274 / 1,480
侍女とは
しおりを挟む
目の前には、私の専属侍女デリアと新しく侍女になってもらうリアン。
隣には、ジョージアがジョーを抱いて座っている。
ジョーは、うつらうつらの舟をこぎ始める。
寝かせてあげたいが、今からの話を考えてしばらくジョージアの腕の中でいてもらおう。
「さて、まずお互い顔は合わせたわね!じゃあ、リアン」
私が呼びかけると少し背筋を伸ばして返事をしてくれる。
それに私は微笑む。
それほど緊張してもらわなくても大丈夫なのだが……デリアからの視線というか雰囲気に気おされている感じがする。
「私の専属侍女のデリアよ。
仕事は、デリアから教わって頂戴。
なんたって、あのノクトの侍女をお願いしないといけないから……
我がままではないと思うけど、押しが強いのと豪快。
いつの間にか、向こうのペースに巻き込まれるから……」
私は、当の本人を思い浮かべため息が出てきた。
それに反論したのは、デリアである。
「あの、ノクト様はそんな感じではなかったですよ?
とても、丁寧な感じでこちらの言い分もきちんと聞いてくださる紳士でした。
おかげで、とても、働きやすいのですけど……アンナ様との印象が違いすぎますね」
「えぇ……今、驚いた。
私、会った人は……誰?と思ってしまったわ。
それもこれも、交渉相手としての私と身の回りの世話をしてくれるデリアへの対応の違いね」
デリアへ対する扱いが、あんな様子でなくてよかった。
元々、ノクトは、争いごとが好きなようではないし、爵位があるからできないことが多いからこっちに逃げてきたいというような口ぶりでもあった。
皇弟も公爵も将軍もと肩書が多すぎて、疲れたのだろうか?
何はともわれ、デリアに対する扱いが丁寧だったことにホッと安心する。
「それと、先日からこちらで預からせてもらっているダドリー男爵の第三夫人のリアンよ!
ノクトの侍女としてついてもらうから、指導よろしくね!」
「あの……アンナ様?」
「何かしら?」
「ダドリー男爵の第三夫人と聞こえたのですけど……聞き違いでしょうか?」
「いいえ、聞き違いではないよ!
私が、必要な存在だと思ったので、引き抜きしたの。
あと、夫人と言えど、元メイドなので役に立つとは思うわ!」
「あ……あの、デリアさん……よろしくお願いします!」
おずおずとっという感じででデリアにリアンは挨拶をする。
デリアは、納得できなかったのか、少し考えがあるのですが……と話始める。
「しばらく、リアン様には、アンナ様の侍女をしてもらうのはどうでしょう。
お客様にたいして、外から来た人をすぐに宛がうのは、アンバー公爵家として、品位に問われます。
それに、アンナ様の無茶……いえ、無理……うーん……ご要望をきっちりこなせるようになって
初めて、お客様をお任せできると思いますので、まずは、アンナ様に振り……ご指導してもらって
ください。
アンナ様の要望がすべてこなせるようになれば、どんな相手であろうと主となる人の要望は最高の形で
提供できます。
失礼ですが、たかだか男爵家のメイドでは、公爵家の侍女はかなり難しいです。
仕事量もさることながら、主人が何を求めているのか、好みの把握、必要なもの、必要としているもの
手配、その他の侍従に対する根回し。
他にもアンナ様は、命を狙われておりますから、そちらのフォローも必要です。
こちらにいる分には、気を抜いていても大丈夫ですが、本宅では、常に何が混ざっていてもおかしく
ないと思ってください。
ありとあらゆるものに気を使い、360度、アンナ様が触るもの着るもの食べるもの、何もかもに注意を
しなくてはいけません。
それができてこそ、お客様への対応が可能です。
私が、アンナ様の側にいたいのはやまやまですが、力不足な方が側にいては、お客様に申し訳ないです
から、私がいいと判断するまでそちらを全うしてください!
