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穏やかな時間
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「アンナリーゼ様、旦那様と少し話されてはどうですか?
旦那様は、アンナリーゼ様と話したがっていますよ」
「そうかしら……?」
「そうですよ。
アンナリーゼ様も、こんな日を待っていたのではないですか?」
ディルに言われて、私は頷く。
廊下に座っていた私に手を差し出してくれたディルの手を借りて立ち上がる。
お見通しなのね……小さく息を吐くと、ディルは微笑んでくれる。
私は、応接室のドアをノックなしで開け、ひょっこり顔を出す。
「ジョージア様、おはよう!
一晩語り明かされたようですね。私も混ぜてほしかったです……」
頬を膨らませる私。
「ずっと聞いていたのか?」
眠くて、思わずあくびをして、こくこくと頷く。
呆れているジョージア。
「ジョージア様がここに通されたのも知ってましたし、我が子を抱きしめて泣いて
らっしゃるのもばっちり見てましたよ。
ちょっと感動しちゃいました」
私は、ジョージアの座っているソファの肘掛にちょこんと腰掛ける。
目線を上げてくるとジョージアと目が合った。
ふふっと柔らかい頬笑みを向ける。
「やっぱり、ジョージア様のその艶のある銀髪は月夜に映えますね。
朝日を浴びてもキラキラとしてとっても綺麗でとても素敵です!」
私はジョージアの髪をすくい弄りはじめる。
「アンナは私の髪が気にいっているのか?」
私は、うーんと空いている手を頬に当て悩み始める。
「そうですね……ジョージア様の銀髪はとても好きです。
あと、そのトロっとした蜂蜜のような瞳も実はかなり気にいっています。
その瞳に私だけをうつしてほしかったのですよね……
それに、親子でそっくりとかもう羨ましすぎます!!」
「ならば、瞳をやるわけにはいかないが、髪は欲しかったらやってもいいぞ?」
ジョージアは、冗談で言ったのであろう。
今の私には、冗談は通じない。
「ホントですか?貰っちゃってもいいんですか?じゃあ、私に下さい。その束!」
私は、ジョージアの伸びた髪を玩んでいたが、素早く紅茶ポットの乗っているワゴンへ優雅に近づいていく。
うーん、切るもの……切るもの……あったあった!
ガサガサとワゴンの上を漁るとナイフがある。
「あ……アンナ?……アンナさーん?あの、こっち向い……」
ジョージアに呼ばれ振り向く。
なんだか、恐怖に怯えているような表情のジョージアが可愛らしく思える。
私の手に持っているナイフが、朝日を反射して鈍く光っている。
「ジョージア様、そんなに怖がらないで……アンナは悲しくなるわ。
ちょーっとチョッキンとするだけですから!ね!?」
ゆっくりジョージアへ近づいていく。
もちろんナイフもしっかり握りしめ、そのままジョージアの隣にすとんと横向きに座る。
ジョージアの縛ってある髪を手に取り撫でると、自然と微笑んでしまう。
縛ってある少し上を持ちあげてナイフをあてがった。
「あ……あぁ、好きにするがいい」
「やった!
ジョージア様、大丈夫ですよ。
私、優しくしますからねぇー」
「こんなものがほしいのか……変わっているな……」
思わず言葉に出てたのだろう。
「ホント、綺麗な銀髪ですね。
惚れ惚れします。
バッサリ切ったので、あとで切りなおしてくださいね」
私は切ったばかりのジョージアの髪を眺めていた。
ふと、視線を感じ、ジョージアを見つめ返す。
手に持ったナイフとジョージアの髪をテーブルに丁寧に置き、ニコッとジョージアに笑いかける。
ジョージアの座っているソファの上に膝立ちし、ジョージアの頬を私の両手で包んだ。
ジョージアを私の方へ向け見つめる。
「寝れていますか?目の下のクマ酷いですよ?」
ジョージアを上から見下ろし覗き込む。
トロっとした蜂蜜色の瞳に吸い込まれるようだ。
あぁ、私、この瞳にうつりたかったんだな。
今まで、ずっと、押し込めてきた愛しい気持ちが、私の体を駆け巡るようだった。
私をうつすジョージアの瞳を覗き込んでいたが、そっと目を瞑って、キスをする。
唇を重ねると、ジョージアが驚いているのだろう。
私に微かな動揺が伝わってきた。
その後、私の背中に遠慮がちにジョージアが腕を回してきたので、驚いて一瞬ビクッとした。
あたたかな腕の中に、私はおさまる。
ジョージアに触れ、ジョージアの体温を感じる。
とても、温かい。
体だけが温かいわけではなく、心まで凝り固まった何かが溶けていくような……ほわっとする。
私は、ジョージアから離れると、スルッと向きを変えジョージアを背もたれにして座り直した。
懐かしいジョージアの香水の匂いに私は、なんだか落ち着くような落ち着かないようなソワソワしてしまう。
腕の中にこっそりといると、左肩にジョージアは顔を乗せ甘えてくる。
それが嬉しくて、大人しくしていた。
ジョージアとのこんな穏やかな時間が、私には二度と来ないと諦めていた。
なので、この時間が、とても嬉しい、愛しい、何物にも代えがたい。
ただただ、ジョージアの体温を背中に感じるこんな些細なことが、私にとってこれほど満たされるものだという事実に私自身が喜んでいる。
コンコンとノックの音がする。
「旦那様、馬車の用意ができまし……アンナリーゼ様!?何故そこに?」
ソファでの2人の体制に目をしどろもどろさせているディル。
話しておいでとは言ったけど……って、感じだろう。
「おはよう、ディル」
私が挨拶すると丁寧に返してくれる。
「だ……旦那様、そのお髪は……?」
「髪は私が切り落としました。
この髪を何か箱に入れておいてほしいのだけど……頼めるかしら?
あと、ジョージア様はこちらでお休みになられるので、お部屋の準備をしてちょうだい」
ディルに切り落とした髪を渡すと、部屋の用意を指示するため応接室からまた出ていく。
「意地の悪い」
ジョージアに耳元で囁やかれたから、クスクスと笑いながらジョージア様こそと返しすとしょうがないなという風な顔をしている。
「アンナリーゼ様、旦那様の部屋をご用意できました」
「私が案内します。
部屋には呼ぶまでは誰も近づけないように。
ディルも昼までは休みなさい」
ディルから部屋が用意できたと言われたので、よいせっとお腹に回した腕から、するっと抜け出しジョージアの両手を取って立たせる。
「はい。しゅっぱーつ!」
ジョージアと手を繋ぎ用意された部屋まで一緒に歩いていく。
ジョージアのことだから、そのままにしておくときっと寝ないだろうなと思ったので、ベッドまで連れていくことにして、ベッドの縁にジョージアを座らせる。
「はい、どうぞ。
靴脱いで、靴下も。
シャツもベルトも緩めてっと……はい、ほら入って入って!!」
ジョージアをベッドの向こう側へ押しやる。
なのになかなか向こうに行ってくれないので、腕組みをして仁王立ちした。
私も、夜中から起きていたのでとても眠いのと、ジョージアとの時間をもう少しだけ堪能したかった。
私室に戻ってしまって起きたときにジョージアがいなくなってしまうのは……寂しい。
別宅に戻るとしても、今度はちゃんと送り出したいのだ。
また、私の元に帰ってきてくれるように願いを込めて……
「ジョージア様、早くそっち側に行ってくれないと私も入れないから……」
私はベッドに登ってジョージアを奥へと押しやる。
久しぶりにベッドの上に並んで座った。
初めて一緒に寝たときみたいに、なんだか、気恥ずかしいような気持ちになる。
「いない間に少し部屋の模様替えしちゃったけど……ちゃんとジョージア様の
お部屋ですから、ゆっくりしていってください。
私も少し早く起きたので、眠いので一緒に眠ります……」
私は、コロンと寝転がり、ジョージアにもあなたも寝なさいと子どもをあやすかのようにポンポンとベッドを叩いて合図する。
すると、ジョージアは素直にそれに従ってくれたため布団をかけ、見つめ合う格好で寝転んだ。
目が合い、ほんわり微笑むと抱きしめてくれる。
あぁ、ジョージア様だ……
……愛しいな…………
私も、抱きしめ返した。
お互いの体温で体が温かくなったのか、疲れ切っているからなのか、ジョージアの瞳はトロンと重そうにして、瞼を閉じていく。
「ジョージア様、おやすみなさい」
私の腕の中、眠りについたジョージアを見つめる。
安心したような、ほんのり微笑んでいるような穏やかな顔をしている。
私の元でゆっくり出来たなら、嬉しい。
別宅では、どんな生活をしていたのだろう……?
こんなに疲れ切っているジョージアを見たのは、初めてだった。
しばらくジョージアの寝顔を見ていたが、私も温もりに抗えず、そのまま一緒に眠ってしまおうか……それほど、穏やかな時間であった。
旦那様は、アンナリーゼ様と話したがっていますよ」
「そうかしら……?」
「そうですよ。
アンナリーゼ様も、こんな日を待っていたのではないですか?」
ディルに言われて、私は頷く。
廊下に座っていた私に手を差し出してくれたディルの手を借りて立ち上がる。
お見通しなのね……小さく息を吐くと、ディルは微笑んでくれる。
私は、応接室のドアをノックなしで開け、ひょっこり顔を出す。
「ジョージア様、おはよう!
一晩語り明かされたようですね。私も混ぜてほしかったです……」
頬を膨らませる私。
「ずっと聞いていたのか?」
眠くて、思わずあくびをして、こくこくと頷く。
呆れているジョージア。
「ジョージア様がここに通されたのも知ってましたし、我が子を抱きしめて泣いて
らっしゃるのもばっちり見てましたよ。
ちょっと感動しちゃいました」
私は、ジョージアの座っているソファの肘掛にちょこんと腰掛ける。
目線を上げてくるとジョージアと目が合った。
ふふっと柔らかい頬笑みを向ける。
「やっぱり、ジョージア様のその艶のある銀髪は月夜に映えますね。
朝日を浴びてもキラキラとしてとっても綺麗でとても素敵です!」
私はジョージアの髪をすくい弄りはじめる。
「アンナは私の髪が気にいっているのか?」
私は、うーんと空いている手を頬に当て悩み始める。
「そうですね……ジョージア様の銀髪はとても好きです。
あと、そのトロっとした蜂蜜のような瞳も実はかなり気にいっています。
その瞳に私だけをうつしてほしかったのですよね……
それに、親子でそっくりとかもう羨ましすぎます!!」
「ならば、瞳をやるわけにはいかないが、髪は欲しかったらやってもいいぞ?」
ジョージアは、冗談で言ったのであろう。
今の私には、冗談は通じない。
「ホントですか?貰っちゃってもいいんですか?じゃあ、私に下さい。その束!」
私は、ジョージアの伸びた髪を玩んでいたが、素早く紅茶ポットの乗っているワゴンへ優雅に近づいていく。
うーん、切るもの……切るもの……あったあった!
ガサガサとワゴンの上を漁るとナイフがある。
「あ……アンナ?……アンナさーん?あの、こっち向い……」
ジョージアに呼ばれ振り向く。
なんだか、恐怖に怯えているような表情のジョージアが可愛らしく思える。
私の手に持っているナイフが、朝日を反射して鈍く光っている。
「ジョージア様、そんなに怖がらないで……アンナは悲しくなるわ。
ちょーっとチョッキンとするだけですから!ね!?」
ゆっくりジョージアへ近づいていく。
もちろんナイフもしっかり握りしめ、そのままジョージアの隣にすとんと横向きに座る。
ジョージアの縛ってある髪を手に取り撫でると、自然と微笑んでしまう。
縛ってある少し上を持ちあげてナイフをあてがった。
「あ……あぁ、好きにするがいい」
「やった!
ジョージア様、大丈夫ですよ。
私、優しくしますからねぇー」
「こんなものがほしいのか……変わっているな……」
思わず言葉に出てたのだろう。
「ホント、綺麗な銀髪ですね。
惚れ惚れします。
バッサリ切ったので、あとで切りなおしてくださいね」
私は切ったばかりのジョージアの髪を眺めていた。
ふと、視線を感じ、ジョージアを見つめ返す。
手に持ったナイフとジョージアの髪をテーブルに丁寧に置き、ニコッとジョージアに笑いかける。
ジョージアの座っているソファの上に膝立ちし、ジョージアの頬を私の両手で包んだ。
ジョージアを私の方へ向け見つめる。
「寝れていますか?目の下のクマ酷いですよ?」
ジョージアを上から見下ろし覗き込む。
トロっとした蜂蜜色の瞳に吸い込まれるようだ。
あぁ、私、この瞳にうつりたかったんだな。
今まで、ずっと、押し込めてきた愛しい気持ちが、私の体を駆け巡るようだった。
私をうつすジョージアの瞳を覗き込んでいたが、そっと目を瞑って、キスをする。
唇を重ねると、ジョージアが驚いているのだろう。
私に微かな動揺が伝わってきた。
その後、私の背中に遠慮がちにジョージアが腕を回してきたので、驚いて一瞬ビクッとした。
あたたかな腕の中に、私はおさまる。
ジョージアに触れ、ジョージアの体温を感じる。
とても、温かい。
体だけが温かいわけではなく、心まで凝り固まった何かが溶けていくような……ほわっとする。
私は、ジョージアから離れると、スルッと向きを変えジョージアを背もたれにして座り直した。
懐かしいジョージアの香水の匂いに私は、なんだか落ち着くような落ち着かないようなソワソワしてしまう。
腕の中にこっそりといると、左肩にジョージアは顔を乗せ甘えてくる。
それが嬉しくて、大人しくしていた。
ジョージアとのこんな穏やかな時間が、私には二度と来ないと諦めていた。
なので、この時間が、とても嬉しい、愛しい、何物にも代えがたい。
ただただ、ジョージアの体温を背中に感じるこんな些細なことが、私にとってこれほど満たされるものだという事実に私自身が喜んでいる。
コンコンとノックの音がする。
「旦那様、馬車の用意ができまし……アンナリーゼ様!?何故そこに?」
ソファでの2人の体制に目をしどろもどろさせているディル。
話しておいでとは言ったけど……って、感じだろう。
「おはよう、ディル」
私が挨拶すると丁寧に返してくれる。
「だ……旦那様、そのお髪は……?」
「髪は私が切り落としました。
この髪を何か箱に入れておいてほしいのだけど……頼めるかしら?
あと、ジョージア様はこちらでお休みになられるので、お部屋の準備をしてちょうだい」
ディルに切り落とした髪を渡すと、部屋の用意を指示するため応接室からまた出ていく。
「意地の悪い」
ジョージアに耳元で囁やかれたから、クスクスと笑いながらジョージア様こそと返しすとしょうがないなという風な顔をしている。
「アンナリーゼ様、旦那様の部屋をご用意できました」
「私が案内します。
部屋には呼ぶまでは誰も近づけないように。
ディルも昼までは休みなさい」
ディルから部屋が用意できたと言われたので、よいせっとお腹に回した腕から、するっと抜け出しジョージアの両手を取って立たせる。
「はい。しゅっぱーつ!」
ジョージアと手を繋ぎ用意された部屋まで一緒に歩いていく。
ジョージアのことだから、そのままにしておくときっと寝ないだろうなと思ったので、ベッドまで連れていくことにして、ベッドの縁にジョージアを座らせる。
「はい、どうぞ。
靴脱いで、靴下も。
シャツもベルトも緩めてっと……はい、ほら入って入って!!」
ジョージアをベッドの向こう側へ押しやる。
なのになかなか向こうに行ってくれないので、腕組みをして仁王立ちした。
私も、夜中から起きていたのでとても眠いのと、ジョージアとの時間をもう少しだけ堪能したかった。
私室に戻ってしまって起きたときにジョージアがいなくなってしまうのは……寂しい。
別宅に戻るとしても、今度はちゃんと送り出したいのだ。
また、私の元に帰ってきてくれるように願いを込めて……
「ジョージア様、早くそっち側に行ってくれないと私も入れないから……」
私はベッドに登ってジョージアを奥へと押しやる。
久しぶりにベッドの上に並んで座った。
初めて一緒に寝たときみたいに、なんだか、気恥ずかしいような気持ちになる。
「いない間に少し部屋の模様替えしちゃったけど……ちゃんとジョージア様の
お部屋ですから、ゆっくりしていってください。
私も少し早く起きたので、眠いので一緒に眠ります……」
私は、コロンと寝転がり、ジョージアにもあなたも寝なさいと子どもをあやすかのようにポンポンとベッドを叩いて合図する。
すると、ジョージアは素直にそれに従ってくれたため布団をかけ、見つめ合う格好で寝転んだ。
目が合い、ほんわり微笑むと抱きしめてくれる。
あぁ、ジョージア様だ……
……愛しいな…………
私も、抱きしめ返した。
お互いの体温で体が温かくなったのか、疲れ切っているからなのか、ジョージアの瞳はトロンと重そうにして、瞼を閉じていく。
「ジョージア様、おやすみなさい」
私の腕の中、眠りについたジョージアを見つめる。
安心したような、ほんのり微笑んでいるような穏やかな顔をしている。
私の元でゆっくり出来たなら、嬉しい。
別宅では、どんな生活をしていたのだろう……?
こんなに疲れ切っているジョージアを見たのは、初めてだった。
しばらくジョージアの寝顔を見ていたが、私も温もりに抗えず、そのまま一緒に眠ってしまおうか……それほど、穏やかな時間であった。
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