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手強そうだよ?
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私とリアンは公都へ向け、馬にまたがる。乗ったことが無かったというリアンは、1ヶ月ほど練習をして、大人しい馬ならという条件の元、一緒に帰ることになった。
「あのとき、馬をかっておいてよかったわね!」
「この馬は、アンナリーゼ様がこちらに来てから買われた馬なのですか?」
「えぇ、そうよ!災害があった日に、たまたま私が跨ったのがこの子。まだ、名前を決めていなかったわね?」
「何かつけますか?」
「リアンがつけてあげて!私、帰ったら、レナンテがいるから……」
「それでも、アンナリーゼ様につけて欲しいって顔してますよ?」
「馬の顔なんて、わかるの?」
「なんとなくです。みんな、アンナリーゼ様に関わりたいんですよ!」
そうなの?とクスクス笑ながら空を見上げた。
真夏のギラギラ太陽は、長雨のおかげで殆ど今年は体験することもなかったので、外で太陽に当てられると暑いなと感じる。
「リアンは、大丈夫?」
「馬ですか?暑さですか?」
「両方よ!慣れないことしているのだから、遠慮なしに言ってちょうだい。休憩はこまめに取るつもりだから!」
「では、もう少し行ったところで休憩をお願いします」
「水分補給しましょうか……真夏は過ぎても暑いわね!」
えぇと少しだけ頬が赤くなっているリアン。そろそろ限界が近いのだろう。次の町で休憩を取ることにした。
「あのお店に入りましょう!」
「いえ、そんな……」
「私が疲れたのよ!ちょうど、お昼どきも過ぎたところだから、すいているだろうし!行きましょう!」
リアンを連れて店まで行くと、まず、馬屋に連れて行ってくれた。馬にも休憩が必要なので、お水と干し草をもらって休憩をさせた。
「リアン、何にする?」
「冷たいお水が、まず欲しいです」
かしこまりましたと店員が下がっていく。余程疲れたのだろう。
「無理をさせてごめんね……」
「いえ、私もナタリーさんみたいに慣れていれば、ご迷惑をかけないのですが……」
「いいのよ!ナタリーも自身で動き回っているから、慣れただけだから」
「でも、デリアも乗れるのですよね?」
「えぇ、でも、侍女に馬に乗ってついてこいなんて言うのは、世界広くても私だけだから!」
「……精進します。レオまで、馬に乗れるんですよね?」
「レオは、今後必要になるからね。ミアも乗りたいって言っていたから、そのうち……」
「子どもの成長をこんなことで感じるとは……」
お水をどうぞと机に置いてもらい、急いで飲むリアン。余程、喉が乾いていたのだろう。
「ふぅ……生きた心地がします」
「よかった。それじゃあ、お昼を頼みましょう!」
それぞれ好きなものを頼み、ホクホクと食べる。お腹がすいていたので、とてもおいしく感じた。
食べ終わった後に、少しだけ探りを入れることにする。
そう、アデルのことを……
「リアンはさ、再婚とか考えてはいないの?」
「再婚ですか?」
「うん、そう。再婚まではいかずとも、お付き合いする人とかいたらいいなとか……」
「男爵家にいたときは……思ったりもしました。違う未来があったんじゃないかって……でも、今は、子どもたちがウィル様の養子になり、手がかからなくなってしまいましたが、近くで成長を見られることが何より幸せで……ここ数年で生活がガラッと変わってしまったのと、子どもたちがいるので私は何もこれ以上は望みません」
「そう……レオとミアは、ウィルにとっても大事な子どもたちになっているからね!でもさ、リアンももっと幸せになってもいいと思うよ!辛い思いもしてきていたのでしょ?少しだけ、自分自身の幸せも考えてみて!いい人が出来たら、デリアとナタリーを誘ってお茶会をしましょ!」
「アンナリーゼ様……ありがとうございます」
「何もお礼を言われることはないよ!私は、ただ、リアンにも幸せになってほしいの。私が、壊してしまったものもあるだろうし……」
「そんなことはありません。男爵家では、ずっと子どもたちにまで我慢させるような生活をさせていたのです。今は、本当に幸せで、デリアといつもアンナリーゼ様に仕えられたことを本当に幸せに思っていると話しているんです!」
「そう……焦ることはないし、気が向いたらでいいの。誰かの側に寄り添えたらいいなと思っただけだから」
食後のお茶を飲み終え、さてと……と立ち上がると、リアンも同じように立ち上がる。
行きましょうかと声をかけ、美味しかったです!と店員にお金を渡す。
「リアン、まだまだ、先は長いけど……頑張ってくれるかしら?」
「もちろんです!私が足を引っ張ってしまって、申し訳ないです……」
「そんなことないわ!こうして、周りを見ながらの旅は、得るものがあることもあるから、気にしないでちょうだい。それより、帰って早々、謁見が待っているから、準備もお願いね!」
「デリアへ手紙を書いてくださったおかげで、すでに準備は始まっているようです」
「そう、今回のドレスはどんなのかしら?」
「夏なので涼し気な薄い黄色のドレスだと聞いていますよ!私もまだ、見ていないので楽しみです!ナタリー様が作った最新作だそうです!」
5日間かけ、コーコナ領から公都についた。その間、リアンとはいろいろな話をすることができた。
アデルには、散々、リアンさんには何も言わないでと言っていたにも関わらず、ちょこちょことアデルのいいところをアピールしてみたが……はぐらかされてばかりだ。リアンは手ごわそうだよと心の中でアデルに向かって呟く。
「やっと、屋敷についたね!今日は、リアンはもう下がっていいよ!ディルがいてくれるから」
「ありがとうございます!では、先に失礼します」
屋敷の玄関で、ディルやデリアたち侍従に迎え入れられ、ただいまと微笑んだ。
「あのとき、馬をかっておいてよかったわね!」
「この馬は、アンナリーゼ様がこちらに来てから買われた馬なのですか?」
「えぇ、そうよ!災害があった日に、たまたま私が跨ったのがこの子。まだ、名前を決めていなかったわね?」
「何かつけますか?」
「リアンがつけてあげて!私、帰ったら、レナンテがいるから……」
「それでも、アンナリーゼ様につけて欲しいって顔してますよ?」
「馬の顔なんて、わかるの?」
「なんとなくです。みんな、アンナリーゼ様に関わりたいんですよ!」
そうなの?とクスクス笑ながら空を見上げた。
真夏のギラギラ太陽は、長雨のおかげで殆ど今年は体験することもなかったので、外で太陽に当てられると暑いなと感じる。
「リアンは、大丈夫?」
「馬ですか?暑さですか?」
「両方よ!慣れないことしているのだから、遠慮なしに言ってちょうだい。休憩はこまめに取るつもりだから!」
「では、もう少し行ったところで休憩をお願いします」
「水分補給しましょうか……真夏は過ぎても暑いわね!」
えぇと少しだけ頬が赤くなっているリアン。そろそろ限界が近いのだろう。次の町で休憩を取ることにした。
「あのお店に入りましょう!」
「いえ、そんな……」
「私が疲れたのよ!ちょうど、お昼どきも過ぎたところだから、すいているだろうし!行きましょう!」
リアンを連れて店まで行くと、まず、馬屋に連れて行ってくれた。馬にも休憩が必要なので、お水と干し草をもらって休憩をさせた。
「リアン、何にする?」
「冷たいお水が、まず欲しいです」
かしこまりましたと店員が下がっていく。余程疲れたのだろう。
「無理をさせてごめんね……」
「いえ、私もナタリーさんみたいに慣れていれば、ご迷惑をかけないのですが……」
「いいのよ!ナタリーも自身で動き回っているから、慣れただけだから」
「でも、デリアも乗れるのですよね?」
「えぇ、でも、侍女に馬に乗ってついてこいなんて言うのは、世界広くても私だけだから!」
「……精進します。レオまで、馬に乗れるんですよね?」
「レオは、今後必要になるからね。ミアも乗りたいって言っていたから、そのうち……」
「子どもの成長をこんなことで感じるとは……」
お水をどうぞと机に置いてもらい、急いで飲むリアン。余程、喉が乾いていたのだろう。
「ふぅ……生きた心地がします」
「よかった。それじゃあ、お昼を頼みましょう!」
それぞれ好きなものを頼み、ホクホクと食べる。お腹がすいていたので、とてもおいしく感じた。
食べ終わった後に、少しだけ探りを入れることにする。
そう、アデルのことを……
「リアンはさ、再婚とか考えてはいないの?」
「再婚ですか?」
「うん、そう。再婚まではいかずとも、お付き合いする人とかいたらいいなとか……」
「男爵家にいたときは……思ったりもしました。違う未来があったんじゃないかって……でも、今は、子どもたちがウィル様の養子になり、手がかからなくなってしまいましたが、近くで成長を見られることが何より幸せで……ここ数年で生活がガラッと変わってしまったのと、子どもたちがいるので私は何もこれ以上は望みません」
「そう……レオとミアは、ウィルにとっても大事な子どもたちになっているからね!でもさ、リアンももっと幸せになってもいいと思うよ!辛い思いもしてきていたのでしょ?少しだけ、自分自身の幸せも考えてみて!いい人が出来たら、デリアとナタリーを誘ってお茶会をしましょ!」
「アンナリーゼ様……ありがとうございます」
「何もお礼を言われることはないよ!私は、ただ、リアンにも幸せになってほしいの。私が、壊してしまったものもあるだろうし……」
「そんなことはありません。男爵家では、ずっと子どもたちにまで我慢させるような生活をさせていたのです。今は、本当に幸せで、デリアといつもアンナリーゼ様に仕えられたことを本当に幸せに思っていると話しているんです!」
「そう……焦ることはないし、気が向いたらでいいの。誰かの側に寄り添えたらいいなと思っただけだから」
食後のお茶を飲み終え、さてと……と立ち上がると、リアンも同じように立ち上がる。
行きましょうかと声をかけ、美味しかったです!と店員にお金を渡す。
「リアン、まだまだ、先は長いけど……頑張ってくれるかしら?」
「もちろんです!私が足を引っ張ってしまって、申し訳ないです……」
「そんなことないわ!こうして、周りを見ながらの旅は、得るものがあることもあるから、気にしないでちょうだい。それより、帰って早々、謁見が待っているから、準備もお願いね!」
「デリアへ手紙を書いてくださったおかげで、すでに準備は始まっているようです」
「そう、今回のドレスはどんなのかしら?」
「夏なので涼し気な薄い黄色のドレスだと聞いていますよ!私もまだ、見ていないので楽しみです!ナタリー様が作った最新作だそうです!」
5日間かけ、コーコナ領から公都についた。その間、リアンとはいろいろな話をすることができた。
アデルには、散々、リアンさんには何も言わないでと言っていたにも関わらず、ちょこちょことアデルのいいところをアピールしてみたが……はぐらかされてばかりだ。リアンは手ごわそうだよと心の中でアデルに向かって呟く。
「やっと、屋敷についたね!今日は、リアンはもう下がっていいよ!ディルがいてくれるから」
「ありがとうございます!では、先に失礼します」
屋敷の玄関で、ディルやデリアたち侍従に迎え入れられ、ただいまと微笑んだ。
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