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胸の内で小さく
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子どもたちの成長を喜ぶジョージアに私も嬉しくなる。三人の子どもたちは、それぞれ思い思いに成長していっていた。
「いいな……幸せって感じがする」
「ジョージア様、まだまだ、続きますよ!幸せは」
「あぁ、そうだな。いつか、アンジェラもジョージもネイトも抱けなくなる日が来るだろうし、社交界に出て、アンナみたいに貴族中の噂になるだろうし、いつか……あぁ、これは、いつまでも来て欲しくない未来だから言わないでおく」
「アンジェラが素敵な男性を紹介してくれたり?」
「アンナ!」
「ジョージア様もお父様たちみたいなこと言っているのね!」
「当たり前だ!アンジェラは、可愛い一人娘なんだぞ?」
「その一人娘は、遠路はるばる他国の王子の元へ嫁いできたのに……幸せは願ってくれないのかしら?パパは」
ニコリと笑うと、寝転がっていたジョージアがすり寄ってきて膝枕をするはめになった。
「よく、こんな遠いところまで、来てくれたね。近くに想い人もいたのに」
「それは、遠回しにジョージア様を愛していないと言っていますか?」
「そう聞こえたかな?」
「えぇ、聞こえましたよ!ジョージア様の隣にいられて幸せですし、ジョージア様を愛しているからこそ、生まれた子どもたちですよ?」
アンジェラの頬に手をあてがうと、目を細めてスリスリとしている。親子五人でベッドで寛いでいられることが、何よりの証拠なのではないだろうか?
「そうか」
お腹に顔を埋め、ありがとうと呟いたジョージアの髪を撫でる。
「あの、お寛ぎのところ申し訳ありませんが……」
「いいのよ!ご飯にしましょうか?」
「そうだね、夜は一緒にいられるかな……」
「予約は、しばらくうまってますけど、今日は特別にあけておきますよ!」
耳元で囁くと、ギュっと抱きしめられた。ママ、早くとアンジェラたちが、ソファの前に行き待っている。
「ジョージア様、朝食をいただきましょう!夜までにたくさん、執務がありますからね!」
「……今日くらい、休んでも……」
「そうは、言ってられません!報告を聞かせてもらいたいですし、しばらく、こちらにいなかった間の執務が完全に終わっているわけではないので」
不機嫌そうにしているジョージアから解放してもらい、朝食を食べる。その後、子どもたちはレオたちと過ごし、私たちは執務室へと向かった。
「やっと、アンナの側に帰ってきても、それほど書類を抱えているとは……」
「視察に出てましたからね!あとは、打ち合わせとかいろいろ……」
「そういえば、今朝、聞きそびれた香水の話」
「新しい商品のひとつに香水を作ったのです。売り出すのは、来年の春を予定しています」
「それで、新しい香水を使っているってこと?」
「はい。ちょうど、私の使っていたものが、切れてしまったので、この際、試してみようかと。気に入りませんか?」
「いや、なんというか、大人な香りだったから……」
「私は、十分大人だと思っているのですけど……ジョージア様の中では、まだ、出会った頃の少女のままですか?」
「そういうわけでは……」
膨れっ面をすると、そういうところが可愛いんだよと笑われる。でも、こんなふうに自身をさらけ出すのは、ジョージアを始め、気の合う友人たちにだけだ。
「わかりました。大人の女性を演じて差し上げますわ!」
「アンナは、今のままで十分だから」
「……大人のじょ……」
「痴話げんかは、夜にしてくれる?」
執務室へ入ってきたのはウィルだった。
「ノックしたけど、反応なかったから、何してるのかと思えば……」
「痴話げんかじゃないわよ!」
「どっからどう見ても、そうだから。それより、報告があって来たんだけど……」
「何?」
「アデルたちが、帰ってきた。外の宿泊場で留まってからだから、いいと思うけど」
「うん、ありがとう」
「着ていたものは、悪いんだけど……」
「お酒で洗浄ね!任せて!」
「悪いね!あと、もうひとつ」
「あんまり、いい報告ではなさそうよ?」
あぁ、と暗い表情をするウィル。何かしら?と問えば、伝染病が隣の領地で出たというものだった。遅かれ早かれ陸続きであるアンバーにも魔の手は広がってくることはわかっていたのだがら、仕方がない。
「ミネルバにも手紙を書いておくわ!終息せずに、広がっていっているのね……」
「公からの報告は、俺からするよ」
ジョージアがやや悲しげな顔をしている。それだけ見てもわかる。公がうまく国民の心を掌握出来ておらず、思うように治療が進んでいないことだろう。
「ウィル、ありがとう。報告を聞いてから、また、みなを集めるから、準備だけしておいてくれる?」
「わかった。くれぐれも、楽観的でないことだけは言っておくよ!」
「うん、そうだね」
部屋から出ていくウィルを見送り、リアンを呼んで、消毒用のお酒の準備とアデルたちが来ていた服などの洗濯についてお願いする。
コーコナが終息し、多少他人事になりつつあった伝染病が、また、一気に身近なものとなった。
もしかしたら、一度、公都に戻る必要があるかもしれない……そんな予感を胸に小さくため息をついた。
ジョージアへ席に着くよういうと、打ち合わせの席へと私もつく。
いい報告……なんて、あるのかしら?厳しい顔をしているジョージアに微笑む。
必ず、領民は守るから、そんな顔はしないでと胸の内で小さく呟いた。
「いいな……幸せって感じがする」
「ジョージア様、まだまだ、続きますよ!幸せは」
「あぁ、そうだな。いつか、アンジェラもジョージもネイトも抱けなくなる日が来るだろうし、社交界に出て、アンナみたいに貴族中の噂になるだろうし、いつか……あぁ、これは、いつまでも来て欲しくない未来だから言わないでおく」
「アンジェラが素敵な男性を紹介してくれたり?」
「アンナ!」
「ジョージア様もお父様たちみたいなこと言っているのね!」
「当たり前だ!アンジェラは、可愛い一人娘なんだぞ?」
「その一人娘は、遠路はるばる他国の王子の元へ嫁いできたのに……幸せは願ってくれないのかしら?パパは」
ニコリと笑うと、寝転がっていたジョージアがすり寄ってきて膝枕をするはめになった。
「よく、こんな遠いところまで、来てくれたね。近くに想い人もいたのに」
「それは、遠回しにジョージア様を愛していないと言っていますか?」
「そう聞こえたかな?」
「えぇ、聞こえましたよ!ジョージア様の隣にいられて幸せですし、ジョージア様を愛しているからこそ、生まれた子どもたちですよ?」
アンジェラの頬に手をあてがうと、目を細めてスリスリとしている。親子五人でベッドで寛いでいられることが、何よりの証拠なのではないだろうか?
