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エレーナからの手紙
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殿下とシルキーとの謁見も終わり、やっと帰宅できたのは深夜だった。
兄は起きていてくれたようで、玄関で仁王立ちして待ってくれていた。
「いったい何時だと思っているんだ?」
まるで、お母様だ。
「今まで、お城にいたんです。
久しぶりに会う殿下やシルキー様の話も聞かないといけないでしょ?」
心配してくれているのは、分かるのでそれ以上のことは言わない。
「お兄様、待っていてくれて、ありがとう!
おやすみなさい!」
横を通り抜けようとしたとき、呼び止められる。
「アンナ、さっき渡すのを忘れていたんだ。
中は見ていない。
返事を書いてあげるといい」
そこには、手紙が3通もあった。
エレーナに嫁ぎ先、伝えるの忘れていたのだ……
自室に戻り、エレーナの手紙を読んだ。
エレーナの字は、人物を象徴するかのようにとても几帳面であった。
ざっと手紙を読むと大きくは、3つだ。
1つ目は、エルドア国へ行ったあとの話で、親子でうまく頑張ってくれているようだ。
両親を従者として、エルドアへ行くときに連れていったのだが、クロック侯爵家できちんと働いてくれていると書かれている。
もちろん、娘の世話をする役目だ。
手は抜かないだろう。
地方貴族であったはずだが、文句ひとつ言わず、執事や侍女の仕事を全うしていると聞けば、エレーナの両親は元々働き者なのだろう。
とりあえず、両者にとって、よかったと思う。
2つ目は、エレーナとクロック侯爵のことが書かれていた。
まず、元クロック侯爵の養子としてエレーナを受け入れて、そのあと異母弟を侯爵としたのだが、引篭もりだったその侯爵も元侯爵により指導され、今ではすっかり働き者となったようだ。
エレーナが、嫁に行ったことで、誰もがうまいこといっているようだ。
2つ目の手紙には、元侯爵からの手紙が同封されていたのだが、そこにも似たような内容で書かれていた。
感謝状になんだか私はくすぐったくなる。
侯爵とは、仲も良いようで、もうすぐ子供も生まれるそうだ。
名付け親……?
また……?
えっと……いますぐ、考えよう……
返事には、名前も入れないといけないようだ。
何がいいかなぁ……
男の子ならマーフィーで女の子ならクリスタ?
また、クリス……これは、よくない。
女の子なら……リアーナ!
そう、これにしましょう。
真夜中の私室では、私が、あちこちに名前を書きなぐっては、消してという作業を何度も何度もするので紙が散乱していた。
きっと、明日の朝、デリアに怒られるだろう。
あぁ……夢に出てきてくれないかしら?そんなことを思いながらも、決めた名前を見ているとあぁ、しっくりくるなぁーと満足して一人頷いている。
3つ目は、領地内で新しい事業として運輸業へ資金提供をして育てているという報告があった。
まだ、今は、領地内で大きくなったところで、近場の領地にも店舗を出しているとのことだ。
国中に広げていき、今後、2国にも及ぶ運輸業を取り仕切りをしたいという話が書いてある。
今のところ、運輸業という職業は、かなり限られているので、新規参戦してくれることで料金も下がるだろうし、各地を結んでくれるとなるとかなり助かる。
この話、ニコライにも話してみようかしら?
何かしらの反応がありそうね。
ほとんどこの産業には手が入っていないので、うまくのれば、きっと膨大な利益も出るだろう。
ただし、他人の荷物を運ぶのだ。
まずは、信用を取り付けるところから始まるので容易ではないだろう。
そこは、商人に手伝てもらうのが1番よい。
仕入れた商品の納品に使ってもらうのだ。
身一つでたくさんの仕入れをして、のちに自分の商会に送付しておいてもらうとか、やり方はいろいろあるだろう。
私たち貴族にとって、商人は顔を合わせて注文をするし納品もしかりだ。
定着させないと意味がないので、まずは、ニコライに話して、少し手伝ってもらおうと思う。
『 エレーナ さま
お元気ですか?
私は、今、母国トワイスを離れ、ローズディア公国のアンバー公爵家でお世話に
なっています。
まだ、伝えてなかったのだけど、この春に、公爵家の子息との結婚が決まっています。
急なことで悪いんだけど……
招待状、入れておくから都合がつけば来てくれると嬉しいわ!
