ハニーローズ　～　『予知夢』から始まった未来変革　～

悠月　星花

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公都への指令は、あっという間に手配されてます

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　私が公都の屋敷に帰ってきたら、玄関にはジョージアとジョージ、ディルたち侍従のお出迎えがあった。

「おかえり、アンナ」
「ただいま、ジョージア様、それと……ジョージ」

　ジョージアが先に手を伸ばしたが、それより早くジョージの視線と合わすためにしゃがむ。
　すると、ママと微笑みながらジョージがとてとてと歩いてくる。そのまま抱きしめるとぎゅーね！と喜んできゃっきゃっと声をあげていた。
　後ろからドレスをひっぱられ、少し拗ねたようなアンジェラに腕を伸ばして二人共抱きしめるとくすぐったそうに喜んでいた。

「あぁ、ジョージに先をこされちゃったな……アンジーほら、お父様のところへおいで！」

　そういうと、アンジェラはチラッとジョージアを見るだけ見て、やっぱり私に抱きついていた。

「俺、嫌われている？」
「そんなことないよね？アンジェラ？」

　少し体を離してアンジェラに聞くと、頬が膨れていた。
　き……嫌ってはないはずだけど、この顔はジョージアには見せられないと思い頭を撫でると機嫌が直った。

「さぁ、おうちに入りましょうか。ここにいたら、邪魔だからね！」

　二人の手を引き、アンジェラの部屋に連れていく。
　私たちが、玄関で抱き合っている間に、エマがアンジェラの荷物などを運んでいて片付け始めている。

「エマ、ありがとう」
「いえ、アンナリーゼ様。もうすぐ整いますので……」
「それほど、急がなくてもいいわ！私も少しここにいるから！」

　二人の子どもと絨毯の上に座り話を始める。
　アンジェラは3日間、私にベッタリ付きっ切りであったのだが、帰ってきた今もジョージを牽制しているあたり、取られたくないということなのだろうか？

　昼寝の時間も近いこともあって、二人に本を読み聞かせることにした。
　恒例になっているが、アンジェラは本を読み始めてすぐ辺りから舟をこぎ出す。
　ジョージも今日は興奮していたのか疲れているようで、早々に眠ってしまった。
　私は、二人を両脇に抱えてベッドまで運ぶと、エマが布団を剝いでくれる。
　そこに、二人を滑り込ませ、寝かせた。あとは、エマが見てくれるだろう。
　お願いねとエマに言い、部屋を後にした。

　執務室へ入ると、すでにジョージア、ノクト、ウィル、セバス、ナタリーが揃っている。
　手紙を出していたことで、ジョージアがセバスとナタリーを呼んでいおいてくれたようだった。

「アンナリーゼ様、お久しぶりです！」
「えぇ、久しぶりね！ナタリー。セバスも」
「少ししか離れてませんでしたが、何かとあったようですね……」
「イチアには負担をかけるわ……」

　ため息と共にイチアへお願いしてきたことをみなに話す。

「私、街道工事とかの方の人手が足りないと思っていたのだけど、セバスがいなくなって、事務方も
　人手が足りないことを痛感したわ……パルマがいてくれたら……と思っても、パルマはパルマの
　仕事があるからね……」
「王宮で、パルマはかなりの頭角をあらわしているみたいですね！同僚たちみな一様に、パルマの
　ことを褒めています。それと同時に、妬みも相当あるようで、結構な苛めもあっているとか……」
「そう、それは大変だわ！なんとか、しましょう！」
「いえ、アンナリーゼ様は、まだ、動かないでください。僕が公都にいる間は、パルマのことは
　ちょっと見てみたいと思っています。同じよな境遇は味わっているので、何かと手助けできることも
　あるかと思いますから。
　それに、アンナリーゼ様の秘蔵っ子だってことは、ちょっと前にパルマには内緒で、情報操作しま
　したから、下手に手出しはしてこないはずです。特に、社交シーズン中、アンナリーゼ様はこちらに
　いらっしゃるから、聞こえが悪かったら貴族や文官たちも怯えていますからね」

　私は、恐怖政治の象徴か何かなのだろうか？特に何かしたとは思ってないが、昨年の断罪を恐怖に思っている小悪党たちが多いということだろう。
　去年は、おおめに見てあげているのもの多い。賄賂とか、献金とか……不正を全て暴いたわけではないのだ。
　人間、清廉潔白ばかりでは、ことが進まないこともあることは知っているので、許せる範囲のものは、公と相談して、目を瞑ったのだ。

「あと、ジョージア様からコーコナの話を聞きました。事務方もいると思い、10名ほど　公と交渉
　して、アンバー公爵に期限付きで貸してもらえるようにしました。もちろん、費用は公持ちで！」
「さっすが、セバスね！私のやりたいこと、理解してくれて助かるわ！」
「アンナ、さすがにそれは……」
「何ですか？ジョージア様」
「いや、さすがに公国の文官を貸してもらってお金を払わはいというのは……」
「大丈夫です！所謂、アンバー公爵の元へ研修に来ることになっているので、研修費用は公が持つ
　ことになっているのですよ！」

　私は胸を張っていうと、ウィルもそうそうという。実は、近衛もそういうふうに言って貸してもらっているのだ。

「もしかして、ジョージア様は……」
「いや、一応、給金の話はしたけど、アンナとの話し合いで決まっているから追加での近衛百名分の
　給金は、公がみてくれると言っていた」

　実はジョージアとこういうお金の話はしたことがなかった。
　いかんせん、坊ちゃんなジョージアにはお金の話には疎いのだ。
　だから、今回のおつかいがうまく行っていることにホッとした。

「アンナリーゼ様、その話は僕も公への交渉に立ち会ったんだ」
「なるほど……だから、うまくできているのね？」
「俺だけだと、ダメだってことを思い知らされました……給金の話なんて、全く知らなかったよ」
「ウィルやセバスは無期限で貸していただいてますけど、お給金はアンバーから1円も出ていませんよ！
　じゃないと、アンバーはなくなってます。ウィルの給金1ヶ月分も払えませんからね。
　今の税収だと……」

　内情を暴露するとジョージアは顔を引きつらせた。
　ウィルとセバスだけで、どれほどのお金がかかっているのかすら知らなかったようで、さすが、坊ちゃんと心の中で呟いた。
　私が生きているうちに、こういう駆け引きもアンジェラだけでなくジョージアにもちゃんと教えておいた方がいいなと、小さくため息をつくのであった。

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