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交渉成立だよね!
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ルチルは、私を見て引きつった顔を向けてくる。恐ろしいものでもみたのかようにウィルをチラッと見て、また、私に視線を戻す。
「ルチル坊ちゃん、あんまり、公爵家の傘を着ていろいろとおいたするようだったら、痛い目みることになると思いますよ?」
「……あっ、はい」
「だいたい、何故この屋敷にいるんです?まさか……」
チラッと私を見たウィルにニコリと笑いかける。その様子を見ていたルチルはひっと小さく悲鳴をあげた。
「まさか姫さんとそっくりなお嬢さんと遊んでいた……とか?」
「私にそっくりな?」
含みある笑顔をルチルへと向けると、図星だったようで目を泳がせている。
「お年頃だもんね。仕方ないけど……何も私に似た子じゃなくてもよくない?ねぇ?ウィルはそう思わない?」
「……俺にふるなよ」
「だって、他にいう人がいないんだもん。仕方ないじゃない!」
「目の前に坊ちゃんがいるだろ?姫さんのことが大好きな」
「……好かれても嬉しくないんだけど?」
しれっと睨むと、逃げられないのに逃げようとする。
「そういうえば、そのお姉さん、どこに行ったの?ルチル坊ちゃんが、ここにいるってことは、ここにいるのかしら?」
「……今は、違うところへ向かっている」
「違うところ?どこ?それは。たぶん、その子が、この感染病の原因なんだけど……」
「何っ?俺は、そんなものと……寝たのか?」
「そうね……よく、それで元気ね?」
「…………高ぶっていたから?」
「ウィル、ちょん……」
「さすがに、それは可哀想だから、やめてあげて。公爵家の跡取りだって言ってるんだし」
「……そぉ?必要ないのかと思って」
怯えるルチルにニコニコと微笑んでいたら、ウィルがため息をついていた。
「で、姫さんは、そのお嬢さんをどうするつもり?」
「どうも?インゼロに帰ったって、奴隷でしょうからね?保護しないといけないのか、わからないし。でも、もし……もしね?」
「感染症を広める役目を担っていたらってこと?」
「そんなバカな!」
「そんなバカなこともありえるわよ?あなた、そのまま領地へ帰ったら、ゴールド領に感染病を広めることになるわよ?」
「……うつっているということか?」
「可能性はあるわね?舌出して?」
「舌か?」
べーっとするルチルの舌を見ると、なんだかぷつぷつと出来ている。
「ウィル、舌にぷつぷつあるわよね?」
「あぁ、あるね?あれって、初期症状ってこと?俺、よく病の症状は知らないんだよね?」
「たぶん、そうなのよね。私、口の中に口内炎みたいなのがいっぱいできて大変だったんだよね……」
「痛いよな……口内炎。あれって、どうなるの?」
「薬を飲まないと、潰れるかな?舌の上だから、食べるのもつらいんじゃない?」
「……く、薬は……?」
「この屋敷にあるけど、領主が最低限の分以外は一人占めしているでしょ?治療しているところへならんで薬をもらうならタダだけど、領主から横流ししてもらうなら……まぁ、これくらい?」
指で大体の金額を示すと、目を見開いた。
「……高額すぎでは?」
「そう?これ1錠分だから……まだ、初期症状だし、5錠くらいあれば治るかな?」
「……!そんな高額な金は払えない!」
「公爵家なら、こんなお金、はした金でしょ?まぁ、アンバー公爵家は貧乏だから、払えないけど!」
みるみるうちに顔を青ざめていくルチル。あの厳しいゴールド公爵が、莫大な額のお金を払うとは到底思えない。目の前にいるのが、次期当主だったとしても。
そして、それが、ゴールド公爵の耳に入ったなら、まず、次期当主は下ろされるんじゃないかしら?と私とウィルは顔を見合わせて笑う。
「もらいに行けばいいだけでしょ?あなた自身が並んで来ればいいだけの話よ?ほら、早くいかないと潰れちゃうよ?うふふ」
ルチルは、後ろ向いて走りかけた。
「待って!」
「何か?急いでいるんですけど……」
「今更急いでも……領主の話は、通しておいてね!私、医師と薬を返して欲しいのだから!」
「は、はい!わかりました。領主には話を通しておきます!ではっ!」
貴族らしからぬ、ドタバタという足取りで部屋を出て行った。
「姫さんは、これでよかった?」
「うーん、よかったのかしら?わからないわね。薬が返ってこないとなんとも。医師はクビにするからいいんだけど……なんだか、疲れたわ」
「ここまで、ずっとこんな感じだもんな。それより、さっきの奴隷のお嬢さんの話!」
「えぇ、それね。私もどきの話は、まだ、仮定なんだけど……って、考えていただけなのよね……」
「それは、説明してくれる?」
「奴隷じゃない可能性がある。貴族相手に娼婦といえど、奴隷は使わないはずよ。例えば、貴族の……うちみたいなお金に困っている貴族は、娘を売ることがあるのよ。娼館に」
「自分の娘をか?」
「そう。いわゆる妾の子だったりするんだけどね……ダドリー男爵もそれで、国の中枢へかなり入り込んでいたわけなのよね」
「……それって、どうなるんだ?」
「正妻の子か妾の子で、そこそこの見栄えする子は、子爵家以上なら上の貴族へと繋がりのために嫁に出すわよね?ナタリーがそうだったみたいに」
あぁと納得するウィル。あのときは、大変だったよなぁ……と呟く。私は、ナタリーの結婚式には呼ばれていない。子爵家の結婚式に侯爵令嬢が呼ばれることはないのだから知らないが、同じ子爵家であるウィルは出ていた。誓いのキスは、断固として拒否をしたらしいナタリーの話を聞いたことを思い出した。
「妾の子の中で、口減らしのために売られる子もいるのよ!」
「もしかして、ミアはそのくちだった?」
「ミアは、たぶんだけど、ゆくゆくは、ゴールド公爵家のあの坊ちゃんの妾になる予定だったでしょうね。色好きそうだったし……」
「ならなくて、よかった……あんなクズの妾なんかに」
胸を撫でおろすウィルに全くね!と同意する。『予知夢』で、ミアがアンジェラの側に控えていたことを思い出し、クスっと笑った。
「ルチル坊ちゃん、あんまり、公爵家の傘を着ていろいろとおいたするようだったら、痛い目みることになると思いますよ?」
「……あっ、はい」
「だいたい、何故この屋敷にいるんです?まさか……」
チラッと私を見たウィルにニコリと笑いかける。その様子を見ていたルチルはひっと小さく悲鳴をあげた。
「まさか姫さんとそっくりなお嬢さんと遊んでいた……とか?」
「私にそっくりな?」
含みある笑顔をルチルへと向けると、図星だったようで目を泳がせている。
「お年頃だもんね。仕方ないけど……何も私に似た子じゃなくてもよくない?ねぇ?ウィルはそう思わない?」
「……俺にふるなよ」
「だって、他にいう人がいないんだもん。仕方ないじゃない!」
「目の前に坊ちゃんがいるだろ?姫さんのことが大好きな」
「……好かれても嬉しくないんだけど?」
しれっと睨むと、逃げられないのに逃げようとする。
「そういうえば、そのお姉さん、どこに行ったの?ルチル坊ちゃんが、ここにいるってことは、ここにいるのかしら?」
「……今は、違うところへ向かっている」
「違うところ?どこ?それは。たぶん、その子が、この感染病の原因なんだけど……」
「何っ?俺は、そんなものと……寝たのか?」
「そうね……よく、それで元気ね?」
「…………高ぶっていたから?」
「ウィル、ちょん……」
「さすがに、それは可哀想だから、やめてあげて。公爵家の跡取りだって言ってるんだし」
「……そぉ?必要ないのかと思って」
怯えるルチルにニコニコと微笑んでいたら、ウィルがため息をついていた。
「で、姫さんは、そのお嬢さんをどうするつもり?」
「どうも?インゼロに帰ったって、奴隷でしょうからね?保護しないといけないのか、わからないし。でも、もし……もしね?」
