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ご機嫌なジョージア
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私たちは、日付が変わる鐘の音が聞こえるまで、始まりの夜会にいた。
今は、ジョージアと二人、馬車の中で揺られて夜会の話をしながら屋敷へと向かっている。
あれから二人でバルコニーにいたのだが、そこに私たちと同じように二人で一緒にいたい二人の若い子たちが来たので、私たちは夜会会場へと戻った。
会場に戻ると、私たちは貴族に囲まれる。
私に媚を売りたいもの、揚げ足を取りたいもの、商売の話をしたいものなど話題に事欠かない私の回りに、貴族たちが集まるのだ。
あまり、夜会やお茶会に参加をしない私に対して、今日は私と話ができる絶好の機会であるため、貴族たちが続々と話をしてくる。
隣でジョージアもそんな話を聞いていたが、飲み物を取ってくると少しの間離れてしまう。
私はジョージアを視線で追いつつ、貴族たちとの話を楽しんだ。
ローズディア国内の情勢や他領の特産品の話、おもしろい情報を次々話してくれ、私はつい夢中になって話したり聞いたり、質問したりとしていた。
ふと、視線の先、ジョージアが一人の男性に呼び止められ話をしている。
耳を澄ませて聞いていた。
「アンバー公爵様もまだまだお若いのですから、未婚の若い令嬢を妻にどうですか?あそこにうちの
娘がいます。大人しくお淑やかで器量よし、見て下さい……型ですから」
途中聞こえない所もあったが、私は貴族たちの輪から抜ける。
見ている限り、ジョージアはその話を断ろうとしてくれているのはわかるのだが、私はいそいそとジョージアの元へと忍び寄った。
その貴族は、ジョージアに説明するため、自身の娘を指し示す。
ジョージアの背後から、肩に手を置き背伸びをして囁く。
「ジョージア様、あの娘は、確かにお淑やかそうで器量よしですね!ああいう方が、お好みですか?」
急に話しかけられ、貴族は私に驚き、ひぃー!と悲鳴をあげてその場に尻餅をついた。
私は扇子で貴族の娘だという令嬢を指して、拗ねたように口を尖らせる。
それも演技ではあるのだが、可愛らしく拗ねると、ジョージアは苦笑いしていた。
私がいることに気配で感じていたようだが、尻餅をついたその貴族は気づかなかったようだ。ジョージアが手を貸そうとしたが、私はその貴族に扇子で開いて口元を隠し蔑むように笑む。
「確かに。でも、俺は、うちのおてんば奥様一人いれば、とても楽しいし幸せだからね!他はいらない
かな?それとも、奥様は、俺の深い愛情が伝わってなかったのかな?」
優しく微笑むジョージアに、私は妖しく笑う。
「ジョージア様、その深い愛情については、屋敷に帰ってからたっぷりと聞きたいですわ!」
甘えるようにジョージアにしなだれると、それを見た貴族はそのまま後ずさって逃げてしまった。
その様子をアンバー公爵家の事情をある程度知っている周りの貴族たちが、クスクス笑っている。
確かにジョージアに取り入って、娘に寵を得ようという下級貴族は多い。アンバー領の復興が進んできて、今までのような領地では無くなってきたので、縁付きたいという輩が増えてきたのは事実。
見目麗しいジョージアは、まだ、20代半ばで若いのだ。普通の貴族たちと同じなら、あっちにもこっちにも寵を得ているご婦人がいてもおかしくはなかった。
ただ一人の妻としては、いろいろな経費がかからず助かってはいる。
同じくアンバー公爵である私に近づかないのは、私がこの国の出自ではないからであろう。
筆頭公爵家の当主はジョージアであることは変わりないので、ジョージアに取り入りたいということであった。
「あの方には、可哀想なことをしてしまいましたか?」
少々幼い子のようなあどけない表情で、ジョージアに言うと、そんなことないよと返ってきた。
私を慈しむように微笑み、腰に腕を回して、先程まで話をしていた貴族たちのところまでエスコートしてくれる。
「ごめんなさいね?急に飛び出してしまって」
「いえ、お気になさらずに」
急に抜け出したことを謝り、話を再開する。
私の側には常にジョージアが寄り添い、私の話すこと貴族たちが話すことを聞いて微笑んでいた。
時折、ダンスに誘われホールで踊ったりしたが、夜中を知らせる鐘の音と共に私たちは城を後にした。
そして、城を出てから、ジョージアの機嫌がとてもいい。
馬車に乗って屋敷に帰り、出迎えてくれたディルとデリアに連れられ夜着へと着替える。
当然のように私のベッドにジョージアが先に寝転んでいた。
本を読んでいたようで、ベッドに腰掛けると起き上がる。
私を見て、艶やかに微笑み手招きするので、隣に座り直した。
「では、奥様。私めの深い愛情を伝えさせていただいても?」
「ジョージア様、夜会でのこと……」
「アンナにはいくら伝えても足りないくらいなんだけど?」
「そうなのですか?」
怪しむ様にジョージアの瞳を覗き込むと、顎に手をかけられキスをされる。
「これも愛の囁きですか?」
少々熱っぽいジョージアを見つめると、そうだねと返ってきた。
「今日は公に妬かされたことだし……」
「それをいうなら、あの下級貴族の娘をやらしい目で見つめていましたよね?ジョージア様」
「まさか!アンナ以外目に入ってないよ!」
「そうなのですか?ホントに?」
覗き込むようにしたら、バランスを崩してしまい、そのままジョージアを押し倒してしまった。
「あぁ、俺より奥様の方が積極的なのかな……?」
「……」
無言でいると、抱きしめて髪を優しくなでてくれる。
ジョージアに抱きつくと、おいでっと囁かれ私は従う。
