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だいたい揃ったので、私は旅に出ます!
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カレンからの予定表を半分くらい過ぎた頃。
今回の命を狙われるかも!の全容が見えてきたので、私はみなを集めることにした。
「集まってくれて、ありがとう。やっと半分くらいの予定をこなせたわね!」
「あぁ、やっとな……まだ、あと半分あるのかと思うとげんなりしそうだ」
ウィルは、毎晩の夜会続きに疲れている。アンバー領で少々好き勝手していたから、貴族らしい付き合いをするのが疲れるらしい。
でも、爵位持ちなんだから、ウィルも夜会に出ない選択をするのは難しいだろう。
独身の貴族は、夜会に出ないだけで、噂になったりする。
ウィルは別に気にしないだろうけど、サーラー子爵たちが許してくれないらしいので、カレンの予定より多くの夜会を回ってくれていた。
「ウィルは、どれくらい回ってくれているの?」
「ここ1ヶ月で40くらい?訳あって、はしごしてるのもあるから……」
「40だって?それ、回りすぎじゃない?ウィル、体壊すなよ?」
「あんがとさん、セバス。心配してくれるのは、レオとミアとセバスくらいだよ。あとの、特に姫さん
とかさ?カレン様とかさ?ナタリーなんて、ここもどうかしら?とか、追加を言うんだぜ?」
ウィルは、大きくため息をついて、おかしいだろ!と怒った。
私は苦笑いをして、ウィルを宥める。
「ウィルに朗報よ!」
「……何?これ以上増やせって言っても、もう、無理だからね?体が足りない」
「大丈夫。減らすわ!」
「アンナリーゼ様、減らすって……いいのですか?」
「えぇ、なんとか大物のしっぽを掴めたから、いいかなって」
「元々、目星はついていたのですものね?」
えぇと微笑むとやれやれとソファに沈むウィル。
「お疲れ様!お兄様が動いてくれたのも大きいわ!」
「ソルトさんですね!どこの会場にもいるので、驚きましたよ?どれくらい回ったのですか?」
ナタリーが、みんなから少し離れた場所に座っている兄に質問すると、うーんと唸っている。
「そうだな、エールと一緒に回ったのと一人で回ったの。あとは大小合わせてお茶会と夜会で……
89かな?」
「89?えっ?俺より行ってるんだけど……」
くたっとするウィルに、兄がソルトの微笑みをすると、もうその笑顔いいですと項垂れた。
始まりの夜会の日に黒の貴族にエスコートされ、彗星の綺羅星のようにあらわれたソルトという女性は、瞬く間のうちに社交界で引っ張りだことなったのだ。
ダンスもさることながら、豊富な知識量と磨き上げられた話術に男女問わず、老い若い関係なく魅了したようで私以上の招待状をもらっていた。
いつ寝ているのかわからないくらい、あちこちに行っていたのだが、さすがにドレスが足りない!
!って嘆いてきたときは、箪笥の肥やしになっていた私のドレスを引っ張りだしてきた。
「それで、掴めたんだよね?」
「えぇ、掴めた。ただね……」
「手を出しにくい相手って?」
曖昧に笑うとなんとなく誰が相手なのかわかったらしい。
そうそう、みんなが思うその人物が後ろにいるわよ!という顔をしておく。
ローズディアの二翼と言われる筆頭公爵家アンバーと、第二位の公爵家ゴールド。公国がなったときから犬猿の仲であった。
領公爵家は、何代おきかに公妃となる娘を排出している貴族でもある。アンバー公爵家がのほほんとした貴族なら、ゴールド公爵家は傲慢でずる賢い貴族であった。
当代の公妃その人の生家である。だから、みなが残念な顔をしている。
ゴールド公爵家は、血筋も申し分ない。
ハニーローズと呼ばれた原初の女王の末裔であるローズディアの公室の始まりには、三人の兄妹がいた。
腹違いの男兄弟と内乱を起こし、自国を得た兄。その兄から絶大な信頼と愛情を注がれていた妹のハニーローズ。この二人の話は、空想の物語になるほど有名な話になっていたりする。
そのお話には決して出てこない、もう一人の妹姫が現実の世界にはいた。
兄からは信頼されず、ハニーローズを妬み、狡猾な妹姫。
ハニーローズの降嫁先として作られたアンバー公爵家と嫌われていた妹が自ら選んだ降嫁先がゴールド侯爵家である。
ゴールド侯爵家は、妹姫の降嫁先になったときに公爵と格上げされた。
「あぁ、それなら、手を出しにくいわな……」
「アンナ……」
「わかっていますわ、ジョージア様。私たちから何かをすることはできません。これからは防衛戦ばかり
となるでしょう」
「でもさ、下級貴族なら、削り取っていくことは出来るんじゃない?」
「えぇ、それはもちろん。お金とうま味だけで動いている者たちも多いのよね。うちと違って、権力も
お金も潤沢ある公爵家ですからね……それに比べて……」
