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やっぱり、ジョージア様に任せなくてよかった!
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公都の屋敷に戻るといつものように侍従たちが迎えてくれる。
ジョージアとナタリーも私を迎えに来てくれた。
「おかえり、アンナ」
「おかえりなさいませ、アンナリーゼ様」
「ただいま戻りました!」
馬車から降りると私の後ろからセバスとディル、デリアが順に降りてくる。
ニコライは、公都のお店によると言うことで途中で別れたので、今はいない。
ジョージアににこやかに迎え入れられたので側に行くと、何か褒めてと言わんばかりにそわそわしている。
「どうしたのですか?」
「アンナ、けっ……」
「なんでもないですよ!アンナリーゼ様。
ジョージア様は、お子さまたちと終始仲良くお過ごしてらっしゃいましたよ!」
ナタリーに慌てて後ろから口を押さえられているジョージアを見て苦笑いしてしまう。
なんとなく、それでジョージアとナタリーの今の事情がわかった。
「やっぱり、ジョージア様に任せなくてよかった!ナタリーがいてくれて、助かったわ……」
思わず口から出てしまったのだが、ジョージアは肩を落とし、落胆している。
「ジョージア様、大丈夫ですよ!わかってますから!
さぁ、執務室に行きましょうか?報告もあるので!」
腰に手をやり歩くよう促すと、ナタリーは押さえていた手を離しジョージアは隣を歩き始める。
「アンナリーゼ様、執務室は……」
「ディル、デリア、悪いんだけどセバス用に客間の用意と私たちは、さ……」
「さ?」
サロンと言いかけた私にデリアが訝しむ。
後ろでナタリーが×をしているが、きっとディルにもナタリーにも見えないはずだ。
「先に執務室にと思ったけど広い応接室を使うから、終わったらこっちに報告にきて!」
私は、ナタリーの指示に従い細かく指示をだす。
いつも大雑把に任せっきりなので、デリアは何か感じたかもしれないけど……仕方がない。
領地へ行っていて、打合せできてないんだから……変な汗をかきながら、私たちは応接室へと向かう。
「危なかった……」
応接室に入った瞬間、大きく息を吐き出した。
やっと、一息入れたところで、ナタリーの雷が落ちる。
「ジョージア様、あれっほどディルやデリアがいるところで、明日の結婚式のことは、
絶対に言わないでと言ったつもりでしたけど、その矢先から、言おうとするのはないですよ!」
「……すみません」
ディルもデリアもアンナリーゼ様の側にいたのですからね!
ちゃんと周りを把握してくれないと困ります!
アンナリーゼ様が、デリアのためにせっかく用意したのですから、ジョージア様が台無しにして、
どうするのですか!」
ナタリーにかかれば、この国で3番目の貴族も肩なしだ。
仕方ない。
ここは、ナタリーの方が正しいのだから。
私は、今までよく働いてくれたデリアに対して最大限の感謝の意味を込めて、今回の計画をたてたのだ。
ジョージアに邪魔されては、正直困る。
「ジョージア様、ナタリーの言う通りですよ!
もっと周りに気を回してください!いいですか、今日だけの話じゃありませんからね!
ジョージア様なら、私よりずっとうまく立ち回れるはずですから!」
ニッコリ笑いかけると、アンナにまで叱られたと肩を落としていた。
あんまりそんな姿を見るのは可哀想になってきたので、もう一度、励ます。
「ジョージア様なら、大丈夫!すぐにできますから!」
「何度も言われなくても大丈夫だよ……そうだね、俺、ダメ公爵なうえにダメな旦那だからね……」
「本当ですよ!アンナリーゼ様の卒業式みたいな気概を見せてください!
あのときは、アンナリーゼ様をジョージア様に任せてもいいかな?なんて思っていたのに……」
やれやれとナタリーは言うとジョージアも顔を上げてナタリーの言葉に頷く。
「あれは、俺でもすごい行動をしたなと思ってたんだ」
「何故、今も、そうなさらないのです?
アンナリーゼ様がジョージア様を甘やかし過ぎて、ダメになったんですか?
公なんて、何回振られても、めげずに公妃にと会うたび口説いてましたよ?