「そうか」
お腹に顔を埋め、ありがとうと呟いたジョージアの髪を撫でる。
「あの、お寛ぎのところ申し訳ありませんが……」
「いいのよ!ご飯にしましょうか?」
「そうだね、夜は一緒にいられるかな……」
「予約は、しばらくうまってますけど、今日は特別にあけておきますよ!」
耳元で囁くと、ギュっと抱きしめられた。ママ、早くとアンジェラたちが、ソファの前に行き待っている。
「ジョージア様、朝食をいただきましょう!夜までにたくさん、執務がありますからね!」
「……今日くらい、休んでも……」
「そうは、言ってられません!報告を聞かせてもらいたいですし、しばらく、こちらにいなかった間の執務が完全に終わっているわけではないので」
不機嫌そうにしているジョージアから解放してもらい、朝食を食べる。その後、子どもたちはレオたちと過ごし、私たちは執務室へと向かった。
「やっと、アンナの側に帰ってきても、それほど書類を抱えているとは……」
「視察に出てましたからね!あとは、打ち合わせとかいろいろ……」
「そういえば、今朝、聞きそびれた香水の話」
「新しい商品のひとつに香水を作ったのです。売り出すのは、来年の春を予定しています」
「それで、新しい香水を使っているってこと?」
「はい。ちょうど、私の使っていたものが、切れてしまったので、この際、試してみようかと。気に入りませんか?」
「いや、なんというか、大人な香りだったから……」
「私は、十分大人だと思っているのですけど……ジョージア様の中では、まだ、出会った頃の少女のままですか?」
「そういうわけでは……」
膨れっ面をすると、そういうところが可愛いんだよと笑われる。でも、こんなふうに自身をさらけ出すのは、ジョージアを始め、気の合う友人たちにだけだ。
「わかりました。大人の女性を演じて差し上げますわ!」
「アンナは、今のままで十分だから」
「……大人のじょ……」
「痴話げんかは、夜にしてくれる?」
執務室へ入ってきたのはウィルだった。
「ノックしたけど、反応なかったから、何してるのかと思えば……」
「痴話げんかじゃないわよ!」
「どっからどう見ても、そうだから。それより、報告があって来たんだけど……」
「何?」
「アデルたちが、帰ってきた。外の宿泊場で留まってからだから、いいと思うけど」
「うん、ありがとう」
「着ていたものは、悪いんだけど……」
「お酒で洗浄ね!任せて!」
「悪いね!あと、もうひとつ」
「あんまり、いい報告ではなさそうよ?」
あぁ、と暗い表情をするウィル。何かしら?と問えば、伝染病が隣の領地で出たというものだった。遅かれ早かれ陸続きであるアンバーにも魔の手は広がってくることはわかっていたのだがら、仕方がない。
「ミネルバにも手紙を書いておくわ!終息せずに、広がっていっているのね……」
「公からの報告は、俺からするよ」
ジョージアがやや悲しげな顔をしている。それだけ見てもわかる。公がうまく国民の心を掌握出来ておらず、思うように治療が進んでいないことだろう。
「ウィル、ありがとう。報告を聞いてから、また、みなを集めるから、準備だけしておいてくれる?」
「わかった。くれぐれも、楽観的でないことだけは言っておくよ!」
「うん、そうだね」
部屋から出ていくウィルを見送り、リアンを呼んで、消毒用のお酒の準備とアデルたちが来ていた服などの洗濯についてお願いする。
コーコナが終息し、多少他人事になりつつあった伝染病が、また、一気に身近なものとなった。
もしかしたら、一度、公都に戻る必要があるかもしれない……そんな予感を胸に小さくため息をついた。
ジョージアへ席に着くよういうと、打ち合わせの席へと私もつく。
いい報告……なんて、あるのかしら?厳しい顔をしているジョージアに微笑む。
必ず、領民は守るから、そんな顔はしないでと胸の内で小さく呟いた。
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