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コンコンと扉を叩くと返事があったので、名前を告げる。
「アンナリーゼです。入りますね!」
侍女が扉を開ける前に私はパルマと一緒にシルキーの部屋に入った。
部屋の主は起きていたようで、ベッドの上に座っている。
昨日より、幾分か顔色がいい。
「アンナリーゼ、来てくれたのかえ?」
「えぇ、お薬飲まれましたか?」
「飲んだぞ?朝と今お昼の分を」
空になった試験管をプラプラと揺らしてこちらに報告をしてくれる。
私は、頷き微笑むと、シルキーも嬉しそうに笑う。
「お加減は、昨日と比べてどうです?」
「すこぶるいいと言いたいところじゃが、昨日よりだいぶ良くなった!
こうして座っていても体のだるさが抜けているようなのじゃ!」
私の持ってきた万能解毒剤が効いたのだろう。
治してみせると殿下に豪語したので、シルキーの回復を見て少しホッとする。
「今、お話しても大丈夫ですか?」
「もちろんなのじゃ!アンナリーゼと話ができるなら、いつでも時間をとるゆえ!」
「ありがとうございます!」
私たちはお互いを見て微笑みあうと、侍女がベッドの近くに私が座るように椅子を持ってきてくれる。
そこに腰掛け、シルキーの話を聞くことにした。
「シルキー様、体調が悪くなったのはいつ頃からですか?」
「うーむ……出産後かのぉ?
最初は、体に発疹のようにぷつぷつとできてきて、それが熱をもっていって……
そのうち、立つこともできなくなった」
「その間って、ずっと、あの苦い薬を飲んでいたのですか?」
「うむ、飲んでおったぞ?出産したことで体が弱っておるから、あれを飲むとよくなるって言われて
のぉ……飲み続けておったのじゃが……ああいう薬は苦手じゃ!」
少し回復したので余裕が出てきたのか、拗ねたように可愛らしく私に甘えてくる。
妹がいたら、こんな感じなのだろうか?なんてこっそり思ってしまったことは秘密だ。
「シルキー様は、口にしてはいけない食べ物はございますか?」
「あるが……何故、それを?
わらわは、母上から決して食べてはいけないものがあることを聞いておるが、何かあるのかえ?」
「今回の件、もしかしたらそれが原因なのかもしれないと思って……
パルマ、処方箋を貸してちょうだい」
私の後ろに控えていたパルマが、シルキーの処方箋を渡してくれる。
それをシルキーに見せる。
すると、目を見開いてその処方箋を見ていた。
「アンナリーゼ……?これは、わらわのあの薬の処方箋なのかえ?」
「そうです。私も同じものを飲んでいたのですけど……不思議だったんです。
でも、シルキー様が口にしてはいけないものが、混ざっているのですね?」
「うむ、3つも入っておる。母上から特にダメだと言われていたのが、これじゃ……」
処方箋の文字をなぞる。
先ほどの侍女もダメだと言っていたものだったので、原因がはっきりと分かった。
あとは、これを殿下とお兄様に引き継ぎ、どうするのかの判断を任せるだけとなった。
「シルキー様は、この城に入ってから、口にしてはいけないものや触れてはいけないものの申請は
されていますか?」
「もちろんなのじゃ!わらわは、城にあがるときに、その辺はちゃんと伝えっておる。
なのに……どうなっておるのじゃろ?」
「そこは、私にはわかりません。
ただ、原因がわかってよかった……これで、対処もできますしね。
しばらくは、私が持ってきた解毒剤を飲んで毒抜きをしましょう!」
「わかったのじゃ!これは、ジルベスターに話すのか?」
「もちろんです。
私には、こちらで采配できる権限もございませんから、殿下と兄に今後のことは任せるつもりですよ!
問題でもありますか?」
「いや、ないのじゃが……ジルベスターの胸が痛まないかと……」
「大丈夫です。殿下は、国を治めるものになるのです。
身近なシルキー様を守ることも立派な仕事ですし、こういう小さなことをきちんとしておかないと、
今度は殿下にまで及びますから。
シルキー様、殿下をしっかり支えてあげてください。
しっかりしているようで、抜けているところもありますからね!
それに、きっと、原因がわかってシルキー様が元気になることを1番に喜ぶのは
きっと、殿下ですから!!」
小さなシルキーの手を握ると、少しだけ温かくなった手で握り返してくる。
「アンナリーゼ、わらわは、助けてもらってばかりじゃな……いつも、迷惑をかける……」
「何を言ってますか?シルキー様なんて、まだまだ可愛らしいものです!
殿下に私の武勇伝でも聞いてください!きっと、シルキー様は驚かれますよ!
それに、ローズディアでは、公世子様に迷惑かけまくっているので……
公世子様に恩を返すのは、なんだか癪ですけど、シルキー様になら喜んでです!」
「兄上になら……いくらでも、迷惑をかけても構わない。
節操なく、アンナリーゼに迫っておるのだろう……もう少し、なんというか……」
同じ兄を持つ妹して、その気持ちがわかる。
公世子と違ってうちの兄は、エリザベス義姉の尻に引かれているからそういう色恋沙汰はないだろうけど……会うと必ず何か文句のひとつでも言いたくなるのは同じであるようだ。
◆◇◆◇◆
シルキーから一通り話を聞いたことにより、結論が出た。
あとは、殿下と兄に報告をすれば、今回の件で私にできることはなくなる。
どういう判断をするのか、それは、こちら側が判断することであるからして、私はやっと領地へ帰れるのだと思うとちょっとほっとした。
トワイスは、居心地がいい。
私が生まれた土地なのだ。
家族も友人もこっちにいる私を知る人も多い。
でも、今は、アンバー領にいることが、私にとって自然でとっても楽しい。
早く帰りたい……そう、胸の内は訴えているが、お仕事お仕事と頭を切り替える。
殿下の執務室の前で、ひとつ息を吐く。
そして、しっかり体中に空気を送り込むように吸う。
「殿下、ただいま戻りました」
「あぁ、おかえり。急に出ていくから驚いた」
「ごめんなさい。それで、シルキー様の件、解決できたのでお話します。
あとは、好きに落としどころを決めてください」
殿下と兄は、お互いを見やって目配せしている。
そんなのしなくても妹であり幼馴染である私には、何が言いたいかすぐわかる。
「嘘じゃないですからね、勝手に話始めますよ!一言一句聞き逃さないでくださいね!!」
私は、先ほどの侍女に起こったこと、シルキーと話したことを殿下と兄に報告する。
「結論からいうと、シルキー様の体質ですね。
同じ薬を飲んだとしても、片方は薬になり、片方は劇薬となったってことです。
この処方箋に書かれている薬なんですが、確かヨハンも言っていたんですよね。
私は、これらの植物を使っても問題ないかと確認で聞いてくれたので、ないと答えたのを
シルキー様と話してて思い出しました。
何故、そんなことを聞くのかって聞いたら、薬には、人によって毒になる場合があるとかで、
この3つの葉っぱは、特にその症状が出やすいものらしいです。
一般的に処方されるものなので、気にしない人も多いらしいんですけどね、稀にシルキー様の
ような方がいると言ってました。
ちなみに、シルキー様は、この城に入るときに口にしてはいけないもの触ってはいけないものを
申請してあったそうです。
それらを含めて、今後、このようなことが起こらないよう調査してください」
私が締めくくると、難しそうな顔をしている二人がいた。
まぁ、間違って処方しちゃいました!てへで済む話ではないので……どういうふうに取り扱うかは、こっちの国で考えてもらえばいいだろう。
もう、できれば、私を巻き込まないでほしいところだ。
「それで、殿下。シルキー様のお話は、これでおしまいです!けど、大事なお話が……」
「他にあったか?」
「とぼけてると、しめますよ?」
「それは、一国の王太子に言うことではないんだがな……
アンナには、とてもじゃないけど勝てないから……な。
例の件だな。今書類を書いている、ちょっと待ってくれ」
何事も口約束はよくない。
特にこういう大事なことは……なので、大人しく待っているのも嫌なので、口を出しに行く。
「殿下、まず、トワイス国王族御用達看板ですよね!」
「あぁ、それはすでに盛り込んである」
「次に、公都で1番立地のいい場所に店の空きがあるそうなので、そこをお願いします!」
「そなた、いつの間に調べたんだ?あの店は……高い……」
「殿下にとったら安いものです。あと、長期的な資金援助と……」
「まだ、あるのか?」
「ここの分の請求です。うーん、何がいいかな?」
「高いものについてるな……」
「その分、イロイロ便宜は図りますよ!殿下も大切な取引相手になるのですから……」
私は、考える……殿下が持っていて、私が必要もしくは、ジョーが必要になるもの……
「あっ!殿下、うちの子が、もし、欲しいって言ったらでいいんで、殿下の息子、ジルアート様を
ください!」
「はぁ?未来の王をくれというのか?」
「はい、ダメですか?」
「むしろ、そなたに娘が生まれるのであれば、嫁にくれじゃないのか……?」
「あげませんよ!嫁になんて……うちの子、超絶美人になるのだから、選び放題ですもの。
その中で、あの子が気に入ったらでいいですから……」
「あぁ?許嫁というわけではないのか……?」
「そうですね。気に入ったらですから……あの子の周りには他にも候補はいますからね!
例えば、公世子様のところのプラム様とかいいですよね!」
むぅ、うちの息子のほうがいいだろう!と親バカを発揮しているが……公世子とシルキーは兄妹なのだから……どちらも似たり寄ったりではある。
ただ、未来を見た感じだと、ジルアートは殿下みたいな王子然だし、プラムは公世子に似ず硬派な武闘家みたいになっているんだよね……
さてさて、うちのお姫様は、誰を選ぶかわからないけど、自分の納得のいく相手を伴侶として選んでほしいものだ。
そのころには、私はいないかもしれないが、こうやって、1つでもあの子への縁が繋がるように種は撒いておいて損はないだろう。
「アンナリーゼです。入りますね!」
侍女が扉を開ける前に私はパルマと一緒にシルキーの部屋に入った。
部屋の主は起きていたようで、ベッドの上に座っている。
昨日より、幾分か顔色がいい。
「アンナリーゼ、来てくれたのかえ?」
「えぇ、お薬飲まれましたか?」
「飲んだぞ?朝と今お昼の分を」
空になった試験管をプラプラと揺らしてこちらに報告をしてくれる。
私は、頷き微笑むと、シルキーも嬉しそうに笑う。
「お加減は、昨日と比べてどうです?」
「すこぶるいいと言いたいところじゃが、昨日よりだいぶ良くなった!
こうして座っていても体のだるさが抜けているようなのじゃ!」
私の持ってきた万能解毒剤が効いたのだろう。
治してみせると殿下に豪語したので、シルキーの回復を見て少しホッとする。
「今、お話しても大丈夫ですか?」
「もちろんなのじゃ!アンナリーゼと話ができるなら、いつでも時間をとるゆえ!」
「ありがとうございます!」
私たちはお互いを見て微笑みあうと、侍女がベッドの近くに私が座るように椅子を持ってきてくれる。
そこに腰掛け、シルキーの話を聞くことにした。
「シルキー様、体調が悪くなったのはいつ頃からですか?」
「うーむ……出産後かのぉ?
最初は、体に発疹のようにぷつぷつとできてきて、それが熱をもっていって……
そのうち、立つこともできなくなった」
「その間って、ずっと、あの苦い薬を飲んでいたのですか?」
「うむ、飲んでおったぞ?出産したことで体が弱っておるから、あれを飲むとよくなるって言われて
のぉ……飲み続けておったのじゃが……ああいう薬は苦手じゃ!」
少し回復したので余裕が出てきたのか、拗ねたように可愛らしく私に甘えてくる。
妹がいたら、こんな感じなのだろうか?なんてこっそり思ってしまったことは秘密だ。
「シルキー様は、口にしてはいけない食べ物はございますか?」
「あるが……何故、それを?
わらわは、母上から決して食べてはいけないものがあることを聞いておるが、何かあるのかえ?」
「今回の件、もしかしたらそれが原因なのかもしれないと思って……
パルマ、処方箋を貸してちょうだい」
私の後ろに控えていたパルマが、シルキーの処方箋を渡してくれる。
それをシルキーに見せる。
すると、目を見開いてその処方箋を見ていた。
「アンナリーゼ……?これは、わらわのあの薬の処方箋なのかえ?」
「そうです。私も同じものを飲んでいたのですけど……不思議だったんです。
でも、シルキー様が口にしてはいけないものが、混ざっているのですね?」
「うむ、3つも入っておる。母上から特にダメだと言われていたのが、これじゃ……」
処方箋の文字をなぞる。
先ほどの侍女もダメだと言っていたものだったので、原因がはっきりと分かった。
あとは、これを殿下とお兄様に引き継ぎ、どうするのかの判断を任せるだけとなった。
「シルキー様は、この城に入ってから、口にしてはいけないものや触れてはいけないものの申請は
されていますか?」
「もちろんなのじゃ!わらわは、城にあがるときに、その辺はちゃんと伝えっておる。
なのに……どうなっておるのじゃろ?」
「そこは、私にはわかりません。
ただ、原因がわかってよかった……これで、対処もできますしね。
しばらくは、私が持ってきた解毒剤を飲んで毒抜きをしましょう!」
「わかったのじゃ!これは、ジルベスターに話すのか?」
「もちろんです。
私には、こちらで采配できる権限もございませんから、殿下と兄に今後のことは任せるつもりですよ!
問題でもありますか?」
「いや、ないのじゃが……ジルベスターの胸が痛まないかと……」
「大丈夫です。殿下は、国を治めるものになるのです。
身近なシルキー様を守ることも立派な仕事ですし、こういう小さなことをきちんとしておかないと、
今度は殿下にまで及びますから。
シルキー様、殿下をしっかり支えてあげてください。
しっかりしているようで、抜けているところもありますからね!
それに、きっと、原因がわかってシルキー様が元気になることを1番に喜ぶのは
きっと、殿下ですから!!」
小さなシルキーの手を握ると、少しだけ温かくなった手で握り返してくる。
「アンナリーゼ、わらわは、助けてもらってばかりじゃな……いつも、迷惑をかける……」
「何を言ってますか?シルキー様なんて、まだまだ可愛らしいものです!
殿下に私の武勇伝でも聞いてください!きっと、シルキー様は驚かれますよ!
それに、ローズディアでは、公世子様に迷惑かけまくっているので……
公世子様に恩を返すのは、なんだか癪ですけど、シルキー様になら喜んでです!」
「兄上になら……いくらでも、迷惑をかけても構わない。
節操なく、アンナリーゼに迫っておるのだろう……もう少し、なんというか……」
同じ兄を持つ妹して、その気持ちがわかる。
公世子と違ってうちの兄は、エリザベス義姉の尻に引かれているからそういう色恋沙汰はないだろうけど……会うと必ず何か文句のひとつでも言いたくなるのは同じであるようだ。
◆◇◆◇◆
シルキーから一通り話を聞いたことにより、結論が出た。
あとは、殿下と兄に報告をすれば、今回の件で私にできることはなくなる。
どういう判断をするのか、それは、こちら側が判断することであるからして、私はやっと領地へ帰れるのだと思うとちょっとほっとした。
トワイスは、居心地がいい。
私が生まれた土地なのだ。
家族も友人もこっちにいる私を知る人も多い。
でも、今は、アンバー領にいることが、私にとって自然でとっても楽しい。
早く帰りたい……そう、胸の内は訴えているが、お仕事お仕事と頭を切り替える。
殿下の執務室の前で、ひとつ息を吐く。
そして、しっかり体中に空気を送り込むように吸う。
「殿下、ただいま戻りました」
「あぁ、おかえり。急に出ていくから驚いた」
「ごめんなさい。それで、シルキー様の件、解決できたのでお話します。
あとは、好きに落としどころを決めてください」
殿下と兄は、お互いを見やって目配せしている。
そんなのしなくても妹であり幼馴染である私には、何が言いたいかすぐわかる。
「嘘じゃないですからね、勝手に話始めますよ!一言一句聞き逃さないでくださいね!!」
私は、先ほどの侍女に起こったこと、シルキーと話したことを殿下と兄に報告する。
「結論からいうと、シルキー様の体質ですね。
同じ薬を飲んだとしても、片方は薬になり、片方は劇薬となったってことです。
この処方箋に書かれている薬なんですが、確かヨハンも言っていたんですよね。
私は、これらの植物を使っても問題ないかと確認で聞いてくれたので、ないと答えたのを
シルキー様と話してて思い出しました。
何故、そんなことを聞くのかって聞いたら、薬には、人によって毒になる場合があるとかで、
この3つの葉っぱは、特にその症状が出やすいものらしいです。
一般的に処方されるものなので、気にしない人も多いらしいんですけどね、稀にシルキー様の
ような方がいると言ってました。
ちなみに、シルキー様は、この城に入るときに口にしてはいけないもの触ってはいけないものを
申請してあったそうです。
それらを含めて、今後、このようなことが起こらないよう調査してください」
私が締めくくると、難しそうな顔をしている二人がいた。
まぁ、間違って処方しちゃいました!てへで済む話ではないので……どういうふうに取り扱うかは、こっちの国で考えてもらえばいいだろう。
もう、できれば、私を巻き込まないでほしいところだ。
「それで、殿下。シルキー様のお話は、これでおしまいです!けど、大事なお話が……」
「他にあったか?」
「とぼけてると、しめますよ?」
「それは、一国の王太子に言うことではないんだがな……
アンナには、とてもじゃないけど勝てないから……な。
例の件だな。今書類を書いている、ちょっと待ってくれ」
何事も口約束はよくない。
特にこういう大事なことは……なので、大人しく待っているのも嫌なので、口を出しに行く。
「殿下、まず、トワイス国王族御用達看板ですよね!」
「あぁ、それはすでに盛り込んである」
「次に、公都で1番立地のいい場所に店の空きがあるそうなので、そこをお願いします!」
「そなた、いつの間に調べたんだ?あの店は……高い……」
「殿下にとったら安いものです。あと、長期的な資金援助と……」
「まだ、あるのか?」
「ここの分の請求です。うーん、何がいいかな?」
「高いものについてるな……」
「その分、イロイロ便宜は図りますよ!殿下も大切な取引相手になるのですから……」
私は、考える……殿下が持っていて、私が必要もしくは、ジョーが必要になるもの……
「あっ!殿下、うちの子が、もし、欲しいって言ったらでいいんで、殿下の息子、ジルアート様を
ください!」
「はぁ?未来の王をくれというのか?」
「はい、ダメですか?」
「むしろ、そなたに娘が生まれるのであれば、嫁にくれじゃないのか……?」
「あげませんよ!嫁になんて……うちの子、超絶美人になるのだから、選び放題ですもの。
その中で、あの子が気に入ったらでいいですから……」
「あぁ?許嫁というわけではないのか……?」
「そうですね。気に入ったらですから……あの子の周りには他にも候補はいますからね!
例えば、公世子様のところのプラム様とかいいですよね!」
むぅ、うちの息子のほうがいいだろう!と親バカを発揮しているが……公世子とシルキーは兄妹なのだから……どちらも似たり寄ったりではある。
ただ、未来を見た感じだと、ジルアートは殿下みたいな王子然だし、プラムは公世子に似ず硬派な武闘家みたいになっているんだよね……
さてさて、うちのお姫様は、誰を選ぶかわからないけど、自分の納得のいく相手を伴侶として選んでほしいものだ。
そのころには、私はいないかもしれないが、こうやって、1つでもあの子への縁が繋がるように種は撒いておいて損はないだろう。
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