出産前だから、決して無理にこようとはしなくて大丈夫ですからね!
侯爵様とエレーナが仲良くできているようで、とても嬉しいわ!
母の紹介でエルドアに行ってもらったこと、少し考えていたの……
元侯爵様からもお手紙をいただいて、エレーナからももらって、
少しでも幸せになってくれていると感じられて、とても嬉しいです。
もし、何か困ったことがあったり、辛いことがあったら連絡ください。
そうそう、名付け親の件、ありがとう。
私なりに考えさせてもらいました。
男の子にはマーフィー、女の子にはリアーナっていうのは、どうかしら?
侯爵様と相談して、もし、気に入ったら、子供につけてください。
最後に新規事業のこと読みました。
直接は、事業に対する投資って形になるかな?と思うけど、
もう少し事業の内容を教えてください。
今、どのようなルートがあるのかわかりませんが、大店を抱き込むことも
ひとつだと思うわ!
私の友人にも使用できるか販路拡大の関係で相談したいので、対応してくれると
ありがたいのだけど……
また、お返事ください。
次は、アンバー公爵家に手紙を送ってくださいね!
アンナリーゼ 』
私は、エレーナへの手紙に封をして、机の上にそっと置く。
手紙の内容を読んで、実際、ホッとしている。
いろいろ、エレーナに対して、強行してしまったのだ……
幸せにしてくれているなら、よかったというべきなんだろう。
気持ちが少し軽くなったところで、久しぶりに自分のベッドで眠る。
ジョージアが、最近、ずっと私のベッドにもぐりこんできていたためか、広く感じるし、とにかく寒い。
もう、ジョージア様は、寝ているかしら?
自分の部屋に戻っているのかな?
考えることは、ジョージアのことばかりだと思えると、少し笑えてくる。
「ジョージア様が、恋しいだなんて……
私ももう、ジョージア様の虜ね……
本人には、決して言わないけど」
一人、ベッドの中で呟く。
次の朝、兄にエレーナ宛の手紙の送付をお願いして、早々にローズディアのアンバーの屋敷目指し帰るのである。
私の家は、もうここじゃないのね。
少し寂しい気持ちもあって振り返ったけど、おかえりと笑顔で迎えてくれるであろうジョージアのことを思い、馬を走らせるのであった。
兄は起きていてくれたようで、玄関で仁王立ちして待ってくれていた。
「いったい何時だと思っているんだ?」
まるで、お母様だ。
「今まで、お城にいたんです。
久しぶりに会う殿下やシルキー様の話も聞かないといけないでしょ?」
心配してくれているのは、分かるのでそれ以上のことは言わない。
「お兄様、待っていてくれて、ありがとう!
おやすみなさい!」
横を通り抜けようとしたとき、呼び止められる。
「アンナ、さっき渡すのを忘れていたんだ。
中は見ていない。
返事を書いてあげるといい」
そこには、手紙が3通もあった。
エレーナに嫁ぎ先、伝えるの忘れていたのだ……
自室に戻り、エレーナの手紙を読んだ。
エレーナの字は、人物を象徴するかのようにとても几帳面であった。
ざっと手紙を読むと大きくは、3つだ。
1つ目は、エルドア国へ行ったあとの話で、親子でうまく頑張ってくれているようだ。
両親を従者として、エルドアへ行くときに連れていったのだが、クロック侯爵家できちんと働いてくれていると書かれている。
もちろん、娘の世話をする役目だ。
手は抜かないだろう。
地方貴族であったはずだが、文句ひとつ言わず、執事や侍女の仕事を全うしていると聞けば、エレーナの両親は元々働き者なのだろう。
とりあえず、両者にとって、よかったと思う。
2つ目は、エレーナとクロック侯爵のことが書かれていた。
まず、元クロック侯爵の養子としてエレーナを受け入れて、そのあと異母弟を侯爵としたのだが、引篭もりだったその侯爵も元侯爵により指導され、今ではすっかり働き者となったようだ。
エレーナが、嫁に行ったことで、誰もがうまいこといっているようだ。
2つ目の手紙には、元侯爵からの手紙が同封されていたのだが、そこにも似たような内容で書かれていた。
感謝状になんだか私はくすぐったくなる。
侯爵とは、仲も良いようで、もうすぐ子供も生まれるそうだ。
名付け親……?
また……?
えっと……いますぐ、考えよう……
返事には、名前も入れないといけないようだ。
何がいいかなぁ……
男の子ならマーフィーで女の子ならクリスタ?
また、クリス……これは、よくない。
女の子なら……リアーナ!
そう、これにしましょう。
真夜中の私室では、私が、あちこちに名前を書きなぐっては、消してという作業を何度も何度もするので紙が散乱していた。
きっと、明日の朝、デリアに怒られるだろう。
あぁ……夢に出てきてくれないかしら?そんなことを思いながらも、決めた名前を見ているとあぁ、しっくりくるなぁーと満足して一人頷いている。
3つ目は、領地内で新しい事業として運輸業へ資金提供をして育てているという報告があった。
まだ、今は、領地内で大きくなったところで、近場の領地にも店舗を出しているとのことだ。
国中に広げていき、今後、2国にも及ぶ運輸業を取り仕切りをしたいという話が書いてある。
今のところ、運輸業という職業は、かなり限られているので、新規参戦してくれることで料金も下がるだろうし、各地を結んでくれるとなるとかなり助かる。
この話、ニコライにも話してみようかしら?
何かしらの反応がありそうね。
ほとんどこの産業には手が入っていないので、うまくのれば、きっと膨大な利益も出るだろう。
ただし、他人の荷物を運ぶのだ。
まずは、信用を取り付けるところから始まるので容易ではないだろう。
そこは、商人に手伝てもらうのが1番よい。
仕入れた商品の納品に使ってもらうのだ。
身一つでたくさんの仕入れをして、のちに自分の商会に送付しておいてもらうとか、やり方はいろいろあるだろう。
私たち貴族にとって、商人は顔を合わせて注文をするし納品もしかりだ。
定着させないと意味がないので、まずは、ニコライに話して、少し手伝ってもらおうと思う。
『 エレーナ さま
お元気ですか?
私は、今、母国トワイスを離れ、ローズディア公国のアンバー公爵家でお世話に
なっています。
まだ、伝えてなかったのだけど、この春に、公爵家の子息との結婚が決まっています。
急なことで悪いんだけど……
招待状、入れておくから都合がつけば来てくれると嬉しいわ!
出産前だから、決して無理にこようとはしなくて大丈夫ですからね!
侯爵様とエレーナが仲良くできているようで、とても嬉しいわ!
母の紹介でエルドアに行ってもらったこと、少し考えていたの……
元侯爵様からもお手紙をいただいて、エレーナからももらって、
少しでも幸せになってくれていると感じられて、とても嬉しいです。
もし、何か困ったことがあったり、辛いことがあったら連絡ください。
そうそう、名付け親の件、ありがとう。
私なりに考えさせてもらいました。
男の子にはマーフィー、女の子にはリアーナっていうのは、どうかしら?
侯爵様と相談して、もし、気に入ったら、子供につけてください。
最後に新規事業のこと読みました。
直接は、事業に対する投資って形になるかな?と思うけど、
もう少し事業の内容を教えてください。
今、どのようなルートがあるのかわかりませんが、大店を抱き込むことも
ひとつだと思うわ!
私の友人にも使用できるか販路拡大の関係で相談したいので、対応してくれると
ありがたいのだけど……
また、お返事ください。
次は、アンバー公爵家に手紙を送ってくださいね!
アンナリーゼ 』
私は、エレーナへの手紙に封をして、机の上にそっと置く。
手紙の内容を読んで、実際、ホッとしている。
いろいろ、エレーナに対して、強行してしまったのだ……
幸せにしてくれているなら、よかったというべきなんだろう。
気持ちが少し軽くなったところで、久しぶりに自分のベッドで眠る。
ジョージアが、最近、ずっと私のベッドにもぐりこんできていたためか、広く感じるし、とにかく寒い。
もう、ジョージア様は、寝ているかしら?
自分の部屋に戻っているのかな?
考えることは、ジョージアのことばかりだと思えると、少し笑えてくる。
「ジョージア様が、恋しいだなんて……
私ももう、ジョージア様の虜ね……
本人には、決して言わないけど」
一人、ベッドの中で呟く。
次の朝、兄にエレーナ宛の手紙の送付をお願いして、早々にローズディアのアンバーの屋敷目指し帰るのである。
私の家は、もうここじゃないのね。
少し寂しい気持ちもあって振り返ったけど、おかえりと笑顔で迎えてくれるであろうジョージアのことを思い、馬を走らせるのであった。
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