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帰宅
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葡萄畑を見て回り、育ち具合を確認しながら、下山した。手には葡萄を持って、みんなお土産にご満悦だ。
「このぶんだと、いいお酒の材料になりそうね?」
「えぇ、いい酒の材料にはなると思います」
「材料になるだけなのか?」
「お酒は造ってみないと出来の良し悪しはわかりませんからね。寝かせる段階でどうなるかわからないとサムのじいさんが言ってましたよ。口に入るまでどんな酒に成長するかはわからないらしいです」
「なるほど。昨日の葡萄酒は、口当たりもよく本当に美味かった。あぁいうものにまた巡り合えるのは、なかなかないということか?」
「……詳しくはわかりませんが、同じ品種の葡萄を使って、同じような樽で発酵させ、同じように寝かしても微妙に違うらしいです。葡萄からして、全く同じものを使っているわけではありませんからね。違っていて当然だと思います。それをより均一な味に整えるのがサムのじいさんの役目ですから」
「なるほどね!サムに今年の出荷分、楽しみにしているって伝えておいてくれる?」
「寄って行かないので?」
「えぇ、今日は、無理そうよ。体調の悪いジョージア様を屋敷まで連れ帰らないといけないし、何より子どもたちが待っているから」
「あぁ、そういえば、アンジェラ様のお誕生日が、迫ってきていますね!今年も楽しみにしているんですよ!アンナリーゼ様のお子ですからさぞかし可愛らしいのでしょうね?もう3歳になるんですよね?」
ほうっと義父は農夫がアンジェラのことを話すので、説明を求めてきた。
「アンバーの領地に私が入った年、領地清掃やらいろいろなことで手を貸してくれた領民たちとアンジェラの誕生日会をしたのです。それが春の行事として去年もしまして、今年も企画されています。もちろん病が流行っているので、他領からの受入れはするつもりがありませんが、領地内だけならと今年も計画をたてています」
「なるほど、そういうことか。アンの誕生日はいっぱいお祝いしてくれるのって話をしていたから、何のことだかわからなくて、アンナリーゼやジョージア、侍従たちが祝ってくれるのかと思っていた」
「そうじゃないんです。領地全体で、お祭り騒ぎになるので……アンジェラも幼いながらにぼんやりと覚えてくれていたのですね」
「……そうすると、誕生日には、日がないが……何をするんだ?」
「今年も屋敷前には、屋台が並ぶと思いますよ!今年は私もバタバタとしていたので、ほとんど任せてあるんです!楽しみですね!」
「じゃあ、領地のみなが屋敷の周りに集まるのかい?」
「違いますよ!それぞれの街でするので、屋敷周辺は町や村の代表来てくれると思います。商人にとっても農家にとっても私たちにとっても稼ぎどきなので、気合が入っていると思います」
「領民たちの一部が稼ぎどきなのはわかるけど……」
首を傾げ、何だったかな?と考え込んでいた。そうこうしているうちにユービスの屋敷につき、ジョージアも合流し、屋敷へ帰る準備をした。
「アンナ、それは?」
「アンジェラたちへのお土産ですよ!食べますか?」
お土産にもらった葡萄をひとつちぎって渡すと、ジョージアは口に含んでいた。どうも二日酔いは治ったようで、今はケロッとしている。
「おいしいな。この葡萄。葡萄酒の農園に行ってきたんでしょ?これもとか言わないよね?」
「これもですよ!幻の葡萄が復活したらしいです!ヨハン様様ですよ!」
「なるほど、酒にしてしまうのはもったいない気がするな」
「普通に食べてもおいしいですからね。でも、葡萄酒の需要があるので、そちらを疎かにするわけにもいきませんから」
「……確かに。すごく売れているからね」
「でも、今年は難しいかもしれませんね。病がどこまで落ち着くのかって課題次第です」
なるほどねと呟くジョージアとは別に、義父が何か思いついたらしい。
「さっきの、領民だけでなく他にもうまみがあるって話だけど……どこにあるのかサッパリわからない」
「ふふっ、お義父様、簡単ですわ」
「簡単?」
「私たち領主です。場所代として売り上げのいくばくかをいただいているのです。領主の屋敷前だけでなく他の場所でも」
「……反発はでないのかい?」
「特には出てないです。みんなそれなりに儲かって帰りますし、何より誕生日祝いにと、みながおいていってくれますよ!」
「うまくやっているんだね?そんなこと、思いもつかなかったよ」
「毎回金策に走っているので、領地の改善にとお願いしているところです。もっとも、みながアンジェラの誕生日祝いにと言ってくれるんですけど……アンジェラも住むかもしれない屋敷の回収にお金を使わせてもらっています」
おもしろいことを考えるなと感心している義父にニコリと微笑んだ。
話をしながら屋敷まで道のりは、あっというまで、日が暮れるのと同じくらいに着いた。私たちが帰ってきたのを窓からかみたのか、うちのお嬢さん方が迎えてくれる。義父は幼いアンジェラやジョージの出迎えにとても嬉しそうに顔を綻ばせた。
「このぶんだと、いいお酒の材料になりそうね?」
「えぇ、いい酒の材料にはなると思います」
「材料になるだけなのか?」
「お酒は造ってみないと出来の良し悪しはわかりませんからね。寝かせる段階でどうなるかわからないとサムのじいさんが言ってましたよ。口に入るまでどんな酒に成長するかはわからないらしいです」
「なるほど。昨日の葡萄酒は、口当たりもよく本当に美味かった。あぁいうものにまた巡り合えるのは、なかなかないということか?」
「……詳しくはわかりませんが、同じ品種の葡萄を使って、同じような樽で発酵させ、同じように寝かしても微妙に違うらしいです。葡萄からして、全く同じものを使っているわけではありませんからね。違っていて当然だと思います。それをより均一な味に整えるのがサムのじいさんの役目ですから」
「なるほどね!サムに今年の出荷分、楽しみにしているって伝えておいてくれる?」
「寄って行かないので?」
「えぇ、今日は、無理そうよ。体調の悪いジョージア様を屋敷まで連れ帰らないといけないし、何より子どもたちが待っているから」
「あぁ、そういえば、アンジェラ様のお誕生日が、迫ってきていますね!今年も楽しみにしているんですよ!アンナリーゼ様のお子ですからさぞかし可愛らしいのでしょうね?もう3歳になるんですよね?」
ほうっと義父は農夫がアンジェラのことを話すので、説明を求めてきた。
「アンバーの領地に私が入った年、領地清掃やらいろいろなことで手を貸してくれた領民たちとアンジェラの誕生日会をしたのです。それが春の行事として去年もしまして、今年も企画されています。もちろん病が流行っているので、他領からの受入れはするつもりがありませんが、領地内だけならと今年も計画をたてています」
「なるほど、そういうことか。アンの誕生日はいっぱいお祝いしてくれるのって話をしていたから、何のことだかわからなくて、アンナリーゼやジョージア、侍従たちが祝ってくれるのかと思っていた」
「そうじゃないんです。領地全体で、お祭り騒ぎになるので……アンジェラも幼いながらにぼんやりと覚えてくれていたのですね」
「……そうすると、誕生日には、日がないが……何をするんだ?」
「今年も屋敷前には、屋台が並ぶと思いますよ!今年は私もバタバタとしていたので、ほとんど任せてあるんです!楽しみですね!」
「じゃあ、領地のみなが屋敷の周りに集まるのかい?」
「違いますよ!それぞれの街でするので、屋敷周辺は町や村の代表来てくれると思います。商人にとっても農家にとっても私たちにとっても稼ぎどきなので、気合が入っていると思います」
「領民たちの一部が稼ぎどきなのはわかるけど……」
首を傾げ、何だったかな?と考え込んでいた。そうこうしているうちにユービスの屋敷につき、ジョージアも合流し、屋敷へ帰る準備をした。
「アンナ、それは?」
「アンジェラたちへのお土産ですよ!食べますか?」
お土産にもらった葡萄をひとつちぎって渡すと、ジョージアは口に含んでいた。どうも二日酔いは治ったようで、今はケロッとしている。
「おいしいな。この葡萄。葡萄酒の農園に行ってきたんでしょ?これもとか言わないよね?」
「これもですよ!幻の葡萄が復活したらしいです!ヨハン様様ですよ!」
「なるほど、酒にしてしまうのはもったいない気がするな」
「普通に食べてもおいしいですからね。でも、葡萄酒の需要があるので、そちらを疎かにするわけにもいきませんから」
「……確かに。すごく売れているからね」
「でも、今年は難しいかもしれませんね。病がどこまで落ち着くのかって課題次第です」
なるほどねと呟くジョージアとは別に、義父が何か思いついたらしい。
「さっきの、領民だけでなく他にもうまみがあるって話だけど……どこにあるのかサッパリわからない」
「ふふっ、お義父様、簡単ですわ」
「簡単?」
「私たち領主です。場所代として売り上げのいくばくかをいただいているのです。領主の屋敷前だけでなく他の場所でも」
「……反発はでないのかい?」
「特には出てないです。みんなそれなりに儲かって帰りますし、何より誕生日祝いにと、みながおいていってくれますよ!」
「うまくやっているんだね?そんなこと、思いもつかなかったよ」
「毎回金策に走っているので、領地の改善にとお願いしているところです。もっとも、みながアンジェラの誕生日祝いにと言ってくれるんですけど……アンジェラも住むかもしれない屋敷の回収にお金を使わせてもらっています」
おもしろいことを考えるなと感心している義父にニコリと微笑んだ。
話をしながら屋敷まで道のりは、あっというまで、日が暮れるのと同じくらいに着いた。私たちが帰ってきたのを窓からかみたのか、うちのお嬢さん方が迎えてくれる。義父は幼いアンジェラやジョージの出迎えにとても嬉しそうに顔を綻ばせた。
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