いつまでもダメな旦那様でしたら、私、アンナリーゼ様を奪ってしまうかもしれませんからね!」
ナタリーに対抗するように、今度はジョージアが私の前に出た。
でも、そろそろ、座りたいのだけど……と、ジョージアの後ろにいる私は疲れてきている。
セバスがこっそり椅子を運んでくれたので、それに座り行く末を見守ることになった。
「ナタリー、君がどんなにアンナを思おうと、絶対に手放さないよ!
もう2度と手は離さないと誓ったんだ!」
「それだけですか?アンナリーゼ様は、ジョージア様をいつも庇うんですから……
そろそろ、ジョージア様にも最高位の貴族である自覚を持って、アンナリーゼ様を補佐してほしい
ものです!もっと、頑張らないと、ウィルやセバスにばかり信頼が傾きますよ?」
「……それは……」
チラッとこちらをジョージアが盗み見ているが私は微笑むだけで何も言わない。
ジョージアを信頼していないわけではない。大事な人であることには変わりないし、守るべき人であるのだ。
でも、ウィルやセバス、ナタリーたちは、立場は違えど、領地改革に置いて、心の拠所であることに変わりない。
『予知夢』がもたらした揺るぎない信頼が、友人たちにはあるのだ。
ジョージアにはないその信頼は、私が領地改革をする上で、頼りにしているものでもある。
あの広大な領地と今回得た領地を運営していくには、とてもじゃないが一人では難しい。
その点、アメジストを持っている友人たちの協力を元に改革も順調に進めて行っている最中である。
「ジョージア様、私は、ウィルたちをとても信頼しています。
たぶん、ジョージア様よりずっと……
私の中では、ジョージア様は愛しい人であり、守るべき人なのです。
これは、この先どんなことがあっても変わらないでしょう。
それでも、一緒に歩んで欲しいのは、ショージア様だけですから、一緒に一歩ずつ歩を進めてくれ
ますか?」
私の言葉に多少のショックはあったようで、トロっとした蜂蜜色の瞳が揺れている。
次の瞬間には跪き、座っている私と同じ視線になり、喜んでと言ってくれた。
優しいジョージアに私は心惹かれたのだ。
そのままのジョージアでいてくれれば、嬉しい。
「アンナが望む俺になれればいいさ。
他の誰でもない、アンナがこうあってほしいと願うならそのように努力しよう!」
「……じゃあ、遠慮なく。
もう少し、しっかり状況判断ができるようになりましょうか!
優しいジョージア様は、大好きですけど……ときに優しすぎるのは、酷なときもあります。
私がいないときには、領地のことの判断もしてもらわねばなりませんし、子どもたちだって、
いつまでも小さなアンジーやジョージではないですから!」
私、前言撤回だ。
やっぱり、しっかりしたジョージアでもあってほしい。
私がいなくなった後、アンジェラやジョージ、そして今私の中で育っているこの子の手を引くのは、ジョージア以外にいないのだから。
「努力します!」
「一緒に努力はしましょう!
私に足りないもは、ジョージア様が持ってますし、ジョージア様が足りないものは、私が持って
いるのですから!二人で一人前ではダメなんですけど……二人揃えば二人前なら、いいでしょ?」
ジョージアに笑いかけるとそうだなといって、私の手を取る。
包み込まれた手を私は見つめ、ジョージアがギュっと握ってきた。
そこにおでこを付け、ジョージアは何か祈っているようだ。
「どうされましたか?」
「情けない俺は卒業するよ!アンナ、俺の手をずっと握っていてくれる?」
迷子の子供のように寂しげで不安に満ちた瞳を私に向けてくる。
私が自ら、この手を離すことはない。
なので、その手をとり立たせる。
「離しませんよ!絶対」
笑いかけ、応接室のソファにジョージアと共に座る。
私は、セバスとナタリーに座るよういうと、私達と対面で座ってくれた。
「さて、明日の結婚式の話をしましょうか!時間は少ないわよ!」
「大体、話はまとまっています。ウィルがデリアのドレスを取りに行ってくれていますからあとは、
最終確認をアンナリーゼ様にしていただければ、終わりますね!ジョージア様、説明を!」
ナタリーに促され、打ち合わせが始まる。
私たちが思い描くサプライズは、なんとか成功しそうな予感がした。
ジョージアとナタリーも私を迎えに来てくれた。
「おかえり、アンナ」
「おかえりなさいませ、アンナリーゼ様」
「ただいま戻りました!」
馬車から降りると私の後ろからセバスとディル、デリアが順に降りてくる。
ニコライは、公都のお店によると言うことで途中で別れたので、今はいない。
ジョージアににこやかに迎え入れられたので側に行くと、何か褒めてと言わんばかりにそわそわしている。
「どうしたのですか?」
「アンナ、けっ……」
「なんでもないですよ!アンナリーゼ様。
ジョージア様は、お子さまたちと終始仲良くお過ごしてらっしゃいましたよ!」
ナタリーに慌てて後ろから口を押さえられているジョージアを見て苦笑いしてしまう。
なんとなく、それでジョージアとナタリーの今の事情がわかった。
「やっぱり、ジョージア様に任せなくてよかった!ナタリーがいてくれて、助かったわ……」
思わず口から出てしまったのだが、ジョージアは肩を落とし、落胆している。
「ジョージア様、大丈夫ですよ!わかってますから!
