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もしも
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もたれかかっているジョージアはとても温かい。ほっとしていると、うつらうつらとしてしまったようだった。
「……ん」
「起きた?アンナは、休みなく動き回っているからね……少し、休憩が必要だと思うよ?」
「本当ですね……何かと忙しくていけませんね。領地にいる間はゆっくりしているつもりなのですが、ついつい出かけてしまいたくなるし、子どもたちにも変わっていくアンバー領をたくさん見せてあげたいと思うんですよね!」
「それは、きっと、未来を生きていく子どもたちには必要なことだと思うけど……アンナだけが担うものではないだろ?もちろん、俺も……」
「ありがとうございます」
微笑めば、優しい顔をしてくれる。頼りないとみなに言われているジョージアも今まで以上に頑張ってくれている。それをわかっているので、ただ微笑むだけでよかった。
「ジョージア様はあったかいですね?」
「春が近いとはいっても、まだ寒いからね。こうして、アンナを腕の中に閉じ込めておける時間は少ないから、貴重な時間だよ。ずっと、こうして囚われていてくれればいいのにといつも思うけど、そう思ったときには、アンナはいつもどこかに行ってしまう。俺をおいてね?」
「おいてなど……いつも側にいますよ。例え離れていても、心はずっとジョージア様の側にいます」
「それを聞けば、安心かな?」
「……聞かなくても、私はジョージア様の側で咲く花ですから……」
抱きしめられている腕がきつくなる。その腕に手を添わせると首元にすり寄ってきた。まるで大きな犬のようである。
ふふっと笑うと、耳元で囁く。
「髪がくすぐったいですよ?」
「そんなつもりはないのだけど……」
私にとって、この時間は必要な時間だと思う。一人、領地のためにと走り回っている毎日だとみなは思っているだろうが、私はそうは思っていない。未来の女王であるアンジェラに示したいと考えてはいても、違う未来が手に入ったのだから、自身の恋もちゃんと楽しみたいと思っていた。
恋だなんて……子どもっぽいかしら?もう、私の旦那様なのだから。
そう思いながら、ジョージアの頬に手を添わせると、すり寄ってきてくれた。
「ジョージア様は、私の恋をどう考えてますか?」
「いきなり、アンナの恋ときたか。初恋は、間違いなくサンストーン家のヘンリー殿だよね?」
「ふふっ、みんなそういいますね?」
「違うのかい?」
「うーん、どうでしょう……秘密ですけど、お兄様な気がします」
「サシャ?でも、兄だろ?」
「理屈じゃないんですよ。恋なんて。いつも守ってくれる優しいお兄様は、私にとっての王子様でした」
「なるほど、それで、二人は両想いなわけだ?」
「どうですかね?」
クスクスと笑うと、ジョージアも笑っている。
「でそれじゃあ、ヘンリー殿は2番目かな?」
「そうですね……ハリーは、そうですね!本当の意味で、私の王子様は、後に先にもハリー以外いないと思います。心から私だけを愛してくれた人」
「ここにもいるんだけど……?」
「ソフィアと結婚していた人が?」
「それをいうなら、イリア夫人と結婚したよね?その王子様は」
「確かに……」
「どっちも浮気者?」
「兄も含め三人ともです!」
むぅっと膨れると、笑っているのかジョージアが震えている。
「俺は、三人目ってことか。昔の恋にどうこういうつもりはないけど、アンナの心は今もここじゃないところにあるのかな?」
「ジョージア様、初めて会ったとき覚えていますか?」
「もちろん!幼いアンナは、今と変わらず好奇心の塊だったよね。アメジストの瞳を輝かせて!」
「そうですよね。私、ジョージア様のこと、昔から知っていたので、どんな人か気になっていたんです」
「『予知夢』で?」
「えぇ、そうです。最近思うんですけど」
「何?」
「私、『予知夢』で知っていたジョージア様が初恋なんじゃないかって」
「それはどうして?俺との未来の夢を見たのは、ずっと大きくなってからなんだろ?」
「……記憶に残っていない夢と言えばいいんですかね?」
「あぁ、あるね?夢を見ていたはずなのにって朝が」
「まさにそれです。幼すぎて、覚えていなかったという可能性があるんじゃないかって」
ジョージアが何かを考えているのか押し黙った。
「ジョージア様?」
「ん?」
「私のこと、どんなふうに思われているか心の内まではわかりませんが、私、今もジョージア様に恋をしているのですよ?」
「そんな可愛らしいことを言うんだね?俺たちは夫婦になっているのに」
「それでも、変わらずに私はジョージア様に恋をしているんです。邪険に扱っているとかみなに言われることもありますけど……そんなことは、ないです。愛情持って……」
「知っているよ。こんな俺に誰よりも愛情を見せてくれているのはアンナだって。その気持ちに応えたいっていつも思っている。初めて出会った日からずっと、アンナの瞳にうつるのは、俺だけであったらいいのにと思っているよ。アンジーやネイト、ジョージやウィルたちじゃなく、俺だけ」
「独占欲の塊ですか?」
クスクスと笑うと、そうだよと聞こえてくる。
「アンナを独占できるなら、どこかに閉じ込めてずっと俺だけを見てくれるなら……たまにそんなふうに思うことがあるんだ。愛情ゆえにと言えば綺麗だけど、嫉妬もしてる。社交界の華とは、アンナのための言葉だ。アンバー公爵もそう。アンナを形容するものはたくさんある。本当は、誰にもみせたくないし、誰にも触れさせたくない。ただ、俺だけの華でいてくれれば……と願う日があるよ」
「それは光栄ですね。私も同じように思う日があるので……」
見上げると、とても驚いている。
「どうかしましたか?」
「こんな俺に?」
「ジョージア様だからですけど……もし、死ぬのなら、ジョージア様の側で死にたいですね!」
「縁起でもない。アンナは俺より長生きするんだから!」
「そうなると、嬉しいですけど、寂しいですね。そうだ、お願いを聞いてくれますか?」
「聞けることならね?」
「もしも、もしも、私が死んだら……アンバー領のどこかに埋葬してください!」
「……何を言って」
「私、ずっとここにいたいんです!第二故郷。ここにずっと」
ニコリと笑うと、『予知夢』を知っているジョージアは苦々し気にしていた。私はだらしなく座っていたのを反転させ、ジョージアに向き直る。
「……ん」
「起きた?アンナは、休みなく動き回っているからね……少し、休憩が必要だと思うよ?」
「本当ですね……何かと忙しくていけませんね。領地にいる間はゆっくりしているつもりなのですが、ついつい出かけてしまいたくなるし、子どもたちにも変わっていくアンバー領をたくさん見せてあげたいと思うんですよね!」
「それは、きっと、未来を生きていく子どもたちには必要なことだと思うけど……アンナだけが担うものではないだろ?もちろん、俺も……」
「ありがとうございます」
微笑めば、優しい顔をしてくれる。頼りないとみなに言われているジョージアも今まで以上に頑張ってくれている。それをわかっているので、ただ微笑むだけでよかった。
「ジョージア様はあったかいですね?」
「春が近いとはいっても、まだ寒いからね。こうして、アンナを腕の中に閉じ込めておける時間は少ないから、貴重な時間だよ。ずっと、こうして囚われていてくれればいいのにといつも思うけど、そう思ったときには、アンナはいつもどこかに行ってしまう。俺をおいてね?」
「おいてなど……いつも側にいますよ。例え離れていても、心はずっとジョージア様の側にいます」
「それを聞けば、安心かな?」
「……聞かなくても、私はジョージア様の側で咲く花ですから……」
抱きしめられている腕がきつくなる。その腕に手を添わせると首元にすり寄ってきた。まるで大きな犬のようである。
ふふっと笑うと、耳元で囁く。
「髪がくすぐったいですよ?」
「そんなつもりはないのだけど……」
私にとって、この時間は必要な時間だと思う。一人、領地のためにと走り回っている毎日だとみなは思っているだろうが、私はそうは思っていない。未来の女王であるアンジェラに示したいと考えてはいても、違う未来が手に入ったのだから、自身の恋もちゃんと楽しみたいと思っていた。
恋だなんて……子どもっぽいかしら?もう、私の旦那様なのだから。
そう思いながら、ジョージアの頬に手を添わせると、すり寄ってきてくれた。
「ジョージア様は、私の恋をどう考えてますか?」
「いきなり、アンナの恋ときたか。初恋は、間違いなくサンストーン家のヘンリー殿だよね?」
「ふふっ、みんなそういいますね?」
「違うのかい?」
「うーん、どうでしょう……秘密ですけど、お兄様な気がします」
「サシャ?でも、兄だろ?」
「理屈じゃないんですよ。恋なんて。いつも守ってくれる優しいお兄様は、私にとっての王子様でした」
「なるほど、それで、二人は両想いなわけだ?」
「どうですかね?」
クスクスと笑うと、ジョージアも笑っている。
「でそれじゃあ、ヘンリー殿は2番目かな?」
「そうですね……ハリーは、そうですね!本当の意味で、私の王子様は、後に先にもハリー以外いないと思います。心から私だけを愛してくれた人」
「ここにもいるんだけど……?」
「ソフィアと結婚していた人が?」
「それをいうなら、イリア夫人と結婚したよね?その王子様は」
「確かに……」
「どっちも浮気者?」
「兄も含め三人ともです!」
むぅっと膨れると、笑っているのかジョージアが震えている。
「俺は、三人目ってことか。昔の恋にどうこういうつもりはないけど、アンナの心は今もここじゃないところにあるのかな?」
「ジョージア様、初めて会ったとき覚えていますか?」
「もちろん!幼いアンナは、今と変わらず好奇心の塊だったよね。アメジストの瞳を輝かせて!」
「そうですよね。私、ジョージア様のこと、昔から知っていたので、どんな人か気になっていたんです」
「『予知夢』で?」
「えぇ、そうです。最近思うんですけど」
「何?」
「私、『予知夢』で知っていたジョージア様が初恋なんじゃないかって」
「それはどうして?俺との未来の夢を見たのは、ずっと大きくなってからなんだろ?」
「……記憶に残っていない夢と言えばいいんですかね?」
「あぁ、あるね?夢を見ていたはずなのにって朝が」
「まさにそれです。幼すぎて、覚えていなかったという可能性があるんじゃないかって」
ジョージアが何かを考えているのか押し黙った。
「ジョージア様?」
「ん?」
「私のこと、どんなふうに思われているか心の内まではわかりませんが、私、今もジョージア様に恋をしているのですよ?」
「そんな可愛らしいことを言うんだね?俺たちは夫婦になっているのに」
「それでも、変わらずに私はジョージア様に恋をしているんです。邪険に扱っているとかみなに言われることもありますけど……そんなことは、ないです。愛情持って……」
「知っているよ。こんな俺に誰よりも愛情を見せてくれているのはアンナだって。その気持ちに応えたいっていつも思っている。初めて出会った日からずっと、アンナの瞳にうつるのは、俺だけであったらいいのにと思っているよ。アンジーやネイト、ジョージやウィルたちじゃなく、俺だけ」
「独占欲の塊ですか?」
クスクスと笑うと、そうだよと聞こえてくる。
「アンナを独占できるなら、どこかに閉じ込めてずっと俺だけを見てくれるなら……たまにそんなふうに思うことがあるんだ。愛情ゆえにと言えば綺麗だけど、嫉妬もしてる。社交界の華とは、アンナのための言葉だ。アンバー公爵もそう。アンナを形容するものはたくさんある。本当は、誰にもみせたくないし、誰にも触れさせたくない。ただ、俺だけの華でいてくれれば……と願う日があるよ」
「それは光栄ですね。私も同じように思う日があるので……」
見上げると、とても驚いている。
「どうかしましたか?」
「こんな俺に?」
「ジョージア様だからですけど……もし、死ぬのなら、ジョージア様の側で死にたいですね!」
「縁起でもない。アンナは俺より長生きするんだから!」
「そうなると、嬉しいですけど、寂しいですね。そうだ、お願いを聞いてくれますか?」
「聞けることならね?」
「もしも、もしも、私が死んだら……アンバー領のどこかに埋葬してください!」
「……何を言って」
「私、ずっとここにいたいんです!第二故郷。ここにずっと」
ニコリと笑うと、『予知夢』を知っているジョージアは苦々し気にしていた。私はだらしなく座っていたのを反転させ、ジョージアに向き直る。
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