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少しだけ強く
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私はジョージアに抱きつき、涙の限り泣きつくした。気持ちに変わりはないけど、それでも、どこかスッキリした……そんな気がした。
ずっと、胸の内に抱えてた漠然としたものが自分の体から出ていったようである。
あとは、涙を拭って、ジョージアに笑いかければ……いつもの私だ。
そうは思っても、なかなかジョージアから離れられない私。お兄様にだって、こんなに取り乱した姿を見せたことはないだろう。
ジョージアから聞こえる鼓動が心地よかった。ただただ、その音を聞いて、落ち着いてきたのも確かだが、温かいここから離れがたく仕方がない。
「アンナが取り乱したの、どれくらいぶり?俺が知る限りでは……なかったような気がするな。いつも
は、この役目は、俺じゃなくて……ウィルだったり……」
「……しませんよ。こんなに取り乱したのは……そうですね。カルアを送った日以来でしょうか?」
「その前は?」
「……ハリーに婚約がバレたときです!」
アンジェラを産んだ日のことは、話さないでおく。どう考えても、ジョージアにはどうすることも出来なかったのだから、責めるようなことは言いたくない。
551. 少しだけ強く
「なんで、それで取り乱したの?」
「ジョージア様って、意外と意地悪ですよね?」
「今は、ここにいてくれるアンナも、すぐにこの腕の中から飛び出してどっかへ行ってしまうからね。
たまには、虐めてやりたくもなる。それで?」
まだ、聞くんですか?と頬を膨らませ、ジョージアを睨んだ。今日は、多少子どもっぽいアンナでもいいのだろう。ジョージアの瞳がそう語っている。
最初はジョージアが小言を言っていたのに、今では逆転して私がしがみついている始末だ。
「……ハリーのこと、好きでした。だから、ずっと言えなかった。ジョージア様との婚約を私の口から
言い出せませんでした。ハリーの父、トワイス国の宰相がハリーに話した日、雪の降る日にハリーは
屋敷に来て、どうして?って、エリザベスと一緒に問い詰められました」
「そっか……でも、そのまま、ヘンリー殿の側にいることも、アンナには出来たはずだよね?俺じゃ
なくても……」
「でも、その頃には、ジョージア様のことも慕っていたのです。青薔薇たちに誓ってもいいですよ!
ジョージア様が私の旦那様になってほしかったから、公に直談判までしたのですから」
そうかと、頭を撫でてくれる。かと思えば、ひょいっと抱きかかえ、ソファに向かいジョージアの膝の上に座らせてくれた。
子どもたちにするように背中をさすってくれ、まるでお兄様が側にいるかのようであった。
「なんだか、今日は、ジョージア様は、お兄様みたいですね?」
「そう?サシャみたい?」
「えぇ、お兄様は、いつも私をいつも甘やかしてくれるのです。側にいて欲しいときもあるのですよ」
「あぁ、サシャもアンナ、アンナだからね……未だに手紙には、アンナはどうしてる?アンナは元気?
泣いてない?って心配しているよ。まさに、俺への手紙なのに、俺よりアンナのことばかりだ。
さすが、兄というべきか、わかっているね……俺は、まだまだアンナのこと、わかってないんだな……
ヘンリー殿なら、もっと、アンナのことわかっていたのかなぁ?」
私は、フルフルと首を横に振る。ハリーは、私のことを理解してくれてはいるだろうけど、全てを知っているわけではない。核心までは気づかなくても、ハリーならなんとなく、寄り添ってくれる気はした。
でも、私が、私の手を取ってほしい相手は、ハリーではなくジョージアである。
空いているジョージアの手を両手でギュっと握ると、どうしたの?と問うてきた。
「ジョージア様は、ジョージア様が思っている以上に、私の中を占めているのですよ!」
「そっか。でも、アンナにとって頼りないよね?弱音が吐けるくらいには、アンナの役に立っていると
いいけど……俺は、弱い人間だから、」
「その言葉はずるいですよ。人は誰しも強い面と弱い面があるのです。外に出すか出さないか、うまく
表現出来るかどうかだけで心の内は、他人にはわかりません」
「確かに。俺は、アンナがずっと強い人間なんだと思い込んでいたからね……背筋をピンとして、どんな
ときにも前を向いている、強い人間んだんだって。でも、それは、アンナがそうありたいって理想と
しているだけで、内には、俺と同じものを飼っていることがわかったよ」
泣きすぎてぼうっとする頭をジョージアの肩に預けた。優しく香るジョージアの香水が逆立っていた気持ちを落ち着かせてくれる。すると、グズグズに泣いてしがみついていたことがだんだん恥ずかしくなってきた。
ジョージアは、そんなことでからかったりはしないだろうが、しばらくは、ずっと公都にいる間は寄り添ってくれるのだろう。
社交会に出れば、ジョージアと私は常に一緒に出かけることになるのだから。
「ジョージア様は、社交での情報収集は、今もあまりしていないのですか?」
思い出したように言うと、苦笑いが返ってくる。
これは……していないのだなと思って、見つめていると、何か言いにくそうにしていた。
「どうかされましたか?」
「あぁ、いや、この年になってなんだけど、社交での情報収集の方法を教えてくれないか?できれば、
ウィルがやれっ!って言われている方法でなくて……」
「あぁ、あれは、ジョージア様がやると、影響がとても大きいのでダメです!主に、私が。嫉妬で少々
ジョージア様が声をかけた令嬢やご婦人を片っ端から社交界に出てこれない程追い込んでしまいそう
です!」
「アンナさん?何か物騒な感じに聞こえるけど……?」
「物騒な話なんですよ!私も、公妃を笑えない程ですよね……嫉妬って。ジョージア様、浮気するなら、
私の見えないところで、完ぺきにしてくださいね!じゃないと、相手だけでなく……」
「大丈夫、この先どんなことがあっても、アンナ以外が隣に並ぶことはないし、アンナ意外と枕を並べる
ことはないから。あっ!たまには、アンジェラとは寝たいな……」
「ふふっ、アンジェラが、嫌がらないうちに堪能してくださいね?」
「いやいや、待って!嫌がられるとか……まだ、言わないで。俺、すでにウィルに負けてるから……」
落ち込むジョージアの頬にキスをする。私がいますよ!と。十分だと返事が返ってきたところにデリアが執務室へ入ってきた。
いつものことなので、サラっと流してくれたのだが、物凄く呆れたようにため息をついている。
「アンナ様、レオ様がいらっしゃいましたので、ご準備を!」
それだけ言うとデリアは出て行き、私とジョージアはそんなデリアの気づいかいに笑いあった。
「レオを待たせては可哀想だから、行っておいで。後で、ダンスの練習は見てもいいかな?」
「いいですよ!たまには、一緒に踊りますか?」
「いいね!ちょっと、社交界に戻る前に練習しておきたいと思っていたんだ。体も鈍ってしまっている
からね……」
デリアに言っておくので、後で来てくださいというと、ジョージアの膝の上から降りた。今から、レオの剣術とダンスの練習に付き合うのだ。私も体を動かさないととレオの待つ訓練場へといそぐのであった。
ずっと、胸の内に抱えてた漠然としたものが自分の体から出ていったようである。
あとは、涙を拭って、ジョージアに笑いかければ……いつもの私だ。
そうは思っても、なかなかジョージアから離れられない私。お兄様にだって、こんなに取り乱した姿を見せたことはないだろう。
ジョージアから聞こえる鼓動が心地よかった。ただただ、その音を聞いて、落ち着いてきたのも確かだが、温かいここから離れがたく仕方がない。
「アンナが取り乱したの、どれくらいぶり?俺が知る限りでは……なかったような気がするな。いつも
は、この役目は、俺じゃなくて……ウィルだったり……」
「……しませんよ。こんなに取り乱したのは……そうですね。カルアを送った日以来でしょうか?」
「その前は?」
「……ハリーに婚約がバレたときです!」
アンジェラを産んだ日のことは、話さないでおく。どう考えても、ジョージアにはどうすることも出来なかったのだから、責めるようなことは言いたくない。
551. 少しだけ強く
「なんで、それで取り乱したの?」
「ジョージア様って、意外と意地悪ですよね?」
「今は、ここにいてくれるアンナも、すぐにこの腕の中から飛び出してどっかへ行ってしまうからね。
たまには、虐めてやりたくもなる。それで?」
まだ、聞くんですか?と頬を膨らませ、ジョージアを睨んだ。今日は、多少子どもっぽいアンナでもいいのだろう。ジョージアの瞳がそう語っている。
最初はジョージアが小言を言っていたのに、今では逆転して私がしがみついている始末だ。
「……ハリーのこと、好きでした。だから、ずっと言えなかった。ジョージア様との婚約を私の口から
言い出せませんでした。ハリーの父、トワイス国の宰相がハリーに話した日、雪の降る日にハリーは
屋敷に来て、どうして?って、エリザベスと一緒に問い詰められました」
「そっか……でも、そのまま、ヘンリー殿の側にいることも、アンナには出来たはずだよね?俺じゃ
なくても……」
「でも、その頃には、ジョージア様のことも慕っていたのです。青薔薇たちに誓ってもいいですよ!