「感染症を広める役目を担っていたらってこと?」
「そんなバカな!」
「そんなバカなこともありえるわよ?あなた、そのまま領地へ帰ったら、ゴールド領に感染病を広めることになるわよ?」
「……うつっているということか?」
「可能性はあるわね?舌出して?」
「舌か?」
べーっとするルチルの舌を見ると、なんだかぷつぷつと出来ている。
「ウィル、舌にぷつぷつあるわよね?」
「あぁ、あるね?あれって、初期症状ってこと?俺、よく病の症状は知らないんだよね?」
「たぶん、そうなのよね。私、口の中に口内炎みたいなのがいっぱいできて大変だったんだよね……」
「痛いよな……口内炎。あれって、どうなるの?」
「薬を飲まないと、潰れるかな?舌の上だから、食べるのもつらいんじゃない?」
「……く、薬は……?」
「この屋敷にあるけど、領主が最低限の分以外は一人占めしているでしょ?治療しているところへならんで薬をもらうならタダだけど、領主から横流ししてもらうなら……まぁ、これくらい?」
指で大体の金額を示すと、目を見開いた。
「……高額すぎでは?」
「そう?これ1錠分だから……まだ、初期症状だし、5錠くらいあれば治るかな?」
「……!そんな高額な金は払えない!」
「公爵家なら、こんなお金、はした金でしょ?まぁ、アンバー公爵家は貧乏だから、払えないけど!」
みるみるうちに顔を青ざめていくルチル。あの厳しいゴールド公爵が、莫大な額のお金を払うとは到底思えない。目の前にいるのが、次期当主だったとしても。
そして、それが、ゴールド公爵の耳に入ったなら、まず、次期当主は下ろされるんじゃないかしら?と私とウィルは顔を見合わせて笑う。
「もらいに行けばいいだけでしょ?あなた自身が並んで来ればいいだけの話よ?ほら、早くいかないと潰れちゃうよ?うふふ」
ルチルは、後ろ向いて走りかけた。
「待って!」
「何か?急いでいるんですけど……」
「今更急いでも……領主の話は、通しておいてね!私、医師と薬を返して欲しいのだから!」
「は、はい!わかりました。領主には話を通しておきます!ではっ!」
貴族らしからぬ、ドタバタという足取りで部屋を出て行った。
「姫さんは、これでよかった?」
「うーん、よかったのかしら?わからないわね。薬が返ってこないとなんとも。医師はクビにするからいいんだけど……なんだか、疲れたわ」
「ここまで、ずっとこんな感じだもんな。それより、さっきの奴隷のお嬢さんの話!」
「えぇ、それね。私もどきの話は、まだ、仮定なんだけど……って、考えていただけなのよね……」
「それは、説明してくれる?」
「奴隷じゃない可能性がある。貴族相手に娼婦といえど、奴隷は使わないはずよ。例えば、貴族の……うちみたいなお金に困っている貴族は、娘を売ることがあるのよ。娼館に」
「自分の娘をか?」
「そう。いわゆる妾の子だったりするんだけどね……ダドリー男爵もそれで、国の中枢へかなり入り込んでいたわけなのよね」
「……それって、どうなるんだ?」
「正妻の子か妾の子で、そこそこの見栄えする子は、子爵家以上なら上の貴族へと繋がりのために嫁に出すわよね?ナタリーがそうだったみたいに」
あぁと納得するウィル。あのときは、大変だったよなぁ……と呟く。私は、ナタリーの結婚式には呼ばれていない。子爵家の結婚式に侯爵令嬢が呼ばれることはないのだから知らないが、同じ子爵家であるウィルは出ていた。誓いのキスは、断固として拒否をしたらしいナタリーの話を聞いたことを思い出した。
「妾の子の中で、口減らしのために売られる子もいるのよ!」
「もしかして、ミアはそのくちだった?」
「ミアは、たぶんだけど、ゆくゆくは、ゴールド公爵家のあの坊ちゃんの妾になる予定だったでしょうね。色好きそうだったし……」
「ならなくて、よかった……あんなクズの妾なんかに」
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