「……すまない。そんなところでも、足をひぱっているのか」
「ふふっ、足を引っ張るなんて思っていませんよ。今回、みなに調べてもらったり、情報収集して
もらったおかげで、掴めていることも多いですから!」
「それでも!」
苦しそうにしているジョージアが何か言おうとしたので、人差し指でジョージアの唇を抑えて黙らせる。
ニコリと笑いかけ、みなを見た。
「私たちは、まだ、小さな一歩を歩み始めたばかりの赤ちゃんみたいなもの。アンジェラの成長を
みなが感じてくれているように、アンバー領も着実に成長をしています。ここに集まったみんなの
おかげだし、領地で手助けしてくれている領民のおかげ。これから、小さな歩みを着実にして、
元の位置までアンバー公爵家を押し上げましょう。せっかく、ハニーローズも生まれたことです
から、ゴールド公爵家に対して逆転かけましょう!中立の貴族や力がない貴族たちを少しずつ味方に
つけていく……いつか、としか今は言えないけど……確実に来るであろう未来に備えて今一度、
みなの力を貸してちょうだい」
当たり前だと返ってくる言葉は、私の心を何度救ってくれるのだろう。心が折れそうになったときは一度や二度ではなかった。兄に家族に友人たちに、私は救われてきた。
「ジョージア様。私は、恵まれていますね?」
ジョージアに微笑みかけると、指で目尻に溜まった涙をすくってくれる。
「アンナだけじゃなく、俺もアンジーやジョージ、ネイトもだ。アンナを支えてきてくれて本当に
ありがとう」
「ジョージア様さ、姫さんを一人で支えるとか無理だから!突拍子もないことをするし、すぐどっか
飛んでくし。みんなで見張ってないといけないから!」
ウィルがジョージアにニッと笑いかけると、あぁそうだ!と私が言葉を続ける。
「飛んでいくというとあれなんですけど……だいたい揃ったので、私は旅に出ます!そろそろエレーナ
との約束の時期ですから!」
「姫さん!ここ、感動のところだからさ……」
空気の読まない私に、ため息をみながつく。
「アンナらしいよね……」
ジョージアと兄がわかっていたよと的に言うと、情報収集組と私とエレーナに会いに行く組みと別れた。
子どもたちも一緒に連れて行くことをいうと、静かに黙っていたデリアが、私が必ずついて行きますから!と宣言し、報告会の終了となった。
今回の命を狙われるかも!の全容が見えてきたので、私はみなを集めることにした。
「集まってくれて、ありがとう。やっと半分くらいの予定をこなせたわね!」
「あぁ、やっとな……まだ、あと半分あるのかと思うとげんなりしそうだ」
ウィルは、毎晩の夜会続きに疲れている。アンバー領で少々好き勝手していたから、貴族らしい付き合いをするのが疲れるらしい。
でも、爵位持ちなんだから、ウィルも夜会に出ない選択をするのは難しいだろう。
独身の貴族は、夜会に出ないだけで、噂になったりする。
ウィルは別に気にしないだろうけど、サーラー子爵たちが許してくれないらしいので、カレンの予定より多くの夜会を回ってくれていた。
「ウィルは、どれくらい回ってくれているの?」
「ここ1ヶ月で40くらい?訳あって、はしごしてるのもあるから……」
「40だって?それ、回りすぎじゃない?ウィル、体壊すなよ?」
「あんがとさん、セバス。心配してくれるのは、レオとミアとセバスくらいだよ。あとの、特に姫さん
とかさ?カレン様とかさ?ナタリーなんて、ここもどうかしら?とか、追加を言うんだぜ?」
ウィルは、大きくため息をついて、おかしいだろ!と怒った。
私は苦笑いをして、ウィルを宥める。
「ウィルに朗報よ!」
「……何?これ以上増やせって言っても、もう、無理だからね?体が足りない」
「大丈夫。減らすわ!」
「アンナリーゼ様、減らすって……いいのですか?」
「えぇ、なんとか大物のしっぽを掴めたから、いいかなって」
「元々、目星はついていたのですものね?」
えぇと微笑むとやれやれとソファに沈むウィル。
「お疲れ様!お兄様が動いてくれたのも大きいわ!」
「ソルトさんですね!どこの会場にもいるので、驚きましたよ?どれくらい回ったのですか?」
ナタリーが、みんなから少し離れた場所に座っている兄に質問すると、うーんと唸っている。
「そうだな、エールと一緒に回ったのと一人で回ったの。あとは大小合わせてお茶会と夜会で……
89かな?」
「89?えっ?俺より行ってるんだけど……」
くたっとするウィルに、兄がソルトの微笑みをすると、もうその笑顔いいですと項垂れた。
始まりの夜会の日に黒の貴族にエスコートされ、彗星の綺羅星のようにあらわれたソルトという女性は、瞬く間のうちに社交界で引っ張りだことなったのだ。
ダンスもさることながら、豊富な知識量と磨き上げられた話術に男女問わず、老い若い関係なく魅了したようで私以上の招待状をもらっていた。
いつ寝ているのかわからないくらい、あちこちに行っていたのだが、さすがにドレスが足りない!
