313 / 1,518
話が斜めの方向に向かってしまったかも?
しおりを挟む
なんとなく、私にしては、綺麗に話をまとめたように思えた。
そう、シルキーを領地へ招待するという形で……なのに、シルキーが思い出したようで、話が蒸し返されたしまった。
「ジルベスターは、ずるいのじゃ!わらわもアンナリーゼと口づけするぞ!」
シルキーは、満面の笑みを浮かべ約束したことを喜んでいたはずなのだが……太もものキスマークを見た瞬間に……話が戻ってしまったのだ。
殿下に小言を言っていたシルキーが私の方に向き直り、その小さな両手で頬を挟まれた。
おかしなことになってやしないか?と思っていたが……なっていたらしい。
しんどそうな体をおしてまで、私にキスをするシルキー
「うむ、これで、いいのじゃ!」
「何が、いいのです?」
キスをして満足気のシルキーは、ストンとまた私にもたれかかって座る。
「ジルベスターがアンナリーゼにキスをしたのなら、わらわもアンナリーゼにキスしたら、
ジルベスターとおあいこなのじゃ!あぁ、まだ、こっちの分があるのじゃ!」
なんだか、身の危険?を感じ後ろに引こうと思ったが、殿下の視線は好きにさせてくれというのだったし、まだ本調子でないシルキーを支えてあげているから、無下にもできない。
シルキーの好きにさせると鎖骨あたりを狙われて舐められ、軽く吸われるわけだが……なんともまぁ……という感じだ。
そこにタイミング悪くエリザベスが入ってきたから、この部屋はパニックになる。
「シルキー様、アンナに何を……!」
うん、そうなるよね?エリザベス、それが正しい反応です。
少し体を動かしたので疲れたのか、シルキーはくたっと私に体を預け満足そうにしている。
「ジルベスターもアンナリーゼにキスマークをつけたので、わらわもつけただけなのじゃ!
もう、これでこの話はおしまい。
大好きなアンナリーゼと程々好きなジルベスターの両方とも、わらわの大事な人なの
じゃし、今は、幸福感でいっぱいなのじゃ!」
シルキーは、満面の笑みを殿下とエリザベス向けているらしい。
ここから見えるのは、苦笑いの殿下とどう反応をしていいのかおろおろしているエリザベスしか見えない。
シルキーの幸福感とキスマークは、関係ないけど……と、私はシルキーのつけた痕を確認する。
うん、見事についている。
これは、どうしたらいいんだろう?案件である。
太ももなら……ぶつけたと言えばなんとでもなりそうな気もしないこともないが、鎖骨をぶつけることってないわよね?
荷物が落ちてきたなんて言ったら心配するし……領地に帰るまでに消えていますようになんてこっそり祈っておく。
「これが消えるまでは、わらわのアンナリーゼじゃ!手出し無用じゃからな!」
あ……あれ?ていうことは……?
私、この痕が消えるまでここにいろってことかしら?
明日、シルキーの様子を確認したら、フレイゼン領に行ってアンバー領に役立ちそうなものを見てそのまま帰るつもりでいた。
いやはや……帰れないことになってしまったようだ。
「シルキー様?」
「なんじゃ?アンナリーゼ」
「私、もうしばらくこちらにいるのですか?」
「いてほしいのじゃ、だめかえ?」
そんな捨てられそうな小動物みたいな顔されたら……帰るなんて言いづらいというか、言えない。
私もアンバー領で待っている人がいるので……とどまり続けることは難しいのだが、言えない。
「シルキー様、私、明日の夕方には、お暇しようと思っていましたの。
あちらでしないといけないことがたくさんありますので。
なので、1日滞在期間を伸ばすので、それで許していただけませんか?」
そういうつもりはなくても、しょんぼりされると私も強くは出れない。
こういうときこそ殿下の出番なのだが……シルキーの中での順番的に、殿下より私の方が上らしく、殿下は横に首を振るばかりだ。
役に立たないわね!と思ったことは胸の内にしまい、私にシルキーへ提案できることはないかと考える。
「シルキー様、今晩から殿下と一緒に寝てください!」
「なっ!」
「えっ?」
私の代替え案に二人して慌てる。
何故、なのだろうか?それほど、難しい話ではないはずだ。
私とジョージアは、常に一緒のベッドで眠っているのだから。
基準にするのが、まずいのだろうか?と小首をかしげてしまった。
「アンナ……その、シルキーはまだ調子が悪いのだろ?」
「ジルベスターのい……言う通りじゃ!」
はて?なんのこと?と、私は不思議そうに二人を見る。
「調子が悪いから、一緒に寝るのでしょ?シルキー様の体はまだまだ冷たいのです。
一緒に添い寝すれば、殿下の体温でシルキー様も温まるじゃないですか?
