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晩餐会?
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私は屋敷に戻ると、迎えに出てきたディルとデリアにことの顛末を伝え、後ろに続くサーラー子爵夫妻を屋敷に招き入れた。
会食用の部屋は、手紙を送っておいたので、すでに準備されているようで、子爵夫妻をディルが案内してくれるようだ。
私は、ネイトを抱きかかえたまま、子ども部屋に行くとエマがすでにベッドを整えてくれていた。
「エマ、ネイトをお願いできるかしら?」
「はい、おまかせください」
優しく笑うようになったエマにネイトを預ける。あの表情を一切動かすことが出来なかったエマが、こんなふうに微笑むことができることに私は嬉しくなる。
やはり、エマをアンジェラの侍女にしてよかった。まだ、エマ自身が子どもであるため、リアンが手伝ってくれているようではあるが、最初に比べ出来ることも多くなっているし、何より感情がでるようになったことがこの子の成長であろう。
不意に頭を撫でると、とても驚いていた。デリアには、エマを褒めるときは頭を撫でてあげるといいよ!と言っていたので、頭を撫でられるは褒められるという同義語であったエマにとって、私に頭を撫でられることは戸惑いであったようだ。
私は、ネイトの頬をそっと撫で、エマにその場を任せて会食用の部屋へ向かう。
「お待たせしました!」
公式な晩餐会ではないにしろ、呼びたてた方が遅れるのは失礼であろう。
それでも子爵夫妻が気を悪くした感じがしないのは、初めて会うウィルの友人たちが近くにいるからだろう。
「いえ、こちらこそ急にお呼ばれにあずかり、ありがとうございます」
「ゆっくりしていってくださいね!」
いつもはウィルが座る場所にサーラー子爵、その隣に夫人が座り、その前にジョージアとウィルが並ぶ。ナタリーが夫人の隣でその前にセバスが座った。
子どもたちは固まって座っていて、レオやミアがアンジェラとジョージの面倒を見てくれている。
その様子をみて子爵は、とても驚いていた。
「あの、レオは、アンナリーゼ様のお子様にあんなに甲斐甲斐しく世話をするのですか?」
「えぇ、いつものことですよ!レオはお兄さんなので、アンジェラやジョージ、ネイトの面倒もきちんと
見てくれるので、とても助かっているのです」
誇らしげにしているウィル。年長者であるレオは本当に下の子たちの面倒をよく見てくれていた。エマも負けじと頑張っているが、あくまでアンジェラの侍女であるため、ジョージやネイトまでは手が回らないこともあるのだが、レオはさりげなくエマやリアンの手助けをしている。
目を細めて、微笑む子爵夫妻もその様子が嬉しいようであった。
もっと、ウィルが二人の話を子爵夫妻にしてあげればいいのだが、子どもたちがウィルと夫妻をかろうじで繋いでいるだけで、あることは明確であった。
「ウィルの話、もっとしてもいいですか?」
不意に私が子爵夫妻に話しかけると、ウィルが大慌てで、姫さん!って椅子を立つ。
「あら?言われて困るようなこと、ウィルにはないと思うけど……」
「……それは」
「是非、聞かせてください!私たち、子どもには愛情をかけてきていたはずですが、ウィルのことだけ
は知らないことが多いようで……近衛になると聞かされたことも本当に驚いたのです。
私たちは、子爵家で兄たちを手伝ってくれるのだと当然のように思っていたのですから」
「ウィル!ご両親とは、きちんと話をするべきよ!ウィルの人生でもあるけど、その人生を応援して
くれている方々がいること、きちんと理解しておかないといけないわ!」
ぐぅの根もでないなと呟くウィル。そんな様子、ウィルには珍しい反応である。
「そういえば、友人たちは紹介をすんでいるのかしら?」
