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公爵様は、資金集めに忙しい!
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ウィルと話をしたあと、今後の資金集めについて、話合うことにした。ウィル、セバス、イチアはもちろんのころ、ロイズ、ビル、ユービスに集まってもらう。
「さて、今日、集まってもらったのは他でもない、資金集めについてよ!」
「また、何かされるとぼんやり聞いていますが……」
「そうね!ひとつは、水車の増設を考えているの!」
あぁ、あれかとビルとユービスは頷きあった。商人たるもの常に新しい情報を取り入れているところは、引退した今でも変わりない。
そして、見に行ったのだろう、口振りからして。
「あれは、どこかから仕入れたのですか?」
「えぇ、このまえ、エルドアの友人と会うことになって、そのときに視察にでたの。そこでニコライに教えてもらったわ!」
「なるほど……ニコライなら、あちこち出歩いてますからね!それに、ビルや私と違い、アンナリーゼ様なら……といつも何かを探しています」
「本当に、あの自信のなかったニコライが、大きな商売をするようになれるとは……親としてはとても嬉しいです」
「ビルは、とんだ繋がりを息子が持ったものだな!」
昔は、アンバー領内外で大商人として競い合っていたビルとユービスが、ニコライを褒め笑いあっている。その姿は、私が来るまでは、誰も予想出来なかった光景らしい。大店どおし、牽制し合っていたのだから。今のアンバー領は、領地が大きな産地であり店であるのでその心配はなかった。
「それで、あの水車を他にも何台か作るということですよね?」
「そう、その資金をまず、集めたいの。私費で作ってもいいのだけど……それって、アンバーのためには、ならないでしょ?今年は、麦を3期目作ってみるという試みがあるって聞いてはいるんだけど、それを売ったとして……他に資金源が欲しいなって」
「それでしたら、ロイドの作った香水はどうでしょうか?」
「もちろん、それも資金源にしようとしているわ!あとは……売れるように何かしないといけないのだけど……しばらく、社交界に出ないから、どうしたものかと……」
私は、領地へ帰ってきたのだから、次の夏まで、ここにいるつもりであった。
「それでしたら……ナタリー様にお願いして女性のお友達へ広めていただくのはいかがですか?」
「それは、もちろん、考えているのだけど……うーん、どうしましょう」
「アンナリーゼ様、その、香水を見せていただけますか?」
ユービスが興味を持ったようだ。私は、リアンにお願いすると、部屋から持ってきてくれた。
「昨日、それぞれ匂いを確かめてみたのだけど、ほんのり香る……そんな感じでとても品のいいものなのよ!例えばだけど、ベッドにシュッとひとふきしたら、安らいで眠れるような気がするわ!」
「嗅いでみてもいいでしょうか?」
「えぇ、もちろんよ!」
それぞれが、1本ずつ、小瓶を手に取って嗅いでいる。ほんわり香るが、この香りは、かなり持続性があると思う。今、私たちが使っているものは、匂いがきつく、しかもすぐに消えてしまうこともしばしばあった。
「わっ、これは……いい香りですね!私の持っているのはリンゴ……ジェラン侯爵夫人が大層喜ばれそうなものですね!」
「カレンは、リンゴが大好きですものね!実家の特産品でもあるけど……これは、喜ぶと思うわ!瑞々しいリンゴの甘酸っぱい感じがよく出ているわよね!」
「それなら、この香水を入れるボトルをリンゴの形にしたらどうですか?ラズベリーなら、裸体の女性を作ってしまうのですから、それくらい、出来てしまうでしょう?」
「そうね!そういえば、ロイドは、どんなふうにラズへお願いしたの?」
「香水を入れる容器都だけ……」
「そう……それなら、ラズを呼び寄せて……私が、向かってもいいわね!ラズに頼みたい形を考えましょうか?」
「それは……香水よって入れものの形を変えるということ?」
「そうよ、ウィル。今、ウィルが持っているものと、セバスが持っているもは、どちらも薔薇の香水なの。一度交換してみて!」
「色が違うけど……セバス」
「あぁ、本当だ。ウィルが持っていたもは、青い」
蓋をあけ匂いを嗅いでいる二人。顔が変わった。
「同じ薔薇の香水なのに、こっちの青いのとそっちの赤いものは香りの雰囲気と言えばいいのかな?全然違うね!」
「確かに……例えるなら……うーん、こっちが姫さんで、そっちがナタリーって感じ」
「どういうことですか?ウィル様」
「こっちの赤いのは、野に咲く一輪の大花って感じで、そっちは、なんていうか、いろんな可能性を秘めているみたいな感じ?」
「……アンナリーゼ様は野に咲く大花……服飾の未来を担っていると言われるナタリー様ということでしょうか?」
「あぁ、そんな感じ」
「ウィルは、そう思うんだ?僕は、こっちの青い香水は、アンナリーゼ様の香水だと思ったよ!僕に取って、青薔薇は、アンナリーゼ様とジョージア様のイメージだからね!」
「卒業式な!それ言われると、そうかも。プロポーズも青薔薇渡してたよな?確か」
「あぁ、あったね!卒業式にジョージア様が乱入して!」
「ちょ、ちょっと、ウィルとセバス!その話は、よくなくて?」
姫さん顔が赤い!と茶化すウィルに、セバスも苦笑いをし、訳知り顔のビルが微笑む。ユービスとリアン、ロイドは知らない話に、顔を見合わせていた。
「リアンたちは知らないから教えてあげるよ!気になるだろ?」
そういって、ウィルは卒業式の話をし始めた。素敵ですね!と声を揃えていうみなに、ウィルがニッコリ笑う。
「あのジョージア様も、うちのお姫様のお転婆ぶりがうつったのかと思ったよ!さすがに卒業式に乱入な上にプロポーズまでして、さらに赤薔薇の称号を2年連続掻っ攫っていくとかさ!」
「ウィルーっ!」
恥ずかしさに思わず、叫んでしまう。納得しましたとリアンが、ジョージアの溺愛っぷりに頷いたとき、みなが生暖かい視線を送ってきたのであった。
「さて、今日、集まってもらったのは他でもない、資金集めについてよ!」
「また、何かされるとぼんやり聞いていますが……」
「そうね!ひとつは、水車の増設を考えているの!」
あぁ、あれかとビルとユービスは頷きあった。商人たるもの常に新しい情報を取り入れているところは、引退した今でも変わりない。
そして、見に行ったのだろう、口振りからして。
「あれは、どこかから仕入れたのですか?」
「えぇ、このまえ、エルドアの友人と会うことになって、そのときに視察にでたの。そこでニコライに教えてもらったわ!」
「なるほど……ニコライなら、あちこち出歩いてますからね!それに、ビルや私と違い、アンナリーゼ様なら……といつも何かを探しています」
「本当に、あの自信のなかったニコライが、大きな商売をするようになれるとは……親としてはとても嬉しいです」
「ビルは、とんだ繋がりを息子が持ったものだな!」
昔は、アンバー領内外で大商人として競い合っていたビルとユービスが、ニコライを褒め笑いあっている。その姿は、私が来るまでは、誰も予想出来なかった光景らしい。大店どおし、牽制し合っていたのだから。今のアンバー領は、領地が大きな産地であり店であるのでその心配はなかった。
「それで、あの水車を他にも何台か作るということですよね?」
「そう、その資金をまず、集めたいの。私費で作ってもいいのだけど……それって、アンバーのためには、ならないでしょ?今年は、麦を3期目作ってみるという試みがあるって聞いてはいるんだけど、それを売ったとして……他に資金源が欲しいなって」
「それでしたら、ロイドの作った香水はどうでしょうか?」
「もちろん、それも資金源にしようとしているわ!あとは……売れるように何かしないといけないのだけど……しばらく、社交界に出ないから、どうしたものかと……」
私は、領地へ帰ってきたのだから、次の夏まで、ここにいるつもりであった。
「それでしたら……ナタリー様にお願いして女性のお友達へ広めていただくのはいかがですか?」
「それは、もちろん、考えているのだけど……うーん、どうしましょう」
「アンナリーゼ様、その、香水を見せていただけますか?」
ユービスが興味を持ったようだ。私は、リアンにお願いすると、部屋から持ってきてくれた。
「昨日、それぞれ匂いを確かめてみたのだけど、ほんのり香る……そんな感じでとても品のいいものなのよ!例えばだけど、ベッドにシュッとひとふきしたら、安らいで眠れるような気がするわ!」
「嗅いでみてもいいでしょうか?」
「えぇ、もちろんよ!」
それぞれが、1本ずつ、小瓶を手に取って嗅いでいる。ほんわり香るが、この香りは、かなり持続性があると思う。今、私たちが使っているものは、匂いがきつく、しかもすぐに消えてしまうこともしばしばあった。
「わっ、これは……いい香りですね!私の持っているのはリンゴ……ジェラン侯爵夫人が大層喜ばれそうなものですね!」
「カレンは、リンゴが大好きですものね!実家の特産品でもあるけど……これは、喜ぶと思うわ!瑞々しいリンゴの甘酸っぱい感じがよく出ているわよね!」
「それなら、この香水を入れるボトルをリンゴの形にしたらどうですか?ラズベリーなら、裸体の女性を作ってしまうのですから、それくらい、出来てしまうでしょう?」
「そうね!そういえば、ロイドは、どんなふうにラズへお願いしたの?」
「香水を入れる容器都だけ……」
「そう……それなら、ラズを呼び寄せて……私が、向かってもいいわね!ラズに頼みたい形を考えましょうか?」
「それは……香水よって入れものの形を変えるということ?」
「そうよ、ウィル。今、ウィルが持っているものと、セバスが持っているもは、どちらも薔薇の香水なの。一度交換してみて!」
「色が違うけど……セバス」
「あぁ、本当だ。ウィルが持っていたもは、青い」
蓋をあけ匂いを嗅いでいる二人。顔が変わった。
「同じ薔薇の香水なのに、こっちの青いのとそっちの赤いものは香りの雰囲気と言えばいいのかな?全然違うね!」
「確かに……例えるなら……うーん、こっちが姫さんで、そっちがナタリーって感じ」
「どういうことですか?ウィル様」
「こっちの赤いのは、野に咲く一輪の大花って感じで、そっちは、なんていうか、いろんな可能性を秘めているみたいな感じ?」
「……アンナリーゼ様は野に咲く大花……服飾の未来を担っていると言われるナタリー様ということでしょうか?」
「あぁ、そんな感じ」
「ウィルは、そう思うんだ?僕は、こっちの青い香水は、アンナリーゼ様の香水だと思ったよ!僕に取って、青薔薇は、アンナリーゼ様とジョージア様のイメージだからね!」
「卒業式な!それ言われると、そうかも。プロポーズも青薔薇渡してたよな?確か」
「あぁ、あったね!卒業式にジョージア様が乱入して!」
「ちょ、ちょっと、ウィルとセバス!その話は、よくなくて?」
姫さん顔が赤い!と茶化すウィルに、セバスも苦笑いをし、訳知り顔のビルが微笑む。ユービスとリアン、ロイドは知らない話に、顔を見合わせていた。
「リアンたちは知らないから教えてあげるよ!気になるだろ?」
そういって、ウィルは卒業式の話をし始めた。素敵ですね!と声を揃えていうみなに、ウィルがニッコリ笑う。
「あのジョージア様も、うちのお姫様のお転婆ぶりがうつったのかと思ったよ!さすがに卒業式に乱入な上にプロポーズまでして、さらに赤薔薇の称号を2年連続掻っ攫っていくとかさ!」
「ウィルーっ!」
恥ずかしさに思わず、叫んでしまう。納得しましたとリアンが、ジョージアの溺愛っぷりに頷いたとき、みなが生暖かい視線を送ってきたのであった。
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