ジョージア様が私の旦那様になってほしかったから、公に直談判までしたのですから」
そうかと、頭を撫でてくれる。かと思えば、ひょいっと抱きかかえ、ソファに向かいジョージアの膝の上に座らせてくれた。
子どもたちにするように背中をさすってくれ、まるでお兄様が側にいるかのようであった。
「なんだか、今日は、ジョージア様は、お兄様みたいですね?」
「そう?サシャみたい?」
「えぇ、お兄様は、いつも私をいつも甘やかしてくれるのです。側にいて欲しいときもあるのですよ」
「あぁ、サシャもアンナ、アンナだからね……未だに手紙には、アンナはどうしてる?アンナは元気?
泣いてない?って心配しているよ。まさに、俺への手紙なのに、俺よりアンナのことばかりだ。
さすが、兄というべきか、わかっているね……俺は、まだまだアンナのこと、わかってないんだな……
ヘンリー殿なら、もっと、アンナのことわかっていたのかなぁ?」
私は、フルフルと首を横に振る。ハリーは、私のことを理解してくれてはいるだろうけど、全てを知っているわけではない。核心までは気づかなくても、ハリーならなんとなく、寄り添ってくれる気はした。
でも、私が、私の手を取ってほしい相手は、ハリーではなくジョージアである。
空いているジョージアの手を両手でギュっと握ると、どうしたの?と問うてきた。
「ジョージア様は、ジョージア様が思っている以上に、私の中を占めているのですよ!」
「そっか。でも、アンナにとって頼りないよね?弱音が吐けるくらいには、アンナの役に立っていると
いいけど……俺は、弱い人間だから、」
「その言葉はずるいですよ。人は誰しも強い面と弱い面があるのです。外に出すか出さないか、うまく
表現出来るかどうかだけで心の内は、他人にはわかりません」
「確かに。俺は、アンナがずっと強い人間なんだと思い込んでいたからね……背筋をピンとして、どんな
ときにも前を向いている、強い人間んだんだって。でも、それは、アンナがそうありたいって理想と
しているだけで、内には、俺と同じものを飼っていることがわかったよ」
泣きすぎてぼうっとする頭をジョージアの肩に預けた。優しく香るジョージアの香水が逆立っていた気持ちを落ち着かせてくれる。すると、グズグズに泣いてしがみついていたことがだんだん恥ずかしくなってきた。
ジョージアは、そんなことでからかったりはしないだろうが、しばらくは、ずっと公都にいる間は寄り添ってくれるのだろう。
社交会に出れば、ジョージアと私は常に一緒に出かけることになるのだから。
「ジョージア様は、社交での情報収集は、今もあまりしていないのですか?」
思い出したように言うと、苦笑いが返ってくる。
これは……していないのだなと思って、見つめていると、何か言いにくそうにしていた。
「どうかされましたか?」
「あぁ、いや、この年になってなんだけど、社交での情報収集の方法を教えてくれないか?できれば、
ウィルがやれっ!って言われている方法でなくて……」
「あぁ、あれは、ジョージア様がやると、影響がとても大きいのでダメです!主に、私が。嫉妬で少々
ジョージア様が声をかけた令嬢やご婦人を片っ端から社交界に出てこれない程追い込んでしまいそう
です!」
「アンナさん?何か物騒な感じに聞こえるけど……?」
「物騒な話なんですよ!私も、公妃を笑えない程ですよね……嫉妬って。ジョージア様、浮気するなら、
私の見えないところで、完ぺきにしてくださいね!じゃないと、相手だけでなく……」
「大丈夫、この先どんなことがあっても、アンナ以外が隣に並ぶことはないし、アンナ意外と枕を並べる
ことはないから。あっ!たまには、アンジェラとは寝たいな……」
「ふふっ、アンジェラが、嫌がらないうちに堪能してくださいね?」
「いやいや、待って!嫌がられるとか……まだ、言わないで。俺、すでにウィルに負けてるから……」
落ち込むジョージアの頬にキスをする。私がいますよ!と。十分だと返事が返ってきたところにデリアが執務室へ入ってきた。
いつものことなので、サラっと流してくれたのだが、物凄く呆れたようにため息をついている。
「アンナ様、レオ様がいらっしゃいましたので、ご準備を!」
それだけ言うとデリアは出て行き、私とジョージアはそんなデリアの気づいかいに笑いあった。
「レオを待たせては可哀想だから、行っておいで。後で、ダンスの練習は見てもいいかな?」
「いいですよ!たまには、一緒に踊りますか?」
「いいね!ちょっと、社交界に戻る前に練習しておきたいと思っていたんだ。体も鈍ってしまっている
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デリアに言っておくので、後で来てくださいというと、ジョージアの膝の上から降りた。今から、レオの剣術とダンスの練習に付き合うのだ。私も体を動かさないととレオの待つ訓練場へといそぐのであった。
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