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10人の魔法使い14
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「羊って……さ?」
「なんでしょう?」
「どうやって、毛糸にするの?あの、毛?をかるの?」
「そうです、そうです。ざっくりいうと、あの毛をかって、洗って、整えて、毛糸にしますよ。結構な
行程を必要とするのですけど……毛糸にすると、ひざ掛けやセーターなど作れますよね?セーターとか
着ますか?」
「アンバー領はわりと温かいから、着ないかも」
「公都の方が寒いんじゃない?俺、たまに中に着てたりする。腹巻とかしてるヤツ見かけたりする。
まぁ、ちょっと動くと暑くなりすぎるけど……薄手のセーターとか作れる?」
「細毛糸で編めば、薄手にはなりますね。ただ、私たちが育てている羊はホカホカ要素を重要視して、
育てているので……」
「そっか、でも、試してみたくなった!姫さん、作ってよ!」
「私が編むの?」
「姫さん編んだらさ、目がくちゃくちゃで、ところどころ穴とか空いてそうだからヤダ!作ってくれる
人、雇ってよ!」
「私だって、編み物くらい出来るもん!何さ!絶対、ウィルに作ってやる!」
「えっ?やだよ……」
「絶対、ダメ!作ります。もらってね!」
「ジョージア様に作ってやったら、泣いて喜ぶんじゃない?」
「もういいよ……こっそり送っておくし……それと、毛糸編みは、クーヘンが得意だって言ってたわよ!
ナタリーに相談して、秋に向かって量産する話をしないといけないかしら?」
私は考えていると、ヤイコがあの……と割り込んできた。
「どうしたの?」
「羊なのですが……」
「うん」
「実は、今回羊をすでに100頭ほど連れてきているのですが……」
「そうなの?」
私は、受入れ準備も出来ていない100頭の羊のことを考えると、どうしたら?とイチアに視線を向けた。
イチアも困り顔でこちらを向いてきた。
急増で柵を作るのかとか考えていると、そこに、帰ったぞ!とノクトが入ってきた。
ノクトは、トワイス国でのハニーアンバー店の開店を手伝ったり、後はあちこち回ってきてもらう予定で送り出していたのだが、トワイスの方が落ち着いたということだろう。
何かいい策が出そうで、期待してしまう。
こういうのは、知識だけでは補えない経験値が物をいうのだろう。
イチアでもお手上げではあるのだが、このおじさんの発想はなんといっても、公爵としても農家の一員としてもありとあらゆる想定を考えられるので、こういった問題に際して、頼ってしまう。
「お疲れ、ノクト!」
「おう!ってこれ、今何してんだ?」
「えっと、フレイゼンから10人の魔法使いの受入れ?一昨日から、受入れをして、今9人迎え入れたところ
でね……ちょっと、困ったことになっているの?」
「なんだ?どんなことだ?」
「えっとね?100頭の羊を受入れることになったんだけど……」
「食うのか?」
「食べないよ!羊毛で毛糸作ったりするって話をしてたところなんだけど」
「あぁ、それで、羊の受入れか……で、どうした?」
「今すぐ、受け入れるところがないの……」
私は、ため息をついてしまった。ヤイコとソメコの前で。
アンバー領のために揃えてくれたと言うのに、なんて失礼なのだろう。
「……ごめんね」
「ご迷惑でしたか?いきなり羊を100頭も連れてきたら、邪魔ですよね……考えなしで、申し訳ござい
ません」
「うぅん、ヤイコ、そうじゃないの!謝らないで!アンバー領のためにありがたいのに、私は何も考えて
られなくて……」
「アンナよ、羊って木、食べるか?さすがに飼ったことがないから、わからん」
「私は、わからないけど……どうかしら?」
「食べません。大丈夫です!」
「それだったら、葡萄畑にとりあえず、放すのはどうだ?」
「葡萄畑?」
「あぁ、柵もあるし、これから草刈りが必要な季節だからな!人間が草刈りする前に、羊に手伝って
もらえばいいんじゃないか?その間に、柵を作ればいいし、小屋もいるんだろ?」
「はい、必要です!えっと、食料は飼料もありますし、しばらくは、放し飼いで大丈夫です。もう少し
したら、毛のかり入れもありますから、羊も軽くなりますしね!」
ノクトのおかげでなんと解決できそうな雰囲気になりホッとした。
私……まだまだダメだな……と、心の中で反省をしていると、ノクトがまた話始める。
「羊の飼料は、なんだ?栄養管理の出来たものなら……フンも肥料として使えないのか?」
「あぁ、それは、考えていませんでしたが、飼料は品種改良した羊たちようですので、栄養価は高い
です。フンを肥料としてですか……」
「そうだ。1ヵ所に集めて発酵させれば、肥料にならないか?」
「なりますね!」
「ヨハンの肥料のこともあるし、これは、ヨハンも含め、クレアとスキナに相談しないといけないかな?
肥料が多すぎるの、食物にはダメでしょ?」
「あぁ、よくわかっているじゃないか?アンナ」
「ちょっとは勉強しているのよ!私だって、アンバー領のことを思って、苦手な勉強をしているわよ!」
みんなが、へぇーっと関心しているが、私のことを何だと思っているのだろう?これでも、領主なのだけど……と、私は椅子に深く座り直した。
「なんでしょう?」
「どうやって、毛糸にするの?あの、毛?をかるの?」
「そうです、そうです。ざっくりいうと、あの毛をかって、洗って、整えて、毛糸にしますよ。結構な
行程を必要とするのですけど……毛糸にすると、ひざ掛けやセーターなど作れますよね?セーターとか
着ますか?」
「アンバー領はわりと温かいから、着ないかも」
「公都の方が寒いんじゃない?俺、たまに中に着てたりする。腹巻とかしてるヤツ見かけたりする。
まぁ、ちょっと動くと暑くなりすぎるけど……薄手のセーターとか作れる?」
「細毛糸で編めば、薄手にはなりますね。ただ、私たちが育てている羊はホカホカ要素を重要視して、
育てているので……」
「そっか、でも、試してみたくなった!姫さん、作ってよ!」
「私が編むの?」
「姫さん編んだらさ、目がくちゃくちゃで、ところどころ穴とか空いてそうだからヤダ!作ってくれる
人、雇ってよ!」
「私だって、編み物くらい出来るもん!何さ!絶対、ウィルに作ってやる!」
「えっ?やだよ……」
「絶対、ダメ!作ります。もらってね!」
「ジョージア様に作ってやったら、泣いて喜ぶんじゃない?」
「もういいよ……こっそり送っておくし……それと、毛糸編みは、クーヘンが得意だって言ってたわよ!
ナタリーに相談して、秋に向かって量産する話をしないといけないかしら?」
私は考えていると、ヤイコがあの……と割り込んできた。
「どうしたの?」
「羊なのですが……」
「うん」
「実は、今回羊をすでに100頭ほど連れてきているのですが……」
「そうなの?」
私は、受入れ準備も出来ていない100頭の羊のことを考えると、どうしたら?とイチアに視線を向けた。
イチアも困り顔でこちらを向いてきた。
急増で柵を作るのかとか考えていると、そこに、帰ったぞ!とノクトが入ってきた。
ノクトは、トワイス国でのハニーアンバー店の開店を手伝ったり、後はあちこち回ってきてもらう予定で送り出していたのだが、トワイスの方が落ち着いたということだろう。
何かいい策が出そうで、期待してしまう。
こういうのは、知識だけでは補えない経験値が物をいうのだろう。
イチアでもお手上げではあるのだが、このおじさんの発想はなんといっても、公爵としても農家の一員としてもありとあらゆる想定を考えられるので、こういった問題に際して、頼ってしまう。
「お疲れ、ノクト!」
「おう!ってこれ、今何してんだ?」
「えっと、フレイゼンから10人の魔法使いの受入れ?一昨日から、受入れをして、今9人迎え入れたところ
でね……ちょっと、困ったことになっているの?」
「なんだ?どんなことだ?」
「えっとね?100頭の羊を受入れることになったんだけど……」
「食うのか?」
「食べないよ!羊毛で毛糸作ったりするって話をしてたところなんだけど」
「あぁ、それで、羊の受入れか……で、どうした?」
「今すぐ、受け入れるところがないの……」
私は、ため息をついてしまった。ヤイコとソメコの前で。
アンバー領のために揃えてくれたと言うのに、なんて失礼なのだろう。
「……ごめんね」
「ご迷惑でしたか?いきなり羊を100頭も連れてきたら、邪魔ですよね……考えなしで、申し訳ござい
ません」
「うぅん、ヤイコ、そうじゃないの!謝らないで!アンバー領のためにありがたいのに、私は何も考えて
られなくて……」
「アンナよ、羊って木、食べるか?さすがに飼ったことがないから、わからん」
「私は、わからないけど……どうかしら?」
「食べません。大丈夫です!」
「それだったら、葡萄畑にとりあえず、放すのはどうだ?」
「葡萄畑?」
「あぁ、柵もあるし、これから草刈りが必要な季節だからな!人間が草刈りする前に、羊に手伝って
もらえばいいんじゃないか?その間に、柵を作ればいいし、小屋もいるんだろ?」
「はい、必要です!えっと、食料は飼料もありますし、しばらくは、放し飼いで大丈夫です。もう少し
したら、毛のかり入れもありますから、羊も軽くなりますしね!」
ノクトのおかげでなんと解決できそうな雰囲気になりホッとした。
私……まだまだダメだな……と、心の中で反省をしていると、ノクトがまた話始める。
「羊の飼料は、なんだ?栄養管理の出来たものなら……フンも肥料として使えないのか?」
「あぁ、それは、考えていませんでしたが、飼料は品種改良した羊たちようですので、栄養価は高い
です。フンを肥料としてですか……」
「そうだ。1ヵ所に集めて発酵させれば、肥料にならないか?」
「なりますね!」
「ヨハンの肥料のこともあるし、これは、ヨハンも含め、クレアとスキナに相談しないといけないかな?
肥料が多すぎるの、食物にはダメでしょ?」
「あぁ、よくわかっているじゃないか?アンナ」
「ちょっとは勉強しているのよ!私だって、アンバー領のことを思って、苦手な勉強をしているわよ!」
みんなが、へぇーっと関心しているが、私のことを何だと思っているのだろう?これでも、領主なのだけど……と、私は椅子に深く座り直した。
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