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可愛らしい一面
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「で?
姫さんの方は、順調そうだな?」
撫でているお腹を見ながら、ウィルは近況を聞いてくる。
しばらく、こちらにいなかったからか、最後にあった私と違うからか不思議そうだ。
「うん。
子供もね、おかげさまで授かったの。
悪阻もそろそろ終わるだろうって……」
「悪阻っていう割に、さっきからパクパク食べてるよな……」
やっぱり、一般的に悪阻と言えば……
『食べ物を見ただけで、うっ……ってなって食べられない』をイメージするようだ。
「アンナリーゼ様は、食べ悪阻?」
「よくわかったね?セバス」
「そんなのあるのか?姫さんには、もってこいの悪阻だな……」
どういう意味だとウィルを私は睨む。
この悪阻もかなりつらいのだ……
食べられるから、辛そうに思えないだろうけど……
それに、丸くなった私を見れば、全く辛そうに見えないでしょうけど!!
「ウィル、食べ悪阻は、辛いものなんだよ……
うちの母親がそうだったんだ。
一番下の妹を身ごもったときにね。
今までは、食べられない方の悪阻だったからどうしていいかわからなかったし……
ずっと、食べ物を求めているんだよ……」
「へぇーそれは、やっぱり、男の俺には、わからない話だな。
そう考えると、お母様様だな……
大事にしてやらねぇーと……」
ウィルとセバスは、それぞれ、兄妹の中でも下の方になる。
だから、私の姿をみて、自分の母親に思いを飛ばしているようだ。
「ホントだよ!
大変なんだから!
でも、育ってるって感じもするから、愛おしいよね……不思議と。
二人とも、お母様を大事にするのよ?
あと、将来のお嫁さんもね!!」
「はーい!」
この二人なら、心配いらないだろう……
友人である私やナタリーも大事にしてくれるのだ。
きっと、未来の奥さんも大切にされるに違いない!
「なぁ、そろそろシルキー様の結婚式だよな?
姫さんは、何かしたの?」
「私は、アメジストが欲しいって言われたから、それを贈ったの……
でも、内緒ね……」
「外聞よろしくないですからねぇ……」
「どうせ、殿下にもついでにーとか言って、同じもの渡したんだろ?」
ウィルには、ドキッとさせられる。
まさに、贈ったからだ……
言わないでおこうかな……
でも、なんか、言っておいた方がいいのかなぁ……?
「ウィルって、なんでもお見通しなのね……?
私、監視されてる?」
「いや、してねぇー
したら、そこの侍女に抹殺されそうじゃん!俺」
「アンナ様のご友人にそんなことしません!」
「ホント……?
でも、監視はしてないよ!いつも、勘!」
ふーんと私は、あいまいに頷いておく。
「で、何贈ったのですか?」
「シルキー様には、アメジストでできたキキョウの髪飾りと
殿下には、同じキキョウのカフスボタン」
「へぇー手の込んだものだな……」
国のトップに立つ人に、下手なものは……贈れないじゃない……
最高級のアメジストで作られたティアの作品だ。
「みんな、私から、アメジストが欲しいっていうの!」
「俺たちがもらったからじゃないか?」
「そう、それなのよ!
私は、ただのお礼であなたたち3人に渡したのに……」
「他に誰がもっているのです?」
指折り名前を言ってく。
「まずは、殿下とシルキー様。
お兄様とエリザベス。
私からじゃないけど、お兄様の子供2人ともアメジストを持つはず。
あとは、エレーナかなぁ……?」
「皆さま、アメジストと申されると……」
「これ!」
ウィルは、ピアスを指し、セバスはネックレスを服の中から出してきた。
「デリアは……?」
「私は……ただの侍従ですから……」
寂しそうにしているデリアを見つめる。
うん、ニコライにお願いしてアメジストのピアスを追加注文ね!と、心に決める。
ニコライも欲しいとか……言わないよね……?と、考える。
欲しいって言ってくれるなら……もう、いっそ私の味方ってことで配ってしまうのもありなのかもしれない。
ただし、人選は必要だと思う。
デリアにニコライは、信用していいので、もちろん渡す。
配下になりたいとか言ってたパルマは……いるだろうか……?
もう少し、保留だなぁ……と、頭の隅においやった。
「アメジストの話は、そこまで!
あんまり私のデリアをいじめないでくれない?」
「アンナ様……」
『私のデリア』に感動してくれたのか、少し涙が浮かんでいる。
言葉のあやでもなんでもない。
私の本心からの言葉だ。
今は、たくさんサポートしてくれているのでデリアあっての、私なのだ!
感謝はしてもしきれない。
「そういやさ、ジョージア様の結婚式ももうそろそろじゃなかった?」
ふいにウィルが発した質問だったが、デリアはキッと睨み、セバスはあちゃーっとおでこを押さえてる。
「気にしなくていいのよ!セバス。
本当のことだから……
もうすぐ、ソフィアとの結婚式よ!
日取りがいいから殿下たちと同じ日なのよ!」
「大丈夫か……?」
「えぇ、特に問題はないわ!
デリアもディルもいるし、子供も一緒だから!」
そうはいっても、寂しい気持ちももちろんある。
いつも一緒にいるのに、ジョージアがいない日があるのかと思うと寂しい。
「この前のジョージア様無断外泊のときは、かなりあれてたからなぁ……
まぁ、そういうものだと思って、諦めろ!」
「大丈夫よ!前もってわかってれば、ぬいぐるみ抱いて寝るから!」
「姫さんにも、そんな可愛らしい一面もあるんだな!」
ケラケラ笑われるが、同情されるようりは、ずっといい!
「どういう意味か分かりませんけど、可愛いんですよ!
クマのぬいぐるみ!」
無駄にニコニコ笑っておくと、ウィルは、何か覚悟をしたような顔つきになっていた。
そうそう、動けるようになったら、おぼえてらっしゃい!
心の中では、メラメラと私は燃えるのであった。
姫さんの方は、順調そうだな?」
撫でているお腹を見ながら、ウィルは近況を聞いてくる。
しばらく、こちらにいなかったからか、最後にあった私と違うからか不思議そうだ。
「うん。
子供もね、おかげさまで授かったの。
悪阻もそろそろ終わるだろうって……」
「悪阻っていう割に、さっきからパクパク食べてるよな……」
やっぱり、一般的に悪阻と言えば……
『食べ物を見ただけで、うっ……ってなって食べられない』をイメージするようだ。
「アンナリーゼ様は、食べ悪阻?」
「よくわかったね?セバス」
「そんなのあるのか?姫さんには、もってこいの悪阻だな……」
どういう意味だとウィルを私は睨む。
この悪阻もかなりつらいのだ……
食べられるから、辛そうに思えないだろうけど……
それに、丸くなった私を見れば、全く辛そうに見えないでしょうけど!!
「ウィル、食べ悪阻は、辛いものなんだよ……
うちの母親がそうだったんだ。
一番下の妹を身ごもったときにね。
今までは、食べられない方の悪阻だったからどうしていいかわからなかったし……
ずっと、食べ物を求めているんだよ……」
「へぇーそれは、やっぱり、男の俺には、わからない話だな。
そう考えると、お母様様だな……
大事にしてやらねぇーと……」
ウィルとセバスは、それぞれ、兄妹の中でも下の方になる。
だから、私の姿をみて、自分の母親に思いを飛ばしているようだ。
「ホントだよ!
大変なんだから!
でも、育ってるって感じもするから、愛おしいよね……不思議と。
二人とも、お母様を大事にするのよ?
あと、将来のお嫁さんもね!!」
「はーい!」
この二人なら、心配いらないだろう……
友人である私やナタリーも大事にしてくれるのだ。
きっと、未来の奥さんも大切にされるに違いない!
「なぁ、そろそろシルキー様の結婚式だよな?
姫さんは、何かしたの?」
「私は、アメジストが欲しいって言われたから、それを贈ったの……
でも、内緒ね……」
「外聞よろしくないですからねぇ……」
「どうせ、殿下にもついでにーとか言って、同じもの渡したんだろ?」
ウィルには、ドキッとさせられる。
まさに、贈ったからだ……
言わないでおこうかな……
でも、なんか、言っておいた方がいいのかなぁ……?
「ウィルって、なんでもお見通しなのね……?
私、監視されてる?」
「いや、してねぇー
したら、そこの侍女に抹殺されそうじゃん!俺」
「アンナ様のご友人にそんなことしません!」
「ホント……?
でも、監視はしてないよ!いつも、勘!」
ふーんと私は、あいまいに頷いておく。
「で、何贈ったのですか?」
「シルキー様には、アメジストでできたキキョウの髪飾りと
殿下には、同じキキョウのカフスボタン」
「へぇー手の込んだものだな……」
国のトップに立つ人に、下手なものは……贈れないじゃない……
最高級のアメジストで作られたティアの作品だ。
「みんな、私から、アメジストが欲しいっていうの!」
「俺たちがもらったからじゃないか?」
「そう、それなのよ!
私は、ただのお礼であなたたち3人に渡したのに……」
「他に誰がもっているのです?」
指折り名前を言ってく。
「まずは、殿下とシルキー様。
お兄様とエリザベス。
私からじゃないけど、お兄様の子供2人ともアメジストを持つはず。
あとは、エレーナかなぁ……?」
「皆さま、アメジストと申されると……」
「これ!」
ウィルは、ピアスを指し、セバスはネックレスを服の中から出してきた。
「デリアは……?」
「私は……ただの侍従ですから……」
寂しそうにしているデリアを見つめる。
うん、ニコライにお願いしてアメジストのピアスを追加注文ね!と、心に決める。
ニコライも欲しいとか……言わないよね……?と、考える。
欲しいって言ってくれるなら……もう、いっそ私の味方ってことで配ってしまうのもありなのかもしれない。
ただし、人選は必要だと思う。
デリアにニコライは、信用していいので、もちろん渡す。
配下になりたいとか言ってたパルマは……いるだろうか……?
もう少し、保留だなぁ……と、頭の隅においやった。
「アメジストの話は、そこまで!
あんまり私のデリアをいじめないでくれない?」
「アンナ様……」
『私のデリア』に感動してくれたのか、少し涙が浮かんでいる。
言葉のあやでもなんでもない。
私の本心からの言葉だ。
今は、たくさんサポートしてくれているのでデリアあっての、私なのだ!
感謝はしてもしきれない。
「そういやさ、ジョージア様の結婚式ももうそろそろじゃなかった?」
ふいにウィルが発した質問だったが、デリアはキッと睨み、セバスはあちゃーっとおでこを押さえてる。
「気にしなくていいのよ!セバス。
本当のことだから……
もうすぐ、ソフィアとの結婚式よ!
日取りがいいから殿下たちと同じ日なのよ!」
「大丈夫か……?」
「えぇ、特に問題はないわ!
デリアもディルもいるし、子供も一緒だから!」
そうはいっても、寂しい気持ちももちろんある。
いつも一緒にいるのに、ジョージアがいない日があるのかと思うと寂しい。
「この前のジョージア様無断外泊のときは、かなりあれてたからなぁ……
まぁ、そういうものだと思って、諦めろ!」
「大丈夫よ!前もってわかってれば、ぬいぐるみ抱いて寝るから!」
「姫さんにも、そんな可愛らしい一面もあるんだな!」
ケラケラ笑われるが、同情されるようりは、ずっといい!
「どういう意味か分かりませんけど、可愛いんですよ!
クマのぬいぐるみ!」
無駄にニコニコ笑っておくと、ウィルは、何か覚悟をしたような顔つきになっていた。
そうそう、動けるようになったら、おぼえてらっしゃい!
心の中では、メラメラと私は燃えるのであった。
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