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襲撃Ⅱ
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「ちょ、ちょっと、アンナ」
「しぃーっだって。もっと、頭を低くして?」
アデルが私の服の裾を引っ張る。ところどころで、窓から様子をみながら、半周ほど教会の周りを回ったあと、裏口から入ることになった。
「アンナは、後ろをついてきてくれたほうが……」
「そんなこというけど、アデルに後ろから声も出さずに襲える自信ある?」
しばし考えているアデルを他所に、誰もいないと確認が取れた台所の扉を開け、警戒をしながらズンズンと進んでいく。慌てて追いかけてきたアデルではあるが、疑問に思ってことがあるらしい。困惑していると表情に出ていた。
台所の扉は引き戸だったため、こっそりと音が出ないよう引っ張る。廊下にひょこっと顔を出せば、ちょうど見張りの男が通り過ぎたあとだった。
私はそっと近寄り、手刀で意識を刈り取る。声が漏れないよう口を塞ぎ、音が出ないようにもたれかかるように倒す。
手早く昏倒させた男をアデルがみながら、小さくため息をもらした。
「……手際がよすぎます」
「アデル、縛ったあと、見えないように隠し得ておいて!」
ヒソヒソと話しながら、廊下の角で停まる。出くわしてしまい、声を出そうとした男を引き寄せ肩に顔面を打ち付け、その隙に短剣の柄で思いっきり腹を殴った。
倒れるところをアデルが抱きとめ、縛って猿ぐつわさせ、近くの部屋にほうり込む。
何回か同じような作業をしたころ、アデルも額に汗を光らせている。
……あと何人いるのかしら?
建物の中に入ってから、五人縛り上げた。どうやら、礼拝堂の方で大きな音が聞こえてくるので、子どもたちが戦っているのかもしれない。
最後に捕まえた男を脅して、何人いるのか聞いたところ、あと二人残っていると計算できる。
「残りは三人ね。今、礼拝堂では、男の子が交戦中。なかなか見込みあるじゃない。外のあの子もよかったのよね」
礼拝堂の前まで来たとき、ガラス窓から中の様子が見えた。先程の男の子とそれほど変わらないくらいの子が、モップで戦っている。後ろには、数えられないが、数人の子どもたちがいて、年かさの男の子がその子たちを守っているところだった。
「目がギラギラしてますよ?」
そうかしら?と可愛らしく小首を傾げてみたが、アデルは怖いものと目があったと言わんばかりに引きつった表情をしている。
呑気に子どもの品定めをしていたが、少々分が悪くなってきた男の子を助けるように、勝利の算段をつけ、アデルにニッと笑う。
「さて、行きましょうか」
「お一人では、危ないですよ!」
「それなら、アデルも一緒に行く?」
「いえ、アンナほど、強いわけでも記述もあるわけではないので、足手まといになります」「わかったわ。アデルは、しばらくここで待機しててね。男の人だと、子どもたちも怖いじゃない?今まさに襲撃されているのだし」
礼拝堂の中は、ベンチが脇に寄せられており、遮蔽物が何もなかった。抵抗したのだろう、ところどころにぬいぐるみや子どもたちが大事にしていたもの、箒や盥……手あたり次第のものが転がっている。
ハイヒールを脱ぎ捨て、屈んで音をたてないように扉を開き、足音を立てずにひっそりひっそりと、男たちとの距離を詰める。アデルが扉の向こうで顔面蒼白になっているだろうことを頭の隅で考えながら、心の中で焦るな焦るなと呟く。逸る気持ちを抑え、今まさに戦っている男の子に危害を加えようとする男のベルトに手をかけ足払いをした。急に素っ転んだ男を仲間が驚いて、こちらを見たが、その場で倒れ込んだ男と急に現れた私を見て、その男も何が起こったかわからない。倒れた男は脳震盪を起こしているのか、一向に起き上がらない。もう一人とも距離を縮めると、目が合った私が怖かったのか、後ずさりをするので、一気に立ち上がり、襟ぐりを持って足払いをし、二人目の男も床に倒した。
倒れた男の意識も飛ばしてやる。
息を整え前を見ると、男の子は、守っている女の子を絶対に離さないとぎゅっとだいている。その姿をみて微笑む。
「いい子ね。そのまま、その女の子を守りなさい」
男を床に倒した音で、最後の一人が礼拝堂の観音開きの扉を開く。目線が合い、状況を判断したのか、ナイフを取り出し構える。
「まだ、やる気なのね?」
返事はなく、残り一人になった男をとらえる。私の強い眼差しに一瞬ひるんだ隙を狙って走った勢いそのままに、上段を狙い蹴り倒した。その勢いで頭を打ったようで、そのまま意識が途切れた様だ。
「アデルー終わったわよ。出てきても大丈夫」
「わかりました!」
ドアからひょっこり顔を出すアデルに子どもはぎょっとしていた。その手には、たくさんの縄が現れたので、あの男たちの仲間なのでは?と警戒したようだった・
「あれは、私の部下だから、あなたたちに危害は加えないわ。心配しないで。それよりも、どこも怪我はしていない?大丈夫?」