いいですか?化粧1つとっても、今の流行りがあり、そこにアンナ様らしいものにしなくてはいけ
ません。
着るものの手配も然り。アンナ様は、どういうわけか、ドレスを着て優雅に奥様をされる方では
ありません。
汚い服を着て嬉々として、すっぴんで出歩き、泥まみれになり下町で男性たちにまぎれ、動き回られ
ます。
私としては、お部屋で大人しくしていてほしいところですけど、目を離すと模擬剣を持って、すぐ、
どこかへ飛んで行ってしまいます。
いいですか!主である前に、手綱のない暴れ馬と思ってください。
それを制御するのが、リアン様……いえ、リアンの仕事です!
わかりましたか?
かなりのじゃじゃ馬ですからね!
制御することがあなたの仕事であり、ついて回らないといけないのです。
先手を考え、先回りをして、アンナ様よりアンナ様がどのように動かれるかをしっかり把握する必要が
あるのですよ!」
私は、デリアがリアンへの引継ぎ……もとい、注意を言っているのに唖然としてしまった。
いや、私だけでなく、ジョージアもリアンもポカンとしている。
最初は、やんわりお客様へ新人を付けるのはダメだと窘めてくれていた。
それは、頷ける。
だんだん、私のことに話が移行していったのはわかった。
えっと……デリアにも私はじゃじゃ馬だと思われていたらしい……
そんなこと、1度も言われたことなかったし、そんな風に思っているとも露知らず……
本人目の前に置いて、私の取り扱い説明をし始めた。
「えっと……デリア?」
「はい、アンナ様」
「私って……じゃじゃ馬……?暴れ馬……?手綱は必要かしら……?」
「何を今更ですか?
それくらいの人でなければ、アンバー公爵家の奥様が務まる思っておられるのですか?
アンバー領の今後を担うのはアンナ様だけですからね!」
「デリアの言い分に、俺は同意だよ。
アンナくらいじゃないと、この領地改革は無理だ……」
「あのジョージア様、領地じゃなくて……ジョージア様もじゃじゃ馬って……
あっ!目逸らした!
私のこと、そんなふうに思ってるんですね!
こっち見てくださいよ!ねぇ!!」
ぷはははは……
いきなりの笑い声に、私は驚いた。
笑っている人を見ると、リアンであった。
「アンナリーゼ様、失礼しました。
デリアのいうことが、あまりにも当てはまっていて……おかしくて……」
笑いを抑えようとしているのだが、なかなかうまくいかないようである。
そんな様子を見て、ジョージアが私の方へ視線を向けてくる。
「アンナは、みんなから同じように思われているみたいだね……?
俺は、学生の頃のアンナも知っているから、デリアの言葉は納得してしまったけど、改めて、しっかり
した女性じゃないとこの窮地は乗り越えられないよ」
「アンナリーゼ様、私はあなたの言葉で子供たちの将来を真剣に考えることができました。
離婚してあの子たちを立派な大人にできるよう、私も努力したいと思っています。
デリアに言われたとおり、アンナリーゼ様に侍らせていただきたく思います。
デリア程、目端は利かないかもしれませんが、努力させていただきますので、どうかよろしく
お願いいたします」
煙に巻かれたかのように話が進んでしまい、なんとなくこれ以上は言えない雰囲気だ。
仕方がないし、私自身、デリアを振り回しまわっている自覚はあるので、言われたことは認めるしかない。
「はぁ……デリア、苦労かけてごめんね。
私、なるべく大人しくなるように努力するけど……」
「無理ですね!」
「無理だろう……」
「できないかと……」
三者三様に言われる。
私、どんだけ行動的なのだろう……?
ちゃんと、行先とか言ってから出てくるんだけどなぁ?
「むしろ、そんなできない努力はせずに、どんどん外で好きなことをしたらいいさ。
俺がアンナのフォローをするし!」
「そうです!
アンナ様を慕っている方々が待っているのですから、好きなことをされればいいのですよ!」
なんだか、慰められているのだけど……嬉しいのかよくわからない。
私、これでも……公爵夫人で、これから公爵位までもらうのだから、それにふさわしい立ち居振る舞いも必要だと思うのだけど、それを求められていない。
おかしいな……?と思いながら、私は私でいいと言ってくれることに少し安堵もする。
「わかったわ!
これからも、楽しく出歩くから私のフォローをお願いします!
それと、もうすぐ悪阻がくるだろうから、お世話よろしくね!」
「悪阻ですか……?おめでとうございます!」
「まだ、ヨハンに診てもらってないけど、また、迷惑かけるわ!
ただ、まだ内緒でお願いね!馬も乗っちゃダメになるのね……
はぁ……嬉しいのだけど、嬉しいのだけど……レナンテ……」
「では、ヨハン教授を明日にでも呼び出しましょう!
レナンテは、2年くらいなら待ってくれていますよ!
大丈夫ですから、まずは、体を大事にしてください!」
はい……とデリアに返事する。
こうなると、やはり出産経験のあるリアンが側にいる方がいいということになった。
私達の話し合いが終わり、侍女の引継ぎの話にをするようである。
邪魔な私たち親子は、デリアに声をかけたうえで、久しぶりに訪れた領地の屋敷を散歩することにした。
久しぶりにのんびりした日だ。
ぐぅーっと体を伸ばすと、ジョーも気持ちよさげにしている。
私達母娘は、こちらの空気の方が肌に合うようで、二人でキャッキャッと騒げば、優しくジョージアがそれを見守ってくれるのであった。
隣には、ジョージアがジョーを抱いて座っている。
ジョーは、うつらうつらの舟をこぎ始める。
寝かせてあげたいが、今からの話を考えてしばらくジョージアの腕の中でいてもらおう。
「さて、まずお互い顔は合わせたわね!じゃあ、リアン」
私が呼びかけると少し背筋を伸ばして返事をしてくれる。
それに私は微笑む。
それほど緊張してもらわなくても大丈夫なのだが……デリアからの視線というか雰囲気に気おされている感じがする。
「私の専属侍女のデリアよ。
仕事は、デリアから教わって頂戴。
なんたって、あのノクトの侍女をお願いしないといけないから……
我がままではないと思うけど、押しが強いのと豪快。
いつの間にか、向こうのペースに巻き込まれるから……」
私は、当の本人を思い浮かべため息が出てきた。
それに反論したのは、デリアである。
「あの、ノクト様はそんな感じではなかったですよ?
とても、丁寧な感じでこちらの言い分もきちんと聞いてくださる紳士でした。
おかげで、とても、働きやすいのですけど……アンナ様との印象が違いすぎますね」
「えぇ……今、驚いた。
私、会った人は……誰?と思ってしまったわ。
それもこれも、交渉相手としての私と身の回りの世話をしてくれるデリアへの対応の違いね」
デリアへ対する扱いが、あんな様子でなくてよかった。
元々、ノクトは、争いごとが好きなようではないし、爵位があるからできないことが多いからこっちに逃げてきたいというような口ぶりでもあった。
皇弟も公爵も将軍もと肩書が多すぎて、疲れたのだろうか?
何はともわれ、デリアに対する扱いが丁寧だったことにホッと安心する。
「それと、先日からこちらで預からせてもらっているダドリー男爵の第三夫人のリアンよ!
ノクトの侍女としてついてもらうから、指導よろしくね!」
「あの……アンナ様?」
「何かしら?」
「ダドリー男爵の第三夫人と聞こえたのですけど……聞き違いでしょうか?」
「いいえ、聞き違いではないよ!
私が、必要な存在だと思ったので、引き抜きしたの。
あと、夫人と言えど、元メイドなので役に立つとは思うわ!」
「あ……あの、デリアさん……よろしくお願いします!」
おずおずとっという感じででデリアにリアンは挨拶をする。
デリアは、納得できなかったのか、少し考えがあるのですが……と話始める。
「しばらく、リアン様には、アンナ様の侍女をしてもらうのはどうでしょう。
お客様にたいして、外から来た人をすぐに宛がうのは、アンバー公爵家として、品位に問われます。
それに、アンナ様の無茶……いえ、無理……うーん……ご要望をきっちりこなせるようになって
初めて、お客様をお任せできると思いますので、まずは、アンナ様に振り……ご指導してもらって
ください。
アンナ様の要望がすべてこなせるようになれば、どんな相手であろうと主となる人の要望は最高の形で
提供できます。
失礼ですが、たかだか男爵家のメイドでは、公爵家の侍女はかなり難しいです。
仕事量もさることながら、主人が何を求めているのか、好みの把握、必要なもの、必要としているもの
手配、その他の侍従に対する根回し。
他にもアンナ様は、命を狙われておりますから、そちらのフォローも必要です。
こちらにいる分には、気を抜いていても大丈夫ですが、本宅では、常に何が混ざっていてもおかしく
ないと思ってください。
ありとあらゆるものに気を使い、360度、アンナ様が触るもの着るもの食べるもの、何もかもに注意を
しなくてはいけません。
それができてこそ、お客様への対応が可能です。
私が、アンナ様の側にいたいのはやまやまですが、力不足な方が側にいては、お客様に申し訳ないです
から、私がいいと判断するまでそちらを全うしてください!
いいですか?化粧1つとっても、今の流行りがあり、そこにアンナ様らしいものにしなくてはいけ
ません。
着るものの手配も然り。アンナ様は、どういうわけか、ドレスを着て優雅に奥様をされる方では
ありません。
汚い服を着て嬉々として、すっぴんで出歩き、泥まみれになり下町で男性たちにまぎれ、動き回られ
ます。
私としては、お部屋で大人しくしていてほしいところですけど、目を離すと模擬剣を持って、すぐ、
どこかへ飛んで行ってしまいます。
いいですか!主である前に、手綱のない暴れ馬と思ってください。
それを制御するのが、リアン様……いえ、リアンの仕事です!
わかりましたか?
かなりのじゃじゃ馬ですからね!
制御することがあなたの仕事であり、ついて回らないといけないのです。
先手を考え、先回りをして、アンナ様よりアンナ様がどのように動かれるかをしっかり把握する必要が
あるのですよ!」
私は、デリアがリアンへの引継ぎ……もとい、注意を言っているのに唖然としてしまった。
いや、私だけでなく、ジョージアもリアンもポカンとしている。
最初は、やんわりお客様へ新人を付けるのはダメだと窘めてくれていた。
それは、頷ける。
だんだん、私のことに話が移行していったのはわかった。
えっと……デリアにも私はじゃじゃ馬だと思われていたらしい……
そんなこと、1度も言われたことなかったし、そんな風に思っているとも露知らず……
本人目の前に置いて、私の取り扱い説明をし始めた。
「えっと……デリア?」
「はい、アンナ様」
「私って……じゃじゃ馬……?暴れ馬……?手綱は必要かしら……?」
「何を今更ですか?
それくらいの人でなければ、アンバー公爵家の奥様が務まる思っておられるのですか?
アンバー領の今後を担うのはアンナ様だけですからね!」
「デリアの言い分に、俺は同意だよ。
アンナくらいじゃないと、この領地改革は無理だ……」
「あのジョージア様、領地じゃなくて……ジョージア様もじゃじゃ馬って……
あっ!目逸らした!
私のこと、そんなふうに思ってるんですね!
こっち見てくださいよ!ねぇ!!」
ぷはははは……
いきなりの笑い声に、私は驚いた。
笑っている人を見ると、リアンであった。
「アンナリーゼ様、失礼しました。
デリアのいうことが、あまりにも当てはまっていて……おかしくて……」
笑いを抑えようとしているのだが、なかなかうまくいかないようである。
そんな様子を見て、ジョージアが私の方へ視線を向けてくる。
「アンナは、みんなから同じように思われているみたいだね……?
俺は、学生の頃のアンナも知っているから、デリアの言葉は納得してしまったけど、改めて、しっかり
した女性じゃないとこの窮地は乗り越えられないよ」
「アンナリーゼ様、私はあなたの言葉で子供たちの将来を真剣に考えることができました。
離婚してあの子たちを立派な大人にできるよう、私も努力したいと思っています。
デリアに言われたとおり、アンナリーゼ様に侍らせていただきたく思います。
デリア程、目端は利かないかもしれませんが、努力させていただきますので、どうかよろしく
お願いいたします」
煙に巻かれたかのように話が進んでしまい、なんとなくこれ以上は言えない雰囲気だ。
仕方がないし、私自身、デリアを振り回しまわっている自覚はあるので、言われたことは認めるしかない。
「はぁ……デリア、苦労かけてごめんね。
私、なるべく大人しくなるように努力するけど……」
「無理ですね!」
「無理だろう……」
「できないかと……」
三者三様に言われる。
私、どんだけ行動的なのだろう……?
ちゃんと、行先とか言ってから出てくるんだけどなぁ?
「むしろ、そんなできない努力はせずに、どんどん外で好きなことをしたらいいさ。
俺がアンナのフォローをするし!」
「そうです!
アンナ様を慕っている方々が待っているのですから、好きなことをされればいいのですよ!」
なんだか、慰められているのだけど……嬉しいのかよくわからない。
私、これでも……公爵夫人で、これから公爵位までもらうのだから、それにふさわしい立ち居振る舞いも必要だと思うのだけど、それを求められていない。
おかしいな……?と思いながら、私は私でいいと言ってくれることに少し安堵もする。
「わかったわ!
これからも、楽しく出歩くから私のフォローをお願いします!
それと、もうすぐ悪阻がくるだろうから、お世話よろしくね!」
「悪阻ですか……?おめでとうございます!」
「まだ、ヨハンに診てもらってないけど、また、迷惑かけるわ!
ただ、まだ内緒でお願いね!馬も乗っちゃダメになるのね……
はぁ……嬉しいのだけど、嬉しいのだけど……レナンテ……」
「では、ヨハン教授を明日にでも呼び出しましょう!
レナンテは、2年くらいなら待ってくれていますよ!
大丈夫ですから、まずは、体を大事にしてください!」
はい……とデリアに返事する。
こうなると、やはり出産経験のあるリアンが側にいる方がいいということになった。
私達の話し合いが終わり、侍女の引継ぎの話にをするようである。
邪魔な私たち親子は、デリアに声をかけたうえで、久しぶりに訪れた領地の屋敷を散歩することにした。
久しぶりにのんびりした日だ。
ぐぅーっと体を伸ばすと、ジョーも気持ちよさげにしている。
私達母娘は、こちらの空気の方が肌に合うようで、二人でキャッキャッと騒げば、優しくジョージアがそれを見守ってくれるのであった。
0
お気に入りに追加
121
あなたにおすすめの小説
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
悲恋を気取った侯爵夫人の末路
三木谷夜宵
ファンタジー
侯爵夫人のプリシアは、貴族令嬢と騎士の悲恋を描いた有名なロマンス小説のモデルとして持て囃されていた。
順風満帆だった彼女の人生は、ある日突然に終わりを告げる。
悲恋のヒロインを気取っていた彼女が犯した過ちとは──?
カクヨムにも公開してます。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
婚約破棄の場に相手がいなかった件について
三木谷夜宵
ファンタジー
侯爵令息であるアダルベルトは、とある夜会で婚約者の伯爵令嬢クラウディアとの婚約破棄を宣言する。しかし、その夜会にクラウディアの姿はなかった。
断罪イベントの夜会に婚約者を迎えに来ないというパターンがあるので、では行かなければいいと思って書いたら、人徳あふれるヒロイン(不在)が誕生しました。
カクヨムにも公開しています。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
逃した番は他国に嫁ぐ
基本二度寝
恋愛
「番が現れたら、婚約を解消してほしい」
婚約者との茶会。
和やかな会話が落ち着いた所で、改まって座を正した王太子ヴェロージオは婚約者の公爵令嬢グリシアにそう願った。
獣人の血が交じるこの国で、番というものの存在の大きさは誰しも理解している。
だから、グリシアも頷いた。
「はい。わかりました。お互いどちらかが番と出会えたら円満に婚約解消をしましょう!」
グリシアに答えに満足したはずなのだが、ヴェロージオの心に沸き上がる感情。
こちらの希望を受け入れられたはずのに…、何故か、もやっとした気持ちになった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる