631 / 1,480
アンナ復活!
しおりを挟む
「おかえり、ノクト!」
具合はどうだ?と部屋に入ってきたのは、ノクトだった。相変わらず、自由なようで後ろからリアンが引っ張っていた。
「ノクト様、その濡れた体で、アンナリーゼ様のお部屋に入らないでください!」
「あぁ、すまん……じゃあ、着替えてきてから後程くる!」
「お嬢さんは、具合どうだね?」
続いて泥だらけ……どうしたら、そんなに汚れるのかわからないが汚い恰好でヨハンが入ってきた。
それを見て、卒倒しそうなリアン。
「ヨハンさん!!!」
「ん?」
「その汚い格好で部屋に入らないでください!お二人とも、お風呂に入ってきてからこの部屋に入ってください!だいたい、女性が寝ている寝室に、不躾に入るのはいかがなものかと!」
「えっ?だって、アンナだし?」
「……医者だし?」
二人がきょとんとリアンを見て、それぞれの言い分に盛大にため息をついた。
なんだか、申し訳なさ過ぎて、苦笑いするしかなかった。
「ノクトにヨハン。お風呂に先に入って来てちょうだい。雨に濡れているのでしょ?二人共。あったまってくるといいよ!」
「アンナ様、お加減どうですか?」
そこに、アデルも入ってくる。
「アデルまで……早く三人ともお風呂に入って綺麗にしてから来てください!」
「待って、待って。リアンさん、お風呂ならいただいてきましたら……」
ノクトの後ろに隠れていて気が付かなかったが、アデルはこざっぱりとしていた。
報告があったから来たらしいので、そのまま通してもらう。そして、汚い格好をした二人は、リアンに引っ張られて部屋から追い出されてしまった。
「なんか、リアンさん、荒れてましたね?」
「ノクトとヨハンがね……」
「あぁ、あれはないですよね……さすがに。アンナ様の部屋だって言ってもここは寝室ですもんね?まぁ、寝室に男と二人って言うのもあんまりよろしくないんでしょうけど……」
「ま629. アンナ復活!ぁ、私がアデルより強いからいいんじゃない?」
「簡単な力比べでは、負けるでしょ?さすがに」
「まぁ、ね?」
「アンナ様の戦い方を見てても、わかりますが……ウィル様やエリック様と剣を交えたとき、さすがにまともに合わせてなかったんで、わかりますよ!」
「あぁ、アンナリーゼ杯?」
「えぇ、あれを見て、アンナ様に憧れた一人です。大男なエリック様にも全然負けないし、近衛1と言われてるウィル様に勝ってしまわれたんですから」
「今なら、勝てないわよ!あのときは、まだ、ウィルも成長途中だったし……でも、まぁ、まだ、ウィルは成長途中ね……いつまで、成長するつもりなのかしらね?」
ふふっと笑うと、たぶんですけど……とアデルが言葉を続ける。
「一生アンナ様の背中を追い続けるんだと思います。一緒に仕事をするようになって、端々から感じるウィル様の覚悟的なものは、他の誰よりも大きいですよね」
私は言葉にせず、微笑むだけにした。
今なら、たぶん、釣り合うのだろう。身分は、伯爵であるウィルも1代限りの爵位が本当ならもっと上がっているはずなのだ。断り続けていると聞いていた。
「それはそうと、何か報告があったんじゃないの?」
「あっ、はい。そうでした。アルカの報告があったんです。昨日から降り始めた雨についての報告です。
束の間の晴れによって、多少の水分保有量が減ったと言っていましたが、この2日の雨で、また、元に戻ったようです。雨量が、この前の倍以上の早さだそうです」
「工事はどうかしら?」
「工事の方は、8分目と言うところです」
「8分目か……どうだろう……災害に耐えられるだろうか……」
「まぁ、なんとかなるとは思うぞ!」
サッパリしてきたノクトとヨハンが部屋に入ってきた。
リアンにも、これなら怒られないだろう。後ろからリアンも入ってくる。
「みなさま、おかけになって話されてはどうですか?お茶を今入れますから」
私も話に混ざることにし、ガウンを羽織る。薄いガウンだったので、リアンがふわっとその上から肩掛けをしてくれた。
「それで?」
「あぁ、土木工事な。たぶんだけど、大丈夫だと思う。なんとか耐えられるかと」
「そっか。なら、いいかなぁ……でも、楽観的に考えてはいけないわね。最悪を考えておかないと」
