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思うところ、あるよね?
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「いないな。どこを探しても、強くて逞しい上に綺麗で可愛い護衛なんて」
「いろいろついていますけど、狙った相手が悪かった。そうしか言いようがありません。確かに素人というか、知らない人間が手を回したんでしょうね?国の中枢や近衛の中では、アンナリーゼ様が強いことも知っているでしょうし。今回の件、少し聞いたところ、準男爵家の夫人だったそうですしね」
「私、準男爵を殺しちゃったってこと?」
「そういうことです。アンバー領から離れたところに小さな領地を賜っているらしいです。背後関係をあらいだして、とりあえず、お家断絶はまのがれませんね」
「後ろ盾って、やっぱり金なのかしら?」
迂闊なことは言えないのでと言葉を濁しながら、エリックは頷く。
「そっか……お家断絶」
「アンナリーゼ様、何か考えていますね?いけませんよ?アンナリーゼ様が動かれたら、こちらの面目もありますから」
「何も考えてないわよ、エリック。何故、準とは言え、貴族位を賜っている人物が、公爵家を狙ったのかしら?どうなるかくらいは、わかりそうなものよね?」
「脅された?」
「金に目がくらんだ?」
「裏の人間を雇ったが、アンバー公爵暗殺依頼だったから、断られた」
「確かに、アンナは規格外だからね。普通の人からしたら、おかしな話だよね。ナイフ投げただけで心臓一突き出来ちゃうほどの正確性があるなんて、誰も思わないだろう?」
「私、まだ、詳細を聞いていなかったのですが、ナイフ一突きですか?」
ヒーナが興味あるというふうにこちらを見てきた。セシリアもエリックも聞きたそうにしているが、私は、頭痛でそれどころではなかったのだ。
「あまり、はっきり覚えていないの」
「……覚えていない?アンナリーゼ様、それは、一体……?」
「あの日、アンナは頭痛が酷くてね。そういう類のことって全然なかったから。その日のことなら、俺が知っていることを話すよ」
「ジョージア様、よろしいのですか?」
「あぁ、かまわないよ。狙われたのは、アンナじゃなくて、俺だったわけだし」
「ジョージア様が狙われたのは、先程の件で?」
「そう。たぶん、アンナが領主だってことを知らないんじゃないかな?最近準男爵になったのなら、貴族のことなんて知らないことの方が多いだろ?後ろ盾になってくれる貴族くらいのものじゃないのかな、知っているのって。俺も、細かくは知らないくらいだからね」
「……確かに。公の後ろについているので、ある程度把握はしていますが、そうでなければ、わかりませんね。しかも、アンバー公爵は、ここ数年で入れ替わりが激しいので……他国からきたアンナリーゼ様が筆頭公爵だってこと、平民なら知らないと思います。昔から、アンバー公爵は、その瞳の持ち主だってことで、認識していますから」
「どれだけ私が異質かわかった気がするわ……」
はぁ……とため息をつく。
「自覚があるなら、少し控えられたらどうですか?」
「エリックに言われなくても、そうしたいと思っているのよ?思っているのに……」
「公に呼び出される……ですか?」
「公のお気に入りだからね。なんせ、離婚もしていないアンナリーゼに子どもごと受入れるから嫁にこいといった人だからね。本当に見境なしだ」
「……誰が、見境なしだって?ジョージア」
後ろを振り向けば、公が珍しく仁王立ちして、怖い顔をしていた。
「公、お越しだったんですね?あれ?私たちが入ってきた扉とは違うんですね?」
「隠し扉があるんだ。この部屋にしたのは、それでだが、なんとも……嘆かわしい!」
「事実を言ったまでですけど、何が嘆かわしいのか。アンナを何度口説いたんですか?」
「何度って、俺のところにくるまで口説こうとしたが?」
「……あの、その話は後でよろしいでしょうか?調書をとりたいのですが……」
困り果てたセシリアが、今にもため息をつきたいと顔に書いてあった。
「苦労をかけるわね?」
「いえ、とんでもございません。アンナリーゼ様のためなら、私は」
「ここにもいた!アンナ信奉者!」
「なんです?そのアンナ信奉者って」
「アンナのことを好きな人たちを密かにそう呼んでるんだ。教祖はナタリーかデリアあたりで……」
「……なんだか、変な宗教を作ってしまいそうで、怖いので内緒でお願いします!」
「喜んで献金します!今月の給料、全部でもよかったですか?たります?」
「……エリック、悪ノリしないでくれるかしら?」
「アンナリーゼ様とこんなふざけた話ができる機会が少なすぎて……役職をいただけたのはいいですけど、やっぱり、アンナリーゼ様の側でいたいです」
「おいおい、エリック。そんな困ったことは言うな!公より、一公爵を選ぶというのか?」
「えぇ、そうですけど?そうは思わないか?パルマ」
「それは、もちろんです。アンナリーゼ様の元へ早く帰りたいです!」
「思ったより、多いぞ?アンナ信奉者が。ジョージア」
「公が知らないだけで、他にもいると思いますよ。ほら、セシリアさんもうずうずしていることですし、確か、アンバー領に来ている近衛の半分くらいは、アンナの信奉者です」
「はぁあ?なんだって?そんなやつらが、アンバー領へ行っているのか?お……俺は、知らなかったぞ?」
「でしょうね。領地視察に出たときに、初めて知りましたからね」
遅れて入ってきた宰相は、公が嘆き、ジョージアが遠い目をし、他の近衛たちが熱い視線を私に集めている状況を見て、大きくため息をついた。
「いろいろついていますけど、狙った相手が悪かった。そうしか言いようがありません。確かに素人というか、知らない人間が手を回したんでしょうね?国の中枢や近衛の中では、アンナリーゼ様が強いことも知っているでしょうし。今回の件、少し聞いたところ、準男爵家の夫人だったそうですしね」
「私、準男爵を殺しちゃったってこと?」
「そういうことです。アンバー領から離れたところに小さな領地を賜っているらしいです。背後関係をあらいだして、とりあえず、お家断絶はまのがれませんね」
「後ろ盾って、やっぱり金なのかしら?」
迂闊なことは言えないのでと言葉を濁しながら、エリックは頷く。
「そっか……お家断絶」
「アンナリーゼ様、何か考えていますね?いけませんよ?アンナリーゼ様が動かれたら、こちらの面目もありますから」
「何も考えてないわよ、エリック。何故、準とは言え、貴族位を賜っている人物が、公爵家を狙ったのかしら?どうなるかくらいは、わかりそうなものよね?」
「脅された?」
「金に目がくらんだ?」
「裏の人間を雇ったが、アンバー公爵暗殺依頼だったから、断られた」
「確かに、アンナは規格外だからね。普通の人からしたら、おかしな話だよね。ナイフ投げただけで心臓一突き出来ちゃうほどの正確性があるなんて、誰も思わないだろう?」
「私、まだ、詳細を聞いていなかったのですが、ナイフ一突きですか?」
ヒーナが興味あるというふうにこちらを見てきた。セシリアもエリックも聞きたそうにしているが、私は、頭痛でそれどころではなかったのだ。
「あまり、はっきり覚えていないの」
「……覚えていない?アンナリーゼ様、それは、一体……?」
「あの日、アンナは頭痛が酷くてね。そういう類のことって全然なかったから。その日のことなら、俺が知っていることを話すよ」
「ジョージア様、よろしいのですか?」
「あぁ、かまわないよ。狙われたのは、アンナじゃなくて、俺だったわけだし」
「ジョージア様が狙われたのは、先程の件で?」
「そう。たぶん、アンナが領主だってことを知らないんじゃないかな?最近準男爵になったのなら、貴族のことなんて知らないことの方が多いだろ?後ろ盾になってくれる貴族くらいのものじゃないのかな、知っているのって。俺も、細かくは知らないくらいだからね」
「……確かに。公の後ろについているので、ある程度把握はしていますが、そうでなければ、わかりませんね。しかも、アンバー公爵は、ここ数年で入れ替わりが激しいので……他国からきたアンナリーゼ様が筆頭公爵だってこと、平民なら知らないと思います。昔から、アンバー公爵は、その瞳の持ち主だってことで、認識していますから」
「どれだけ私が異質かわかった気がするわ……」
はぁ……とため息をつく。
「自覚があるなら、少し控えられたらどうですか?」
「エリックに言われなくても、そうしたいと思っているのよ?思っているのに……」
「公に呼び出される……ですか?」
「公のお気に入りだからね。なんせ、離婚もしていないアンナリーゼに子どもごと受入れるから嫁にこいといった人だからね。本当に見境なしだ」
「……誰が、見境なしだって?ジョージア」
後ろを振り向けば、公が珍しく仁王立ちして、怖い顔をしていた。
「公、お越しだったんですね?あれ?私たちが入ってきた扉とは違うんですね?」
「隠し扉があるんだ。この部屋にしたのは、それでだが、なんとも……嘆かわしい!」
「事実を言ったまでですけど、何が嘆かわしいのか。アンナを何度口説いたんですか?」
「何度って、俺のところにくるまで口説こうとしたが?」
「……あの、その話は後でよろしいでしょうか?調書をとりたいのですが……」
困り果てたセシリアが、今にもため息をつきたいと顔に書いてあった。
「苦労をかけるわね?」
「いえ、とんでもございません。アンナリーゼ様のためなら、私は」
「ここにもいた!アンナ信奉者!」
「なんです?そのアンナ信奉者って」
「アンナのことを好きな人たちを密かにそう呼んでるんだ。教祖はナタリーかデリアあたりで……」
「……なんだか、変な宗教を作ってしまいそうで、怖いので内緒でお願いします!」
「喜んで献金します!今月の給料、全部でもよかったですか?たります?」
「……エリック、悪ノリしないでくれるかしら?」
「アンナリーゼ様とこんなふざけた話ができる機会が少なすぎて……役職をいただけたのはいいですけど、やっぱり、アンナリーゼ様の側でいたいです」
「おいおい、エリック。そんな困ったことは言うな!公より、一公爵を選ぶというのか?」
「えぇ、そうですけど?そうは思わないか?パルマ」
「それは、もちろんです。アンナリーゼ様の元へ早く帰りたいです!」
「思ったより、多いぞ?アンナ信奉者が。ジョージア」
「公が知らないだけで、他にもいると思いますよ。ほら、セシリアさんもうずうずしていることですし、確か、アンバー領に来ている近衛の半分くらいは、アンナの信奉者です」
「はぁあ?なんだって?そんなやつらが、アンバー領へ行っているのか?お……俺は、知らなかったぞ?」
「でしょうね。領地視察に出たときに、初めて知りましたからね」
遅れて入ってきた宰相は、公が嘆き、ジョージアが遠い目をし、他の近衛たちが熱い視線を私に集めている状況を見て、大きくため息をついた。
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