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お力添え、お願いします。
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「公世子様!」
「いつにもまして、アンナリーゼの元気が有り余っているかのようだけど、
あぁ……そういうこと?」
公世子の視線の先を私も見ると、ウィルからジョーを渡された上に泣かれてしまっておろおろしているジョージアがいた。
その隣で、ダドリー男爵の第三夫人があやしてくれているが、泣き止まない。
「ジョージア、ジョーを連れて、ここまでこい!
ウィルが手放したなら、アンナリーゼ以外に泣き止まぬ!」
ウィルを求めて、泣き叫ぶ我が子に困り果て私の元までやってきたジョージア。
「実の父親でも泣かれるんだな。
俺だけでなくて、よかったぞ。
しかし、ウィルは、何なのだ……むしろ、喜んで追いかけてるぞ……?」
「なんでしょうね?ずっと、好きなんですよ……初恋ですか?」
「あんな赤子が初恋とか……勘弁してくれ!」
「ジョージア様、どうかしました?」
俯いたジョージアを覗き込むと、なんだかショックを受けている。
大丈夫?と思ったが、公世子が私の肩にポンと手を置き、首を横に振っている。
それ以上、何も言うなということだ。
今日は、エリックが公世子の後ろに控えていて、少し口角が上がっているのを見ると私達のやり取りを微笑ましく思っているのだろうか?
「それはそうと、あの女性は、誰だ?」
「女の人となると目の色変えるのよくないですよ?
紹介しますね、ダドリー男爵の第三夫人です!」
「あれがか……?」
「失礼な物言いですね?」
「いや、そなたの侍女か庶民に見えて……」
「ダドリー家の元メイドですよ?」
「男爵は、そこまで手を出してるのか……?」
「公世子様、そこまでって……爵位のトップの人は、相手に困らないでしょうけどね!
下位貴族は、上位貴族と遊ぶほど、馬鹿じゃないんですよ!」
「あの……二人とも、一応義父なんだけど……」
「そういえば、そうでしたね!」
「あぁ、確かに、忘れてたけど、ダドリーの娘と結婚してたんだな。
アンナリーゼ、堂々と侍らしているけど敵であろう!」
「公世子様まで……あの方は、違いますよ!
私にとって、ダドリー男爵とソフィアが敵なだけです!」
きっぱり言い切ると、公世子は腹を抱えて笑い出す。
何一つおもしろいことを言った覚えはないのにだ。
後ろでおののいているのは、関係者であるジョージアとダドリー男爵の第三夫人である。
「ジョージア、そなたの嫁は、実におもしろい。俺にくれ!」
「お断りします。
何があったとしても……二度と手放しません!」
後ろからジョージアが私を抱きしめてくる。
驚いた私を見て、何か、通づるものがあったのだろうか?公世子とジョージアが二人で笑うのである。
「で、今日は、別にそなたらの仲良しぶりを見せに来たわけではないのだろう?」
「そうですね、私とアンナの仲の良いところは、見せつけておきたい気はしますが、
残念ながら、違いますね」
「では、なんだ?
アンナリーゼから、連絡が来るときは、あまりいいことではないと、それなりに
身構えているのだぞ?」
「そうなのですか?
私、公世子様にそんなに変なこと言ってませんけどね?」
「いや、かなりの要注意人物だぞ?」
「そうなのですか……一つ、忠告を……」
なんだ?と、視線で公世子は、促してくるので、ニコッと笑って話始める。
「第三妃お迎えになるって話は、聞かせていただいているのですが……」
「あぁ、この前、カレンと話してた件だな?それが?」
「ダドリー男爵の娘だって知ってました?」
「はぁ?ダドリー男爵の娘だと……?公爵の娘だと言われているぞ?
毛色も瞳も黒くないぞ?あの家は、髪も瞳も黒の子しか生まれないのだろう?」
私を訝しむ公世子にさらにニコニコと微笑むと、怖いもの見たさなのか私の話を早く話せと促してくる。
「そうでもないですよ?
