655 / 1,480
経過観察
しおりを挟む
領地を回ってからというもの。ジョージアへ引継ぎは、綿密にしておく。慣れない土地での采配については、初心者どうぜんのジョージアなのだから、しっかり予習復習は必要だ。
元々、私より優秀なものだから、ひょいひょいっと出来てしまうのが、やはり憎らしい。
「どうしたんだい?」
「憎らしいです!」
「俺が?」
「はいっ!とっても!」
「どうして?」
どうしてには答えず、書き物をしているところを見た。あぁ、と言う顔になり、何が言いたいのかわかったようだ。
「そりゃ、こっちはアンナより得意だからね?アンナは、苦手でしょ?」
クスっと笑われたのは腹立たしいが、正解なので黙っておく。
何も言わなかったことをいいことに、ジョージアにからかわれる。
「アンナは、勉強が苦手だったもんね……教えたとき、かなり根気よく教えた記憶があるよ!」
「そうですね!おかげ様で、ウィルに生クリームたっぷりのケーキを奢ってもらいましたよ!とても甘くてふわふわしてて、さらに追い生クリームまで……幸せでした」
「そういえば、最近、見かけないね?生クリームたっぷりケーキを食べている姿を。やめたの?」
「……やめてないです。決してやめてないですよ!食べる機会がぐっと減っただけで……」
「忙しくて食べている暇がないってこと?」
「…………そうですよ」
思い出したら、食べたくなりましたと苦笑いする。お腹が、生クリーの気分になり、どうしてくれようと考えていた。
「屋敷に帰ったら、アンジーたちを連れて食べに行ってくるといい!キティが作ってくれるだろ?」
「そうですね!レオたちも誘って、みなで食べてきます!」
「いや、みなはいらないと思うけど……あんなの食べられるのアンナとアンジーくらいだから!」
「えっ?お兄様も食べますよ?」
「うそっ!あんな甘いのを大量に?エリザベスの方じゃないの?それって」
「違いますよ!エリザベスは、甘いものは好きですけど、私やお兄様はほどではありませんよ!むしろ、私たちが甘いものを存分に楽しむときは、苦いコーヒーというものをのんでいます」
初めて知ったよ!と驚くジョージア。私たちにもまだ知らないお互いがあることを確認した。
仲良く執務をしていると、リアンが手紙ですと渡してくれる。
「あっ、リアン待って!」
「はい、どうされましたか?」
「部屋を出たら、まず、石鹸で手を洗って!十分に泡立たせて!」
「……はい」
「そのあと、度数の高いお酒で手を擦っておいて!」
「わかりました」
部屋から出ていくリアンは、私の言わんとすることがわからなかったようだが、早速、手を洗いに行ってくれた用だった。
「何かあるのかい?」
「ヨハンからの手紙だったので……」
「あぁ、なるほど」
「手を洗うはわかるけど、お酒を手に塗るの?」
「はい。純度の高いものを塗ると、もし、伝染病の菌がついていたとしても、駆除できるらしいので!」
「それは、誰から聞いたの?」
「この前、ヨハンにあったときに、万が一を言われて増した。そうだ!それも、もし、あの村と町以外に広がった場合、公布してください。手洗いと消毒。お水の煮沸は、最低限してと」
「あぁ、わかった。とりあえず、読もうか、その手紙」
「えぇ、そうしましょう」
ヨハンから届いた手紙を開く。
まず最初に書いてあったのは、今リアンとのやり取りそのままが書かれていた。私はクスっと笑うと、さすがに医師だねとジョージアも感心する。
「うーん、伝染病ですけど……一旦は広がりを見せていたようですね。高純度のお酒での消毒や手洗いうがい、煮沸をさらに強化したところ、少し収まったと書かれてありますね」
「基本的なことだね」
「そうですね。そのあと、治験のため、ヨハンの助手に薬を処方した様子が書かれていますね。回復傾向にあるとのこと。罹ったうち、三名は完治したそうです」
「それは、よかった!」
「効果がみられたので、他の人にも処方したようですね。軽い症状の人なら1日飲めば治ったようです。重症になってくると、数日かかるようですが、今のところ、終息が見えてきたらしいです。あと、私が摘んだ葉っぱが役にたったと書いてあるんですけど……」
「アンナが?何をしたんだい?」
「ジョージア様が来る前に、ヨハンに薬が足りないと言われ、採りに行ったことは言いましたよね?」