何か変なところありますか?」
きょとんとしながら説明をすると、二人はほんのり顔を赤らめ俯いていく。
ふーん、そう。勘違いしたんだ。へぇー。私は、二人に生暖かい視線を送っておく。
「何を想像されたのかは知りませんけど、シルキー様の体にいいことは、どんどん取り入れて
いきましょう。
侍女でも構いません、シルキー様の回復がなるべく早くなるように手を握ってあげてください。
今のシルキー様にとって冷たい体は、良くないので!」
殿下とシルキー、そこに居合わせた侍女に、シルキーの体を温めるように指示してから移動の準備をする。
目の前で抱きかかえていたシルキーからそっと離れる。
名残惜しそうにしているシルキーに笑いかける。
「お食事もきたことですし、ゆっくり召し上がってください。
たぶん、執務室にお兄様とパルマもそろそろ来ているころなので失礼しますね。
しっかり、食べてくださいね!」
私は、殿下を部屋に残し、エリザベスと二人で殿下の執務室へ入っていく。
すでに来ていた兄とパルマがおはようと挨拶したかと思ったら、私の姿を見てギョッとしている。
あぁ、今、淑女らしからぬ姿であることを思い出し、パルマに服を兄にお粗末な暗殺者をシルキーの部屋から連れ出してもらいに、エリザベスには屋敷に帰宅してもらった。
「アンナリーゼ様、一体何があったのです?」
「話せば長いけど、お仕着せで、猿ぐつわやロープを作ったからこんなことになっているのよ。
殿下の部屋にドレス脱いで来ちゃったから、それの回収と殿下のクローゼットの奥にまだ、私の服が
あると思うから持ってきてくれる?」
「服ですか?あの……」
若干目を泳がせているパルマに説明をしなければならないだろう。
ほんのり頬の赤いパルマよ、私は何もしていないと潔白を説明し始める。
「言っときますけど、殿下とは以前も昨日も今日も何もないわよ?
城に出入りしてた頃、いきなり思い立って城下へ遊びに行くから、お忍び用に常に城へ何着か
庶民的な服を置いてあるのよ。
ハリーの分もあるはずよ!私たちみんなの目を盗んでは、城の外へ繰り出していたからね!」
私を見て驚いているパルマ。
じゃあ、その辺で侍女かメイドを見つけて、服とドレスの回収をよろしくね!というと、私は殿下の執務室に一人取り残されるのであった。
そう、シルキーを領地へ招待するという形で……なのに、シルキーが思い出したようで、話が蒸し返されたしまった。
「ジルベスターは、ずるいのじゃ!わらわもアンナリーゼと口づけするぞ!」
シルキーは、満面の笑みを浮かべ約束したことを喜んでいたはずなのだが……太もものキスマークを見た瞬間に……話が戻ってしまったのだ。
殿下に小言を言っていたシルキーが私の方に向き直り、その小さな両手で頬を挟まれた。
おかしなことになってやしないか?と思っていたが……なっていたらしい。
しんどそうな体をおしてまで、私にキスをするシルキー
「うむ、これで、いいのじゃ!」
「何が、いいのです?」
キスをして満足気のシルキーは、ストンとまた私にもたれかかって座る。
「ジルベスターがアンナリーゼにキスをしたのなら、わらわもアンナリーゼにキスしたら、
ジルベスターとおあいこなのじゃ!あぁ、まだ、こっちの分があるのじゃ!」
なんだか、身の危険?を感じ後ろに引こうと思ったが、殿下の視線は好きにさせてくれというのだったし、まだ本調子でないシルキーを支えてあげているから、無下にもできない。
シルキーの好きにさせると鎖骨あたりを狙われて舐められ、軽く吸われるわけだが……なんともまぁ……という感じだ。
そこにタイミング悪くエリザベスが入ってきたから、この部屋はパニックになる。
「シルキー様、アンナに何を……!」
うん、そうなるよね?エリザベス、それが正しい反応です。
少し体を動かしたので疲れたのか、シルキーはくたっと私に体を預け満足そうにしている。
「ジルベスターもアンナリーゼにキスマークをつけたので、わらわもつけただけなのじゃ!
もう、これでこの話はおしまい。
大好きなアンナリーゼと程々好きなジルベスターの両方とも、わらわの大事な人なの
じゃし、今は、幸福感でいっぱいなのじゃ!」
シルキーは、満面の笑みを殿下とエリザベス向けているらしい。
ここから見えるのは、苦笑いの殿下とどう反応をしていいのかおろおろしているエリザベスしか見えない。
シルキーの幸福感とキスマークは、関係ないけど……と、私はシルキーのつけた痕を確認する。
うん、見事についている。
これは、どうしたらいいんだろう?案件である。
太ももなら……ぶつけたと言えばなんとでもなりそうな気もしないこともないが、鎖骨をぶつけることってないわよね?
荷物が落ちてきたなんて言ったら心配するし……領地に帰るまでに消えていますようになんてこっそり祈っておく。
「これが消えるまでは、わらわのアンナリーゼじゃ!手出し無用じゃからな!」
あ……あれ?ていうことは……?
私、この痕が消えるまでここにいろってことかしら?
明日、シルキーの様子を確認したら、フレイゼン領に行ってアンバー領に役立ちそうなものを見てそのまま帰るつもりでいた。
いやはや……帰れないことになってしまったようだ。
「シルキー様?」
「なんじゃ?アンナリーゼ」
「私、もうしばらくこちらにいるのですか?」
「いてほしいのじゃ、だめかえ?」
そんな捨てられそうな小動物みたいな顔されたら……帰るなんて言いづらいというか、言えない。
私もアンバー領で待っている人がいるので……とどまり続けることは難しいのだが、言えない。
「シルキー様、私、明日の夕方には、お暇しようと思っていましたの。
あちらでしないといけないことがたくさんありますので。
なので、1日滞在期間を伸ばすので、それで許していただけませんか?」
そういうつもりはなくても、しょんぼりされると私も強くは出れない。
こういうときこそ殿下の出番なのだが……シルキーの中での順番的に、殿下より私の方が上らしく、殿下は横に首を振るばかりだ。
役に立たないわね!と思ったことは胸の内にしまい、私にシルキーへ提案できることはないかと考える。
「シルキー様、今晩から殿下と一緒に寝てください!」
「なっ!」
「えっ?」
私の代替え案に二人して慌てる。
何故、なのだろうか?それほど、難しい話ではないはずだ。
私とジョージアは、常に一緒のベッドで眠っているのだから。
基準にするのが、まずいのだろうか?と小首をかしげてしまった。
「アンナ……その、シルキーはまだ調子が悪いのだろ?」
「ジルベスターのい……言う通りじゃ!」
はて?なんのこと?と、私は不思議そうに二人を見る。
「調子が悪いから、一緒に寝るのでしょ?シルキー様の体はまだまだ冷たいのです。
一緒に添い寝すれば、殿下の体温でシルキー様も温まるじゃないですか?