ほら、あの子たち、見てください!」
私が、指さす方を見ると、公世子がガクッと肩を落とす。
そこにいたのは、レオとミアだった。
第三夫人と同じ輝くような金髪の子どもがウィルと模擬剣を使って遊んでいる。
「稀に生まれるみたいですね?」
「公爵の娘と……」
「それ、公世子様、本当に調べ尽くしました?」
「あぁ、公爵が外に作った、娘……」
「それ以上の出所は、わからなかったのでしょ?
何なら、第三妃の実の母親を紹介しましょうか?」
平然と言ってのける私に、公世子はこめかみあたりをグリグリとしている。
頭痛がするのか、呆れているのか、感心してくれているのか……わからないが、何かとてつもなく顔が疲れてきている。
「アンナリーゼ、そなたはいったい何者なのだ?
公が調べられないものをどうやって調べるのだ?」
「さぁ?私は、何も知りません。
ただのどこにでもいる公爵夫人ですよ!
私が知りたいと思ったことは、お願いすれば?呟けば?大体情報が揃った状態で、
目の前にお手紙が来ますから……
情報は、社交界での1番の武器ですからね。
イロイロなところに落ちているものですよ?」
「これは、公と相談したうえで、考え直すことにしよう」
「それが、賢明かと……」
大きく大きくため息をついた公世子が、ジョージアを睨む。
「危うくそなたと同じしゅうとを持つことになったぞ……」
「それは、残念です……」
「暢気に言っているが、そなた、何故、こんな嫁がいて、ソフィアと結婚などする気に
なったのだ?
これだけ、ゆうし……ゴホン……出来た嫁なら、他に、いらぬだろ……?
ソフィアに一体何の弱みを掴まれているんだ?」
「それ、私も興味あります!
初めて、床を一緒にしたのがソフィアだったとかですか?
それなら、騙されてますから、私がその証言ひっくり返してあげますよ!?」
ジョージアの胸ぐらをぐぃっと握ると、ジョージアは目を泳がせている。
これは……黒だな?
ジョージア様が、真面目なのをいいことに付け込まれたということだ。
男爵自身は、あちこちに子どもがいるのに……ジョージア様、そんなことくらいで嫁にもらうとかないですからね!
その他にも、何かあるのだろうか?
「アンナリーゼ、そなた、そんなとこまでわかるのか!
初めて床と……って、まさかそんなことぐらいでなぁ?」
「本当ですよ!
ソフィアの相手は、ジョージア様じゃないのに……そんなので、責任感じてたら、
私の握っている情報に卒倒して、死んでしまいますよ?」
「何を隠しているんだ?」
「それは、私を領主にしてくれたら、お話してもいいですし、まずは、ジョージア様に
許可をいただきませんと、話せませんよ!
公世子様も、そういう話好きなのですか?」
「馬鹿を言うな!
他人の恋愛など、大好物に決まっているだろう!
それこそ、ベッドで囁くためのネタ探しは常にしておるぞ!」
ネタにされるのは……ジョージア様が可哀想なのでご遠慮願いたい。
呆れて物も言えなくなったので、そっとジョージアの書状と私の書状を公世子に差し出す。
「本題です!」
「忘れていた……まぁ、座ってくれ!」
私が差し出した手紙を渡し、読んでもらう。
「アンナリーゼが領主だと?
全権移譲か……ジョージアは、それで構わないのか?」
「かまいません。
私が、このまま領地を統べるより、アンナの補佐をした方が、領民のためになるのです。
それなら、アンナが望んだ形で力になりたいと思っております」
「嫡子であるそなたの公爵として位は残るが、今後はアンナリーゼが上になる。
それでも構わないのだな?」
「はい、構いません」
「アンナリーゼは、これでいいのか?
領主になりたいと望んでいるわけではないのだろう?」
「いいえ、私は、領主として、公爵位をいただきたいです。
詳細は、省きますが、ダドリー男爵家を潰します!」
「なんだって!?そなた……いったい何を考えている?」
「公爵位を賜れないのなら、これ以上は情報がもれると困るので話しません。
公に合わせていただけるときまでには、きちんと経緯をまとめ提出いたします。
ジョージア様にも関わることなので、私は、ジョージア様とも話し合いたいので、
時間をください。
それでも、領民たちの生活がかかっているののんびりはしてられませんから、
今日、帰ってからでもジョージア様と話をします」
「アンナリーゼ、そなた、命を狙われるぞ……?」
「ふふ、もうとっくの昔から狙われていますわ!