わぁ、確か例の花のこともそこで聞いたねと頷く。例の花とは、麻薬の原料となる花のことなのだが、それは、今、ノクトが囲いを作りに行ってくれている。
「そこで、解熱剤となる薬も取っておいたんです」
「解熱剤?」
「えぇ、一般的な解熱剤の薬草とは違うんですけど……お母様に、この薬草の解熱剤はよく効くから、見つけたら必要分だけ採っておきなさいと言われるものなのですけど」
「そんな薬草の知識があるのかい?」
「多少です。解毒剤はヨハンから習いましたけど、日常的な薬なら、お母様が作り方から薬草の種類まで教えてくれています」
「なんだか、いよいよ、お義母さんがすごい人に感じるよ!」
「お父様もお母様もすごい人ですよ!」
両親の自慢をすると、あぁそうだねと笑われた。小さな子どもが誇っているかのような扱いに少々むっとする。
「それで、その薬草がたくさんあったので、入れておいたのです。使うかどうかは別として。ヨハンはさすがですね!その薬草のことを知っていたみたいです」
「なるほど……それを今回の治験に利用したのか」
「そうみたいです。この時期にしか採れないものなので、採って乾燥をしておいてほしいらしいです」
「そうすると、いつでも使えるってことだね?また、いつ広がるかわからないから、安心だね?」
「そうですね!もし、黒幕がいたとして、他の領地でこれを広げられたら……打つ手がありませんからね。備えて起きましょう!」
私は、ジョージアに渡す、することを書き出した紙に書き加えた。
タンザにお願いしてほしいということは、知っているということだ。早速手紙をかくことにしたのである。
元々、私より優秀なものだから、ひょいひょいっと出来てしまうのが、やはり憎らしい。
「どうしたんだい?」
「憎らしいです!」
「俺が?」
「はいっ!とっても!」
「どうして?」
どうしてには答えず、書き物をしているところを見た。あぁ、と言う顔になり、何が言いたいのかわかったようだ。
「そりゃ、こっちはアンナより得意だからね?アンナは、苦手でしょ?」
クスっと笑われたのは腹立たしいが、正解なので黙っておく。
何も言わなかったことをいいことに、ジョージアにからかわれる。
「アンナは、勉強が苦手だったもんね……教えたとき、かなり根気よく教えた記憶があるよ!」
「そうですね!おかげ様で、ウィルに生クリームたっぷりのケーキを奢ってもらいましたよ!とても甘くてふわふわしてて、さらに追い生クリームまで……幸せでした」
「そういえば、最近、見かけないね?生クリームたっぷりケーキを食べている姿を。やめたの?」
「……やめてないです。決してやめてないですよ!食べる機会がぐっと減っただけで……」
「忙しくて食べている暇がないってこと?」
「…………そうですよ」
思い出したら、食べたくなりましたと苦笑いする。お腹が、生クリーの気分になり、どうしてくれようと考えていた。
「屋敷に帰ったら、アンジーたちを連れて食べに行ってくるといい!キティが作ってくれるだろ?」
「そうですね!レオたちも誘って、みなで食べてきます!」
「いや、みなはいらないと思うけど……あんなの食べられるのアンナとアンジーくらいだから!」
「えっ?お兄様も食べますよ?」
「うそっ!あんな甘いのを大量に?エリザベスの方じゃないの?それって」
「違いますよ!エリザベスは、甘いものは好きですけど、私やお兄様はほどではありませんよ!むしろ、私たちが甘いものを存分に楽しむときは、苦いコーヒーというものをのんでいます」
初めて知ったよ!と驚くジョージア。私たちにもまだ知らないお互いがあることを確認した。
仲良く執務をしていると、リアンが手紙ですと渡してくれる。
「あっ、リアン待って!」
「はい、どうされましたか?」
「部屋を出たら、まず、石鹸で手を洗って!十分に泡立たせて!」
「……はい」
「そのあと、度数の高いお酒で手を擦っておいて!」
「わかりました」
部屋から出ていくリアンは、私の言わんとすることがわからなかったようだが、早速、手を洗いに行ってくれた用だった。
「何かあるのかい?」
「ヨハンからの手紙だったので……」
「あぁ、なるほど」
「手を洗うはわかるけど、お酒を手に塗るの?」
「はい。純度の高いものを塗ると、もし、伝染病の菌がついていたとしても、駆除できるらしいので!」
「それは、誰から聞いたの?」
「この前、ヨハンにあったときに、万が一を言われて増した。そうだ!それも、もし、あの村と町以外に広がった場合、公布してください。手洗いと消毒。お水の煮沸は、最低限してと」
「あぁ、わかった。とりあえず、読もうか、その手紙」
「えぇ、そうしましょう」
ヨハンから届いた手紙を開く。
まず最初に書いてあったのは、今リアンとのやり取りそのままが書かれていた。私はクスっと笑うと、さすがに医師だねとジョージアも感心する。
「うーん、伝染病ですけど……一旦は広がりを見せていたようですね。高純度のお酒での消毒や手洗いうがい、煮沸をさらに強化したところ、少し収まったと書かれてありますね」
「基本的なことだね」
「そうですね。そのあと、治験のため、ヨハンの助手に薬を処方した様子が書かれていますね。回復傾向にあるとのこと。罹ったうち、三名は完治したそうです」
「それは、よかった!」
「効果がみられたので、他の人にも処方したようですね。軽い症状の人なら1日飲めば治ったようです。重症になってくると、数日かかるようですが、今のところ、終息が見えてきたらしいです。あと、私が摘んだ葉っぱが役にたったと書いてあるんですけど……」
「アンナが?何をしたんだい?」
「ジョージア様が来る前に、ヨハンに薬が足りないと言われ、採りに行ったことは言いましたよね?」
わぁ、確か例の花のこともそこで聞いたねと頷く。例の花とは、麻薬の原料となる花のことなのだが、それは、今、ノクトが囲いを作りに行ってくれている。
「そこで、解熱剤となる薬も取っておいたんです」
「解熱剤?」
「えぇ、一般的な解熱剤の薬草とは違うんですけど……お母様に、この薬草の解熱剤はよく効くから、見つけたら必要分だけ採っておきなさいと言われるものなのですけど」
「そんな薬草の知識があるのかい?」
「多少です。解毒剤はヨハンから習いましたけど、日常的な薬なら、お母様が作り方から薬草の種類まで教えてくれています」
「なんだか、いよいよ、お義母さんがすごい人に感じるよ!」
「お父様もお母様もすごい人ですよ!」
両親の自慢をすると、あぁそうだねと笑われた。小さな子どもが誇っているかのような扱いに少々むっとする。
「それで、その薬草がたくさんあったので、入れておいたのです。使うかどうかは別として。ヨハンはさすがですね!その薬草のことを知っていたみたいです」
「なるほど……それを今回の治験に利用したのか」
「そうみたいです。この時期にしか採れないものなので、採って乾燥をしておいてほしいらしいです」
「そうすると、いつでも使えるってことだね?また、いつ広がるかわからないから、安心だね?」
「そうですね!もし、黒幕がいたとして、他の領地でこれを広げられたら……打つ手がありませんからね。備えて起きましょう!」
私は、ジョージアに渡す、することを書き出した紙に書き加えた。
タンザにお願いしてほしいということは、知っているということだ。早速手紙をかくことにしたのである。
0
お気に入りに追加
120
あなたにおすすめの小説
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
悲恋を気取った侯爵夫人の末路
三木谷夜宵
ファンタジー
侯爵夫人のプリシアは、貴族令嬢と騎士の悲恋を描いた有名なロマンス小説のモデルとして持て囃されていた。
順風満帆だった彼女の人生は、ある日突然に終わりを告げる。
悲恋のヒロインを気取っていた彼女が犯した過ちとは──?
カクヨムにも公開してます。
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
逃した番は他国に嫁ぐ
基本二度寝
恋愛
「番が現れたら、婚約を解消してほしい」
婚約者との茶会。
和やかな会話が落ち着いた所で、改まって座を正した王太子ヴェロージオは婚約者の公爵令嬢グリシアにそう願った。
獣人の血が交じるこの国で、番というものの存在の大きさは誰しも理解している。
だから、グリシアも頷いた。
「はい。わかりました。お互いどちらかが番と出会えたら円満に婚約解消をしましょう!」
グリシアに答えに満足したはずなのだが、ヴェロージオの心に沸き上がる感情。
こちらの希望を受け入れられたはずのに…、何故か、もやっとした気持ちになった。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる