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いざ、ジニー探しのたび!寄り道ごぅごぅ!

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 朝の空気は……気持ちいいはずだった。冬の冷えた空気を肺いっぱいに入れ、ふぅっと吐き出す。同時に体を伸ばしていたのを解く。

 目の前には、早朝にも関わらず、長蛇の列となっていた。みな、朝の診療に向け、朝早く……夜が明ける前から、診療所が開くのを待っている。
 毎日、朝早くから夜の12時まわるころまで、診療は続く。それより後になると、番号が配られ、翌日となるのだが……人の少ない診療所で捌ける人数には限りがあるし、診療所の中にいる病人の数も多い。助手の睡眠時間は、あって1時間という、ギリギリの体制で動いているので、いつ倒れてもおかしくない状況だ。ただ、問題なのは、貴族の屋敷へと連れていかれた医者たちが、どこもかしこも死んでいること、町医者も罹患していて、とてもじゃないが手伝えないことが重なって、より厳しい状況となっていた。
 そんな長蛇の列を横目に、ぞくぞくと集まってきている人たちが別にいる。私の周りにポツポツと人だかりが出来てくる。
 ここでは、邪魔になるので、少し離れた場所へ移動した。


「アンナリーゼ様、この度は……」
「堅苦しい挨拶は、いらないわ!みんな、おはよう!」
「「おはようございます!」」


 私服を着た貴族の私兵たちが、ぞくぞくと集まってきてた。先日から回っていた領地から集まってきたものたちなのだが、領主や領地に住まう貴族の横暴を摘発した中、協力してくれたら、公への減刑を口添えしてもいいという名目で領主たちへ手紙を送ったら、二百人程度、兵や警備隊が集まってきたのだ。
 さて、これで、互角以上に戦えるかはわからないが、人数だけは集まったので、形にはなるだろう。

 ノクトが置いて行った馬車の荷台に乗り、見渡す。なかなか、壮大である。


「こういうときは、ウィルがいてくれたら心強いのにね!近衛の中隊を纏めているから……」


 側にいないウィルのことを思い、ため息をつく。下でキースが苦笑いしているのが見える。キースはまだ、小隊長ですらないのだ。この二百人を纏めるのは無理だろう。


「各々、よく集まってくれました!今から、夜盗をとっつかまえにいくけど、準備は出来てる?」
「「「おう!」」」


 病人しかいない広場で、元気に返事をすれば、その声は響き渡る。


「まとめ役がいないから、とりあえず、私が総大将!各領地で代表を決めて。その下に五人から十人までで班を作ってちょうだい!これからは、常にその班で行動。班にも代表を決めておいて。私からの指示は領地の代表に伝えるから、班の代表は領地の代表から指示を受けて。班の代表が班に伝えてちょうだい!領地の代表は、決して見栄で選ばないでね!ちゃんと、情報共有ができる人でお願い。班の代表も同じよ!」


 薄暗闇の中、早々に動き出す。そして、三人の男性が、私の前に跪いた。


「領地の代表かしら?」
「「「はい」」」

 それぞれに作戦を伝える。と言っても、私も初陣ではあるので少々緊張の面持ちで話を終えた。
 領地をA、B、Cとわけ、1番人数の多いAには、私と一緒に根城を抑えることにした。Bには、Aの突入後、捕縛を指示する。人数の少ないCには、けが人の手当てや備品の調達など後方支援を頼む。AやBの中で、救護ができるものは、中盤に硬め軽い治療を担ってもらうことにした。


「隠密行動ができるものがおります!」
「なら、そこらへんにいる伝令や監視をのしてしまってください。その人たちは、ここで預かります」
「誰が、見るんですか?」
「この三人よ!」
「アンナリーゼ様!この者たちは……」
「大丈夫。裏切ったらどうなるか、わかるわよね?」


 悪役より悪い顔をして、ニコリと笑いかければ、必死にコクコクと頷く三人。昨日、ノクトが捕らえた私の監視である。


「大丈夫でしょうか?」
「大丈夫だと思うわよ!抑えるべきは、家族よね!なんだか、悪いことをしているようね。どちらが悪いかわからないわ!」


 それから、号令をかけ、昨日聞いた通り、山の上にある夜盗の根城へと向かった。
 荷馬車に乗り、ちょうどいい場所を探していく。

 頂上より少し下がったところに根城があることはわかっているので、それより、さらに下の場所へ後方支援をするCを置いて行く。総勢二十人。決して少なくない人数を隣の領地から大慌てで出してくれたのであろう。感謝だ。
 そこから少し上がったら、根城である。隠密行動ができると豪語したものに内側から根城の鍵を開けてくるように指示を出す。人は、殺さないようにと指示を出せば、不満そうである。確かに殺す方が、格段に楽ではあるのだが……人は生かして使うほうがいい。それに、あの元領主の屋敷の警備たちは、この中に家族がいると言っていた。それを救い出すのも、やはり、命は奪わないほうがいいので、そういう指示を出す。ただ、この兵は、近衛に比べれば、格段に落ちる。それを、少しでも、補うため、私も馬車からおり、剣を抜く。

 全く予想だにしていなかったのか、中にはすんなり入れた。そこらかしこにいるのした後の賊にお頭はどこにいるのか尋ねると、奥だという。気を付けながら、キースを伴って、ゆっくりその奥地と足を踏み入れていった。
 そこは、あまりにも酷い有様で、下の広場とあまり変わらないのではないかと思わせるほど、病人が横たわっている。
 女たちが、病人の看病をして歩き回っているが、その様子も病がうつっているのか熱を出して顔が赤い。


「キースは、これ以上進んではダメね!ここから先は、病が蔓延している……そうみてよさそうよ!」


 引き留めるキースを置いて、さらに奥へと向かった。病の間者たちをAに任せ、状況を下の診療所へ伝えに言ってもらったのだ。

 一番奥の部屋の扉へ私は手をかけた。
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