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公都へ帰る日
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災害の現場が片付いたとアデルから報告があった。山から流れてきた土石流は、別のところへ移動させ、何かに利用するらしい。それと同時に植林をするという話になっているので、その準備にかかっているらしい。
「そういえば、植林に植える木は何か聞いていますか?」
「栗の木よね?たしか」
「そうです。栗の木を予定しているのですけど……なぜ栗かご存じですか?」
「食べられるから!」
「アンナ?」
「なんでしょう?ジョージア様」
「食べられるから、栗の木って……」
「アルカがいうには、広葉樹を植える必要があると言うのです。そうするとですね?季節になると食べられる栗だったら、いいのにな?っていうことを呟いたら決まりました!お兄様もモンブランが大好きなので、ちょうどいいかなって!」
「……兄妹の甘いもの好き、恐るべし」
「むぅ、どういう意味ですか?」
アンナが思っているそのままだよと言われると、膨れていた頬をさらに膨らませる。
「栗の木は他にも何か使い道があるのかい?」
「使い道は特に考えていませんが、落葉ですから、葉っぱを集めて土とかき混ぜ、腐葉土にするのもいいかと思っています。今、ちょうど、土石流で大量の山の土があるので、それと混ぜて、痩せた畑にまくのはどうかなって……」
「そういう使い方があるんですか?」
「そういう使い方をするために土を別にしたんじゃなかったの?」
「とりあえず、邪魔だからどけたと思っていました……」
「はぁ……腐葉土を作れば、お金にもなるのよね……一時的なものだから、領地で使うことになるでしょうけど!」
アデルがやけに感心しているが……普通のことだろうとジョージアの方を見たら、こちらも感心していた。
領主たるもの、使えるものは使うべしっ!これ、すなわち、なるべく捨てないということなのだが、どうも感覚が違うらしい。
「さっきの話、ノクトさんにもしておきます」
「えぇ、しておいてくれる?腐葉土って、そんなすぐにできるものではないから……気長に領地のために作りましょうと言っておいてくれる?」
「わかりました」
「あと、片付いたのなら、数日休暇を取ってちょうだい。予定通り半分がアンバーへ先発してほしいの!」
「アンナ様は、どうされるのですか?」
「公への報告があるから、まずは公都に帰るわ!そのあと子どもたちやウィルたちと合流して、アンバーへ向かう。ひと月くらい先行する形になるけど、イチアには受入れの話をしてあるから、準備は整っているはずよ!」
「イチアさん……元気ですかね?」
「この前の報告書を読む限りでは、そろそろ手一杯だから帰ってきてほしいと書いてあったわ!私とセバス、ノクトの分の仕事を一手に引き受けてくれているのだもの……申し訳ない気持ちは、もちろんあるのよ?使えない文官を何人も使いながらだから、効率を考えたら、イチアが全てしてしまった方がきっと早いでしょうしね」
ため息をつくと、イチアさんって本当にすごいんですねと感心している。
「アデル、感心してるけど、あなたもそのうちの一人になるんだから、領地に帰ったら覚悟しなさい!子どものおつかいのような仕事だと、叩きのめすわよ?」
「……アンナ様」
「任せておいて!訓練には私も参加するし、ウィルの子どもも参加するから負けないようにしないとね?」
「……訓練出るんですか?」
「これでも、命を狙われているもんだからね……鍛えておかないと。守る人が多いの!」
ニコリと微笑むと、そうですねとアデルは返事をした。
「アンナ様は、いつ公都に戻られるのですか?」
「明日かな?」
「明日ですか?」
「えぇ、ヨハンから連絡が来て、終息に向かっているってことだし、見守ることしかできない私の役目は、ジョージア様に変わってもらって、そろそろ動き出そうと思って」
「また、何か考えているのですか?」
「そんなことはないわ!ただ、帰りたいのよ……アンバーに」
「すっかり、アンナの故郷になっているね?」
「アンバーは第3の故郷ですよ!」
「ちなみに、第1と第2はどこなんですか?」
「第1はトワイスの王都!私の生まれ育った場所だもの!」
「第2は?」
「もちろん、フレイゼン領よ!学都は私の遊び場よ!そして、第3がアンバー領!」
なるほどと頷く二人に、そういえば、アンナ様はローズディアの令嬢では無かったのですね?と言っている。
全く、忘れてもらっては困るが、私は、トワイス国フレイゼン侯爵の娘だ。もちろん、お里はどこですか?と言われれば、トワイス国とフレイゼン領を答えるに決まっている。
「アンナ様と長く一緒にいたので、離れるとなると寂しくなりますね?」
「私と離れるのが寂しいんじゃなくて、私のお供についてくるリアンと離れ離れになるから寂しいんでしょ?」
「そ、そんなことはありませんよ!だいたい、リアンさんのことでからかわないでください!」
「私が、何かありましたか?」
旅に出る私たちは、最低限の荷物だけ持って、馬で移動することになっている。馬車でナタリーが追いかけてきてくれることになっているので、そこに荷物を入れて来てもらう予定であった。
「いえ、何も。何もないです!報告は以上なので、下がります!アンナ様、くれぐれも道中でへんなことはしないでくださいね!あと、気を付けてお帰りください!」
「ありがとう。ディルの子猫たちも見守ってくれているから大丈夫よ!アデルも、アンバーまで道のりは大変だけど、よろしくね!」
はいと言って出ていくアデルの後ろを姿を見送った。
明日からは、リアンと二人きり……アデルの話でもしっかり振ってみようと笑うと、アンナの悪い顔だなと苦笑いするジョージアであった。
「そういえば、植林に植える木は何か聞いていますか?」
「栗の木よね?たしか」
「そうです。栗の木を予定しているのですけど……なぜ栗かご存じですか?」
「食べられるから!」
「アンナ?」
「なんでしょう?ジョージア様」
「食べられるから、栗の木って……」
「アルカがいうには、広葉樹を植える必要があると言うのです。そうするとですね?季節になると食べられる栗だったら、いいのにな?っていうことを呟いたら決まりました!お兄様もモンブランが大好きなので、ちょうどいいかなって!」
「……兄妹の甘いもの好き、恐るべし」
「むぅ、どういう意味ですか?」
アンナが思っているそのままだよと言われると、膨れていた頬をさらに膨らませる。
「栗の木は他にも何か使い道があるのかい?」
「使い道は特に考えていませんが、落葉ですから、葉っぱを集めて土とかき混ぜ、腐葉土にするのもいいかと思っています。今、ちょうど、土石流で大量の山の土があるので、それと混ぜて、痩せた畑にまくのはどうかなって……」
「そういう使い方があるんですか?」
「そういう使い方をするために土を別にしたんじゃなかったの?」
「とりあえず、邪魔だからどけたと思っていました……」
「はぁ……腐葉土を作れば、お金にもなるのよね……一時的なものだから、領地で使うことになるでしょうけど!」
アデルがやけに感心しているが……普通のことだろうとジョージアの方を見たら、こちらも感心していた。
領主たるもの、使えるものは使うべしっ!これ、すなわち、なるべく捨てないということなのだが、どうも感覚が違うらしい。
「さっきの話、ノクトさんにもしておきます」
「えぇ、しておいてくれる?腐葉土って、そんなすぐにできるものではないから……気長に領地のために作りましょうと言っておいてくれる?」
「わかりました」
「あと、片付いたのなら、数日休暇を取ってちょうだい。予定通り半分がアンバーへ先発してほしいの!」
「アンナ様は、どうされるのですか?」
「公への報告があるから、まずは公都に帰るわ!そのあと子どもたちやウィルたちと合流して、アンバーへ向かう。ひと月くらい先行する形になるけど、イチアには受入れの話をしてあるから、準備は整っているはずよ!」
「イチアさん……元気ですかね?」
「この前の報告書を読む限りでは、そろそろ手一杯だから帰ってきてほしいと書いてあったわ!私とセバス、ノクトの分の仕事を一手に引き受けてくれているのだもの……申し訳ない気持ちは、もちろんあるのよ?使えない文官を何人も使いながらだから、効率を考えたら、イチアが全てしてしまった方がきっと早いでしょうしね」
ため息をつくと、イチアさんって本当にすごいんですねと感心している。
「アデル、感心してるけど、あなたもそのうちの一人になるんだから、領地に帰ったら覚悟しなさい!子どものおつかいのような仕事だと、叩きのめすわよ?」
「……アンナ様」
「任せておいて!訓練には私も参加するし、ウィルの子どもも参加するから負けないようにしないとね?」
「……訓練出るんですか?」
「これでも、命を狙われているもんだからね……鍛えておかないと。守る人が多いの!」
ニコリと微笑むと、そうですねとアデルは返事をした。
「アンナ様は、いつ公都に戻られるのですか?」
「明日かな?」
「明日ですか?」
「えぇ、ヨハンから連絡が来て、終息に向かっているってことだし、見守ることしかできない私の役目は、ジョージア様に変わってもらって、そろそろ動き出そうと思って」
「また、何か考えているのですか?」
「そんなことはないわ!ただ、帰りたいのよ……アンバーに」
「すっかり、アンナの故郷になっているね?」
「アンバーは第3の故郷ですよ!」
「ちなみに、第1と第2はどこなんですか?」
「第1はトワイスの王都!私の生まれ育った場所だもの!」
「第2は?」
「もちろん、フレイゼン領よ!学都は私の遊び場よ!そして、第3がアンバー領!」
なるほどと頷く二人に、そういえば、アンナ様はローズディアの令嬢では無かったのですね?と言っている。
全く、忘れてもらっては困るが、私は、トワイス国フレイゼン侯爵の娘だ。もちろん、お里はどこですか?と言われれば、トワイス国とフレイゼン領を答えるに決まっている。
「アンナ様と長く一緒にいたので、離れるとなると寂しくなりますね?」
「私と離れるのが寂しいんじゃなくて、私のお供についてくるリアンと離れ離れになるから寂しいんでしょ?」
「そ、そんなことはありませんよ!だいたい、リアンさんのことでからかわないでください!」
「私が、何かありましたか?」
旅に出る私たちは、最低限の荷物だけ持って、馬で移動することになっている。馬車でナタリーが追いかけてきてくれることになっているので、そこに荷物を入れて来てもらう予定であった。
「いえ、何も。何もないです!報告は以上なので、下がります!アンナ様、くれぐれも道中でへんなことはしないでくださいね!あと、気を付けてお帰りください!」
「ありがとう。ディルの子猫たちも見守ってくれているから大丈夫よ!アデルも、アンバーまで道のりは大変だけど、よろしくね!」
はいと言って出ていくアデルの後ろを姿を見送った。
明日からは、リアンと二人きり……アデルの話でもしっかり振ってみようと笑うと、アンナの悪い顔だなと苦笑いするジョージアであった。
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