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できないから、出来る!にしてほしい
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私たちが入っていき、話が中断してしまったので、何を話していたのか聞くことから始まった。
議論は熱を持ちすぎていて、お互い冷静に話せていなかったようで、実は私たちが入って行ったことで、少しだけ落ち着いたということだった。
「どんな話をしていたの?」
「生活用水を流したいという話があったのです。公道となるところにそのようなものを流されては
臭くてたまりません!」
「そうなの?」
「たぶん、滞留してしまうと、どうしてもそうなるような気がするのですが、でも、この際、どうにか
できないか……と思いまして」
「確かに……夏場とかだと大変よね……」
「そうでしょうともそうでしょうとも!アンナリーゼ様はわかっていらっしゃる!」
アルカは誇らしげにいうが、ピュールはこの町に住むものとして、提案をしたようだった。
確かに、生活用水も綺麗に出来るなら……してしまいたい。
それには、滞留をしないようにと考えないと結局、臭いだけでなく菌の発生、病気に繋がることは避けたい。
「うーん、どうしたらいいかした?」
「しない方がいいに決まっています!」
「それは、研究者として?それなら、考えを改めてほしいわ!出来ることなら、出来る方向で考えて
ほしいの。前例がなからダメとかでは、私を納得させられない、そう思って。
前例がないからこそ、やってみてほしいの。そのためにアルカやリアノ、スキナをわざわざ、フレイ
ゼンから来てもらったの」
「それは……」
「できないから、出来る!にしてほしい。最終的にできないかもしれないけど、今、出来ないと、
まだ、何も始まっていないのに否定はしないで!それは、領主としても見逃せないし、私がおも
しろくないわ!
一人の知恵で足りないなら、三人で考えてみて。それでたりないなら他の人も巻き込んでみてちょう
だい。意外と、答えは呆気なく出ることもあるから!きっと、目の前にこの答えもぶら下がっている
のよ!まだ、私たちには見えていないだけで!」
私は、言い争っていたはずの三人に微笑みかけると、頷いてくれる。渋々だったりもするが……アルカなんて。
でも、私が意図していることは、伝わったのだろう。
「例えばなんだけど……」
「なんですか?スキナさん」
「もっと深く掘ると大変ですよね……?」
「もっとですか?」
「水が通る道を2つ作るってこと?」
「そうです。それか……昨日、ヨハンさんに聞いたんですけど……万能の水があるとか?そこに繋げ
たりしたら……どうですか?」
「自分の家の近くに貯水池を作って、綺麗になった水だけを流す様にするとか?」
「何軒かでまとめて貯水池を作ってってことですか?」
なるほど……そういうこともあるのかと頷くアルカ。水の専門であるアルカはすでにあの地底湖を見に行っているはずだ。
ということは、知っているだろう。私が考えているおトイレ事情も。
「例えばですけど……トイレを流す水が、例の水でするのであれば……生活用水を同じ貯水池でまとめ
ても……それでは、あの水が足りない……もっとその水を……」
「地底湖の水の中にいる菌は確か勝手に増殖するらしいよ!」
「そうなのですか?」
「ヨハンが確か……そう言ってたはず。人畜無害だから川にも流せるしって」
ヨハンがきちんと伝えなかったのだろうか?驚いているアルカではあるが……そこは、専門外の私に聞かれては困るのでヨハンに聞いてねとボソッと呟いておく。
「それなら、1軒につき1つの貯水池を作ってもいいんじゃないか?ある程度綺麗な水なら臭いもしない
だろ?」
「そうだな。それなら……」
「それを作るにはコンクリートがいる。まず、穴を深い目に掘らないといけないし……人手がもっと
いる」
「人手は、もう、これ以上は受入れられないよ!お金とかの意味じゃなくて……」
「食料の問題で、これ以上は受入れられません。まずは、無駄な動きをしている人がいないか確認を
取りましょう。作業の効率化を考えるだけで、ずっと、作業が早くなることもありますから!」
「体は、壊さないようにしないと……」
「農民の一部も麦まきが終われば少しだけ時間があるはずですから、お願いしましょう!」
「その交渉はイチアに任せてもいいかしら?」
「そうですね、これからしばらく、公都とコーコナですからね……わかりました!なんとかして
おきます!」
お願いね!と微笑むと、その笑顔にはかないませんねとイチアが切り返してくる。
そうかしら?と思うと、みなにため息をつかれた。
いつも思うが、私の扱いが、みんな雑だと思う……私、これでも筆頭公爵なのですよ!と胸を張ると、そうは見えないとアルカの一言で終わってしまう。
「ほら、人が集まるとこんなふうに知恵が集まるでしょ?ちょっとしたことで、話も膨らむしこれで
1つの道が繋がったよね?他にもないか考えてみてよ!
こんなふうに、私は人も町も領地も成長できて行けばいいと思うの。既存のことに囚われることなく、
どんどん、新しいことに挑戦してほしいの。
おのずと道は開かれる。ダメダメだとそこで諦めてしまっては、結局歩みを止めてしまう。
そうじゃないのよ!もっと、成長させて欲しいの!」
ニコニコと微笑むとなんとなく私の言いたいことが伝わったようで、研究者たちの顔が引き締まり、つきそっていたウィルやイチアは頷き、ピュールはぐっと力鼓舞を作って応えてくれた。
こんな人たちとだから、改革途中でも一緒に歩んで行ける。
それが、私にとっての財産である……そう思えるのであった。
議論は熱を持ちすぎていて、お互い冷静に話せていなかったようで、実は私たちが入って行ったことで、少しだけ落ち着いたということだった。
「どんな話をしていたの?」
「生活用水を流したいという話があったのです。公道となるところにそのようなものを流されては
臭くてたまりません!」
「そうなの?」
「たぶん、滞留してしまうと、どうしてもそうなるような気がするのですが、でも、この際、どうにか
できないか……と思いまして」
「確かに……夏場とかだと大変よね……」
「そうでしょうともそうでしょうとも!アンナリーゼ様はわかっていらっしゃる!」
アルカは誇らしげにいうが、ピュールはこの町に住むものとして、提案をしたようだった。
確かに、生活用水も綺麗に出来るなら……してしまいたい。
それには、滞留をしないようにと考えないと結局、臭いだけでなく菌の発生、病気に繋がることは避けたい。
「うーん、どうしたらいいかした?」
「しない方がいいに決まっています!」
「それは、研究者として?それなら、考えを改めてほしいわ!出来ることなら、出来る方向で考えて
ほしいの。前例がなからダメとかでは、私を納得させられない、そう思って。
前例がないからこそ、やってみてほしいの。そのためにアルカやリアノ、スキナをわざわざ、フレイ
ゼンから来てもらったの」
「それは……」
「できないから、出来る!にしてほしい。最終的にできないかもしれないけど、今、出来ないと、
まだ、何も始まっていないのに否定はしないで!それは、領主としても見逃せないし、私がおも
しろくないわ!
一人の知恵で足りないなら、三人で考えてみて。それでたりないなら他の人も巻き込んでみてちょう
だい。意外と、答えは呆気なく出ることもあるから!きっと、目の前にこの答えもぶら下がっている
のよ!まだ、私たちには見えていないだけで!」
私は、言い争っていたはずの三人に微笑みかけると、頷いてくれる。渋々だったりもするが……アルカなんて。
でも、私が意図していることは、伝わったのだろう。
「例えばなんだけど……」
「なんですか?スキナさん」
「もっと深く掘ると大変ですよね……?」
「もっとですか?」
「水が通る道を2つ作るってこと?」
「そうです。それか……昨日、ヨハンさんに聞いたんですけど……万能の水があるとか?そこに繋げ
たりしたら……どうですか?」
「自分の家の近くに貯水池を作って、綺麗になった水だけを流す様にするとか?」
「何軒かでまとめて貯水池を作ってってことですか?」
なるほど……そういうこともあるのかと頷くアルカ。水の専門であるアルカはすでにあの地底湖を見に行っているはずだ。
ということは、知っているだろう。私が考えているおトイレ事情も。
「例えばですけど……トイレを流す水が、例の水でするのであれば……生活用水を同じ貯水池でまとめ
ても……それでは、あの水が足りない……もっとその水を……」
「地底湖の水の中にいる菌は確か勝手に増殖するらしいよ!」
「そうなのですか?」
「ヨハンが確か……そう言ってたはず。人畜無害だから川にも流せるしって」
ヨハンがきちんと伝えなかったのだろうか?驚いているアルカではあるが……そこは、専門外の私に聞かれては困るのでヨハンに聞いてねとボソッと呟いておく。
「それなら、1軒につき1つの貯水池を作ってもいいんじゃないか?ある程度綺麗な水なら臭いもしない
だろ?」
「そうだな。それなら……」
「それを作るにはコンクリートがいる。まず、穴を深い目に掘らないといけないし……人手がもっと
いる」
「人手は、もう、これ以上は受入れられないよ!お金とかの意味じゃなくて……」
「食料の問題で、これ以上は受入れられません。まずは、無駄な動きをしている人がいないか確認を
取りましょう。作業の効率化を考えるだけで、ずっと、作業が早くなることもありますから!」
「体は、壊さないようにしないと……」
「農民の一部も麦まきが終われば少しだけ時間があるはずですから、お願いしましょう!」
「その交渉はイチアに任せてもいいかしら?」
「そうですね、これからしばらく、公都とコーコナですからね……わかりました!なんとかして
おきます!」
お願いね!と微笑むと、その笑顔にはかないませんねとイチアが切り返してくる。
そうかしら?と思うと、みなにため息をつかれた。
いつも思うが、私の扱いが、みんな雑だと思う……私、これでも筆頭公爵なのですよ!と胸を張ると、そうは見えないとアルカの一言で終わってしまう。
「ほら、人が集まるとこんなふうに知恵が集まるでしょ?ちょっとしたことで、話も膨らむしこれで
1つの道が繋がったよね?他にもないか考えてみてよ!
こんなふうに、私は人も町も領地も成長できて行けばいいと思うの。既存のことに囚われることなく、
どんどん、新しいことに挑戦してほしいの。
おのずと道は開かれる。ダメダメだとそこで諦めてしまっては、結局歩みを止めてしまう。
そうじゃないのよ!もっと、成長させて欲しいの!」
ニコニコと微笑むとなんとなく私の言いたいことが伝わったようで、研究者たちの顔が引き締まり、つきそっていたウィルやイチアは頷き、ピュールはぐっと力鼓舞を作って応えてくれた。
こんな人たちとだから、改革途中でも一緒に歩んで行ける。
それが、私にとっての財産である……そう思えるのであった。
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