目が合い微笑むとキスをする。夜も更けていき、深い闇の中、長い長い夜となったのである。
今は、ジョージアと二人、馬車の中で揺られて夜会の話をしながら屋敷へと向かっている。
あれから二人でバルコニーにいたのだが、そこに私たちと同じように二人で一緒にいたい二人の若い子たちが来たので、私たちは夜会会場へと戻った。
会場に戻ると、私たちは貴族に囲まれる。
私に媚を売りたいもの、揚げ足を取りたいもの、商売の話をしたいものなど話題に事欠かない私の回りに、貴族たちが集まるのだ。
あまり、夜会やお茶会に参加をしない私に対して、今日は私と話ができる絶好の機会であるため、貴族たちが続々と話をしてくる。
隣でジョージアもそんな話を聞いていたが、飲み物を取ってくると少しの間離れてしまう。
私はジョージアを視線で追いつつ、貴族たちとの話を楽しんだ。
ローズディア国内の情勢や他領の特産品の話、おもしろい情報を次々話してくれ、私はつい夢中になって話したり聞いたり、質問したりとしていた。
ふと、視線の先、ジョージアが一人の男性に呼び止められ話をしている。
耳を澄ませて聞いていた。
「アンバー公爵様もまだまだお若いのですから、未婚の若い令嬢を妻にどうですか?あそこにうちの
娘がいます。大人しくお淑やかで器量よし、見て下さい……型ですから」
途中聞こえない所もあったが、私は貴族たちの輪から抜ける。
見ている限り、ジョージアはその話を断ろうとしてくれているのはわかるのだが、私はいそいそとジョージアの元へと忍び寄った。
その貴族は、ジョージアに説明するため、自身の娘を指し示す。
ジョージアの背後から、肩に手を置き背伸びをして囁く。
「ジョージア様、あの娘は、確かにお淑やかそうで器量よしですね!ああいう方が、お好みですか?」
急に話しかけられ、貴族は私に驚き、ひぃー!と悲鳴をあげてその場に尻餅をついた。
私は扇子で貴族の娘だという令嬢を指して、拗ねたように口を尖らせる。
それも演技ではあるのだが、可愛らしく拗ねると、ジョージアは苦笑いしていた。
私がいることに気配で感じていたようだが、尻餅をついたその貴族は気づかなかったようだ。ジョージアが手を貸そうとしたが、私はその貴族に扇子で開いて口元を隠し蔑むように笑む。
「確かに。でも、俺は、うちのおてんば奥様一人いれば、とても楽しいし幸せだからね!他はいらない
かな?それとも、奥様は、俺の深い愛情が伝わってなかったのかな?」
優しく微笑むジョージアに、私は妖しく笑う。
「ジョージア様、その深い愛情については、屋敷に帰ってからたっぷりと聞きたいですわ!」
甘えるようにジョージアにしなだれると、それを見た貴族はそのまま後ずさって逃げてしまった。
その様子をアンバー公爵家の事情をある程度知っている周りの貴族たちが、クスクス笑っている。
確かにジョージアに取り入って、娘に寵を得ようという下級貴族は多い。アンバー領の復興が進んできて、今までのような領地では無くなってきたので、縁付きたいという輩が増えてきたのは事実。
見目麗しいジョージアは、まだ、20代半ばで若いのだ。普通の貴族たちと同じなら、あっちにもこっちにも寵を得ているご婦人がいてもおかしくはなかった。
ただ一人の妻としては、いろいろな経費がかからず助かってはいる。
同じくアンバー公爵である私に近づかないのは、私がこの国の出自ではないからであろう。
筆頭公爵家の当主はジョージアであることは変わりないので、ジョージアに取り入りたいということであった。
「あの方には、可哀想なことをしてしまいましたか?」
少々幼い子のようなあどけない表情で、ジョージアに言うと、そんなことないよと返ってきた。
私を慈しむように微笑み、腰に腕を回して、先程まで話をしていた貴族たちのところまでエスコートしてくれる。
「ごめんなさいね?急に飛び出してしまって」
「いえ、お気になさらずに」
急に抜け出したことを謝り、話を再開する。
私の側には常にジョージアが寄り添い、私の話すこと貴族たちが話すことを聞いて微笑んでいた。
時折、ダンスに誘われホールで踊ったりしたが、夜中を知らせる鐘の音と共に私たちは城を後にした。
そして、城を出てから、ジョージアの機嫌がとてもいい。
馬車に乗って屋敷に帰り、出迎えてくれたディルとデリアに連れられ夜着へと着替える。
当然のように私のベッドにジョージアが先に寝転んでいた。
本を読んでいたようで、ベッドに腰掛けると起き上がる。
私を見て、艶やかに微笑み手招きするので、隣に座り直した。
「では、奥様。私めの深い愛情を伝えさせていただいても?」
「ジョージア様、夜会でのこと……」
「アンナにはいくら伝えても足りないくらいなんだけど?」
「そうなのですか?」
怪しむ様にジョージアの瞳を覗き込むと、顎に手をかけられキスをされる。
「これも愛の囁きですか?」
少々熱っぽいジョージアを見つめると、そうだねと返ってきた。
「今日は公に妬かされたことだし……」
「それをいうなら、あの下級貴族の娘をやらしい目で見つめていましたよね?ジョージア様」
「まさか!アンナ以外目に入ってないよ!」
「そうなのですか?ホントに?」
覗き込むようにしたら、バランスを崩してしまい、そのままジョージアを押し倒してしまった。
「あぁ、俺より奥様の方が積極的なのかな……?」
「……」
無言でいると、抱きしめて髪を優しくなでてくれる。
ジョージアに抱きつくと、おいでっと囁かれ私は従う。
目が合い微笑むとキスをする。夜も更けていき、深い闇の中、長い長い夜となったのである。
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