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ディルの心配
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最近、私は部屋に籠ってばかりだ。
と、言うのも、ジョージアが私に対しかなり過保護なのだ……
冬期休暇も終わり、一旦パルマがトワイスに戻っていったためだ。
なので、部屋からでれず、鬱々しているところ。
「アンナリーゼ様、こちら、どうぞ」
ディルが渡してくれたのは、『王配の手記』だった。
でも、いつもの表装と違うことに私は不思議がった。
「ディル?
『王配の手記』だとは思うのだけど……
私が持っているのとは違うわね?」
「そちらは、王配ではなく女王様が残したものです。
これは、あなた様への手紙のようです」
「私への手紙?」
「一枚目をご覧ください」
ディルに促されてページを捲る。
『 ジョージアと結婚したアンナリーゼへ 』
1ページ目にそのように書かれている。
「私どもは、代々アンバー家にて保管されているこの手記を
誰に宛てた手紙なのか、わかりかねていました。
先日、奥様より、その存在を思い出したから、アンナリーゼ様に渡すよう
連絡がきたのです」
ディルが渡してくれた本を私は、まじまじと見つめる。
「飲み物、置いておきますので、ゆっくり読んでみてはいかがですか?」
「ありがとう、読んでみますね!」
ディルの置いてくれた飲み物を一口飲む。
ほわっとしてとても飲みやすい飲み物だ。
「ディル?」
「飲み物のことでございますか?」
「うん、そう。
このふぉわっとしているは何?」
「アンナリーゼ様の好きな生クリームですよ?」
「えぇー浮かせたりできるの?」
「はい、できますよ!
この前、お休みをいただいたときにたまたま入った喫茶店で見かけまして
店主に聞いたら生クリームを浮かせていると聞いたものでしたから」
私は、感心しながらそれをみる。
「私には無理ですが、可愛らしいネコが浮かんでいたりしていましたよ!」
それを聞くだけで、わくわくとしてきた。
「今度、旦那様と一緒に出掛けられるといいですよ!」
ディルは、ニコッと笑う。
珍しく笑うディルに、私はほっこりする。
「アンナリーゼ様、無理はなされていませんか?」
突然の質問に、私は何?と首をかしげる。
「いえ、こちらに来てからしょっちゅう訓練場やいろいろなところへ
出かけてらっしゃいましたから、今は、窮屈ではないかと思いまして……」
私が、鬱々していることを見抜いたようで、ディルが心配してくれる。
「ディル……ありがとう!
私は、大丈夫よ!
みんなが、屋敷に足しげく通ってくれるおかげで寂しくないもの」
笑いかけると、そうですかと優しく笑いかけてくれる。
そんなディルの気遣いがとても嬉しかった。
「そういえば、もう少ししたらニコライから出産の荷物が届くと思うの。
この部屋に運ぼうと思うんだけど……
準備をお願いしてもいいかしら?」
「はい、大丈夫ですよ。
そうですか、もうすぐお子さんが生まれるのですね!
私もとても楽しみです!」
「ふふっ!ディルも可愛がってあげてね!
きっと、ジョージア様そっくりの美人さんだから!」
「いやいや、アンナリーゼ様のように可愛らしい子が生まれてきますよ!」
私とディルは、子供を思い浮かべ笑いあう。
それだけでも、私の心は少し晴れていくようで、楽しい気持ちがぐんと跳ね上がる。
「アンナリーゼ様、あなた様がこのお屋敷に来てからというもの
笑いの絶えないお屋敷となりました。
私は、そんなアンバー家の執事として働けること、誇りに思っております。
旦那様は、頼りないこともあると思いますが、どうぞ見捨てないで
仲睦まじくお過ごしください。
アンナリーゼ様が、アンバー家に来なければよかったと思わずにいられるよう
私たちも全力でお手伝いさせていただきます」
ディルの言葉は、嬉しかった。
そんな風に思ってくれているのか……
「ディル、ありがとう!
何があっても、アンバー公爵夫人として頑張るわ!
こんな私だけど……支えてくださいね!」
「もちろんです!
体にはくれぐれもお気を付けください。
私どもも気を付けてはいますが……
アンナリーゼ様の方がいろいろと詳しいので」
ディルは、私を心配してくれる。
何度か毒が盛られたり、黒ずくめの暗殺者に襲われたりしているからだ。
私は、誰の仕業かわかっている。
でも、敢えて何もしない。
もう少ししたら……すべて、『予知夢』の通りに、ハニーローズが生まれるのだ。
それを楽しみに、今は、生活をしている。
ジョージアとの楽しい時間もあと少しなのだから……
「ディル……」
「なんでしょうか?」
「もし、もしだよ?
ジョージア様に見捨てられたとしたら、ディルは私の味方をしてくれる?」
私の質問を聞いたディルは、とても驚いている。
今の私達を見ていれば、そうなることは、ほぼないように思う。
だから、「もし」という仮定で話をする。
「もちろんですよ!
私は、アンナリーゼ様の味方となります。
たとえ旦那様が、アンナリーゼ様とお子を虐げるようなことがあったとしても
私は、あなたたち親子の盾となりましょう!」
それをきいただけで、ホッとする。
「ありがとう!
私も、ディルにずっと、そういってもらえるよう最大限の努力するわ!」
「旦那様は、アンナリーゼ様を心の底から愛しておられますから、大丈夫ですよ!」
私は、ディルの言葉に頷く。
ただ、『予知夢』が現実になるときが近づいてきている。
漠然とした不安が、私の胸に広がるのであった。
と、言うのも、ジョージアが私に対しかなり過保護なのだ……
冬期休暇も終わり、一旦パルマがトワイスに戻っていったためだ。
なので、部屋からでれず、鬱々しているところ。
「アンナリーゼ様、こちら、どうぞ」
ディルが渡してくれたのは、『王配の手記』だった。
でも、いつもの表装と違うことに私は不思議がった。
「ディル?
『王配の手記』だとは思うのだけど……
私が持っているのとは違うわね?」
「そちらは、王配ではなく女王様が残したものです。
これは、あなた様への手紙のようです」
「私への手紙?」
「一枚目をご覧ください」
ディルに促されてページを捲る。
『 ジョージアと結婚したアンナリーゼへ 』
1ページ目にそのように書かれている。
「私どもは、代々アンバー家にて保管されているこの手記を
誰に宛てた手紙なのか、わかりかねていました。
先日、奥様より、その存在を思い出したから、アンナリーゼ様に渡すよう
連絡がきたのです」
ディルが渡してくれた本を私は、まじまじと見つめる。
「飲み物、置いておきますので、ゆっくり読んでみてはいかがですか?」
「ありがとう、読んでみますね!」
ディルの置いてくれた飲み物を一口飲む。
ほわっとしてとても飲みやすい飲み物だ。
「ディル?」
「飲み物のことでございますか?」
「うん、そう。
このふぉわっとしているは何?」
「アンナリーゼ様の好きな生クリームですよ?」
「えぇー浮かせたりできるの?」
「はい、できますよ!
この前、お休みをいただいたときにたまたま入った喫茶店で見かけまして
店主に聞いたら生クリームを浮かせていると聞いたものでしたから」
私は、感心しながらそれをみる。
「私には無理ですが、可愛らしいネコが浮かんでいたりしていましたよ!」
それを聞くだけで、わくわくとしてきた。
「今度、旦那様と一緒に出掛けられるといいですよ!」
ディルは、ニコッと笑う。
珍しく笑うディルに、私はほっこりする。
「アンナリーゼ様、無理はなされていませんか?」
突然の質問に、私は何?と首をかしげる。
「いえ、こちらに来てからしょっちゅう訓練場やいろいろなところへ
出かけてらっしゃいましたから、今は、窮屈ではないかと思いまして……」
私が、鬱々していることを見抜いたようで、ディルが心配してくれる。
「ディル……ありがとう!
私は、大丈夫よ!
みんなが、屋敷に足しげく通ってくれるおかげで寂しくないもの」
笑いかけると、そうですかと優しく笑いかけてくれる。
そんなディルの気遣いがとても嬉しかった。
「そういえば、もう少ししたらニコライから出産の荷物が届くと思うの。
この部屋に運ぼうと思うんだけど……
準備をお願いしてもいいかしら?」
「はい、大丈夫ですよ。
そうですか、もうすぐお子さんが生まれるのですね!
私もとても楽しみです!」
「ふふっ!ディルも可愛がってあげてね!
きっと、ジョージア様そっくりの美人さんだから!」
「いやいや、アンナリーゼ様のように可愛らしい子が生まれてきますよ!」
私とディルは、子供を思い浮かべ笑いあう。
それだけでも、私の心は少し晴れていくようで、楽しい気持ちがぐんと跳ね上がる。
「アンナリーゼ様、あなた様がこのお屋敷に来てからというもの
笑いの絶えないお屋敷となりました。
私は、そんなアンバー家の執事として働けること、誇りに思っております。
旦那様は、頼りないこともあると思いますが、どうぞ見捨てないで
仲睦まじくお過ごしください。
アンナリーゼ様が、アンバー家に来なければよかったと思わずにいられるよう
私たちも全力でお手伝いさせていただきます」
ディルの言葉は、嬉しかった。
そんな風に思ってくれているのか……
「ディル、ありがとう!
何があっても、アンバー公爵夫人として頑張るわ!
こんな私だけど……支えてくださいね!」
「もちろんです!
体にはくれぐれもお気を付けください。
私どもも気を付けてはいますが……
アンナリーゼ様の方がいろいろと詳しいので」
ディルは、私を心配してくれる。
何度か毒が盛られたり、黒ずくめの暗殺者に襲われたりしているからだ。
私は、誰の仕業かわかっている。
でも、敢えて何もしない。
もう少ししたら……すべて、『予知夢』の通りに、ハニーローズが生まれるのだ。
それを楽しみに、今は、生活をしている。
ジョージアとの楽しい時間もあと少しなのだから……
「ディル……」
「なんでしょうか?」
「もし、もしだよ?
ジョージア様に見捨てられたとしたら、ディルは私の味方をしてくれる?」
私の質問を聞いたディルは、とても驚いている。
今の私達を見ていれば、そうなることは、ほぼないように思う。
だから、「もし」という仮定で話をする。
「もちろんですよ!
私は、アンナリーゼ様の味方となります。
たとえ旦那様が、アンナリーゼ様とお子を虐げるようなことがあったとしても
私は、あなたたち親子の盾となりましょう!」
それをきいただけで、ホッとする。
「ありがとう!
私も、ディルにずっと、そういってもらえるよう最大限の努力するわ!」
「旦那様は、アンナリーゼ様を心の底から愛しておられますから、大丈夫ですよ!」
私は、ディルの言葉に頷く。
ただ、『予知夢』が現実になるときが近づいてきている。
漠然とした不安が、私の胸に広がるのであった。
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