「あぁ、まだだった。えっと、隣が、セバスチャン・トライド男爵だ。母様の隣は、カラマス子爵の妹で
ナタリーだ」
「初めまして、サーラー子爵と夫人。セバスチャン・トライドと申します。ウィルとは、学園での同級生
で、今はアンバー領で共に働かせていただいています」
「初めまして、ナタリー・カラマスと申します。アンナリーゼ様の元で、ドレスを作っています。私も
同じくウィルの学友です」
「こちらこそ、ウィルの父と母です。いつも、ウィルがご迷惑を……」
「いえ、いつも迷惑をかけているのは、アンナリーゼ様ですから大丈夫ですよ!」
ナタリーの一言で、ゲッとなる私。それこそ、ぐぅの根もでない。子爵たちが向こうを向いている間に顔を整えたが、ウィルには見つかった。でも、黙っていてくれるだろう。
「学園で、こんな素敵な学友と巡り会っているなんて……私たちは全くしりませんでした。たしか、
卒業式のとき……アンナリーゼ様にプロポーズされたのは……」
「もしかしなくても、僕です。お恥ずかしい……国が決めた政略結婚ではあったのですが、それより
先にアンナへ想いを伝えようと屋敷を飛び出したのですが、間に合わなくて……」
照れているジョージア。そういうこともありましたね!と、ナタリーを皮切りに、卒業式で私とウィルが踊ったことや、学園で過ごした話、アンナリーゼ杯の話、領地運営やこの前のコーコナへ弾丸で二人で出かけて行ったことなどの話で盛り上がる。
晩餐もお酒も進み、いい頃合いの話であった。
口にしたもの全てが美味しいとサーラー子爵は料理やお酒を褒めてくれる。
お世辞ではないはずだ。同じものを食べているウィルが、アンバーで採れるものは美味しいと言っていたのだから、自信を持っていた。
私の瞳が少し濃い紫に輝き、口角が少しだけ上がったのに気づいた人物がいた。
あぁ、勧めてくれというふうにアイスブルーの瞳は見つめ返してくる。
さぁ、アンバー領を売り込む時間である。
ニコリと笑って、もう1度、今日の晩餐について、私は何食わぬ顔をしてサーラー夫妻に問いかけるのであった。
会食用の部屋は、手紙を送っておいたので、すでに準備されているようで、子爵夫妻をディルが案内してくれるようだ。
私は、ネイトを抱きかかえたまま、子ども部屋に行くとエマがすでにベッドを整えてくれていた。
「エマ、ネイトをお願いできるかしら?」
「はい、おまかせください」
優しく笑うようになったエマにネイトを預ける。あの表情を一切動かすことが出来なかったエマが、こんなふうに微笑むことができることに私は嬉しくなる。
やはり、エマをアンジェラの侍女にしてよかった。まだ、エマ自身が子どもであるため、リアンが手伝ってくれているようではあるが、最初に比べ出来ることも多くなっているし、何より感情がでるようになったことがこの子の成長であろう。
不意に頭を撫でると、とても驚いていた。デリアには、エマを褒めるときは頭を撫でてあげるといいよ!と言っていたので、頭を撫でられるは褒められるという同義語であったエマにとって、私に頭を撫でられることは戸惑いであったようだ。
私は、ネイトの頬をそっと撫で、エマにその場を任せて会食用の部屋へ向かう。
「お待たせしました!」
公式な晩餐会ではないにしろ、呼びたてた方が遅れるのは失礼であろう。
それでも子爵夫妻が気を悪くした感じがしないのは、初めて会うウィルの友人たちが近くにいるからだろう。
「いえ、こちらこそ急にお呼ばれにあずかり、ありがとうございます」
「ゆっくりしていってくださいね!」
いつもはウィルが座る場所にサーラー子爵、その隣に夫人が座り、その前にジョージアとウィルが並ぶ。ナタリーが夫人の隣でその前にセバスが座った。
子どもたちは固まって座っていて、レオやミアがアンジェラとジョージの面倒を見てくれている。
その様子をみて子爵は、とても驚いていた。
「あの、レオは、アンナリーゼ様のお子様にあんなに甲斐甲斐しく世話をするのですか?」
「えぇ、いつものことですよ!レオはお兄さんなので、アンジェラやジョージ、ネイトの面倒もきちんと
見てくれるので、とても助かっているのです」
誇らしげにしているウィル。年長者であるレオは本当に下の子たちの面倒をよく見てくれていた。エマも負けじと頑張っているが、あくまでアンジェラの侍女であるため、ジョージやネイトまでは手が回らないこともあるのだが、レオはさりげなくエマやリアンの手助けをしている。
目を細めて、微笑む子爵夫妻もその様子が嬉しいようであった。
もっと、ウィルが二人の話を子爵夫妻にしてあげればいいのだが、子どもたちがウィルと夫妻をかろうじで繋いでいるだけで、あることは明確であった。
「ウィルの話、もっとしてもいいですか?」
不意に私が子爵夫妻に話しかけると、ウィルが大慌てで、姫さん!って椅子を立つ。
「あら?言われて困るようなこと、ウィルにはないと思うけど……」
「……それは」
「是非、聞かせてください!私たち、子どもには愛情をかけてきていたはずですが、ウィルのことだけ
は知らないことが多いようで……近衛になると聞かされたことも本当に驚いたのです。
私たちは、子爵家で兄たちを手伝ってくれるのだと当然のように思っていたのですから」
「ウィル!ご両親とは、きちんと話をするべきよ!ウィルの人生でもあるけど、その人生を応援して
くれている方々がいること、きちんと理解しておかないといけないわ!」
ぐぅの根もでないなと呟くウィル。そんな様子、ウィルには珍しい反応である。
「そういえば、友人たちは紹介をすんでいるのかしら?」
「あぁ、まだだった。えっと、隣が、セバスチャン・トライド男爵だ。母様の隣は、カラマス子爵の妹で
ナタリーだ」
「初めまして、サーラー子爵と夫人。セバスチャン・トライドと申します。ウィルとは、学園での同級生
で、今はアンバー領で共に働かせていただいています」
「初めまして、ナタリー・カラマスと申します。アンナリーゼ様の元で、ドレスを作っています。私も
同じくウィルの学友です」
「こちらこそ、ウィルの父と母です。いつも、ウィルがご迷惑を……」
「いえ、いつも迷惑をかけているのは、アンナリーゼ様ですから大丈夫ですよ!」
ナタリーの一言で、ゲッとなる私。それこそ、ぐぅの根もでない。子爵たちが向こうを向いている間に顔を整えたが、ウィルには見つかった。でも、黙っていてくれるだろう。
「学園で、こんな素敵な学友と巡り会っているなんて……私たちは全くしりませんでした。たしか、
卒業式のとき……アンナリーゼ様にプロポーズされたのは……」
「もしかしなくても、僕です。お恥ずかしい……国が決めた政略結婚ではあったのですが、それより
先にアンナへ想いを伝えようと屋敷を飛び出したのですが、間に合わなくて……」
照れているジョージア。そういうこともありましたね!と、ナタリーを皮切りに、卒業式で私とウィルが踊ったことや、学園で過ごした話、アンナリーゼ杯の話、領地運営やこの前のコーコナへ弾丸で二人で出かけて行ったことなどの話で盛り上がる。
晩餐もお酒も進み、いい頃合いの話であった。
口にしたもの全てが美味しいとサーラー子爵は料理やお酒を褒めてくれる。
お世辞ではないはずだ。同じものを食べているウィルが、アンバーで採れるものは美味しいと言っていたのだから、自信を持っていた。
私の瞳が少し濃い紫に輝き、口角が少しだけ上がったのに気づいた人物がいた。
あぁ、勧めてくれというふうにアイスブルーの瞳は見つめ返してくる。
さぁ、アンバー領を売り込む時間である。
ニコリと笑って、もう1度、今日の晩餐について、私は何食わぬ顔をしてサーラー夫妻に問いかけるのであった。
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