何度、毒をあおったことやら……刺客にも襲われましたし……」
私は笑うと、ジョージアは、拳をきつく結ぶ。
それが目に入ったので、ジョージアの手を取る。
「公世子様もその椅子に座っているのは、大変でしょ?
私も公爵夫人でいるために、ただ笑っていただけでは、ないのです!」
今度は、公世子が笑う。
「確かに大変だな……
わかった、公に打診しよう!」
「ありがとうございます!
公世子様に相談して、よかったです!」
「ところで、外にいるあの親子は、どうするのだ?」
「あの親子は、私にとって必要な存在です。
なので、私の手中におさめますよ!」
「ダドリーの子どもなのにか?」
「そうですね、私も正直驚いているところですけど……
必要だと感じているので、関係なく何としてもって感じです」
「ジョージアの子は、どうするのだ?」
「ジョージア様に任せます。ね?」
「あぁ……そうだな」
歯切れの悪いジョージア。
ジョージアの気持ちも慮ってあげたい。
でも、そうすると、ジョーの命が危ない。
領民も苦しめられてきた。
守る人を間違えるわけには、いかないのだ。
それでも、ジョージアの心まで守りたいと思うことは……私は、欲張りなのだろうか……?
全部いっぺんに守れることができるなら、どれほどいいだろう。
例え偽善と言われても、大事な人を苦しめる選択をしなくていいなら、そうしたい。
でも、確実に、私は、ジョージアを苦しめる存在となることだけは明白であった。
私という存在が、ジョージアにとって1番憎むべき存在になるのかもしれない。
そんな存在になりたいとは思いたくもない。
それでも、大きな情勢を見れば、私の感情なんて、ちっぽけなものなのだ。
大局に必要なハニーローズ。
彼女を守るため、私は、ジョージアに憎まれようが蔑まれようが、真実を打ち明けることを決意するのであった。
「いつにもまして、アンナリーゼの元気が有り余っているかのようだけど、
あぁ……そういうこと?」
公世子の視線の先を私も見ると、ウィルからジョーを渡された上に泣かれてしまっておろおろしているジョージアがいた。
その隣で、ダドリー男爵の第三夫人があやしてくれているが、泣き止まない。
「ジョージア、ジョーを連れて、ここまでこい!
ウィルが手放したなら、アンナリーゼ以外に泣き止まぬ!」
ウィルを求めて、泣き叫ぶ我が子に困り果て私の元までやってきたジョージア。
「実の父親でも泣かれるんだな。
俺だけでなくて、よかったぞ。
しかし、ウィルは、何なのだ……むしろ、喜んで追いかけてるぞ……?」
「なんでしょうね?ずっと、好きなんですよ……初恋ですか?」
「あんな赤子が初恋とか……勘弁してくれ!」
「ジョージア様、どうかしました?」
俯いたジョージアを覗き込むと、なんだかショックを受けている。
大丈夫?と思ったが、公世子が私の肩にポンと手を置き、首を横に振っている。
それ以上、何も言うなということだ。
今日は、エリックが公世子の後ろに控えていて、少し口角が上がっているのを見ると私達のやり取りを微笑ましく思っているのだろうか?
「それはそうと、あの女性は、誰だ?」
「女の人となると目の色変えるのよくないですよ?
紹介しますね、ダドリー男爵の第三夫人です!」
「あれがか……?」
「失礼な物言いですね?」
「いや、そなたの侍女か庶民に見えて……」
「ダドリー家の元メイドですよ?」
「男爵は、そこまで手を出してるのか……?」
「公世子様、そこまでって……爵位のトップの人は、相手に困らないでしょうけどね!
下位貴族は、上位貴族と遊ぶほど、馬鹿じゃないんですよ!」
「あの……二人とも、一応義父なんだけど……」
「そういえば、そうでしたね!」
「あぁ、確かに、忘れてたけど、ダドリーの娘と結婚してたんだな。
アンナリーゼ、堂々と侍らしているけど敵であろう!」
「公世子様まで……あの方は、違いますよ!
私にとって、ダドリー男爵とソフィアが敵なだけです!」
きっぱり言い切ると、公世子は腹を抱えて笑い出す。
何一つおもしろいことを言った覚えはないのにだ。
後ろでおののいているのは、関係者であるジョージアとダドリー男爵の第三夫人である。
「ジョージア、そなたの嫁は、実におもしろい。俺にくれ!」
「お断りします。
何があったとしても……二度と手放しません!」
後ろからジョージアが私を抱きしめてくる。
驚いた私を見て、何か、通づるものがあったのだろうか?公世子とジョージアが二人で笑うのである。
「で、今日は、別にそなたらの仲良しぶりを見せに来たわけではないのだろう?」
「そうですね、私とアンナの仲の良いところは、見せつけておきたい気はしますが、
残念ながら、違いますね」
「では、なんだ?
アンナリーゼから、連絡が来るときは、あまりいいことではないと、それなりに
身構えているのだぞ?」
「そうなのですか?
私、公世子様にそんなに変なこと言ってませんけどね?」
「いや、かなりの要注意人物だぞ?」
「そうなのですか……一つ、忠告を……」
なんだ?と、視線で公世子は、促してくるので、ニコッと笑って話始める。
「第三妃お迎えになるって話は、聞かせていただいているのですが……」
「あぁ、この前、カレンと話してた件だな?それが?」
「ダドリー男爵の娘だって知ってました?」
「はぁ?ダドリー男爵の娘だと……?公爵の娘だと言われているぞ?
毛色も瞳も黒くないぞ?あの家は、髪も瞳も黒の子しか生まれないのだろう?」
私を訝しむ公世子にさらにニコニコと微笑むと、怖いもの見たさなのか私の話を早く話せと促してくる。
「そうでもないですよ?
ほら、あの子たち、見てください!」
私が、指さす方を見ると、公世子がガクッと肩を落とす。
そこにいたのは、レオとミアだった。
第三夫人と同じ輝くような金髪の子どもがウィルと模擬剣を使って遊んでいる。
「稀に生まれるみたいですね?」
「公爵の娘と……」
「それ、公世子様、本当に調べ尽くしました?」
「あぁ、公爵が外に作った、娘……」
「それ以上の出所は、わからなかったのでしょ?
何なら、第三妃の実の母親を紹介しましょうか?」
平然と言ってのける私に、公世子はこめかみあたりをグリグリとしている。
頭痛がするのか、呆れているのか、感心してくれているのか……わからないが、何かとてつもなく顔が疲れてきている。
「アンナリーゼ、そなたはいったい何者なのだ?
公が調べられないものをどうやって調べるのだ?」
「さぁ?私は、何も知りません。
ただのどこにでもいる公爵夫人ですよ!
私が知りたいと思ったことは、お願いすれば?呟けば?大体情報が揃った状態で、
目の前にお手紙が来ますから……
情報は、社交界での1番の武器ですからね。
イロイロなところに落ちているものですよ?」
「これは、公と相談したうえで、考え直すことにしよう」
「それが、賢明かと……」
大きく大きくため息をついた公世子が、ジョージアを睨む。
「危うくそなたと同じしゅうとを持つことになったぞ……」
「それは、残念です……」
「暢気に言っているが、そなた、何故、こんな嫁がいて、ソフィアと結婚などする気に
なったのだ?
これだけ、ゆうし……ゴホン……出来た嫁なら、他に、いらぬだろ……?
ソフィアに一体何の弱みを掴まれているんだ?」
「それ、私も興味あります!
初めて、床を一緒にしたのがソフィアだったとかですか?
それなら、騙されてますから、私がその証言ひっくり返してあげますよ!?」
ジョージアの胸ぐらをぐぃっと握ると、ジョージアは目を泳がせている。
これは……黒だな?
ジョージア様が、真面目なのをいいことに付け込まれたということだ。
男爵自身は、あちこちに子どもがいるのに……ジョージア様、そんなことくらいで嫁にもらうとかないですからね!
その他にも、何かあるのだろうか?
「アンナリーゼ、そなた、そんなとこまでわかるのか!
初めて床と……って、まさかそんなことぐらいでなぁ?」
「本当ですよ!
ソフィアの相手は、ジョージア様じゃないのに……そんなので、責任感じてたら、
私の握っている情報に卒倒して、死んでしまいますよ?」
「何を隠しているんだ?」
「それは、私を領主にしてくれたら、お話してもいいですし、まずは、ジョージア様に
許可をいただきませんと、話せませんよ!
公世子様も、そういう話好きなのですか?」
「馬鹿を言うな!
他人の恋愛など、大好物に決まっているだろう!
それこそ、ベッドで囁くためのネタ探しは常にしておるぞ!」
ネタにされるのは……ジョージア様が可哀想なのでご遠慮願いたい。
呆れて物も言えなくなったので、そっとジョージアの書状と私の書状を公世子に差し出す。
「本題です!」
「忘れていた……まぁ、座ってくれ!」
私が差し出した手紙を渡し、読んでもらう。
「アンナリーゼが領主だと?
全権移譲か……ジョージアは、それで構わないのか?」
「かまいません。
私が、このまま領地を統べるより、アンナの補佐をした方が、領民のためになるのです。
それなら、アンナが望んだ形で力になりたいと思っております」
「嫡子であるそなたの公爵として位は残るが、今後はアンナリーゼが上になる。
それでも構わないのだな?」
「はい、構いません」
「アンナリーゼは、これでいいのか?
領主になりたいと望んでいるわけではないのだろう?」
「いいえ、私は、領主として、公爵位をいただきたいです。
詳細は、省きますが、ダドリー男爵家を潰します!」
「なんだって!?そなた……いったい何を考えている?」
「公爵位を賜れないのなら、これ以上は情報がもれると困るので話しません。
公に合わせていただけるときまでには、きちんと経緯をまとめ提出いたします。
ジョージア様にも関わることなので、私は、ジョージア様とも話し合いたいので、
時間をください。
それでも、領民たちの生活がかかっているののんびりはしてられませんから、
今日、帰ってからでもジョージア様と話をします」
「アンナリーゼ、そなた、命を狙われるぞ……?」
「ふふ、もうとっくの昔から狙われていますわ!
何度、毒をあおったことやら……刺客にも襲われましたし……」
私は笑うと、ジョージアは、拳をきつく結ぶ。
それが目に入ったので、ジョージアの手を取る。
「公世子様もその椅子に座っているのは、大変でしょ?
私も公爵夫人でいるために、ただ笑っていただけでは、ないのです!」
今度は、公世子が笑う。
「確かに大変だな……
わかった、公に打診しよう!」
「ありがとうございます!
公世子様に相談して、よかったです!」
「ところで、外にいるあの親子は、どうするのだ?」
「あの親子は、私にとって必要な存在です。
なので、私の手中におさめますよ!」
「ダドリーの子どもなのにか?」
「そうですね、私も正直驚いているところですけど……
必要だと感じているので、関係なく何としてもって感じです」
「ジョージアの子は、どうするのだ?」
「ジョージア様に任せます。ね?」
「あぁ……そうだな」
歯切れの悪いジョージア。
ジョージアの気持ちも慮ってあげたい。
でも、そうすると、ジョーの命が危ない。
領民も苦しめられてきた。
守る人を間違えるわけには、いかないのだ。
それでも、ジョージアの心まで守りたいと思うことは……私は、欲張りなのだろうか……?
全部いっぺんに守れることができるなら、どれほどいいだろう。
例え偽善と言われても、大事な人を苦しめる選択をしなくていいなら、そうしたい。
でも、確実に、私は、ジョージアを苦しめる存在となることだけは明白であった。
私という存在が、ジョージアにとって1番憎むべき存在になるのかもしれない。
そんな存在になりたいとは思いたくもない。
それでも、大きな情勢を見れば、私の感情なんて、ちっぽけなものなのだ。
大局に必要なハニーローズ。
彼女を守るため、私は、ジョージアに憎まれようが蔑まれようが、真実を打ち明けることを決意するのであった。
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