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複雑な家庭
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「インゼロ帝国のノクト将軍と言えば、帝国皇帝の皇弟であるぞ?
確か、公爵位まで持っているはずだが……そなた、寝ぼけているのか?」
「公は、私のことをそんな風に……すっごく失礼ですし、寝ぼけてません!」
泣きまねをして、笑いを誘うとしたが、聞こえるのは失笑だけだ。
なんでよ?と思いながら、周りを見回すが、この話をしたときのジョージアと一緒の顔で私を見ている。
「コホン……えっとですね?説明必要ですか?」
無言で頷く一同。
大きく、激しく同意なようで、首がもげるのじゃないかと頷いている。
そこにジョージアもなぜか便乗していた。あれ、話さなかったっけ?
ノクト獲得は、何もそんな不思議な話でもない。
「砂糖が欲しかったので、ノクトに砂糖の苗や種をください!って言ったら、おまけで
ついてきたただそれだけです」
「それだけって……価値わかっているのか?」
「わかってますよ!
クビ取ったらお国が手に入るくらいの価値があることくらい!
でも、私は、そんなの要らないんです!
私が欲しかったのは、あくまで砂糖なのですから!
あっ!でも、いざとなったら……私のために死んでもらいます!
クビくれるって言ってましたし、そなたも手に入れたくなったぞなんて冗談を
言ってましたから、お気楽なおじさんですよね!」
「アンナさん……その欲しくなったは、俺聞いてないよ?
ちょっと、そこは、帰って抗議の手紙書かないといけないね!」
「ジョージア様、手紙なんて書かなくても……領地に行けば会えますから!」
「「「「「はっ?」」」」」
ん?と、一同を見回す。
何かおかしなこと、言っただろうか?
デリアから、領地に来たという報告が上がってきている。
「あの、アンナリーゼよ……いろいろツッコミたいところがあるのだが?」
「なんでしょうか?どこもそのようなところはなかったと思いますけど、
公はどこが疑問ですか?」
「全てだ……」
全てって……どこに疑問があるのだろう……?
私、説明したよね?砂糖が欲しかったって、そして、おまけでついてきたって。
「まず、インゼロのノクト将軍を領地へ招いたことは……まずくないか?」
「まずいまずくないで言えば……国内にかなり立派な屋敷を構えさせている
公の方がまずいと思いますけどね?」
「何?どういうことだ?」
「どういうことも何も、公都から1時間くらいのところに、ノクト将軍のお屋敷が
あるんですよ!
私、この前、行ってきたのですけど……とっても素敵なお屋敷でした。
豪奢で……お城みたいな感じですね」
「「「「「えっ?」」」」」」
鳩が豆鉄砲を食ったようとは、このことだろうか?
さっきから、はっ?とかえっ?とか、私がせっかく話しているのにみんな言葉が雑だ。
「どこにあるって?」
「公都から1時間くらいのところにあります」
「そんな目と鼻の先にあるのか?」
「そうですよ!私も驚きました!
ち・な・み・に、公都にもちょくちょく遊びに来ているらしいですし、南方の
商業施設はかなり通われているようですね。
私、行ったことないっていえばイロイロ話をしてくれて、とても楽しい時間を
過ごさせていただきました!」
開いた口が塞がらない状態で、みんな口が開きっぱなしだ。
大丈夫?と見渡す。
「アンナリーゼ、それで、なんだ……何故、そうなった?」
「何故でしょう?
砂糖が欲しいってウィルに言ったら、ってウィル・サーラーは、わかりますか?」
一同わかってくれたのか頷く。
「そのウィルに言ったらですね?
ノクト将軍に連絡付けてくれたんですよ!
あの小競り合いのときに意気投合したとかなんとかで……
で、交渉しに行ったわけです」
「それで、どうして、なのだ……?」
「だから、砂糖が欲しいって言おうとしたらですね?
先に、ウィルが欲しいと言われまして、あげないと言ったら今度は私の下で
働けばいいんだと軍師と共に言い始めたので丁重にお断りしたのですよ!」
「ふむ……」
「強引な方ですね……本当に、トワイスの王室を見習うべきです!
全く聞き耳を持たないのですから……!!」
私は、出し抜かれたときのことを思い出し腹がたってきた。
結局、ニコライのためにもなるしウィルの補佐もしてもらえるし、知恵まで貸してもらえるなら、いいわよねーなんて考えに達しているので、自身の汚点をぐっと飲みこんでいく。
「それで、そなたの領地に、今いるのか?」
「えぇ、いますよ!
先日、侍女からノクト将軍が来たので、どうすればいいかって話になったので、
当面は、我が屋敷へ留めています。
でも、農民とか加工職人とかも連れてきてくれているはずなので、それなりの
人数となっているらしく、早々にアンバー領へ行きたいと思っています」
「わかった……仕方なかろう……それで、アンナリーゼよ?」
「はい、なんでございましょう?」
「連れてきてくれぬか?」
「ノクトをですか?」
返事の代わりに、公は頷く。
これまた、面倒なことになった。
でも、ここで断って、公爵移譲もとい、一代限りの公爵位が流れると困るので、同意の意味も込めてにこっと笑う。
「ノクトが来てもいいって言えば、連れてきます!
というか、アンバー領にいる時点で、私の配下のおじさんなので、命令して
連れてきます。
それでいいですか?」
「……お……おじさん……あぁ、構わない。
それにつけても、よくあんなとんでもない大物つりおったわ!」
「決して欲しかったわけでは、ありませんよ?
私にも好みっていうものがあってですね!」
「アンナ、今はアンナの好みの話ではないよ!」
「いいえ、ジョージア様。
そこは、大切ですからね、声を大にして言わないと!!」
「まぁ、要するに、アンナリーゼは、ジョージアが好きだと我々に惚気たいので
あろう?」
公が、ごちそうさまと言えば、みなが生暖かい視線を送ってくる。
別に惚気たかったわけではないが、いい年してそんな風に思われたのかと思うとなんだか恥ずかしくなってしまった。
隣を見るとジョージアも私にあてられたのか、顔が赤い。
「冗談は、さておき。
ノクト将軍の件は、日程調整の元、会わせてほしい。
調整してくれるか?」
「公爵位拝命のときに一緒に連れてきます。
そのときに、ついでと言っては何ですけど……
そろそろ、ウィル・サーラーとセバスチャン・トライドをもらい受けたいので、
その準備も一緒にお願いしてもいいでしょうか?」
「わかった。そちらも準備しよう。
では、まず、そなたの爵位を授けるところから準備を進める。
そのあとは、公世子の方で先ほどの件を調査の上、進めていくことにする。
異論はないか?」
「異論ですか……」
私は、考える。
何も今回は、見落としていないだろうかと……
しばらく考えたところで、ジョージアとソフィアの離婚、さらにダドリー男爵とリアンの離婚、男爵の子どもである兄妹を引き取ることを言い忘れていることに気づいた。
「公、1つ……いえ、2つほどあります」
まだあるのか……うんざりした公と公世子の顔がそっくりで笑えてくるが、そこはグッと我慢する。
「今度は、なんだ?」
「ジョージア様とソフィア離婚を申請します」
「あぁ、それは、妥当だな。
アンバー公爵家の名前をこれ以上貶める口実は、なるべく無くした方がいい」
「はい、お気遣いありがとうございます。
あと、ダドリー男爵と第三夫人であるリアンの離婚も申し立てたく思っている
のですが……私でも、裁可できますか?」
「なんだと?ダドリー男爵と第三夫人の離婚?
何故、そんなものが、必要なのだ?」
「えっと……第三夫人とその子ども二人が欲しいからなのですけど……」
「アンナリーゼよ……一体、何を考えている。
ダドリー男爵を断罪するのに、何故その夫人を引き入れ、あまつさえ子どもを
引き取るとは?
何か、特別なことでもあるのか?」
「何も。ただ、私が気に入ったので……欲しいだけです」
「そんな理由で……断罪する側のアンナリーゼが恨まれることがあるのだぞ?」
わかっておるのかと問われ、私は公に向け頷く。
「もちろんです。
その上で、私は、必要だと判断いたしました!
それに、ジョージア様も、自分の子ではないジョージを引き取りますから、
子どもが増えたところでかわりませんよ!」
「さらっと爆弾発言をしていくな……」
みんなが私を見て、諦めたかのようにため息をつく。
もう何を聞かされるか怖くてたまらん……公のつぶやきに同意するかのようにその場にいるみんなが頷く。
「爆弾発言ですか……我が家は、いろいろと複雑な家庭ですからね……
ご了承ください!」
私は、いや、私とジョージアは、今日ここに居合わせたみんなに苦笑いをおくるのであった。
私達だって好きで複雑な家庭になったわけではないのだから……そこは、慮ってほしいなぁ……悠長なことを考えているのである。
確か、公爵位まで持っているはずだが……そなた、寝ぼけているのか?」
「公は、私のことをそんな風に……すっごく失礼ですし、寝ぼけてません!」
泣きまねをして、笑いを誘うとしたが、聞こえるのは失笑だけだ。
なんでよ?と思いながら、周りを見回すが、この話をしたときのジョージアと一緒の顔で私を見ている。
「コホン……えっとですね?説明必要ですか?」
無言で頷く一同。
大きく、激しく同意なようで、首がもげるのじゃないかと頷いている。
そこにジョージアもなぜか便乗していた。あれ、話さなかったっけ?
ノクト獲得は、何もそんな不思議な話でもない。
「砂糖が欲しかったので、ノクトに砂糖の苗や種をください!って言ったら、おまけで
ついてきたただそれだけです」
「それだけって……価値わかっているのか?」
「わかってますよ!
クビ取ったらお国が手に入るくらいの価値があることくらい!
でも、私は、そんなの要らないんです!
私が欲しかったのは、あくまで砂糖なのですから!
あっ!でも、いざとなったら……私のために死んでもらいます!
クビくれるって言ってましたし、そなたも手に入れたくなったぞなんて冗談を
言ってましたから、お気楽なおじさんですよね!」
「アンナさん……その欲しくなったは、俺聞いてないよ?
ちょっと、そこは、帰って抗議の手紙書かないといけないね!」
「ジョージア様、手紙なんて書かなくても……領地に行けば会えますから!」
「「「「「はっ?」」」」」
ん?と、一同を見回す。
何かおかしなこと、言っただろうか?
デリアから、領地に来たという報告が上がってきている。
「あの、アンナリーゼよ……いろいろツッコミたいところがあるのだが?」
「なんでしょうか?どこもそのようなところはなかったと思いますけど、
公はどこが疑問ですか?」
「全てだ……」
全てって……どこに疑問があるのだろう……?
私、説明したよね?砂糖が欲しかったって、そして、おまけでついてきたって。
「まず、インゼロのノクト将軍を領地へ招いたことは……まずくないか?」
「まずいまずくないで言えば……国内にかなり立派な屋敷を構えさせている
公の方がまずいと思いますけどね?」
「何?どういうことだ?」
「どういうことも何も、公都から1時間くらいのところに、ノクト将軍のお屋敷が
あるんですよ!
私、この前、行ってきたのですけど……とっても素敵なお屋敷でした。
豪奢で……お城みたいな感じですね」
「「「「「えっ?」」」」」」
鳩が豆鉄砲を食ったようとは、このことだろうか?
さっきから、はっ?とかえっ?とか、私がせっかく話しているのにみんな言葉が雑だ。
「どこにあるって?」
「公都から1時間くらいのところにあります」
「そんな目と鼻の先にあるのか?」
「そうですよ!私も驚きました!
ち・な・み・に、公都にもちょくちょく遊びに来ているらしいですし、南方の
商業施設はかなり通われているようですね。
私、行ったことないっていえばイロイロ話をしてくれて、とても楽しい時間を
過ごさせていただきました!」
開いた口が塞がらない状態で、みんな口が開きっぱなしだ。
大丈夫?と見渡す。
「アンナリーゼ、それで、なんだ……何故、そうなった?」
「何故でしょう?
砂糖が欲しいってウィルに言ったら、ってウィル・サーラーは、わかりますか?」
一同わかってくれたのか頷く。
「そのウィルに言ったらですね?
ノクト将軍に連絡付けてくれたんですよ!
あの小競り合いのときに意気投合したとかなんとかで……
で、交渉しに行ったわけです」
「それで、どうして、なのだ……?」
「だから、砂糖が欲しいって言おうとしたらですね?
先に、ウィルが欲しいと言われまして、あげないと言ったら今度は私の下で
働けばいいんだと軍師と共に言い始めたので丁重にお断りしたのですよ!」
「ふむ……」
「強引な方ですね……本当に、トワイスの王室を見習うべきです!
全く聞き耳を持たないのですから……!!」
私は、出し抜かれたときのことを思い出し腹がたってきた。
結局、ニコライのためにもなるしウィルの補佐もしてもらえるし、知恵まで貸してもらえるなら、いいわよねーなんて考えに達しているので、自身の汚点をぐっと飲みこんでいく。
「それで、そなたの領地に、今いるのか?」
「えぇ、いますよ!
先日、侍女からノクト将軍が来たので、どうすればいいかって話になったので、
当面は、我が屋敷へ留めています。
でも、農民とか加工職人とかも連れてきてくれているはずなので、それなりの
人数となっているらしく、早々にアンバー領へ行きたいと思っています」
「わかった……仕方なかろう……それで、アンナリーゼよ?」
「はい、なんでございましょう?」
「連れてきてくれぬか?」
「ノクトをですか?」
返事の代わりに、公は頷く。
これまた、面倒なことになった。
でも、ここで断って、公爵移譲もとい、一代限りの公爵位が流れると困るので、同意の意味も込めてにこっと笑う。
「ノクトが来てもいいって言えば、連れてきます!
というか、アンバー領にいる時点で、私の配下のおじさんなので、命令して
連れてきます。
それでいいですか?」
「……お……おじさん……あぁ、構わない。
それにつけても、よくあんなとんでもない大物つりおったわ!」
「決して欲しかったわけでは、ありませんよ?
私にも好みっていうものがあってですね!」
「アンナ、今はアンナの好みの話ではないよ!」
「いいえ、ジョージア様。
そこは、大切ですからね、声を大にして言わないと!!」
「まぁ、要するに、アンナリーゼは、ジョージアが好きだと我々に惚気たいので
あろう?」
公が、ごちそうさまと言えば、みなが生暖かい視線を送ってくる。
別に惚気たかったわけではないが、いい年してそんな風に思われたのかと思うとなんだか恥ずかしくなってしまった。
隣を見るとジョージアも私にあてられたのか、顔が赤い。
「冗談は、さておき。
ノクト将軍の件は、日程調整の元、会わせてほしい。
調整してくれるか?」
「公爵位拝命のときに一緒に連れてきます。
そのときに、ついでと言っては何ですけど……
そろそろ、ウィル・サーラーとセバスチャン・トライドをもらい受けたいので、
その準備も一緒にお願いしてもいいでしょうか?」
「わかった。そちらも準備しよう。
では、まず、そなたの爵位を授けるところから準備を進める。
そのあとは、公世子の方で先ほどの件を調査の上、進めていくことにする。
異論はないか?」
「異論ですか……」
私は、考える。
何も今回は、見落としていないだろうかと……
しばらく考えたところで、ジョージアとソフィアの離婚、さらにダドリー男爵とリアンの離婚、男爵の子どもである兄妹を引き取ることを言い忘れていることに気づいた。
「公、1つ……いえ、2つほどあります」
まだあるのか……うんざりした公と公世子の顔がそっくりで笑えてくるが、そこはグッと我慢する。
「今度は、なんだ?」
「ジョージア様とソフィア離婚を申請します」
「あぁ、それは、妥当だな。
アンバー公爵家の名前をこれ以上貶める口実は、なるべく無くした方がいい」
「はい、お気遣いありがとうございます。
あと、ダドリー男爵と第三夫人であるリアンの離婚も申し立てたく思っている
のですが……私でも、裁可できますか?」
「なんだと?ダドリー男爵と第三夫人の離婚?
何故、そんなものが、必要なのだ?」
「えっと……第三夫人とその子ども二人が欲しいからなのですけど……」
「アンナリーゼよ……一体、何を考えている。
ダドリー男爵を断罪するのに、何故その夫人を引き入れ、あまつさえ子どもを
引き取るとは?
何か、特別なことでもあるのか?」
「何も。ただ、私が気に入ったので……欲しいだけです」
「そんな理由で……断罪する側のアンナリーゼが恨まれることがあるのだぞ?」
わかっておるのかと問われ、私は公に向け頷く。
「もちろんです。
その上で、私は、必要だと判断いたしました!
それに、ジョージア様も、自分の子ではないジョージを引き取りますから、
子どもが増えたところでかわりませんよ!」
「さらっと爆弾発言をしていくな……」
みんなが私を見て、諦めたかのようにため息をつく。
もう何を聞かされるか怖くてたまらん……公のつぶやきに同意するかのようにその場にいるみんなが頷く。
「爆弾発言ですか……我が家は、いろいろと複雑な家庭ですからね……
ご了承ください!」
私は、いや、私とジョージアは、今日ここに居合わせたみんなに苦笑いをおくるのであった。
私達だって好きで複雑な家庭になったわけではないのだから……そこは、慮ってほしいなぁ……悠長なことを考えているのである。
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