何か変なところありますか?」
きょとんとしながら説明をすると、二人はほんのり顔を赤らめ俯いていく。
ふーん、そう。勘違いしたんだ。へぇー。私は、二人に生暖かい視線を送っておく。
「何を想像されたのかは知りませんけど、シルキー様の体にいいことは、どんどん取り入れて
いきましょう。
侍女でも構いません、シルキー様の回復がなるべく早くなるように手を握ってあげてください。
今のシルキー様にとって冷たい体は、良くないので!」
殿下とシルキー、そこに居合わせた侍女に、シルキーの体を温めるように指示してから移動の準備をする。
目の前で抱きかかえていたシルキーからそっと離れる。
名残惜しそうにしているシルキーに笑いかける。
「お食事もきたことですし、ゆっくり召し上がってください。
たぶん、執務室にお兄様とパルマもそろそろ来ているころなので失礼しますね。
しっかり、食べてくださいね!」
私は、殿下を部屋に残し、エリザベスと二人で殿下の執務室へ入っていく。
すでに来ていた兄とパルマがおはようと挨拶したかと思ったら、私の姿を見てギョッとしている。
あぁ、今、淑女らしからぬ姿であることを思い出し、パルマに服を兄にお粗末な暗殺者をシルキーの部屋から連れ出してもらいに、エリザベスには屋敷に帰宅してもらった。
「アンナリーゼ様、一体何があったのです?」
「話せば長いけど、お仕着せで、猿ぐつわやロープを作ったからこんなことになっているのよ。
殿下の部屋にドレス脱いで来ちゃったから、それの回収と殿下のクローゼットの奥にまだ、私の服が
あると思うから持ってきてくれる?」
「服ですか?あの……」
若干目を泳がせているパルマに説明をしなければならないだろう。
ほんのり頬の赤いパルマよ、私は何もしていないと潔白を説明し始める。
「言っときますけど、殿下とは以前も昨日も今日も何もないわよ?
城に出入りしてた頃、いきなり思い立って城下へ遊びに行くから、お忍び用に常に城へ何着か
庶民的な服を置いてあるのよ。
ハリーの分もあるはずよ!私たちみんなの目を盗んでは、城の外へ繰り出していたからね!」
私を見て驚いているパルマ。
じゃあ、その辺で侍女かメイドを見つけて、服とドレスの回収をよろしくね!というと、私は殿下の執務室に一人取り残されるのであった。
0
お気に入りに追加
124
あなたにおすすめの小説

なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?
ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。
だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。
これからは好き勝手やらせてもらいますわ。

【完結】私はいてもいなくても同じなのですね ~三人姉妹の中でハズレの私~
紺青
恋愛
マルティナはスコールズ伯爵家の三姉妹の中でハズレの存在だ。才媛で美人な姉と愛嬌があり可愛い妹に挟まれた地味で不器用な次女として、家族の世話やフォローに振り回される生活を送っている。そんな自分を諦めて受け入れているマルティナの前に、マルティナの思い込みや常識を覆す存在が現れて―――家族にめぐまれなかったマルティナが、強引だけど優しいブラッドリーと出会って、少しずつ成長し、別離を経て、再生していく物語。
※三章まで上げて落とされる鬱展開続きます。
※因果応報はありますが、痛快爽快なざまぁはありません。
※なろうにも掲載しています。

【完結】人生で一番幸せになる日 ~『災い』だと虐げられた少女は、嫁ぎ先で冷血公爵様から溺愛されて強くなる~
八重
恋愛
【全32話+番外編】
「過去を、後ろを見るのはやめます。今を、そして私を大切に思ってくださっている皆さんのことを思いたい!」
伯爵家の長女シャルロッテ・ヴェーデルは、「生まれると災いをもたらす」と一族で信じられている『金色の目』を持つ少女。生まれたその日から、屋敷には入れてもらえず、父、母、妹にも虐げられて、一人ボロボロの「離れ」で暮らす。
ある日、シャルロッテに『冷血公爵』として知られるエルヴィン・アイヒベルク公爵から、なぜか婚約の申し込みがくる。家族は「災い」であるシャルロッテを追い出すのにちょうどいい口実ができたと、彼女を18歳の誕生日に嫁がせた。
しかし、『冷血公爵』とは裏腹なエルヴィンの優しく愛情深い素顔と婚約の理由を知り、シャルロッテは彼に恩返しするため努力していく。
そして、一族の中で信じられている『金色の目』の話には、実は続きがあって……。
マナーも愛も知らないシャルロッテが「夫のために役に立ちたい!」と努力を重ねて、幸せを掴むお話。
※引き下げにより、書籍版1、2巻の内容を一部改稿して投稿しております

白い結婚はそちらが言い出したことですわ
来住野つかさ
恋愛
サリーは怒っていた。今日は幼馴染で喧嘩ばかりのスコットとの結婚式だったが、あろうことかバーティでスコットの友人たちが「白い結婚にするって言ってたよな?」「奥さんのこと色気ないとかさ」と騒ぎながら話している。スコットがその気なら喧嘩買うわよ! 白い結婚上等よ! 許せん! これから舌戦だ!!
冤罪を受けたため、隣国へ亡命します
しろねこ。
恋愛
「お父様が投獄?!」
呼び出されたレナンとミューズは驚きに顔を真っ青にする。
「冤罪よ。でも事は一刻も争うわ。申し訳ないけど、今すぐ荷づくりをして頂戴。すぐにこの国を出るわ」
突如母から言われたのは生活を一変させる言葉だった。
友人、婚約者、国、屋敷、それまでの生活をすべて捨て、令嬢達は手を差し伸べてくれた隣国へと逃げる。
冤罪を晴らすため、奮闘していく。
同名主人公にて様々な話を書いています。
立場やシチュエーションを変えたりしていますが、他作品とリンクする場所も多々あります。
サブキャラについてはスピンオフ的に書いた話もあったりします。
変わった作風かと思いますが、楽しんで頂けたらと思います。
ハピエンが好きなので、最後は必ずそこに繋げます!
小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。

私は、忠告を致しましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私マリエスは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢ロマーヌ様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
ロマーヌ様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は常に最愛の方に護っていただいているので、貴方様には悪意があると気付けるのですよ。
ロマーヌ様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?

噂の醜女とは私の事です〜蔑まれた令嬢は、その身に秘められた規格外の魔力で呪われた運命を打ち砕く〜
秘密 (秘翠ミツキ)
ファンタジー
*『ねぇ、姉さん。姉さんの心臓を僕に頂戴』
◆◆◆
*『お姉様って、本当に醜いわ』
幼い頃、妹を庇い代わりに呪いを受けたフィオナだがその妹にすら蔑まれて……。
◆◆◆
侯爵令嬢であるフィオナは、幼い頃妹を庇い魔女の呪いなるものをその身に受けた。美しかった顔は、その半分以上を覆う程のアザが出来て醜い顔に変わった。家族や周囲から醜女と呼ばれ、庇った妹にすら「お姉様って、本当に醜いわね」と嘲笑われ、母からはみっともないからと仮面をつける様に言われる。
こんな顔じゃ結婚は望めないと、フィオナは一人で生きれる様にひたすらに勉学に励む。白塗りで赤く塗られた唇が一際目立つ仮面を被り、白い目を向けられながらも学院に通う日々。
そんな中、ある青年と知り合い恋に落ちて婚約まで結ぶが……フィオナの素顔を見た彼は「ごめん、やっぱり無理だ……」そう言って婚約破棄をし去って行った。
それから社交界ではフィオナの素顔で話題は持ちきりになり、仮面の下を見たいが為だけに次から次へと婚約を申し込む者達が後を経たない。そして仮面の下を見た男達は直ぐに婚約破棄をし去って行く。それが今社交界での流行りであり、暇な貴族達の遊びだった……。
「あなたの好きなひとを盗るつもりなんてなかった。どうか許して」と親友に謝られたけど、その男性は私の好きなひとではありません。まあいっか。
石河 翠
恋愛
真面目が取り柄のハリエットには、同い年の従姉妹エミリーがいる。母親同士の仲が悪く、二人は何かにつけ比較されてきた。
ある日招待されたお茶会にて、ハリエットは突然エミリーから謝られる。なんとエミリーは、ハリエットの好きなひとを盗ってしまったのだという。エミリーの母親は、ハリエットを出し抜けてご機嫌の様子。
ところが、紹介された男性はハリエットの好きなひととは全くの別人。しかもエミリーは勘違いしているわけではないらしい。そこでハリエットは伯母の誤解を解かないまま、エミリーの結婚式への出席を希望し……。
母親の束縛から逃れて初恋を叶えるしたたかなヒロインと恋人を溺愛する腹黒ヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:23852097)をお借りしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる