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コンクリート?
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「雨水回収もいいんだけどよ?そこは、土を掘るだけじゃダメなんじゃねぇか?」
ずっと押し黙っていたピューレが、難しい顔をして意見する。
「と、いうと?」
「水っていうのは、人の想像を超えてくるものだからな!例えばだけど、雨水が通る道もこういうU字の
石か何かの溝で周りを固めたほうがいいと思うんだけど?」
「なるほど!確かに水の勢いで側面の土が削られるのはまずいですし、その溜まった水が染み込んで
しまうのも地盤沈下に繋がるかもしれない」
「そ、それなら、水が通る道を作ってやればいい!ただ、これは、街道で使う石よりいいものがある
はずなんだけど……カノタ、何か知らないか?」
「今、考えてたんだけど、セメントっていうのでは、作れないのか?」
「セメント?」
私は聞き覚えのないものに、聞き返した。
見覚えも聞き覚えもない私のために、セバスが紙に書き起してくれた。
「アンバー領では作ってないもんだから、どこかで仕入れないいけないんだけど……あれって何でできて
いるの?」
「……師匠なら詳しいんだけど……ちょっとまって……石灰、水と砂はあるし、石切の町には石はある
から……耐久性とかだと……火山灰?とか使ったりするんだけど……」
「聞きなれない言葉ばかりで、アンナリーゼ様がすでにパンクしているぞ?」
「まずは、石灰だね?」
「うん、それが肝心だね。火山灰の方がいいんだけど、都合よく取り寄せられるものではないから……」
「じゃあ、まずは、石灰から説明する?」
セバスに問われ、私は頷く。
私の持ち合わせている知識にはさっぱりない。
「石灰とは、石灰石とか貝殻を焼いたものを砕いて白い粉上にしたものなんだ。それには、海に近い
ところから材料を取り寄せないといけないんだけど、アンバー領では手に入らないね」
「貝殻か……海ならすぐ山向こうにあるけど……あったところで、何がどうなるって話になるかしら?」
「海があるの?じゃあ、わざわざ買い付けなくてもいいってことでしょ?
それに、農業にも使ったりするから……もし、石灰を確保できるなら、応用のきく話に繋がるね!
海ってどこにあるんです?」
「ノクト達ってヨハンの研究所近くにある地底湖には行ったのよね?」
「あぁ、行ったぞ?」
「あの、向こう側が海だそうよ?降りるところもあるらしいから……」
「海があるなら、砂もそこで手に入れられますね!」
「砂?」
「はい、コンクリートを作るには必要なものになりますから……」
「あっ!今思ったんだけど……塩って作れない?」
「それは、後にしようか?今は、まず、治水工事の話が先だ!」
ノクトに諫められ、シュンとする私。
確かに、そうなのだが……人間、塩って大事なのよ!自前でできたら素敵じゃない!なんて考えていた。
「その海って、どこの持ち物なんだろう?」
「さぁ?わからない。アンバー領の後ろに海があるなんて知らなかったし……セバスは知っていて?」
「僕もそこは、わからないな……とりあえず、海のことは城に問い合わせてみるよ!
それから、どこのでもないのなら、アンバー領の一部にしてしまっても、いいんじゃないかな?」
「わかった、じゃあ、それは任せるわ!で、貝殻よね?」
「そうです。まだ、海が……ってなると……何処かからしいれなければなりませんね?」
「隣国なら、海があるわ!そして、私、茶飲み友達になる約束のある人物がいるから、早速声をかけて
みるわ!きっと、喜んで飛んできてくれるはず!」
私はほくそ笑むと、何か良からぬことを考えている……と、ノクトとセバスがため息をついたが知らない。
せっかく、アンバー領に戻ってきたのだから、お茶会のお知らせも必要よね!とメモを取る。
「あと必要なのって何かあるかしら?」
「砂は元々三角州とかにあるのでもいいかなって思っているので、大丈夫ですね。
あと、水は川の水でいいでしょう。破石も石切の町にはたくさんあるので……人が必要ですね。
こねて固めて運んで設置……」
「なるほど……先に気づけばよかったね……街道の石畳より先に作らないといけないものだったのね」
「今からでもいいですよ!材料を集めると同時に、そのコンクリートを埋めるための穴も掘り起こさない
といけませんから……」
「同時進行でいろいろあるのね?人か……うーん」
「あの、言いにくいんですけど……」
「何かしら?」
カノタは妙に言いにくそうにしているが、そんなに構えられると、こっちまで構えてしまう。
サクッと言ってくれる方が私は対処しやすかったりするので、促すことにした。
「提案が、あります!」
「うん、何?」
「……そんなにあっさりなのです?」
「うん、別にもったいぶらなくていいよ?」
「まだ、これは、あまり例のないことなので、失敗することもあるのですが、橋の建設をコンクリートで
したいんです!」
「……橋?」
「えぇ、もし、可能なら……コンクリートにすることで強度もありますし、水にも強い。
なら、橋にもなるのではないかと……水害が起こるタイミングで、いつも橋が流されてしまってました
から、頑丈ならよほどのことがない限り大丈夫ではないかと思いまして!」
「それ、いいね!街道整備も領地内なら、2年くらいかなって思っていたんだけど……
橋か……頑丈な橋が作れると、災害後も回り道をすることなく通れる可能性があるってことだよね?」
「はい、そのとおりです!」
「夢のような話だね!いいわ、着手しましょう!どのみち、人がいるわね……冬の間は、農家の人手を
借りれればと思っていたのだけど……夏は、そうもいかないものね。
お掃除隊も40人くらいかしら?」
「今は、もっと減らしてますよ!みんな、それぞれに道を見つけた人もいるので!」
そっか……と、私は考え込む。
でも、直さなくていい橋ができるなら……領民にとっていいことも多いだろう。
「よし、わかった!近衛を借りれないか、相談してみる!」
「近衛をですか?」
「うん、3年間だけ貸してくれないか、公にかけあってみるわ!ちょうど、文官は受入れざるえない状況に
なったのだから……近衛の100人くらい給料は国持ちで、強くして返してあげるから貸しなさいよって
連絡してみるわ!」
したり顔になった私とは逆に、提案したカノタは真っ青になった。
「あの……近衛って……」
「大丈夫!借りるから!目の前にいるノクトを見てごらん!
農業に日曜大工にってこんなに体が逞しいのよ!3年間、土木工事をすれば……強い体を手に入れ
られて、おまけに、ノクトやウィルの指導付きなら、いいでしょ!
受け入れ費用として食事代は、しっかり国庫からもらうわよ!その代わり、住む場所の提供もするし、
強くしてあげるんだから、支払うお金でおつりが来るわよね!
何よりの財産は、成長した人なんだから!公が払った以上に育てあげることは可能なのよね!
アンバー領には、国で1番優秀な人材が集まってきているのだから!」
私は、人材のあたりはつけたので、早速お手紙を書くことにする。
隣国のバニッシュ子爵宛にお茶会の日取り、ジョージアに公へ謁見して手紙を渡して欲しいこと、出産日が少し早まるという内容、公へは今言った近衛100人の貸出について認める。
ついでに、文官も受入れることになっていたことについては、きっちり抗議もした上で、必要経費について書き入れ、近衛共に受け入れ準備をするので、冬になるころ、手筈を整えてくれという内容にした。
セバスとイチアが内容を読み、口の端が若干引きつっていたが、これでいいでしょうと太鼓判をもらったので、デリアを呼び早急に送付してもらうことにしたのである。
さてさて、おもしろいことになってきた。
まだまだ、話は終わりそうになく私の胸は踊るばかりである。
ずっと押し黙っていたピューレが、難しい顔をして意見する。
「と、いうと?」
「水っていうのは、人の想像を超えてくるものだからな!例えばだけど、雨水が通る道もこういうU字の
石か何かの溝で周りを固めたほうがいいと思うんだけど?」
「なるほど!確かに水の勢いで側面の土が削られるのはまずいですし、その溜まった水が染み込んで
しまうのも地盤沈下に繋がるかもしれない」
「そ、それなら、水が通る道を作ってやればいい!ただ、これは、街道で使う石よりいいものがある
はずなんだけど……カノタ、何か知らないか?」
「今、考えてたんだけど、セメントっていうのでは、作れないのか?」
「セメント?」
私は聞き覚えのないものに、聞き返した。
見覚えも聞き覚えもない私のために、セバスが紙に書き起してくれた。
「アンバー領では作ってないもんだから、どこかで仕入れないいけないんだけど……あれって何でできて
いるの?」
「……師匠なら詳しいんだけど……ちょっとまって……石灰、水と砂はあるし、石切の町には石はある
から……耐久性とかだと……火山灰?とか使ったりするんだけど……」
「聞きなれない言葉ばかりで、アンナリーゼ様がすでにパンクしているぞ?」
「まずは、石灰だね?」
「うん、それが肝心だね。火山灰の方がいいんだけど、都合よく取り寄せられるものではないから……」
「じゃあ、まずは、石灰から説明する?」
セバスに問われ、私は頷く。
私の持ち合わせている知識にはさっぱりない。
「石灰とは、石灰石とか貝殻を焼いたものを砕いて白い粉上にしたものなんだ。それには、海に近い
ところから材料を取り寄せないといけないんだけど、アンバー領では手に入らないね」
「貝殻か……海ならすぐ山向こうにあるけど……あったところで、何がどうなるって話になるかしら?」
「海があるの?じゃあ、わざわざ買い付けなくてもいいってことでしょ?
それに、農業にも使ったりするから……もし、石灰を確保できるなら、応用のきく話に繋がるね!
海ってどこにあるんです?」
「ノクト達ってヨハンの研究所近くにある地底湖には行ったのよね?」
「あぁ、行ったぞ?」
「あの、向こう側が海だそうよ?降りるところもあるらしいから……」
「海があるなら、砂もそこで手に入れられますね!」
「砂?」
「はい、コンクリートを作るには必要なものになりますから……」
「あっ!今思ったんだけど……塩って作れない?」
「それは、後にしようか?今は、まず、治水工事の話が先だ!」
ノクトに諫められ、シュンとする私。
確かに、そうなのだが……人間、塩って大事なのよ!自前でできたら素敵じゃない!なんて考えていた。
「その海って、どこの持ち物なんだろう?」
「さぁ?わからない。アンバー領の後ろに海があるなんて知らなかったし……セバスは知っていて?」
「僕もそこは、わからないな……とりあえず、海のことは城に問い合わせてみるよ!
それから、どこのでもないのなら、アンバー領の一部にしてしまっても、いいんじゃないかな?」
「わかった、じゃあ、それは任せるわ!で、貝殻よね?」
「そうです。まだ、海が……ってなると……何処かからしいれなければなりませんね?」
「隣国なら、海があるわ!そして、私、茶飲み友達になる約束のある人物がいるから、早速声をかけて
みるわ!きっと、喜んで飛んできてくれるはず!」
私はほくそ笑むと、何か良からぬことを考えている……と、ノクトとセバスがため息をついたが知らない。
せっかく、アンバー領に戻ってきたのだから、お茶会のお知らせも必要よね!とメモを取る。
「あと必要なのって何かあるかしら?」
「砂は元々三角州とかにあるのでもいいかなって思っているので、大丈夫ですね。
あと、水は川の水でいいでしょう。破石も石切の町にはたくさんあるので……人が必要ですね。
こねて固めて運んで設置……」
「なるほど……先に気づけばよかったね……街道の石畳より先に作らないといけないものだったのね」
「今からでもいいですよ!材料を集めると同時に、そのコンクリートを埋めるための穴も掘り起こさない
といけませんから……」
「同時進行でいろいろあるのね?人か……うーん」
「あの、言いにくいんですけど……」
「何かしら?」
カノタは妙に言いにくそうにしているが、そんなに構えられると、こっちまで構えてしまう。
サクッと言ってくれる方が私は対処しやすかったりするので、促すことにした。
「提案が、あります!」
「うん、何?」
「……そんなにあっさりなのです?」
「うん、別にもったいぶらなくていいよ?」
「まだ、これは、あまり例のないことなので、失敗することもあるのですが、橋の建設をコンクリートで
したいんです!」
「……橋?」
「えぇ、もし、可能なら……コンクリートにすることで強度もありますし、水にも強い。
なら、橋にもなるのではないかと……水害が起こるタイミングで、いつも橋が流されてしまってました
から、頑丈ならよほどのことがない限り大丈夫ではないかと思いまして!」
「それ、いいね!街道整備も領地内なら、2年くらいかなって思っていたんだけど……
橋か……頑丈な橋が作れると、災害後も回り道をすることなく通れる可能性があるってことだよね?」
「はい、そのとおりです!」
「夢のような話だね!いいわ、着手しましょう!どのみち、人がいるわね……冬の間は、農家の人手を
借りれればと思っていたのだけど……夏は、そうもいかないものね。
お掃除隊も40人くらいかしら?」
「今は、もっと減らしてますよ!みんな、それぞれに道を見つけた人もいるので!」
そっか……と、私は考え込む。
でも、直さなくていい橋ができるなら……領民にとっていいことも多いだろう。
「よし、わかった!近衛を借りれないか、相談してみる!」
「近衛をですか?」
「うん、3年間だけ貸してくれないか、公にかけあってみるわ!ちょうど、文官は受入れざるえない状況に
なったのだから……近衛の100人くらい給料は国持ちで、強くして返してあげるから貸しなさいよって
連絡してみるわ!」
したり顔になった私とは逆に、提案したカノタは真っ青になった。
「あの……近衛って……」
「大丈夫!借りるから!目の前にいるノクトを見てごらん!
農業に日曜大工にってこんなに体が逞しいのよ!3年間、土木工事をすれば……強い体を手に入れ
られて、おまけに、ノクトやウィルの指導付きなら、いいでしょ!
受け入れ費用として食事代は、しっかり国庫からもらうわよ!その代わり、住む場所の提供もするし、
強くしてあげるんだから、支払うお金でおつりが来るわよね!
何よりの財産は、成長した人なんだから!公が払った以上に育てあげることは可能なのよね!
アンバー領には、国で1番優秀な人材が集まってきているのだから!」
私は、人材のあたりはつけたので、早速お手紙を書くことにする。
隣国のバニッシュ子爵宛にお茶会の日取り、ジョージアに公へ謁見して手紙を渡して欲しいこと、出産日が少し早まるという内容、公へは今言った近衛100人の貸出について認める。
ついでに、文官も受入れることになっていたことについては、きっちり抗議もした上で、必要経費について書き入れ、近衛共に受け入れ準備をするので、冬になるころ、手筈を整えてくれという内容にした。
セバスとイチアが内容を読み、口の端が若干引きつっていたが、これでいいでしょうと太鼓判をもらったので、デリアを呼び早急に送付してもらうことにしたのである。
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