遠慮なしに男の子と女の子を触って怪我の有無を確認する。どうやら、どこもなんともないようだったので、ホッと一息つけるのであった。
「しぃーっだって。もっと、頭を低くして?」
アデルが私の服の裾を引っ張る。ところどころで、窓から様子をみながら、半周ほど教会の周りを回ったあと、裏口から入ることになった。
「アンナは、後ろをついてきてくれたほうが……」
「そんなこというけど、アデルに後ろから声も出さずに襲える自信ある?」
しばし考えているアデルを他所に、誰もいないと確認が取れた台所の扉を開け、警戒をしながらズンズンと進んでいく。慌てて追いかけてきたアデルではあるが、疑問に思ってことがあるらしい。困惑していると表情に出ていた。
台所の扉は引き戸だったため、こっそりと音が出ないよう引っ張る。廊下にひょこっと顔を出せば、ちょうど見張りの男が通り過ぎたあとだった。
私はそっと近寄り、手刀で意識を刈り取る。声が漏れないよう口を塞ぎ、音が出ないようにもたれかかるように倒す。
手早く昏倒させた男をアデルがみながら、小さくため息をもらした。
「……手際がよすぎます」
「アデル、縛ったあと、見えないように隠し得ておいて!」
ヒソヒソと話しながら、廊下の角で停まる。出くわしてしまい、声を出そうとした男を引き寄せ肩に顔面を打ち付け、その隙に短剣の柄で思いっきり腹を殴った。
倒れるところをアデルが抱きとめ、縛って猿ぐつわさせ、近くの部屋にほうり込む。
何回か同じような作業をしたころ、アデルも額に汗を光らせている。
……あと何人いるのかしら?
建物の中に入ってから、五人縛り上げた。どうやら、礼拝堂の方で大きな音が聞こえてくるので、子どもたちが戦っているのかもしれない。
最後に捕まえた男を脅して、何人いるのか聞いたところ、あと二人残っていると計算できる。
「残りは三人ね。今、礼拝堂では、男の子が交戦中。なかなか見込みあるじゃない。外のあの子もよかったのよね」
礼拝堂の前まで来たとき、ガラス窓から中の様子が見えた。先程の男の子とそれほど変わらないくらいの子が、モップで戦っている。後ろには、数えられないが、数人の子どもたちがいて、年かさの男の子がその子たちを守っているところだった。
「目がギラギラしてますよ?」
そうかしら?と可愛らしく小首を傾げてみたが、アデルは怖いものと目があったと言わんばかりに引きつった表情をしている。
呑気に子どもの品定めをしていたが、少々分が悪くなってきた男の子を助けるように、勝利の算段をつけ、アデルにニッと笑う。
「さて、行きましょうか」
「お一人では、危ないですよ!」
「それなら、アデルも一緒に行く?」
「いえ、アンナほど、強いわけでも記述もあるわけではないので、足手まといになります」「わかったわ。アデルは、しばらくここで待機しててね。男の人だと、子どもたちも怖いじゃない?今まさに襲撃されているのだし」
礼拝堂の中は、ベンチが脇に寄せられており、遮蔽物が何もなかった。抵抗したのだろう、ところどころにぬいぐるみや子どもたちが大事にしていたもの、箒や盥……手あたり次第のものが転がっている。
ハイヒールを脱ぎ捨て、屈んで音をたてないように扉を開き、足音を立てずにひっそりひっそりと、男たちとの距離を詰める。アデルが扉の向こうで顔面蒼白になっているだろうことを頭の隅で考えながら、心の中で焦るな焦るなと呟く。逸る気持ちを抑え、今まさに戦っている男の子に危害を加えようとする男のベルトに手をかけ足払いをした。急に素っ転んだ男を仲間が驚いて、こちらを見たが、その場で倒れ込んだ男と急に現れた私を見て、その男も何が起こったかわからない。倒れた男は脳震盪を起こしているのか、一向に起き上がらない。もう一人とも距離を縮めると、目が合った私が怖かったのか、後ずさりをするので、一気に立ち上がり、襟ぐりを持って足払いをし、二人目の男も床に倒した。
倒れた男の意識も飛ばしてやる。
息を整え前を見ると、男の子は、守っている女の子を絶対に離さないとぎゅっとだいている。その姿をみて微笑む。
「いい子ね。そのまま、その女の子を守りなさい」
男を床に倒した音で、最後の一人が礼拝堂の観音開きの扉を開く。目線が合い、状況を判断したのか、ナイフを取り出し構える。
「まだ、やる気なのね?」
返事はなく、残り一人になった男をとらえる。私の強い眼差しに一瞬ひるんだ隙を狙って走った勢いそのままに、上段を狙い蹴り倒した。その勢いで頭を打ったようで、そのまま意識が途切れた様だ。
「アデルー終わったわよ。出てきても大丈夫」
「わかりました!」
ドアからひょっこり顔を出すアデルに子どもはぎょっとしていた。その手には、たくさんの縄が現れたので、あの男たちの仲間なのでは?と警戒したようだった・
「あれは、私の部下だから、あなたたちに危害は加えないわ。心配しないで。それよりも、どこも怪我はしていない?大丈夫?」
遠慮なしに男の子と女の子を触って怪我の有無を確認する。どうやら、どこもなんともないようだったので、ホッと一息つけるのであった。
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