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楽園に降り立った招かざるものⅦ
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夕方になって公世子一行が屋敷に帰ってきた。
公世子がかなりホクホクした顔になっているのは何故かわからないが……まぁ、何かいいことでもあったのだろう。
「アンナリーゼ、今帰った!」
「おかえりなさい、公世子様」
「おかえりなんて言われると……あれだな……」
ん?と小首をかしげると、公世子に急に抱きしめられる。
間髪入れず、鳩尾に拳が入ったので、公世子はしゃがみ込みむせこんでいる。
非難がましくこちらを涙目で見上げてくるが……私を抱きしめていいという許可は出していないはずだ。
まぁ、上位者を拒んであまつさえ殴る夫人なんてそうそういないので、その非難がましい顔なんだろうけど、私は、少数派であることを公世子は思い出してくれたようだ。
「どうかされましたか?」
しれっと手を差し伸べて、公世子を立たせると後ろに控えていたウィルもエリックも苦笑いしている。
『いつものこと』過ぎて、二人はご愁傷様と思っているくらいなんだろうとあたりをつけておいた。
差し出した手を握りひっぱり起こした公世子からため息が漏れる。
「そなた……仮にも一国の公世子に何してくれてるんだ!」
「仮にも一国の公爵に抱きつくなど、ましてや、親友の妻に抱きついていいと公世子様は思っている
のですか?」
「いいと思うぞ?」
「いいわけないですよ!何度言われても、公世子のところにはいきませんからね!」
そのまま私は玄関に公世子を放置して執務室へ移動する。
「行きますよ!ウィル、エリック!」
「「はい」はい、姫さん」
「エリックまで手懐けているのか!」
「当たり前です!エリックは、将来、私の子どもの剣術指南役なんですから!
ほら、公世子様もそんなところで突っ立てないで、早くきてください!」
階段を前に、急かすと公世子は渋々ついてくる。
「そなた、トワイスに行っていたのであろう?
俺は、拒むのに、向こうの王太子は拒まなかったらしいな?」
「どんな噂を聞きになったか知りませんけど、公世子様と殿下とでは、一緒にいる年季が違いますよ!
私、殿下には、とっても大事にされてましたから、ちょっとおいたに付き合ってもらっただけです」
「ちょっとおいたが、結構な尾ひれ腹ひれついているぞ?」
「シルキー様を守るためだったんだから、少々の悪評なんて気にしてたらキリがありません。
イイじゃないですか?シルキー様が助かったんだから。
殿下は、私との噂より、シルキー様が元気になったことの方がずっと嬉しかったみたいですけどね!
どっかの……公世子様にも聞かせてあげたいです。
とっても、王太子妃を大事になさっているんですからね!」
「でも、あっちも、第二妃がそろそろ出産だろ?やることはやっているんだから、俺と変わらない」
「変わらなくても、どこに心があるかでは、想われる方が変わりますよ。
シルキー様は、殿下の心に添えるよう努力なさってますよ。公世子様のところは、どうですか?」
無言である。
そりゃそうだろう……あっちにもこっちにも遊び歩いていることは、誰もが知っている。
腹立たしいことに、ジョージアを連れて遊びまわっているのだから!
「そろそろ、寵姫を決めるなり、公世子妃を大切にするなり何らかの建前は作った方が、今後の公国の
ためになるんじゃないですかね?
公世子妃を大切にして、その子も大切にして国をちゃんと導ける体制にするのは、必要な時期に
来ていると思いますよ。
公世子様の後ろを守ってくれる人を決めないと、常に後ろから命を狙われることになりますからね!」
「アンナリーゼ……」
「なんです?」
「知っているのか?」
「知らないか知っているかなら……たぶん、知っていると思いますよ!
その話なら、中に入ってから話しましょう!」
応接室でなく、今度は執務室へと公世子を招き入れる。
応接室でもいいのだが……イロイロな観点から、防音を考えても執務室の方が都合がいいのだ。
デリアに任せてあったので、すでにお茶の用意もすすめられているところだった。
私は、いつもの席に、ウィルにも同じように座るように指示をする。
ここでは、公世子は客人、ウィルも客人ではあるが、一応私が上司となるので、上司が座れと言えば、座るしかない。
「それにしてもこの執務室は、すごいな」
「驚かれましたか?私用に作り直してあるのです。ここで、アンバーの話をして議論するのです。
公世子様も適当に好きなところに座ってください」
席を進めると、今まで誰も座らなかったジョージアの席に座る。
ウィルとは対面になるのだ。
「へぇーこれは、なかなか面白い。
ちなみに、ウィルが当たり前のようにその席に座っているが、定位置なのか?」
「そうですよ!ここが、俺の定位置です。
公世子様が座っているところは、まだ1度も使われてませんけどね?」
「どういうことだ?」
「ジョージア様の席なんです。まだ、こちらに変わってきてから、訪問がないので」
「なるほどな。しかし、場所的に言って、ウィルがこっちでジョージアがそっちではないのか?」
「そうなのですか?私、この席の並び順には一切口を出していないのでわかりません。
でも、常にいてくれる人が右隣りっていうのは、理にかなっているとは思いますけどね?」
「ジョージアは、公都の屋敷で留守番だからな……」
私は苦笑いをして、それには何も答えなかった。
別にこちらに来てくれてもいいんだけど……荒れ狂うソフィアを宥めるという重要な役割をしてもらわないといけないので、今現在は公都にいてもらっているのだ。
それも、お役御免となれば、こっちで一緒に暮らしてもいいだろう。
「それで?どこまで知っている?」
「さっきのですか?」
あぁと返事をする公世子は、なんだか影を落としたようだった。
「公世子様暗殺計画ですかね。
第三妃擁立して、男の子が生まれたら……ですけど。公爵令嬢として妃に入った娘がダドリー男爵
一派を手引きするのでしょ?
それとも、公世子妃から狙われているって方ですか?
どう考えても、自業自得だと思うんですよね!そっちは」
「なんでも知っているな……怖いぞ?」
「失礼ですね!なんでもは知りませんよ!たまたま聞こえてくるんです」
「いや、俺よりは、把握していると思うぞ?」
「うーん、じゃあ、情報提供料もいただきましょうか?
ちなみにですけど、公世子様、このまま行くと……」
いくと……と、ごくりと公世子は唾を飲み込んでいる。
「公世子妃様の尻に引かれますよ?政策も何もかも、公世子妃の好きなようにされてしまいます。
ついでに、言っておきますけど、国を治めるという観点からいうなら、プラム殿下の方が、次の公に
向いてると思いますよ。性格は穏やかで、体格にも恵まれる。
努力も惜しまないですし、何より、人に好かれる性格になるのです。
少々世間知らずなところがありますけど、第二妃様が上手に育てるでしょう」
「見てきたような言いぶりだな?」
「うーん、見てはないですけど……多分、公世子様の天下は、公がいなくなった時点で、きれいさっぱり
公世子妃に権力を挿げ替えられますから、それは仕方ないです。
私も、そればっかりは何とも言えませんけどね……自分の領地を守るだけですから、国に貢献は
できないかなと。無駄な重税を課せられたら、私、全力で戦い潰しますよ!」
怖いなと呟いているが、それほど遠い未来ではない話である。
公世子がしっかりしていないと、その未来も近くなるのだから……頑張ってほしい。
頑張ってほしいと言えど……まぁ、確定的な未来であろうことは、口にしない。
「それの対策は何もないのか?」
「自分で考えてください。公世子妃の手綱ぐらいは自分で握ればいいじゃないですか?
弱みを握るとか、なんかないんですか?
ちゃんと、出来なければ、国が乗っ取られるだけですから!まぁ、プラム殿下が大きくなれば、
献身的に支えてくれるでしょうけど……それにも限度はありますからね。
しっかり、自分の行く末を考えて生きてくださいとしか言いようがありません。
公世子様も一人ではないのですから、頑張りましょう!」
ずれてしまった話をすることになったところで、デリアに夕食の時間がきたことを伝えられる。
私たちは、食堂へ向かい、食事が終わった頃に、また、執務室へ集合することを約束して解散する。
私、まだ、今日のところは、食べ物はダメそうだ……った。
公世子がかなりホクホクした顔になっているのは何故かわからないが……まぁ、何かいいことでもあったのだろう。
「アンナリーゼ、今帰った!」
「おかえりなさい、公世子様」
「おかえりなんて言われると……あれだな……」
ん?と小首をかしげると、公世子に急に抱きしめられる。
間髪入れず、鳩尾に拳が入ったので、公世子はしゃがみ込みむせこんでいる。
非難がましくこちらを涙目で見上げてくるが……私を抱きしめていいという許可は出していないはずだ。
まぁ、上位者を拒んであまつさえ殴る夫人なんてそうそういないので、その非難がましい顔なんだろうけど、私は、少数派であることを公世子は思い出してくれたようだ。
「どうかされましたか?」
しれっと手を差し伸べて、公世子を立たせると後ろに控えていたウィルもエリックも苦笑いしている。
『いつものこと』過ぎて、二人はご愁傷様と思っているくらいなんだろうとあたりをつけておいた。
差し出した手を握りひっぱり起こした公世子からため息が漏れる。
「そなた……仮にも一国の公世子に何してくれてるんだ!」
「仮にも一国の公爵に抱きつくなど、ましてや、親友の妻に抱きついていいと公世子様は思っている
のですか?」
「いいと思うぞ?」
「いいわけないですよ!何度言われても、公世子のところにはいきませんからね!」
そのまま私は玄関に公世子を放置して執務室へ移動する。
「行きますよ!ウィル、エリック!」
「「はい」はい、姫さん」
「エリックまで手懐けているのか!」
「当たり前です!エリックは、将来、私の子どもの剣術指南役なんですから!
ほら、公世子様もそんなところで突っ立てないで、早くきてください!」
階段を前に、急かすと公世子は渋々ついてくる。
「そなた、トワイスに行っていたのであろう?
俺は、拒むのに、向こうの王太子は拒まなかったらしいな?」
「どんな噂を聞きになったか知りませんけど、公世子様と殿下とでは、一緒にいる年季が違いますよ!
私、殿下には、とっても大事にされてましたから、ちょっとおいたに付き合ってもらっただけです」
「ちょっとおいたが、結構な尾ひれ腹ひれついているぞ?」
「シルキー様を守るためだったんだから、少々の悪評なんて気にしてたらキリがありません。
イイじゃないですか?シルキー様が助かったんだから。
殿下は、私との噂より、シルキー様が元気になったことの方がずっと嬉しかったみたいですけどね!
どっかの……公世子様にも聞かせてあげたいです。
とっても、王太子妃を大事になさっているんですからね!」
「でも、あっちも、第二妃がそろそろ出産だろ?やることはやっているんだから、俺と変わらない」
「変わらなくても、どこに心があるかでは、想われる方が変わりますよ。
シルキー様は、殿下の心に添えるよう努力なさってますよ。公世子様のところは、どうですか?」
無言である。
そりゃそうだろう……あっちにもこっちにも遊び歩いていることは、誰もが知っている。
腹立たしいことに、ジョージアを連れて遊びまわっているのだから!
「そろそろ、寵姫を決めるなり、公世子妃を大切にするなり何らかの建前は作った方が、今後の公国の
ためになるんじゃないですかね?
公世子妃を大切にして、その子も大切にして国をちゃんと導ける体制にするのは、必要な時期に
来ていると思いますよ。
公世子様の後ろを守ってくれる人を決めないと、常に後ろから命を狙われることになりますからね!」
「アンナリーゼ……」
「なんです?」
「知っているのか?」
「知らないか知っているかなら……たぶん、知っていると思いますよ!
その話なら、中に入ってから話しましょう!」
応接室でなく、今度は執務室へと公世子を招き入れる。
応接室でもいいのだが……イロイロな観点から、防音を考えても執務室の方が都合がいいのだ。
デリアに任せてあったので、すでにお茶の用意もすすめられているところだった。
私は、いつもの席に、ウィルにも同じように座るように指示をする。
ここでは、公世子は客人、ウィルも客人ではあるが、一応私が上司となるので、上司が座れと言えば、座るしかない。
「それにしてもこの執務室は、すごいな」
「驚かれましたか?私用に作り直してあるのです。ここで、アンバーの話をして議論するのです。
公世子様も適当に好きなところに座ってください」
席を進めると、今まで誰も座らなかったジョージアの席に座る。
ウィルとは対面になるのだ。
「へぇーこれは、なかなか面白い。
ちなみに、ウィルが当たり前のようにその席に座っているが、定位置なのか?」
「そうですよ!ここが、俺の定位置です。
公世子様が座っているところは、まだ1度も使われてませんけどね?」
「どういうことだ?」
「ジョージア様の席なんです。まだ、こちらに変わってきてから、訪問がないので」
「なるほどな。しかし、場所的に言って、ウィルがこっちでジョージアがそっちではないのか?」
「そうなのですか?私、この席の並び順には一切口を出していないのでわかりません。
でも、常にいてくれる人が右隣りっていうのは、理にかなっているとは思いますけどね?」
「ジョージアは、公都の屋敷で留守番だからな……」
私は苦笑いをして、それには何も答えなかった。
別にこちらに来てくれてもいいんだけど……荒れ狂うソフィアを宥めるという重要な役割をしてもらわないといけないので、今現在は公都にいてもらっているのだ。
それも、お役御免となれば、こっちで一緒に暮らしてもいいだろう。
「それで?どこまで知っている?」
「さっきのですか?」
あぁと返事をする公世子は、なんだか影を落としたようだった。
「公世子様暗殺計画ですかね。
第三妃擁立して、男の子が生まれたら……ですけど。公爵令嬢として妃に入った娘がダドリー男爵
一派を手引きするのでしょ?
それとも、公世子妃から狙われているって方ですか?
どう考えても、自業自得だと思うんですよね!そっちは」
「なんでも知っているな……怖いぞ?」
「失礼ですね!なんでもは知りませんよ!たまたま聞こえてくるんです」
「いや、俺よりは、把握していると思うぞ?」
「うーん、じゃあ、情報提供料もいただきましょうか?
ちなみにですけど、公世子様、このまま行くと……」
いくと……と、ごくりと公世子は唾を飲み込んでいる。
「公世子妃様の尻に引かれますよ?政策も何もかも、公世子妃の好きなようにされてしまいます。
ついでに、言っておきますけど、国を治めるという観点からいうなら、プラム殿下の方が、次の公に
向いてると思いますよ。性格は穏やかで、体格にも恵まれる。
努力も惜しまないですし、何より、人に好かれる性格になるのです。
少々世間知らずなところがありますけど、第二妃様が上手に育てるでしょう」
「見てきたような言いぶりだな?」
「うーん、見てはないですけど……多分、公世子様の天下は、公がいなくなった時点で、きれいさっぱり
公世子妃に権力を挿げ替えられますから、それは仕方ないです。
私も、そればっかりは何とも言えませんけどね……自分の領地を守るだけですから、国に貢献は
できないかなと。無駄な重税を課せられたら、私、全力で戦い潰しますよ!」
怖いなと呟いているが、それほど遠い未来ではない話である。
公世子がしっかりしていないと、その未来も近くなるのだから……頑張ってほしい。
頑張ってほしいと言えど……まぁ、確定的な未来であろうことは、口にしない。
「それの対策は何もないのか?」
「自分で考えてください。公世子妃の手綱ぐらいは自分で握ればいいじゃないですか?
弱みを握るとか、なんかないんですか?
ちゃんと、出来なければ、国が乗っ取られるだけですから!まぁ、プラム殿下が大きくなれば、
献身的に支えてくれるでしょうけど……それにも限度はありますからね。
しっかり、自分の行く末を考えて生きてくださいとしか言いようがありません。
公世子様も一人ではないのですから、頑張りましょう!」
ずれてしまった話をすることになったところで、デリアに夕食の時間がきたことを伝えられる。
私たちは、食堂へ向かい、食事が終わった頃に、また、執務室へ集合することを約束して解散する。
私、まだ、今日のところは、食べ物はダメそうだ……った。
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