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前日は忙しい!
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ここしばらく、店の開店が近づいてきたため、午後から通っている。
何か、開店するにあたって、出来ることはないか、忘れていることはないかと確認していく。
特に2階のカフェについては、1ヶ月前から慌てて始めたばかりだったので時間を割いて確認しているところだ。
幸い、ウエイターにウエイトレスもアンバー公爵家で希望を募り、しっかり教育されたものしか選ばなかったので、問題はなさそうだ。
ディルの教育にかかれば、ライズは別物として、一流の執事侍女に変わることができる。
そこに、商売上手な三商人が、接客に立つときの極意を教え込んでいったので、そこら辺の貴族の侍従たちより洗練されているだろう。
1階の従業員たちも、同じような訓練を受けているので、いついかなるときでも相手が誰であってもきちんと対応出来るようになっている。
領地からも何人か金勘定ができる人材を連れてきているので、これで一通りは揃ったことになる。
「キティ、そこの窓開けてくれる?」
「窓ですか?」
「うん、焼き菓子のいい匂いが行きかう人にもするかなって思って……」
私は2階の窓を少しづつ開けていく。
外に香るのクッキーなどの甘い匂いに誘われて、来てくれる人がいないだろうか?と、期待を胸に少しずつ小さな努力を重ねる。
貴族も来る店としているので、派手に呼び込みは出来ないのだが、これくらいはいいだろう。
嗅覚と胃袋に訴えかけるのは、きっと許されるはずだと、私は窓から通りを見てた。
すると、店の前で馬車が停まる。
見たこともない程、豪奢な馬車は、もう一人の招待者であろうことは見当がついた。
慌てて階段を駆けあがってくる従業員へ振り返り、ニコリと笑いかける。
「忙しいタイミングで、来られたみたいね!」
「あ……あの……」
「上から見えていたわ!今から、向かいます!」
私が、1階に降りていくとちょうど玄関の扉が開いたところだった。
ちゃんと、昼間の人通りの多い時間にと指定してあった通り、その人物は来てくれた。
「お待ちしていましたわ!公」
私を見るなり、引きつった笑顔をこちらに向けてくるのは、ローズディア公国の公その人だった。
後ろにジョージアを伴って来てくれた。
「アンナリーゼ……普通に忙しいのに……」
「呼ぶ人がいなくて……私、お友達少なくてごめんなさいね!
それに、打算大ありで呼ぶなら……公以外いませんから!」
「そんな、いい笑顔向けられても……」
忙しいだろうことは、わかっている。
前公からの引継ぎもあるし、断罪後の事後処理がやっと終わっただけなのも知っている。
それでも、アンバー公爵を後ろ盾にすると決めたのは、公自身なのだから、こんなときこそ、力になってくれないと困る。
私はいつだって掌を返すことくらい容易いなのだから。
それをすれば、非難はあるだろうが、領地改革に忙しいのでと社交を一切合切ジョージアへ任せてしまうことも可能ではある。
「営業用の笑顔は大切なのですよ!それより、せっかく来てくださったんですから、お店、
見てください!」
私は渋々来たという顔の公を、店の中へと手を引きひっぱり込む。
後ろにいたジョージアは、何とも複雑そうな顔をしていたが、今は、今後のアンバー領に関わる仕事中なので、その顔はやめてほしい。
「へぇーなかなか雰囲気のいい店だな!」
「ですよね!一般的に来てもらう人を考えれば、庶民の人が多いと見越してはいるんです
けど、一応手前と奥に別れています」
どうぞと先を促すと、そこで公はとまる。
「あれは……戴冠式で着ていたドレスか?」
「えぇ、そうですよ!もちろん、コーコナ領の布地から出来ているものなので、飾らせて
いただいてます!改めて見ても素敵でしょ?」
「あぁ、あれは、見事なドレスであったな。見たときは、かなり驚いた。
あの飾ってあるものは、ずっとあのままなのか?他の物とかえたりは……」
「すると思いますよ!季節のものであったり、目新しいものが出来れば、それらを飾ろう
かと思っていますから。
今回は、開店ということもありますし、せっかく戴冠式という大きな式典もあったので、
提供しました!
冬に夏のドレス飾ってあるのは、変だと思うので……長くても1ヶ月くらいかなと……」
「なるほど……これは、店に来る価値はありそうだ。
そなたの着るドレスは、どれも斬新なものや、流行になりうるものばかりだからな。
ところで、あれらのどこで手に入るのだ?デザイナーたちに聞いても知らぬと申して
おったのだが……」
「カラマス子爵の妹が私のためだけにデザインしてくれていますわ!
今回の戴冠式のドレスは1から私のためだけに作ってくださったのです!」
「令嬢が……ドレスを作ったか?」
「えぇ、とても素敵なドレスのデザインがあるのですよ!奥にドレスが在りますから、
是非、見ていってください!」
あぁといい私の後ろをついて歩く公は、通路の両側を見ては立ち止まり、感嘆の声をあげてくれる。
何といっても、ナタリーやその周りの女性たちの腕は確かなので、見るだけでも目に刺激的であろうことは、わかる。
ところどころに、等身大の人形に服を着せているので、目につかないわけもないだろう。
女性ものだけでなく、ちらほらと男性用の服も備えているので、驚いていた。
「アンナリーゼ、ところどころに見かける、あの人形なんだが……あれは?」
「あれは、私が頼んで作ってもらったものです。服を見せるのに、かけてあるだけだった
ら、自分が着るときにイメージしやすいかと思って、領地で作ってもらったんです。
大きな着せ替え人形って思ってもらえばいいですよ!」
公に説明すると、しげしげと見ながら頷いている。
「服を着せるとは、なかなか考えたな?」
「そうでもないですよ!誰でも思いつきますから!
曖昧に笑って答えるとそれでもと感心している。
「こちらが、高級なものを取り扱っていますわ!
一着手に取ってみてください!コーコナで作られている布地はどれも素晴らしく、
手触りがとてもいいのです。
繭から作られた絹の光沢も申し分ないですし、一着いかがですか?」
「えらく、商売上手だな?」
「そんなことは、ないです!」
「まぁ、いい……うーん……そうだな……」
公は、ゆっくりドレスを選びながら歩いている。ふと、とまったところで、私は声をかけようか迷った。
どう考えても公妃用にと考えたものではない。
「……二妃様ようですか?」
「あぁ、その、なんだ……二人目が出来たとかで……何か贈り物をと考えていたところ
だったんだが……あーわからん!」
「そうなのですね!おめでとうございます!女の子だといいですね!」
ニッコリ笑うと、そう願っているよと苦笑いで返される。
うちの子のお嫁さん……第二妃の子どもだといいな……なんて心の中で呟く。
「では、ゆるい方がいいでしょう。妊婦が締め付けるようなドレスを着ては、子に障り
ますから……こちらに」
私は先行して緩めのドレスを提案する。
二妃の柔らかい雰囲気とリボンで調整がきくようになっているドレスを何着か見せる。
「聞いていいか?」
「はい、何なりと……」
「こういうドレスは……その、妊婦ように作られているのか?」
「そうですね、数は少ないですけど、私も妊婦なのでキツイドレスは着れません。
でも、美しく可愛らしくいたいのは、妊婦になったとしても同じですから、どんなのが
いいのかとナタリー……カラマス子爵の妹と悩みに悩んで作っています。
私が着ているのもそうなのですけど……リボンをつけることで、調整してますよ!
解くとゆるくなってお腹が目立ちにくくこんな感じですし、結ぶと少しスッキリした
感じに見えますよね?
どんなときでも、オシャレをしていたい女性を応援したいと、私たちは考えたのです!」
なるほどと頷く公に微笑む。
少しは、わかってくれただろうか?手あたり次第の公世子時代には、こんなこと考えもしなかっただろうに……
「これにしよう!サイズは……どうかな?」
「サイズについては、後日城へ向かいますけど……」
「こっそり、プレゼントをしたい!」
「なら、後で構いませんから、サイズを教えていただけますか?せっかく公からもらう
のです。似合っている姿を見せたいと思われるはずですし、きちっとしたサイズを
もらえると自分のことを考えてくれていて嬉しく思いますから!」
「わかった、後でこちらに人をこさせよう!公族御用達看板があるんだから、別に侍女が
出入りしていても、なんら、不思議ではないしな」
はい!と返事をし、選んだドレスをニコライに渡す。
「それを直すのか?」
「はい、ここの部屋にあるものは、全て1点もの。私だけのドレスとして出させても
らっています」
「オートクチュールと言うやつだな?高いのか?」
「そこそこしますよ!あとで、請求書をお渡ししますけど……」
「あぁ、いいさ。二妃が喜ぶものであれば……」
他にも宝石や葡萄酒、蒸留酒など見ていく公。
その目は、どれを見ても満足そうにしているので、手応えありなのでは?と口の端が上がった。
何か、開店するにあたって、出来ることはないか、忘れていることはないかと確認していく。
特に2階のカフェについては、1ヶ月前から慌てて始めたばかりだったので時間を割いて確認しているところだ。
幸い、ウエイターにウエイトレスもアンバー公爵家で希望を募り、しっかり教育されたものしか選ばなかったので、問題はなさそうだ。
ディルの教育にかかれば、ライズは別物として、一流の執事侍女に変わることができる。
そこに、商売上手な三商人が、接客に立つときの極意を教え込んでいったので、そこら辺の貴族の侍従たちより洗練されているだろう。
1階の従業員たちも、同じような訓練を受けているので、いついかなるときでも相手が誰であってもきちんと対応出来るようになっている。
領地からも何人か金勘定ができる人材を連れてきているので、これで一通りは揃ったことになる。
「キティ、そこの窓開けてくれる?」
「窓ですか?」
「うん、焼き菓子のいい匂いが行きかう人にもするかなって思って……」
私は2階の窓を少しづつ開けていく。
外に香るのクッキーなどの甘い匂いに誘われて、来てくれる人がいないだろうか?と、期待を胸に少しずつ小さな努力を重ねる。
貴族も来る店としているので、派手に呼び込みは出来ないのだが、これくらいはいいだろう。
嗅覚と胃袋に訴えかけるのは、きっと許されるはずだと、私は窓から通りを見てた。
すると、店の前で馬車が停まる。
見たこともない程、豪奢な馬車は、もう一人の招待者であろうことは見当がついた。
慌てて階段を駆けあがってくる従業員へ振り返り、ニコリと笑いかける。
「忙しいタイミングで、来られたみたいね!」
「あ……あの……」
「上から見えていたわ!今から、向かいます!」
私が、1階に降りていくとちょうど玄関の扉が開いたところだった。
ちゃんと、昼間の人通りの多い時間にと指定してあった通り、その人物は来てくれた。
「お待ちしていましたわ!公」
私を見るなり、引きつった笑顔をこちらに向けてくるのは、ローズディア公国の公その人だった。
後ろにジョージアを伴って来てくれた。
「アンナリーゼ……普通に忙しいのに……」
「呼ぶ人がいなくて……私、お友達少なくてごめんなさいね!
それに、打算大ありで呼ぶなら……公以外いませんから!」
「そんな、いい笑顔向けられても……」
忙しいだろうことは、わかっている。
前公からの引継ぎもあるし、断罪後の事後処理がやっと終わっただけなのも知っている。
それでも、アンバー公爵を後ろ盾にすると決めたのは、公自身なのだから、こんなときこそ、力になってくれないと困る。
私はいつだって掌を返すことくらい容易いなのだから。
それをすれば、非難はあるだろうが、領地改革に忙しいのでと社交を一切合切ジョージアへ任せてしまうことも可能ではある。
「営業用の笑顔は大切なのですよ!それより、せっかく来てくださったんですから、お店、
見てください!」
私は渋々来たという顔の公を、店の中へと手を引きひっぱり込む。
後ろにいたジョージアは、何とも複雑そうな顔をしていたが、今は、今後のアンバー領に関わる仕事中なので、その顔はやめてほしい。
「へぇーなかなか雰囲気のいい店だな!」
「ですよね!一般的に来てもらう人を考えれば、庶民の人が多いと見越してはいるんです
けど、一応手前と奥に別れています」
どうぞと先を促すと、そこで公はとまる。
「あれは……戴冠式で着ていたドレスか?」
「えぇ、そうですよ!もちろん、コーコナ領の布地から出来ているものなので、飾らせて
いただいてます!改めて見ても素敵でしょ?」
「あぁ、あれは、見事なドレスであったな。見たときは、かなり驚いた。
あの飾ってあるものは、ずっとあのままなのか?他の物とかえたりは……」
「すると思いますよ!季節のものであったり、目新しいものが出来れば、それらを飾ろう
かと思っていますから。
今回は、開店ということもありますし、せっかく戴冠式という大きな式典もあったので、
提供しました!
冬に夏のドレス飾ってあるのは、変だと思うので……長くても1ヶ月くらいかなと……」
「なるほど……これは、店に来る価値はありそうだ。
そなたの着るドレスは、どれも斬新なものや、流行になりうるものばかりだからな。
ところで、あれらのどこで手に入るのだ?デザイナーたちに聞いても知らぬと申して
おったのだが……」
「カラマス子爵の妹が私のためだけにデザインしてくれていますわ!
今回の戴冠式のドレスは1から私のためだけに作ってくださったのです!」
「令嬢が……ドレスを作ったか?」
「えぇ、とても素敵なドレスのデザインがあるのですよ!奥にドレスが在りますから、
是非、見ていってください!」
あぁといい私の後ろをついて歩く公は、通路の両側を見ては立ち止まり、感嘆の声をあげてくれる。
何といっても、ナタリーやその周りの女性たちの腕は確かなので、見るだけでも目に刺激的であろうことは、わかる。
ところどころに、等身大の人形に服を着せているので、目につかないわけもないだろう。
女性ものだけでなく、ちらほらと男性用の服も備えているので、驚いていた。
「アンナリーゼ、ところどころに見かける、あの人形なんだが……あれは?」
「あれは、私が頼んで作ってもらったものです。服を見せるのに、かけてあるだけだった
ら、自分が着るときにイメージしやすいかと思って、領地で作ってもらったんです。
大きな着せ替え人形って思ってもらえばいいですよ!」
公に説明すると、しげしげと見ながら頷いている。
「服を着せるとは、なかなか考えたな?」
「そうでもないですよ!誰でも思いつきますから!
曖昧に笑って答えるとそれでもと感心している。
「こちらが、高級なものを取り扱っていますわ!
一着手に取ってみてください!コーコナで作られている布地はどれも素晴らしく、
手触りがとてもいいのです。
繭から作られた絹の光沢も申し分ないですし、一着いかがですか?」
「えらく、商売上手だな?」
「そんなことは、ないです!」
「まぁ、いい……うーん……そうだな……」
公は、ゆっくりドレスを選びながら歩いている。ふと、とまったところで、私は声をかけようか迷った。
どう考えても公妃用にと考えたものではない。
「……二妃様ようですか?」
「あぁ、その、なんだ……二人目が出来たとかで……何か贈り物をと考えていたところ
だったんだが……あーわからん!」
「そうなのですね!おめでとうございます!女の子だといいですね!」
ニッコリ笑うと、そう願っているよと苦笑いで返される。
うちの子のお嫁さん……第二妃の子どもだといいな……なんて心の中で呟く。
「では、ゆるい方がいいでしょう。妊婦が締め付けるようなドレスを着ては、子に障り
ますから……こちらに」
私は先行して緩めのドレスを提案する。
二妃の柔らかい雰囲気とリボンで調整がきくようになっているドレスを何着か見せる。
「聞いていいか?」
「はい、何なりと……」
「こういうドレスは……その、妊婦ように作られているのか?」
「そうですね、数は少ないですけど、私も妊婦なのでキツイドレスは着れません。
でも、美しく可愛らしくいたいのは、妊婦になったとしても同じですから、どんなのが
いいのかとナタリー……カラマス子爵の妹と悩みに悩んで作っています。
私が着ているのもそうなのですけど……リボンをつけることで、調整してますよ!
解くとゆるくなってお腹が目立ちにくくこんな感じですし、結ぶと少しスッキリした
感じに見えますよね?
どんなときでも、オシャレをしていたい女性を応援したいと、私たちは考えたのです!」
なるほどと頷く公に微笑む。
少しは、わかってくれただろうか?手あたり次第の公世子時代には、こんなこと考えもしなかっただろうに……
「これにしよう!サイズは……どうかな?」
「サイズについては、後日城へ向かいますけど……」
「こっそり、プレゼントをしたい!」
「なら、後で構いませんから、サイズを教えていただけますか?せっかく公からもらう
のです。似合っている姿を見せたいと思われるはずですし、きちっとしたサイズを
もらえると自分のことを考えてくれていて嬉しく思いますから!」
「わかった、後でこちらに人をこさせよう!公族御用達看板があるんだから、別に侍女が
出入りしていても、なんら、不思議ではないしな」
はい!と返事をし、選んだドレスをニコライに渡す。
「それを直すのか?」
「はい、ここの部屋にあるものは、全て1点もの。私だけのドレスとして出させても
らっています」
「オートクチュールと言うやつだな?高いのか?」
「そこそこしますよ!あとで、請求書をお渡ししますけど……」
「あぁ、いいさ。二妃が喜ぶものであれば……」
他にも宝石や葡萄酒、蒸留酒など見ていく公。
その目は、どれを見ても満足そうにしているので、手応えありなのでは?と口の端が上がった。
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