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アンナがいると事件だらけだ
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「何事!」
「公をお守りしろ!」
近衛たちが公の近くに寄って行く。エリックが1番近くに控えていて、周りを確認していた。
「アンナリーゼ様、ご無事ですか?」
「えぇ、ヒーナ。あなたもよく駆けつけてくれたわ!」
「旦那様を守るよう言われていましたので……まさか、アンナリーゼ様に先を越されるとは思ってもみませんでしたが」
「暗殺は得意じゃないけど……正面からなら……」
ジョージアを襲おうとした女性は、私が割って入ることを想定していなかったのか、驚きで目を見開いていた。
「アンナリーゼ様、ケガはありませんか?」
「大丈夫。パルマ、公の元へ行って来てちょうだい」
「わかりました。では……」
駆け寄って来てくれたパルマは、公の元へと急いで向かう。会場に集まっていた貴族たちも何事かと騒ぎを聞きつけ集まってきた。
「アンナがいると事件だらけだね?」
「……ジョージア様。今回、狙われたのは、私ではなくジョージア様ですよ?」
暢気なことを言っているジョージアに少しきつくいうと、すまないと返ってくる。謝ってほしいわけではないし、気を付けてといってもジョージアでは対処しきれないだろう。ウィルがいてくれれば、こんな自体も早急に片付くが、まずは、公が最優先されるので、私は、女性を締めたままで、いないといけない。
「アンナリーゼ様!」
「セシリア!」
「ご無事でしたか?」
「えぇ、このとおり、何もないわ!」
「それは、何よりです。そちらの女性の身柄は私たちが預からせていただきます。調書を取りますので、ご協力を願えるでしょうか?」
「もちろん!ジョージア様も一緒にいいかしら?」
はいと返事をくれるセシリア。中隊長である彼女の指示で、女性の身柄は近衛へと渡した。
「このクソ公爵!私の夫を殺しておいて!」
首元から簪を遠ざけたことで、やっと、口を開いた。睨まれても怖くない。私は、私の大事なジョージアを守っただけである。
「……クソ公爵か。本当に、そうだよね。俺なんて……」
自嘲気味に塞ぐジョージアの手をとり握る。するとこちら見つめ返してきた。
「ジョージア様は、とても立派ですよ!」
「それは、アンナが甘やかしてくれているから……俺の力で何かを成し遂げたことなんて……」
「それなら、私も一緒です。私の力で成し遂げたことなんて、ジョージア様との政略結婚をできるように前公を可愛く脅してお願いしたことくらいですから!」
「そんなこと……」
「それより、行きましょう。セシリアが事情聴取をしたいと言っているので。それが終わったら、帰りましょう!公には挨拶もしましたし、刃物を持ち出した夜会は、きっと中止ですから」
「……アンナ」
「ほら、みてください。公なんて、近衛に守られて見えないですよ!それに帯剣を許されているのは近衛だけなはずなのに、忌々しき事態ですからね。この後も夜会を続けるとか、正直無理なんです。いきましょう。きっと、公にも呼び出されるのですから、先に近衛の方を終わらせましょう!」
私は何事もなかったかのようにジョージアにエスコートをされ、待っていてくれたセシリアの後ろについて行く。大広間から少し離れた応接間へ通され、私たちは椅子へ座った。
すぐにお茶が用意され、悠々と飲んでいると、エリックが部屋に飛び込んできた。
「アンナリーゼ様!無事ですか?どこも何もないですか?さっきのあれ、刃物とかではあいですよね?」
「これのこと?」
ずっと握っていた簪を机の上におくと、これはなんです?と興味を示した。
「これは簪って言って、東の国の髪飾りなの」
「髪飾り?それにしてはすごく重いような……」
「夜会で何かあったとき、刃物って出せないでしょ?だから、ニコライに言って、特注で作ってもらったの!アメジストならたくさん仕入れることができたから!それに、これ……シャラシャラ鳴っていいでしょ?東の国に咲く藤の花っていうのを元につくられているのよ」
宝飾職人であるティアに作ってもらった一品を自慢するようにエリックに説明すると、すごいですね?と感心しながら見ている。
「これで、ナイフなんかも受けちゃうんですから……驚きです」
「うーん、今回の女性、素人だし……力もなかったから、訓練されている人ではないかな?」
「そうだったんですか?」
「そう」
「……あの、それで、心当たりってあるんですか?狙われるような」
「……四六時中狙われている身としては、誰がとかわからないけど、今回はジョージア様を狙ったものだと思うわ!」
「それはどうして?」
「領地で狙われたのよ。真夜中に刺客が入ってきてね」
「それで?どうしたんですか?その刺客」
「……私が、やっちゃった。処理はアデルに任せてある。一応、領主を狙った犯行でってことにしてあるけど……アンバー公爵をどうしてか、ジョージア様だと思っていたようで」
「普通は、男性の領主ですからね。間違ったんでしょう。それにしても、そんな素人もいるものですね?ジョージア様を狙うだなんて……自ら死にに行くようなものじゃないですか?」
「どういうことだい?エリック」
「そうでしょ?ジョージア様。ジョージア様にはこの国で1番の強者が護衛をしているんですよ?」
「……まさか、アンナのことかい?」
「他にいますか?」