さぁ、執務室に行きましょうか?報告もあるので!」
腰に手をやり歩くよう促すと、ナタリーは押さえていた手を離しジョージアは隣を歩き始める。
「アンナリーゼ様、執務室は……」
「ディル、デリア、悪いんだけどセバス用に客間の用意と私たちは、さ……」
「さ?」
サロンと言いかけた私にデリアが訝しむ。
後ろでナタリーが×をしているが、きっとディルにもナタリーにも見えないはずだ。
「先に執務室にと思ったけど広い応接室を使うから、終わったらこっちに報告にきて!」
私は、ナタリーの指示に従い細かく指示をだす。
いつも大雑把に任せっきりなので、デリアは何か感じたかもしれないけど……仕方がない。
領地へ行っていて、打合せできてないんだから……変な汗をかきながら、私たちは応接室へと向かう。
「危なかった……」
応接室に入った瞬間、大きく息を吐き出した。
やっと、一息入れたところで、ナタリーの雷が落ちる。
「ジョージア様、あれっほどディルやデリアがいるところで、明日の結婚式のことは、
絶対に言わないでと言ったつもりでしたけど、その矢先から、言おうとするのはないですよ!」
「……すみません」
ディルもデリアもアンナリーゼ様の側にいたのですからね!
ちゃんと周りを把握してくれないと困ります!
アンナリーゼ様が、デリアのためにせっかく用意したのですから、ジョージア様が台無しにして、
どうするのですか!」
ナタリーにかかれば、この国で3番目の貴族も肩なしだ。
仕方ない。
ここは、ナタリーの方が正しいのだから。
私は、今までよく働いてくれたデリアに対して最大限の感謝の意味を込めて、今回の計画をたてたのだ。
ジョージアに邪魔されては、正直困る。
「ジョージア様、ナタリーの言う通りですよ!
もっと周りに気を回してください!いいですか、今日だけの話じゃありませんからね!
ジョージア様なら、私よりずっとうまく立ち回れるはずですから!」
ニッコリ笑いかけると、アンナにまで叱られたと肩を落としていた。
あんまりそんな姿を見るのは可哀想になってきたので、もう一度、励ます。
「ジョージア様なら、大丈夫!すぐにできますから!」
「何度も言われなくても大丈夫だよ……そうだね、俺、ダメ公爵なうえにダメな旦那だからね……」
「本当ですよ!アンナリーゼ様の卒業式みたいな気概を見せてください!
あのときは、アンナリーゼ様をジョージア様に任せてもいいかな?なんて思っていたのに……」
やれやれとナタリーは言うとジョージアも顔を上げてナタリーの言葉に頷く。
「あれは、俺でもすごい行動をしたなと思ってたんだ」
「何故、今も、そうなさらないのです?
アンナリーゼ様がジョージア様を甘やかし過ぎて、ダメになったんですか?
公なんて、何回振られても、めげずに公妃にと会うたび口説いてましたよ?
いつまでもダメな旦那様でしたら、私、アンナリーゼ様を奪ってしまうかもしれませんからね!」
ナタリーに対抗するように、今度はジョージアが私の前に出た。
でも、そろそろ、座りたいのだけど……と、ジョージアの後ろにいる私は疲れてきている。
セバスがこっそり椅子を運んでくれたので、それに座り行く末を見守ることになった。
「ナタリー、君がどんなにアンナを思おうと、絶対に手放さないよ!
もう2度と手は離さないと誓ったんだ!」
「それだけですか?アンナリーゼ様は、ジョージア様をいつも庇うんですから……
そろそろ、ジョージア様にも最高位の貴族である自覚を持って、アンナリーゼ様を補佐してほしい
ものです!もっと、頑張らないと、ウィルやセバスにばかり信頼が傾きますよ?」
「……それは……」
チラッとこちらをジョージアが盗み見ているが私は微笑むだけで何も言わない。
ジョージアを信頼していないわけではない。大事な人であることには変わりないし、守るべき人であるのだ。
でも、ウィルやセバス、ナタリーたちは、立場は違えど、領地改革に置いて、心の拠所であることに変わりない。
『予知夢』がもたらした揺るぎない信頼が、友人たちにはあるのだ。
ジョージアにはないその信頼は、私が領地改革をする上で、頼りにしているものでもある。
あの広大な領地と今回得た領地を運営していくには、とてもじゃないが一人では難しい。
その点、アメジストを持っている友人たちの協力を元に改革も順調に進めて行っている最中である。
「ジョージア様、私は、ウィルたちをとても信頼しています。
たぶん、ジョージア様よりずっと……
私の中では、ジョージア様は愛しい人であり、守るべき人なのです。
これは、この先どんなことがあっても変わらないでしょう。
それでも、一緒に歩んで欲しいのは、ショージア様だけですから、一緒に一歩ずつ歩を進めてくれ
ますか?」
私の言葉に多少のショックはあったようで、トロっとした蜂蜜色の瞳が揺れている。
次の瞬間には跪き、座っている私と同じ視線になり、喜んでと言ってくれた。
優しいジョージアに私は心惹かれたのだ。
そのままのジョージアでいてくれれば、嬉しい。
「アンナが望む俺になれればいいさ。
他の誰でもない、アンナがこうあってほしいと願うならそのように努力しよう!」
「……じゃあ、遠慮なく。
もう少し、しっかり状況判断ができるようになりましょうか!
優しいジョージア様は、大好きですけど……ときに優しすぎるのは、酷なときもあります。
私がいないときには、領地のことの判断もしてもらわねばなりませんし、子どもたちだって、
いつまでも小さなアンジーやジョージではないですから!」
私、前言撤回だ。
やっぱり、しっかりしたジョージアでもあってほしい。
私がいなくなった後、アンジェラやジョージ、そして今私の中で育っているこの子の手を引くのは、ジョージア以外にいないのだから。
「努力します!」
「一緒に努力はしましょう!
私に足りないもは、ジョージア様が持ってますし、ジョージア様が足りないものは、私が持って
いるのですから!二人で一人前ではダメなんですけど……二人揃えば二人前なら、いいでしょ?」
ジョージアに笑いかけるとそうだなといって、私の手を取る。
包み込まれた手を私は見つめ、ジョージアがギュっと握ってきた。
そこにおでこを付け、ジョージアは何か祈っているようだ。
「どうされましたか?」
「情けない俺は卒業するよ!アンナ、俺の手をずっと握っていてくれる?」
迷子の子供のように寂しげで不安に満ちた瞳を私に向けてくる。
私が自ら、この手を離すことはない。
なので、その手をとり立たせる。
「離しませんよ!絶対」
笑いかけ、応接室のソファにジョージアと共に座る。
私は、セバスとナタリーに座るよういうと、私達と対面で座ってくれた。
「さて、明日の結婚式の話をしましょうか!時間は少ないわよ!」
「大体、話はまとまっています。ウィルがデリアのドレスを取りに行ってくれていますからあとは、
最終確認をアンナリーゼ様にしていただければ、終わりますね!ジョージア様、説明を!」
ナタリーに促され、打ち合わせが始まる。
私たちが思い描くサプライズは、なんとか成功しそうな予感がした。
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