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10人の魔法使い
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「今日は、種まきに行ってくるね!」
「待ってください!アンナリーゼ様。今日は、フレイゼン領から何人かくることになっていますから、
屋敷にいてもらわないと困ります!」
「え……イチアがいてくれればいいと思うのだけど……ダメ?」
「可愛く行ってみてもダメです」
ピシャリとイチアにも言われ、私は渋々執務室へと帰っていく。
今日来ることになっているの三人だそうだ。
まずは、私への挨拶のために屋敷にくることになっている。
私の預かり知らぬところで、セバスやイチアが調整してくれていたらしい。
そうこうしているうちに馬車が1台着いたようだ。
私は執務室から覗いてみると、ハリーと一緒に学都見学に行ったとき、美味しいトマトをくれた助手であった。
「教授に上がったのかしら?」
私は、すぐにこの場所へ通されるだろう彼女を迎えるため、執務机で執務をしているかのように椅子をひく。
そこに、扉がノックされるので、どうぞと答えると入ってきた。
「お久しぶりです、アンナリーゼ様。お元気でしたか?」
「えぇ、もちろんよ!あなたが来てくれたのね!いつだったか、美味しいトマトをくれたわね」
「覚えてらっしゃいましたか?嬉しいです!名前はそのときに言っていませんでしたね」
「そうね、教えてくれるかしら?」
「はい、クレアと申します。私の得意分野は野菜をいかに美味しく作るか。必ずやお役に立ってみせ
ますわ!」
「それは、とっても心強いわ!私あのとき食べたトマトが本当に美味しいと思っていたの!」
「それは、一緒に食べた人が良かったのですよ!野菜はいつも美味しいですが、想い出に残るような
ものは、一緒に食べた人との想い出込みで美味しいのですよ!」
「そうなの?よくわからないわ!」
「何はともあれ、美味しいと言っていただけて、あのトマトは幸せですね!」
うっとりトマトのことを話すクレアは、熟れたトマトのように紅潮している。
「トマト以外には、どんなものが得意分野?」
「野菜全般です。昨年、ヨハン教授にお願いした記録もありますから、アンバー領に適した美味しい
野菜を作れるよう、誠心誠意お仕えしますわ!」
「本当?去年は麦と砂糖を中心的に作付けをしたのだけど、今年は、芋も考えているの。
誕生日会のときに食べた芋が美味しくて……子どもたちが気に入ったのよ!」
「あれは、品種改良をした芋でして……アンナリーゼ様も気に入ってもらえましたか?」
「えぇ、とっても。蒸かして塩だけで食べたのだけど……甘味もあるしホクホクととても美味しかった
わ!」
私の芋を食べた感想に大層嬉しそうに頷くクレア。
「今年は、もう少しだけ畑を広げられると聞いているのですが……」
「えぇ、そのつもり。他にも保存のきく豆も作る予定なの。なるほど、なるほど。
それなら……いいのがありますよ!」
目を輝かせて何かをガサガサと漁るクレアは、見た目は綺麗なお姉さんでも、差ながらヨハンである。
何とも言えない雰囲気にどうしたものかと後ずさっていると、イチアが入ってきた。
「イチア、いいところに!こちら、フレイゼン領からの……」
「クレアと申します!よろしくお願いします!」
「よろしく、頼みます。私は、こちらでアンナリーゼ様たちの補佐をさせていただいています」
「そうなのですね!アンナリーゼ様の側にはおもしろそうな方がいるのですね!もっと早く来れたら
よかったのに……」
クレアは、イチアを気に入ったのか、舌なめずりをしていた。
私は見なかったことにして、視線を外す。イチアはコホンと咳をひとつして、どんな研究をしているのか聞き出していった。
元々、食べることが好きだったようである日、祖母に手渡された野菜があまりにも美味しかったので、のめりこんでいき、研究するまでに至ったということだ。
人間、食と言うのは、生きるための根本だ。
クレアが美味しい野菜は、生やシンプルな味で食べて欲しいらしく余念がないらしい。
「そういえば、ヨハン教授に聞いているのですけど、畑がやせ細り育ちにくかったとか。
応急処置的に収穫量をあげるための肥料を作ったときいていましたが、いかがでした?」
「収穫量は凄く上がったわ!肥料を使っている畑と使わない畑で比べたの。倍以上の収穫量となったの。
食料も困っていたから、とても助かったわ!」
「そうですか……収穫だけを着目したと連絡をもらっていたので……ぜひ、この秋収穫の
麦には、美味しいの付加価値をつけたものを提供したいのですけど……いかがでしょう?」
「そんなことができるの?」
「えぇ、もちろんです!」
満面の笑みで答えるクレアに私とイチアは顔を見合わせる。
でも、さらに美味しいものが出来るなら……それは、嬉しい。
「秋は、一部の畑で実験をしましょう!それでどうなるか、確認した上で、来年の肥料を考えましょう!
秋にまける分だけ、作ってくれるかしら?」
「もちろんです、あと……ありました」
「それは……?」
「トウモロコシというものです。これは、お菓子の部類に入るかもしれませんが、保存が聞きますし、
美味しいですよ!だから、これも植えてみてほしいのです!」
「初めてみるわね!イチアは?」
「私も初めてみました。これは……どんな味がするのだろう?」
「保存用に乾燥させたのがありますから、食べてみますか?生とか塩ゆでが1番美味しいのです
けどね……」
頼もうと思った瞬間、また、馬車が到着したようだ。
馬車がとまった音がしたので、私は、下をむいて見つめるが、わからなかった。
「クレア、1つ質問が」
「何ですか?」
「調香師の資格って持っているのかしら?」
「私は持っていませんね……誰か持っているのです?」
「ヨハンがいうには、そういう人も来ていると言っていたから」
「ごめんなさい、役にたてそうにないです。それより、調理してきますね!」
そう言って、話の途中で出て行ったクレア。
研究バカは、やはりここにもいたのかとため息をついてしまった。
「待ってください!アンナリーゼ様。今日は、フレイゼン領から何人かくることになっていますから、
屋敷にいてもらわないと困ります!」
「え……イチアがいてくれればいいと思うのだけど……ダメ?」
「可愛く行ってみてもダメです」
ピシャリとイチアにも言われ、私は渋々執務室へと帰っていく。
今日来ることになっているの三人だそうだ。
まずは、私への挨拶のために屋敷にくることになっている。
私の預かり知らぬところで、セバスやイチアが調整してくれていたらしい。
そうこうしているうちに馬車が1台着いたようだ。
私は執務室から覗いてみると、ハリーと一緒に学都見学に行ったとき、美味しいトマトをくれた助手であった。
「教授に上がったのかしら?」
私は、すぐにこの場所へ通されるだろう彼女を迎えるため、執務机で執務をしているかのように椅子をひく。
そこに、扉がノックされるので、どうぞと答えると入ってきた。
「お久しぶりです、アンナリーゼ様。お元気でしたか?」
「えぇ、もちろんよ!あなたが来てくれたのね!いつだったか、美味しいトマトをくれたわね」
「覚えてらっしゃいましたか?嬉しいです!名前はそのときに言っていませんでしたね」
「そうね、教えてくれるかしら?」
「はい、クレアと申します。私の得意分野は野菜をいかに美味しく作るか。必ずやお役に立ってみせ
ますわ!」
「それは、とっても心強いわ!私あのとき食べたトマトが本当に美味しいと思っていたの!」
「それは、一緒に食べた人が良かったのですよ!野菜はいつも美味しいですが、想い出に残るような
ものは、一緒に食べた人との想い出込みで美味しいのですよ!」
「そうなの?よくわからないわ!」
「何はともあれ、美味しいと言っていただけて、あのトマトは幸せですね!」
うっとりトマトのことを話すクレアは、熟れたトマトのように紅潮している。
「トマト以外には、どんなものが得意分野?」
「野菜全般です。昨年、ヨハン教授にお願いした記録もありますから、アンバー領に適した美味しい
野菜を作れるよう、誠心誠意お仕えしますわ!」
「本当?去年は麦と砂糖を中心的に作付けをしたのだけど、今年は、芋も考えているの。
誕生日会のときに食べた芋が美味しくて……子どもたちが気に入ったのよ!」
「あれは、品種改良をした芋でして……アンナリーゼ様も気に入ってもらえましたか?」
「えぇ、とっても。蒸かして塩だけで食べたのだけど……甘味もあるしホクホクととても美味しかった
わ!」
私の芋を食べた感想に大層嬉しそうに頷くクレア。
「今年は、もう少しだけ畑を広げられると聞いているのですが……」
「えぇ、そのつもり。他にも保存のきく豆も作る予定なの。なるほど、なるほど。
それなら……いいのがありますよ!」
目を輝かせて何かをガサガサと漁るクレアは、見た目は綺麗なお姉さんでも、差ながらヨハンである。
何とも言えない雰囲気にどうしたものかと後ずさっていると、イチアが入ってきた。
「イチア、いいところに!こちら、フレイゼン領からの……」
「クレアと申します!よろしくお願いします!」
「よろしく、頼みます。私は、こちらでアンナリーゼ様たちの補佐をさせていただいています」
「そうなのですね!アンナリーゼ様の側にはおもしろそうな方がいるのですね!もっと早く来れたら
よかったのに……」
クレアは、イチアを気に入ったのか、舌なめずりをしていた。
私は見なかったことにして、視線を外す。イチアはコホンと咳をひとつして、どんな研究をしているのか聞き出していった。
元々、食べることが好きだったようである日、祖母に手渡された野菜があまりにも美味しかったので、のめりこんでいき、研究するまでに至ったということだ。
人間、食と言うのは、生きるための根本だ。
クレアが美味しい野菜は、生やシンプルな味で食べて欲しいらしく余念がないらしい。
「そういえば、ヨハン教授に聞いているのですけど、畑がやせ細り育ちにくかったとか。
応急処置的に収穫量をあげるための肥料を作ったときいていましたが、いかがでした?」
「収穫量は凄く上がったわ!肥料を使っている畑と使わない畑で比べたの。倍以上の収穫量となったの。
食料も困っていたから、とても助かったわ!」
「そうですか……収穫だけを着目したと連絡をもらっていたので……ぜひ、この秋収穫の
麦には、美味しいの付加価値をつけたものを提供したいのですけど……いかがでしょう?」
「そんなことができるの?」
「えぇ、もちろんです!」
満面の笑みで答えるクレアに私とイチアは顔を見合わせる。
でも、さらに美味しいものが出来るなら……それは、嬉しい。
「秋は、一部の畑で実験をしましょう!それでどうなるか、確認した上で、来年の肥料を考えましょう!
秋にまける分だけ、作ってくれるかしら?」
「もちろんです、あと……ありました」
「それは……?」
「トウモロコシというものです。これは、お菓子の部類に入るかもしれませんが、保存が聞きますし、
美味しいですよ!だから、これも植えてみてほしいのです!」
「初めてみるわね!イチアは?」
「私も初めてみました。これは……どんな味がするのだろう?」
「保存用に乾燥させたのがありますから、食べてみますか?生とか塩ゆでが1番美味しいのです
けどね……」
頼もうと思った瞬間、また、馬車が到着したようだ。
馬車がとまった音がしたので、私は、下をむいて見つめるが、わからなかった。
「クレア、1つ質問が」
「何ですか?」
「調香師の資格って持っているのかしら?」
「私は持っていませんね……誰か持っているのです?」
「ヨハンがいうには、そういう人も来ていると言っていたから」
「ごめんなさい、役にたてそうにないです。それより、調理してきますね!」
そう言って、話の途中で出て行ったクレア。
研究バカは、やはりここにもいたのかとため息をついてしまった。
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