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ひとまず、探しましょう!
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「まずは、妹を探すところからでしょうか?」
「そうね、ひとまず、探しましょう!」
ヨハンの疑問には、私たちも頷く他ない。
ただ、ヨハンも幼いころにしか見たことがない妹を単独で探しだすことはできないだろうし、国で禁止されている人身売買によって、インゼロ帝国から来たものを買ったものたちが表沙汰にはしないだろう。情報収集は、かなりの困難を極めることだろう。何かしら、裏で出回る話を掴むしかない。
ヨハンには、薬の精製、患者を診てもらわないといけないので、妹探しに翻弄されるべきではないしっと考えると残る手段は少ない。
「私とウィル、公に近衛を借りて探すしかないわよね」
「姫さんや俺が国内で動くと目立つからな。貴族の中では、かなり姫さんの周りは注目を浴びている。かと言って、信頼できない人をそんな役には充てられないし、どうする?」
「おまけに、病に感染済みじゃないと、身動きが取れなくなったり、他に感染を広げてしまうからダメなんだよね……」
私たちは、ため息をついて項垂れた。そんな都合のいい人間は、私たちの手持ちのカードにはいない。
「アンナリーゼ様の配下でなくてもいいじゃないですか?この領地には、ゴールド公爵の子息がいるんでしょ?つきっきりで診てやるからとかなんとか言って、アンナリーゼ様に従わせたらいい。命の危険や外聞が悪いことを他の貴族たちに漏れるよりかは、黙っていてやると言えば頷くでしょう。それに、妹に会うためなら、誰に声をかければいいのかもその令息なら知っているはず」
「たどり着ける……!」
見えない糸が繋がった!そんな気持ちになる。まだ見ぬヨハンの妹を補足できたような気で少しだけホッとした。まだまだこれから動き始めるのに、焦ってばかりいたものが落ち着くと回っていなかった頭が回り始めたようだ。
「わかったわ!ルチル坊ちゃんの交渉は私がしましょう。外聞を気にするゴールド公爵にバレたくなければと脅せば、なんとかなるような気がするわね!」
ニッコリ笑うと、悪い顔してるとウィルとヨハンに指摘される。
そうかしら?と顔を触ってみるが、よくわからない。
「いいわ!そういうのは、とっても得意なの!」
「ほどほどにお願いしますよ?アンバー公爵に暴力を振るわれたという人聞きの悪い外聞が流れる場合もありますからね!」
早速、とっ捕まえてくる!と意気揚々と診察室を出て行ったに後ろでため息をついた二人には気付かなかった。
「あっ、いた!」
私の顔を見て震え上がるルチル坊ちゃんにニッと笑いかけると、ひぃーっと小さく悲鳴をあげ逃げられる。
「待ってよ!そんな悲鳴をあげるなんて、失礼じゃない?私、こんなに優しいのに!」
後ろからついてきたウィルが、どこがだよと呟いている。それを無視して、さぁ、おやすみの場所はこっちですよ。戻りましょうね!と、ルチルに与えられた隔離部屋へ誘った。
「な、な、何もありませんから!」
「何故、そんなに怯えているの?私、まだ、何もしていないのに」
残念ねと呟くと、フルフルとルチルは震えていた。
「まだとか言ってる、姫さんが怖すぎるんじゃない?」
「そんなことないわよ!ウィルの方が怖いわよね?」
歯の根が合わないのか、奥歯がガチガチと音がなっていた。見ているほうが可哀想になるくらい、怯え切ったルチルを見ながら、もぅ!っと怒ると、平伏して謝り始める。どこからどう見ても、公国貴族位第三位であるゴールド公爵の子息には見えなかった。
ガチャっと扉が開く。救いでも来たかのように、顔をあげるルチルには悪いが、たぶん、ヨハンも相当な人材だ。
何せ、毒のためなら、自分の体を使って実験をするような人なのだから。ただ、それを知らないルチルにとって、後光でもさしているのではないかというほど、目が輝いていた。
「アンナリーゼ様、一応病人ですからほどほどにって、何ですか?すごく怯えているじゃないですか!」
「そんなこと言われたって、ねぇ?ウィル」
ウィルは苦笑いをし、ヨハンはため息をつく。
「いいです。私が聞きますから!」
「いいけど、できる?爪を剥いだりとかはダメだよ?拷問とかは、しちゃうと、後々問題になりかねないから」
「では、こうしましょう」
パチンと指を鳴らしたと思ったら、優しそうにニッコリ笑いかける。それに安堵したルチル坊ちゃん。
「あなたは、私たちの質問にどうしても答えたくなる。口にしてはいけないことでも、つい、話してしまいたくなる。いいですね?あなたは、私たちの質問にどうしても答えたくなる」
しばらくすると、目がとろんとなった。子どもたちが眠いのに我慢しているかのようなその表情に可愛ささえ感じた。
「何をしたの?」
「簡単な催眠です。薬の効果もあるのか、ここではない何処かへ逃げ出したかったのか、珍しくすぐかかりましたね」
「ヨハンって、何でもできてしまうんだな。逆らわないようにしないと、何されるかわかったもんじゃないな」
「サーラー様には何もしませんよ?」
「公爵令息にして、伯爵風情に何もしないは、信じられないよ?」
ニヤッと笑うヨハンに戦々恐々としているウィル。背中をトンっと叩くと、ふっと息を吐いてやれやれと呆れていた。
「そうね、ひとまず、探しましょう!」
ヨハンの疑問には、私たちも頷く他ない。
ただ、ヨハンも幼いころにしか見たことがない妹を単独で探しだすことはできないだろうし、国で禁止されている人身売買によって、インゼロ帝国から来たものを買ったものたちが表沙汰にはしないだろう。情報収集は、かなりの困難を極めることだろう。何かしら、裏で出回る話を掴むしかない。
ヨハンには、薬の精製、患者を診てもらわないといけないので、妹探しに翻弄されるべきではないしっと考えると残る手段は少ない。
「私とウィル、公に近衛を借りて探すしかないわよね」
「姫さんや俺が国内で動くと目立つからな。貴族の中では、かなり姫さんの周りは注目を浴びている。かと言って、信頼できない人をそんな役には充てられないし、どうする?」
「おまけに、病に感染済みじゃないと、身動きが取れなくなったり、他に感染を広げてしまうからダメなんだよね……」
私たちは、ため息をついて項垂れた。そんな都合のいい人間は、私たちの手持ちのカードにはいない。
「アンナリーゼ様の配下でなくてもいいじゃないですか?この領地には、ゴールド公爵の子息がいるんでしょ?つきっきりで診てやるからとかなんとか言って、アンナリーゼ様に従わせたらいい。命の危険や外聞が悪いことを他の貴族たちに漏れるよりかは、黙っていてやると言えば頷くでしょう。それに、妹に会うためなら、誰に声をかければいいのかもその令息なら知っているはず」
「たどり着ける……!」
見えない糸が繋がった!そんな気持ちになる。まだ見ぬヨハンの妹を補足できたような気で少しだけホッとした。まだまだこれから動き始めるのに、焦ってばかりいたものが落ち着くと回っていなかった頭が回り始めたようだ。
「わかったわ!ルチル坊ちゃんの交渉は私がしましょう。外聞を気にするゴールド公爵にバレたくなければと脅せば、なんとかなるような気がするわね!」
ニッコリ笑うと、悪い顔してるとウィルとヨハンに指摘される。
そうかしら?と顔を触ってみるが、よくわからない。
「いいわ!そういうのは、とっても得意なの!」
「ほどほどにお願いしますよ?アンバー公爵に暴力を振るわれたという人聞きの悪い外聞が流れる場合もありますからね!」
早速、とっ捕まえてくる!と意気揚々と診察室を出て行ったに後ろでため息をついた二人には気付かなかった。
「あっ、いた!」
私の顔を見て震え上がるルチル坊ちゃんにニッと笑いかけると、ひぃーっと小さく悲鳴をあげ逃げられる。
「待ってよ!そんな悲鳴をあげるなんて、失礼じゃない?私、こんなに優しいのに!」
後ろからついてきたウィルが、どこがだよと呟いている。それを無視して、さぁ、おやすみの場所はこっちですよ。戻りましょうね!と、ルチルに与えられた隔離部屋へ誘った。
「な、な、何もありませんから!」
「何故、そんなに怯えているの?私、まだ、何もしていないのに」
残念ねと呟くと、フルフルとルチルは震えていた。
「まだとか言ってる、姫さんが怖すぎるんじゃない?」
「そんなことないわよ!ウィルの方が怖いわよね?」
歯の根が合わないのか、奥歯がガチガチと音がなっていた。見ているほうが可哀想になるくらい、怯え切ったルチルを見ながら、もぅ!っと怒ると、平伏して謝り始める。どこからどう見ても、公国貴族位第三位であるゴールド公爵の子息には見えなかった。
ガチャっと扉が開く。救いでも来たかのように、顔をあげるルチルには悪いが、たぶん、ヨハンも相当な人材だ。
何せ、毒のためなら、自分の体を使って実験をするような人なのだから。ただ、それを知らないルチルにとって、後光でもさしているのではないかというほど、目が輝いていた。
「アンナリーゼ様、一応病人ですからほどほどにって、何ですか?すごく怯えているじゃないですか!」
「そんなこと言われたって、ねぇ?ウィル」
ウィルは苦笑いをし、ヨハンはため息をつく。
「いいです。私が聞きますから!」
「いいけど、できる?爪を剥いだりとかはダメだよ?拷問とかは、しちゃうと、後々問題になりかねないから」
「では、こうしましょう」
パチンと指を鳴らしたと思ったら、優しそうにニッコリ笑いかける。それに安堵したルチル坊ちゃん。
「あなたは、私たちの質問にどうしても答えたくなる。口にしてはいけないことでも、つい、話してしまいたくなる。いいですね?あなたは、私たちの質問にどうしても答えたくなる」
しばらくすると、目がとろんとなった。子どもたちが眠いのに我慢しているかのようなその表情に可愛ささえ感じた。
「何をしたの?」
「簡単な催眠です。薬の効果もあるのか、ここではない何処かへ逃げ出したかったのか、珍しくすぐかかりましたね」
「ヨハンって、何でもできてしまうんだな。逆らわないようにしないと、何されるかわかったもんじゃないな」
「サーラー様には何もしませんよ?」
「公爵令息にして、伯爵風情に何もしないは、信じられないよ?」
ニヤッと笑うヨハンに戦々恐々としているウィル。背中をトンっと叩くと、ふっと息を吐いてやれやれと呆れていた。
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