!って嘆いてきたときは、箪笥の肥やしになっていた私のドレスを引っ張りだしてきた。
「それで、掴めたんだよね?」
「えぇ、掴めた。ただね……」
「手を出しにくい相手って?」
曖昧に笑うとなんとなく誰が相手なのかわかったらしい。
そうそう、みんなが思うその人物が後ろにいるわよ!という顔をしておく。
ローズディアの二翼と言われる筆頭公爵家アンバーと、第二位の公爵家ゴールド。公国がなったときから犬猿の仲であった。
領公爵家は、何代おきかに公妃となる娘を排出している貴族でもある。アンバー公爵家がのほほんとした貴族なら、ゴールド公爵家は傲慢でずる賢い貴族であった。
当代の公妃その人の生家である。だから、みなが残念な顔をしている。
ゴールド公爵家は、血筋も申し分ない。
ハニーローズと呼ばれた原初の女王の末裔であるローズディアの公室の始まりには、三人の兄妹がいた。
腹違いの男兄弟と内乱を起こし、自国を得た兄。その兄から絶大な信頼と愛情を注がれていた妹のハニーローズ。この二人の話は、空想の物語になるほど有名な話になっていたりする。
そのお話には決して出てこない、もう一人の妹姫が現実の世界にはいた。
兄からは信頼されず、ハニーローズを妬み、狡猾な妹姫。
ハニーローズの降嫁先として作られたアンバー公爵家と嫌われていた妹が自ら選んだ降嫁先がゴールド侯爵家である。
ゴールド侯爵家は、妹姫の降嫁先になったときに公爵と格上げされた。
「あぁ、それなら、手を出しにくいわな……」
「アンナ……」
「わかっていますわ、ジョージア様。私たちから何かをすることはできません。これからは防衛戦ばかり
となるでしょう」
「でもさ、下級貴族なら、削り取っていくことは出来るんじゃない?」
「えぇ、それはもちろん。お金とうま味だけで動いている者たちも多いのよね。うちと違って、権力も
お金も潤沢ある公爵家ですからね……それに比べて……」
「……すまない。そんなところでも、足をひぱっているのか」
「ふふっ、足を引っ張るなんて思っていませんよ。今回、みなに調べてもらったり、情報収集して
もらったおかげで、掴めていることも多いですから!」
「それでも!」
苦しそうにしているジョージアが何か言おうとしたので、人差し指でジョージアの唇を抑えて黙らせる。
ニコリと笑いかけ、みなを見た。
「私たちは、まだ、小さな一歩を歩み始めたばかりの赤ちゃんみたいなもの。アンジェラの成長を
みなが感じてくれているように、アンバー領も着実に成長をしています。ここに集まったみんなの
おかげだし、領地で手助けしてくれている領民のおかげ。これから、小さな歩みを着実にして、
元の位置までアンバー公爵家を押し上げましょう。せっかく、ハニーローズも生まれたことです
から、ゴールド公爵家に対して逆転かけましょう!中立の貴族や力がない貴族たちを少しずつ味方に
つけていく……いつか、としか今は言えないけど……確実に来るであろう未来に備えて今一度、
みなの力を貸してちょうだい」
当たり前だと返ってくる言葉は、私の心を何度救ってくれるのだろう。心が折れそうになったときは一度や二度ではなかった。兄に家族に友人たちに、私は救われてきた。
「ジョージア様。私は、恵まれていますね?」
ジョージアに微笑みかけると、指で目尻に溜まった涙をすくってくれる。
「アンナだけじゃなく、俺もアンジーやジョージ、ネイトもだ。アンナを支えてきてくれて本当に
ありがとう」
「ジョージア様さ、姫さんを一人で支えるとか無理だから!突拍子もないことをするし、すぐどっか
飛んでくし。みんなで見張ってないといけないから!」
ウィルがジョージアにニッと笑いかけると、あぁそうだ!と私が言葉を続ける。
「飛んでいくというとあれなんですけど……だいたい揃ったので、私は旅に出ます!そろそろエレーナ
との約束の時期ですから!」
「姫さん!ここ、感動のところだからさ……」
空気の読まない私に、ため息をみながつく。
「アンナらしいよね……」
ジョージアと兄がわかっていたよと的に言うと、情報収集組と私とエレーナに会いに行く組みと別れた。
子どもたちも一緒に連れて行くことをいうと、静かに黙っていたデリアが、私が必ずついて行きますから!と宣言し、報告会の終了となった。
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