「家の方は、もう後1日2日で出来上がる。外観だけだからな」
「とりあえず、雨風が凌げる場所があればいいわ!」
「それなら、もうすぐ終わる」
私たちは頷きあって、確認をしあった。
いつあるかわからない災害に備えて、動いてくれることで、本当に助かった。少しでも被害が減ることを考えながらここまで動いてくれたみなに感謝だ。
できることなら、災害なんて起こらない方がいいに決まっている。そればかりは、自然のすることだから……私にどうすることも出来ないけど、少しでも対応が出来ていればなんとかなるものだ。
「アルカの見立てでは……たぶん、1週間もしないうちに災害が起きると言っていた。みなにも伝えていいでしょうか?」
「えぇ、出来るだけ情報は共有してちょうだい。きちんと、伝わるようにして」
「わかりました。明日には手配します」
アデルがメモを書き、手続きをする準備をしてくれた。
「で、そっちはどうなんだ?ヨハン」
あぁと話し始めるヨハンに耳を傾ける。
長雨になって起こった伝染病。一体どうなっているのか、気にはなっていた。その報告をきくのであった。
具合はどうだ?と部屋に入ってきたのは、ノクトだった。相変わらず、自由なようで後ろからリアンが引っ張っていた。
「ノクト様、その濡れた体で、アンナリーゼ様のお部屋に入らないでください!」
「あぁ、すまん……じゃあ、着替えてきてから後程くる!」
「お嬢さんは、具合どうだね?」
続いて泥だらけ……どうしたら、そんなに汚れるのかわからないが汚い恰好でヨハンが入ってきた。
それを見て、卒倒しそうなリアン。
「ヨハンさん!!!」
「ん?」
「その汚い格好で部屋に入らないでください!お二人とも、お風呂に入ってきてからこの部屋に入ってください!だいたい、女性が寝ている寝室に、不躾に入るのはいかがなものかと!」
「えっ?だって、アンナだし?」
「……医者だし?」
二人がきょとんとリアンを見て、それぞれの言い分に盛大にため息をついた。
なんだか、申し訳なさ過ぎて、苦笑いするしかなかった。
「ノクトにヨハン。お風呂に先に入って来てちょうだい。雨に濡れているのでしょ?二人共。あったまってくるといいよ!」
「アンナ様、お加減どうですか?」
そこに、アデルも入ってくる。
「アデルまで……早く三人ともお風呂に入って綺麗にしてから来てください!」
「待って、待って。リアンさん、お風呂ならいただいてきましたら……」
ノクトの後ろに隠れていて気が付かなかったが、アデルはこざっぱりとしていた。
報告があったから来たらしいので、そのまま通してもらう。そして、汚い格好をした二人は、リアンに引っ張られて部屋から追い出されてしまった。
「なんか、リアンさん、荒れてましたね?」
「ノクトとヨハンがね……」
「あぁ、あれはないですよね……さすがに。アンナ様の部屋だって言ってもここは寝室ですもんね?まぁ、寝室に男と二人って言うのもあんまりよろしくないんでしょうけど……」
「ま629. アンナ復活!ぁ、私がアデルより強いからいいんじゃない?」
「簡単な力比べでは、負けるでしょ?さすがに」
「まぁ、ね?」
「アンナ様の戦い方を見てても、わかりますが……ウィル様やエリック様と剣を交えたとき、さすがにまともに合わせてなかったんで、わかりますよ!」
「あぁ、アンナリーゼ杯?」
「えぇ、あれを見て、アンナ様に憧れた一人です。大男なエリック様にも全然負けないし、近衛1と言われてるウィル様に勝ってしまわれたんですから」
「今なら、勝てないわよ!あのときは、まだ、ウィルも成長途中だったし……でも、まぁ、まだ、ウィルは成長途中ね……いつまで、成長するつもりなのかしらね?」
ふふっと笑うと、たぶんですけど……とアデルが言葉を続ける。
「一生アンナ様の背中を追い続けるんだと思います。一緒に仕事をするようになって、端々から感じるウィル様の覚悟的なものは、他の誰よりも大きいですよね」
私は言葉にせず、微笑むだけにした。
今なら、たぶん、釣り合うのだろう。身分は、伯爵であるウィルも1代限りの爵位が本当ならもっと上がっているはずなのだ。断り続けていると聞いていた。
「それはそうと、何か報告があったんじゃないの?」
「あっ、はい。そうでした。アルカの報告があったんです。昨日から降り始めた雨についての報告です。
束の間の晴れによって、多少の水分保有量が減ったと言っていましたが、この2日の雨で、また、元に戻ったようです。雨量が、この前の倍以上の早さだそうです」
「工事はどうかしら?」
「工事の方は、8分目と言うところです」
「8分目か……どうだろう……災害に耐えられるだろうか……」
「まぁ、なんとかなるとは思うぞ!」
サッパリしてきたノクトとヨハンが部屋に入ってきた。
リアンにも、これなら怒られないだろう。後ろからリアンも入ってくる。
「みなさま、おかけになって話されてはどうですか?お茶を今入れますから」
私も話に混ざることにし、ガウンを羽織る。薄いガウンだったので、リアンがふわっとその上から肩掛けをしてくれた。
「それで?」
「あぁ、土木工事な。たぶんだけど、大丈夫だと思う。なんとか耐えられるかと」
「そっか。なら、いいかなぁ……でも、楽観的に考えてはいけないわね。最悪を考えておかないと」
「家の方は、もう後1日2日で出来上がる。外観だけだからな」
「とりあえず、雨風が凌げる場所があればいいわ!」
「それなら、もうすぐ終わる」
私たちは頷きあって、確認をしあった。
いつあるかわからない災害に備えて、動いてくれることで、本当に助かった。少しでも被害が減ることを考えながらここまで動いてくれたみなに感謝だ。
できることなら、災害なんて起こらない方がいいに決まっている。そればかりは、自然のすることだから……私にどうすることも出来ないけど、少しでも対応が出来ていればなんとかなるものだ。
「アルカの見立てでは……たぶん、1週間もしないうちに災害が起きると言っていた。みなにも伝えていいでしょうか?」
「えぇ、出来るだけ情報は共有してちょうだい。きちんと、伝わるようにして」
「わかりました。明日には手配します」
アデルがメモを書き、手続きをする準備をしてくれた。
「で、そっちはどうなんだ?ヨハン」
あぁと話し始めるヨハンに耳を傾ける。
長雨になって起こった伝染病。一体どうなっているのか、気にはなっていた。その報告をきくのであった。
0
お気に入りに追加
121
あなたにおすすめの小説
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
悲恋を気取った侯爵夫人の末路
三木谷夜宵
ファンタジー
侯爵夫人のプリシアは、貴族令嬢と騎士の悲恋を描いた有名なロマンス小説のモデルとして持て囃されていた。
順風満帆だった彼女の人生は、ある日突然に終わりを告げる。
悲恋のヒロインを気取っていた彼女が犯した過ちとは──?
カクヨムにも公開してます。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
婚約破棄の場に相手がいなかった件について
三木谷夜宵
ファンタジー
侯爵令息であるアダルベルトは、とある夜会で婚約者の伯爵令嬢クラウディアとの婚約破棄を宣言する。しかし、その夜会にクラウディアの姿はなかった。
断罪イベントの夜会に婚約者を迎えに来ないというパターンがあるので、では行かなければいいと思って書いたら、人徳あふれるヒロイン(不在)が誕生しました。
カクヨムにも公開しています。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
逃した番は他国に嫁ぐ
基本二度寝
恋愛
「番が現れたら、婚約を解消してほしい」
婚約者との茶会。
和やかな会話が落ち着いた所で、改まって座を正した王太子ヴェロージオは婚約者の公爵令嬢グリシアにそう願った。
獣人の血が交じるこの国で、番というものの存在の大きさは誰しも理解している。
だから、グリシアも頷いた。
「はい。わかりました。お互いどちらかが番と出会えたら円満に婚約解消をしましょう!」
グリシアに答えに満足したはずなのだが、ヴェロージオの心に沸き上がる感情。
こちらの希望を受け入れられたはずのに…、何故か、もやっとした気持ちになった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる