796 / 1,480
お義父様とお義母様対策
しおりを挟む
私室に戻ると久しぶりにジョージアと二人になった。
「なんだか、落ち着きますね?」
甘えるようにソファの隣に座ると、難しい顔をしていた。
きっと、さっきまでの報告会のことを考えているのだろう。ジョージアが知らないことは、たくさんあるのだから。
「難しい顔、してますよ?」
「……」
「ジョージア様?私、せっかく帰ってきたのに、そんな顔されると困るんですけど?」
「……いや、だって。今の話」
「報告会の話については、まだ、確定じゃありませんよ?小競り合いがあったとしても、本気でことを起こしてくることはないですよ!心配しすぎもよくないですし、ウィルが、きっとこの国を守ってくれますから!」
「いや、でも……」
「いやもでももありません!何かあれば、私も戦いますから!」
「それこそ、1番ダメな未来だと思うんだけど……?」
「ジョージア様を戦場に向かわせるわけがありませんよ!優しいジョージア様は、いつまでも優しいジョージア様で、私を甘やかしてくれていればいいのです。ほら、帰ってきたので、私を労わってください!褒めてください!頑張ったのですから!」
私が覗き込むように見上げ、膨れっ面をすると、不安がっていたジョージアが笑う。余程、私の顔がおもしろかったのだろうか?
「なんで、笑うのですか?」
「アンナが、出会ったときと変わっていなくて。サシャに引きずられていったときのことを思い出してしまったんだ」
「それは……子どもっぽいってことですか?」
「そうかな?でも、その顔をみせるのは、俺の前だけなんだろ?」
「お兄様にも、たぶんみせますよ?」
「サシャは、別枠だろ?」
クスクス笑い始めたジョージアに、もぅっと背中を預けた。貴族夫人らしからぬ、ソファに足を上げてだらんとしていると、耳元でジョージアが囁いた。
「そんな恰好はさすが俺の前だけにしてくれると嬉しいけど?」
「ジョージア様以外に甘えられる場所がないので、残念ながら、私のこんなだらしない格好を見れるのは、ジョージア様だけですよ!」
「それなら、よかった」
「少し、難しい顔じゃなくなりましたか?」
「あぁ、アンナがあまりにも気を抜いているからね……」
「ジョージア様と二人でいるときくらい、気を抜きますよ。唯一の場所ですから!」
「それは光栄だね?天下のアンナさんの休憩場所だなんて!」
そうですよ!と笑うと、ジョージアも笑っていた。
「それで、インゼロより、私の気になることがあるのですけど?」
「インゼロよりって、そんな重要なことあったかな?」
「ジョージア様が浮気していないかとか?」
「……していると思う?ずっと、アンジーに振り回されていたよ?ママはできるのに!って、誰かさんそっくりな感じで……見た目は俺ソックリなのに……」
「ご愁傷様です!中身が私だなんて!」
「可愛いから、許せるけどね。アンジーもアンナも。俺の宝物ですから!」
「光栄ですわ!天下の銀髪の君に宝物だって言ってもらえて!」
「アンナが宝物じゃなかったら何さ?」
「ジョージア様のことが大好きなアンバー公爵です!」
「それは……正解かな?」
「間違っていませんよ?どこにいても、私は、ジョージア様と子どもたちのことを思っていますから!」
ありがとうと言いながら座りやすいようにと抱きとめてくれる。
「それで、そんなアンナが重要なことっていうのは、俺の浮気の話ではないんだろ?」
「もちろんです。疑う余地もありませんよね!シバキマスカラ……」
「……」
「えっと、お義父様とお義母様が来られる話をもっとしておきたいなと思いまして」
「あぁ、それね。リアンが部屋を用意してくれているよ。客間が整えられている。あとは、アンバー領を見たいって、父が言っていたから視察に出るけど、これは、俺が回るんだよね?」
「そうです。私は、帰ってきたばかりで、事業の進行についてはまだ把握出来ていないので。リリーとアデルを護衛につけますから、何かわからないことがあれば、聞いてください。聞くことは、悪いことではないですし、二人はイチアへの報告に来てくれていたので詳しいと思いますよ!」
「わかった。そうさせてもらうよ。あと、母については、どうするつもり?」
「お義母様は私が対応することになるのかとは思っていますが……どうだろう?私で、満足していただけるかしら?」
「アンナなら、いるだけで満足してくれると思よ」
そうだといいですけどと苦笑いする。何か考えているようで、言葉をえらんでくれたのだろうか?」
「アンナには言いにくいんだけど……母がね、カルアの家族に挨拶したいって。領主の侯爵夫人として、カルアを気にかけていたのに、あんなことになったから……ずっと、考えていたみたいなんだ。案内してくれるかな?」
「わかったわ!サラおばさんに手紙を書いておきますね!訪ねますと」
「頼めるかい?」
「お安い御用です!サラおばさんに状況も聞かないといけないので、お義母様を連れていきますよ!」
ジョージアは優しい。その母である義母もとても優しい人だ。カルアのことを残念に思っているのは、家族以外だと、お義母様だろう。とても、可愛がっていたことは気が付いていたのだ。気のよくきく侍女であったとカルアを思い出し、少しだけ胸が痛んだ。
「なんだか、落ち着きますね?」
甘えるようにソファの隣に座ると、難しい顔をしていた。
きっと、さっきまでの報告会のことを考えているのだろう。ジョージアが知らないことは、たくさんあるのだから。
「難しい顔、してますよ?」
「……」
「ジョージア様?私、せっかく帰ってきたのに、そんな顔されると困るんですけど?」
「……いや、だって。今の話」
「報告会の話については、まだ、確定じゃありませんよ?小競り合いがあったとしても、本気でことを起こしてくることはないですよ!心配しすぎもよくないですし、ウィルが、きっとこの国を守ってくれますから!」
「いや、でも……」
「いやもでももありません!何かあれば、私も戦いますから!」
「それこそ、1番ダメな未来だと思うんだけど……?」
「ジョージア様を戦場に向かわせるわけがありませんよ!優しいジョージア様は、いつまでも優しいジョージア様で、私を甘やかしてくれていればいいのです。ほら、帰ってきたので、私を労わってください!褒めてください!頑張ったのですから!」
私が覗き込むように見上げ、膨れっ面をすると、不安がっていたジョージアが笑う。余程、私の顔がおもしろかったのだろうか?
「なんで、笑うのですか?」
「アンナが、出会ったときと変わっていなくて。サシャに引きずられていったときのことを思い出してしまったんだ」
「それは……子どもっぽいってことですか?」
「そうかな?でも、その顔をみせるのは、俺の前だけなんだろ?」
「お兄様にも、たぶんみせますよ?」
「サシャは、別枠だろ?」
クスクス笑い始めたジョージアに、もぅっと背中を預けた。貴族夫人らしからぬ、ソファに足を上げてだらんとしていると、耳元でジョージアが囁いた。
「そんな恰好はさすが俺の前だけにしてくれると嬉しいけど?」
「ジョージア様以外に甘えられる場所がないので、残念ながら、私のこんなだらしない格好を見れるのは、ジョージア様だけですよ!」
「それなら、よかった」
「少し、難しい顔じゃなくなりましたか?」
「あぁ、アンナがあまりにも気を抜いているからね……」
「ジョージア様と二人でいるときくらい、気を抜きますよ。唯一の場所ですから!」
「それは光栄だね?天下のアンナさんの休憩場所だなんて!」
そうですよ!と笑うと、ジョージアも笑っていた。
「それで、インゼロより、私の気になることがあるのですけど?」
「インゼロよりって、そんな重要なことあったかな?」
「ジョージア様が浮気していないかとか?」
「……していると思う?ずっと、アンジーに振り回されていたよ?ママはできるのに!って、誰かさんそっくりな感じで……見た目は俺ソックリなのに……」
「ご愁傷様です!中身が私だなんて!」
「可愛いから、許せるけどね。アンジーもアンナも。俺の宝物ですから!」
「光栄ですわ!天下の銀髪の君に宝物だって言ってもらえて!」
「アンナが宝物じゃなかったら何さ?」
「ジョージア様のことが大好きなアンバー公爵です!」
「それは……正解かな?」
「間違っていませんよ?どこにいても、私は、ジョージア様と子どもたちのことを思っていますから!」
ありがとうと言いながら座りやすいようにと抱きとめてくれる。
「それで、そんなアンナが重要なことっていうのは、俺の浮気の話ではないんだろ?」
「もちろんです。疑う余地もありませんよね!シバキマスカラ……」
「……」
「えっと、お義父様とお義母様が来られる話をもっとしておきたいなと思いまして」
「あぁ、それね。リアンが部屋を用意してくれているよ。客間が整えられている。あとは、アンバー領を見たいって、父が言っていたから視察に出るけど、これは、俺が回るんだよね?」
「そうです。私は、帰ってきたばかりで、事業の進行についてはまだ把握出来ていないので。リリーとアデルを護衛につけますから、何かわからないことがあれば、聞いてください。聞くことは、悪いことではないですし、二人はイチアへの報告に来てくれていたので詳しいと思いますよ!」
「わかった。そうさせてもらうよ。あと、母については、どうするつもり?」
「お義母様は私が対応することになるのかとは思っていますが……どうだろう?私で、満足していただけるかしら?」
「アンナなら、いるだけで満足してくれると思よ」
そうだといいですけどと苦笑いする。何か考えているようで、言葉をえらんでくれたのだろうか?」
「アンナには言いにくいんだけど……母がね、カルアの家族に挨拶したいって。領主の侯爵夫人として、カルアを気にかけていたのに、あんなことになったから……ずっと、考えていたみたいなんだ。案内してくれるかな?」
「わかったわ!サラおばさんに手紙を書いておきますね!訪ねますと」
「頼めるかい?」
「お安い御用です!サラおばさんに状況も聞かないといけないので、お義母様を連れていきますよ!」
ジョージアは優しい。その母である義母もとても優しい人だ。カルアのことを残念に思っているのは、家族以外だと、お義母様だろう。とても、可愛がっていたことは気が付いていたのだ。気のよくきく侍女であったとカルアを思い出し、少しだけ胸が痛んだ。
0
お気に入りに追加
121
あなたにおすすめの小説
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
悲恋を気取った侯爵夫人の末路
三木谷夜宵
ファンタジー
侯爵夫人のプリシアは、貴族令嬢と騎士の悲恋を描いた有名なロマンス小説のモデルとして持て囃されていた。
順風満帆だった彼女の人生は、ある日突然に終わりを告げる。
悲恋のヒロインを気取っていた彼女が犯した過ちとは──?
カクヨムにも公開してます。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
美しい姉と痩せこけた妹
サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――
婚約破棄の場に相手がいなかった件について
三木谷夜宵
ファンタジー
侯爵令息であるアダルベルトは、とある夜会で婚約者の伯爵令嬢クラウディアとの婚約破棄を宣言する。しかし、その夜会にクラウディアの姿はなかった。
断罪イベントの夜会に婚約者を迎えに来ないというパターンがあるので、では行かなければいいと思って書いたら、人徳あふれるヒロイン(不在)が誕生しました。
カクヨムにも公開しています。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
逃した番は他国に嫁ぐ
基本二度寝
恋愛
「番が現れたら、婚約を解消してほしい」
婚約者との茶会。
和やかな会話が落ち着いた所で、改まって座を正した王太子ヴェロージオは婚約者の公爵令嬢グリシアにそう願った。
獣人の血が交じるこの国で、番というものの存在の大きさは誰しも理解している。
だから、グリシアも頷いた。
「はい。わかりました。お互いどちらかが番と出会えたら円満に婚約解消をしましょう!」
グリシアに答えに満足したはずなのだが、ヴェロージオの心に沸き上がる感情。
こちらの希望を受け入れられたはずのに…、何故か、もやっとした気持ちになった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる