
「さっきの、やっぱりしてください!このままじゃ、レオ様にも負けそうで……」
「……もう、負けてると思うけど」
「えっ?」
「レオは、強いよ?無理のないようにとウィルが成長にあうように訓練を考えて、ほぼ付きっきりで教えているから」
「それにアンナ様も手を加えていらっしゃいますからね?」
「そうね。ウィルに言わせると、完成形だそうよ?目指すところは、ウィルの上ですもの。子どものころ、適当に剣を振り回していたウィルと違って、より実践的で、使い勝手のいい手合いの仕方とか教えているから、同い年の子とかだったら、もう勝てないし、アデルでも無理じゃないかな?」
「今度、対戦します!勝つので、どうか、近衛から引き抜きは辞めないでくださいね?」
「それは、公にも言ってあるから心配いらないわ」
焦るアデルに苦笑いするディル。大人たちのやり取りをぼんやり聞きながら、四人の子どもたちは何を思っているのだろう。
「じゃあ、アデル。こっちに来て」
そういうと、アデルが渋々こちらに来る。後ろを向てもらい、首から肩、腕、肩甲骨に背中、腰にお尻、太腿と脹脛、最後に足首を触る。前に行き胸元でおしまいだ。
「何かわかりますか?」
「うーん、そうね。やっぱり、全体的に筋肉のつき方がバラバラね。長年の癖みたいなもので歪んでいるのかもしれないけど……利き手のほうが、筋肉も発達しているわ。逆も明日から鍛えましょうか?」
「わかるんですか?」
「もちろん。つばぜり合いすると、こちら側だと、負けない?」
「……負けます。そんなことまで、わかるなんて」
「あと、このあたり、疲れが溜まっているみたいだから、少し休ませるほうがいいわ。訓練はがむしゃらにやればいいってものじゃないの。みんなも覚えておいて?」
「どうしてですか?」
「あまり、負荷をかけすぎると、いざというときに使い物にならなかったり、疲労骨折や筋肉を痛めることもあるの。体をゆっくり伸ばしたりしているのはそれでなんだけど……明日の朝の練習は、アデルの参加は認めないわ!この様子だと、あと数日はダメね!」
「できますけど?訓練」
「そういう油断が、体を壊すことになる。骨折や筋肉疲労は治るけど、くせになる場合もあるから、十分気を付けないといけないことよ?」
私の指摘を聞き、アデルはそんなこともあるのかと呟いている。がむしゃらに訓練していたようで、少しだけ、体を労わることを考えるように伝えた。何事も程々にしておかないと、本番で力がでないよ?と呟けば、ディルがおおいに頷いた。
「どうして?」
「もう少し、体力をつけないと、見習いとはいえ、お仕事をこなすことはできないわ。あなたたちを部屋に案内した侍女はココナというのだけど、マリアが目指すのは……」
「ココナ様のようになればいいの?」
「そうね。ココナのようになんでもこなせる侍従になってほしいわ!公都に帰ったら、まずは、私の専属侍女であるデリアに話を聞くといいわ。出産後だから、侍女への復帰は、まだ先だけど、マリアが将来目指す場所がわかるはずだから」
「じゃあ、俺は?どうしたら?」
カイルも護衛にと言う話をしただけだったので、気になったようで、マリアの隣に並ぶ。
「そうね……カイルは、手本となる人物がたくさんいるわ。私の友人のウィル・サーラーもだし、一番近しいといえば、リリーかしら?筋もいいから、たくさんの人から学ぶといいわ!それに、とっておきの好敵手もいるから、一緒に成長していけるはず」
「好敵手?」
「そう。ウィルの子であるレオがあなたと同じように剣の道を歩んでいるの。年も同じくらいだから、きっと、いい練習相手になるわよ!」
「そいつ、強い?」
「えぇ、相当に。私が教えているからね!」
「じゃあ、俺もアンナ様に教えてもらいたい!」
領地に帰ったらね?と言うと、うんと頷く。カイルは、貪欲に学びたいという姿勢をとってくれるおかげで、他の三人の目つきも変わってくる。