エリックに言われ、私を見るジョージア。
どうかしましたか?と首を傾げると、優しく微笑んだ。
「公をお守りしろ!」
近衛たちが公の近くに寄って行く。エリックが1番近くに控えていて、周りを確認していた。
「アンナリーゼ様、ご無事ですか?」
「えぇ、ヒーナ。あなたもよく駆けつけてくれたわ!」
「旦那様を守るよう言われていましたので……まさか、アンナリーゼ様に先を越されるとは思ってもみませんでしたが」
「暗殺は得意じゃないけど……正面からなら……」
ジョージアを襲おうとした女性は、私が割って入ることを想定していなかったのか、驚きで目を見開いていた。
「アンナリーゼ様、ケガはありませんか?」
「大丈夫。パルマ、公の元へ行って来てちょうだい」
「わかりました。では……」
駆け寄って来てくれたパルマは、公の元へと急いで向かう。会場に集まっていた貴族たちも何事かと騒ぎを聞きつけ集まってきた。
「アンナがいると事件だらけだね?」
「……ジョージア様。今回、狙われたのは、私ではなくジョージア様ですよ?」
暢気なことを言っているジョージアに少しきつくいうと、すまないと返ってくる。謝ってほしいわけではないし、気を付けてといってもジョージアでは対処しきれないだろう。ウィルがいてくれれば、こんな自体も早急に片付くが、まずは、公が最優先されるので、私は、女性を締めたままで、いないといけない。
「アンナリーゼ様!」
「セシリア!」
「ご無事でしたか?」
「えぇ、このとおり、何もないわ!」
「それは、何よりです。そちらの女性の身柄は私たちが預からせていただきます。調書を取りますので、ご協力を願えるでしょうか?」
「もちろん!ジョージア様も一緒にいいかしら?」
はいと返事をくれるセシリア。中隊長である彼女の指示で、女性の身柄は近衛へと渡した。
「このクソ公爵!私の夫を殺しておいて!」
首元から簪を遠ざけたことで、やっと、口を開いた。睨まれても怖くない。私は、私の大事なジョージアを守っただけである。
「……クソ公爵か。本当に、そうだよね。俺なんて……」
自嘲気味に塞ぐジョージアの手をとり握る。するとこちら見つめ返してきた。
「ジョージア様は、とても立派ですよ!」
「それは、アンナが甘やかしてくれているから……俺の力で何かを成し遂げたことなんて……」
「それなら、私も一緒です。私の力で成し遂げたことなんて、ジョージア様との政略結婚をできるように前公を可愛く脅してお願いしたことくらいですから!」
「そんなこと……」
「それより、行きましょう。セシリアが事情聴取をしたいと言っているので。それが終わったら、帰りましょう!公には挨拶もしましたし、刃物を持ち出した夜会は、きっと中止ですから」
「……アンナ」
「ほら、みてください。公なんて、近衛に守られて見えないですよ!それに帯剣を許されているのは近衛だけなはずなのに、忌々しき事態ですからね。この後も夜会を続けるとか、正直無理なんです。いきましょう。きっと、公にも呼び出されるのですから、先に近衛の方を終わらせましょう!」
私は何事もなかったかのようにジョージアにエスコートをされ、待っていてくれたセシリアの後ろについて行く。大広間から少し離れた応接間へ通され、私たちは椅子へ座った。
すぐにお茶が用意され、悠々と飲んでいると、エリックが部屋に飛び込んできた。
「アンナリーゼ様!無事ですか?どこも何もないですか?さっきのあれ、刃物とかではあいですよね?」
「これのこと?」
ずっと握っていた簪を机の上におくと、これはなんです?と興味を示した。
「これは簪って言って、東の国の髪飾りなの」
「髪飾り?それにしてはすごく重いような……」
「夜会で何かあったとき、刃物って出せないでしょ?だから、ニコライに言って、特注で作ってもらったの!アメジストならたくさん仕入れることができたから!それに、これ……シャラシャラ鳴っていいでしょ?東の国に咲く藤の花っていうのを元につくられているのよ」
宝飾職人であるティアに作ってもらった一品を自慢するようにエリックに説明すると、すごいですね?と感心しながら見ている。
「これで、ナイフなんかも受けちゃうんですから……驚きです」
「うーん、今回の女性、素人だし……力もなかったから、訓練されている人ではないかな?」
「そうだったんですか?」
「そう」
「……あの、それで、心当たりってあるんですか?狙われるような」
「……四六時中狙われている身としては、誰がとかわからないけど、今回はジョージア様を狙ったものだと思うわ!」
「それはどうして?」
「領地で狙われたのよ。真夜中に刺客が入ってきてね」
「それで?どうしたんですか?その刺客」
「……私が、やっちゃった。処理はアデルに任せてある。一応、領主を狙った犯行でってことにしてあるけど……アンバー公爵をどうしてか、ジョージア様だと思っていたようで」
「普通は、男性の領主ですからね。間違ったんでしょう。それにしても、そんな素人もいるものですね?ジョージア様を狙うだなんて……自ら死にに行くようなものじゃないですか?」
「どういうことだい?エリック」
「そうでしょ?ジョージア様。ジョージア様にはこの国で1番の強者が護衛をしているんですよ?」
「……まさか、アンナのことかい?」
「他にいますか?」
エリックに言われ、私を見るジョージア。
どうかしましたか?と首を傾げると、優しく微笑んだ。
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