「さて、マリアの続き。私が想定しているのは、アンジェラについてもらうメイド。侍女はすでにいるから、二人で協力しあってちょうだい。少し不愛想な子だけど、マリアほどの元気な子なら、きっと、すぐに打ち解けられると思うわ。先輩にあたるエマの指示をよくきいてね。そうね……体を見る限り、健康そのものだから、さっきも言ったように食事に気を付け、まずは、体力の底上げからね!カイルと同じくいい筋肉をしているから、少しずつナイフの使い方を覚えて。自身の護身もあるけど、本来は、アンジェラの護衛になると思っておいて。強くなれないと、側にはいられない、そう考えてちょうだい」
「……強く」
「そう。心も体も、ナイフを操る技術もしっかり身につけて。今は、守られている側でも、1年後には、守る側になっていないとダメだから」
「エマさんも、強いのですか?」
私が頷くとがんばります!とマリアが両の拳を握り、張り切った。あとで、エマを紹介しておくようディルに言えば、おもしろそうにしている。どうやら我が家のおてんば姫と寡黙な侍女に元気なメイドという組み合わせがを微笑ましく思ったようだ。
「あの、アンナ?」
「何かしら?」
「さっきの、やっぱりしてください!このままじゃ、レオ様にも負けそうで……」
「……もう、負けてると思うけど」
「えっ?」
「レオは、強いよ?無理のないようにとウィルが成長にあうように訓練を考えて、ほぼ付きっきりで教えているから」
「それにアンナ様も手を加えていらっしゃいますからね?」
「そうね。ウィルに言わせると、完成形だそうよ?目指すところは、ウィルの上ですもの。子どものころ、適当に剣を振り回していたウィルと違って、より実践的で、使い勝手のいい手合いの仕方とか教えているから、同い年の子とかだったら、もう勝てないし、アデルでも無理じゃないかな?」
「今度、対戦します!勝つので、どうか、近衛から引き抜きは辞めないでくださいね?」
「それは、公にも言ってあるから心配いらないわ」
焦るアデルに苦笑いするディル。大人たちのやり取りをぼんやり聞きながら、四人の子どもたちは何を思っているのだろう。
「じゃあ、アデル。こっちに来て」
そういうと、アデルが渋々こちらに来る。後ろを向てもらい、首から肩、腕、肩甲骨に背中、腰にお尻、太腿と脹脛、最後に足首を触る。前に行き胸元でおしまいだ。
「何かわかりますか?」
「うーん、そうね。やっぱり、全体的に筋肉のつき方がバラバラね。長年の癖みたいなもので歪んでいるのかもしれないけど……利き手のほうが、筋肉も発達しているわ。逆も明日から鍛えましょうか?」
「わかるんですか?」
「もちろん。つばぜり合いすると、こちら側だと、負けない?」
「……負けます。そんなことまで、わかるなんて」
「あと、このあたり、疲れが溜まっているみたいだから、少し休ませるほうがいいわ。訓練はがむしゃらにやればいいってものじゃないの。みんなも覚えておいて?」
「どうしてですか?」
「あまり、負荷をかけすぎると、いざというときに使い物にならなかったり、疲労骨折や筋肉を痛めることもあるの。体をゆっくり伸ばしたりしているのはそれでなんだけど……明日の朝の練習は、アデルの参加は認めないわ!この様子だと、あと数日はダメね!」
「できますけど?訓練」
「そういう油断が、体を壊すことになる。骨折や筋肉疲労は治るけど、くせになる場合もあるから、十分気を付けないといけないことよ?」
私の指摘を聞き、アデルはそんなこともあるのかと呟いている。がむしゃらに訓練していたようで、少しだけ、体を労わることを考えるように伝えた。何事も程々にしておかないと、本番で力がでないよ?と呟けば、ディルがおおいに頷いた。
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