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お茶会でも、何か起こるのですね……
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公妃のお茶会に招待され、義母と一緒に公城に向かう。
義母に公爵家の人間として恥ずかしくないようにしっかり勉強させてもらった。
今日は、その総まとめの日である。
「緊張しているの?アンナリーゼなら、どこに出ても恥ずかしくないわ!
自分が思う通り、過ごしたら大丈夫だからね?」
義母に背中を押されると、ちょっと緊張もほぐれる。
社交会には、私もトワイス国にいた頃、頻繁に出ていたのだ。
恐るるに足らず!準備もしっかりしたのだからと胸を張る。
「はい。お義母様。今日は、お勉強させていただきます!」
「では、いきましょう!」
ふふふと笑う義母。
私は、義母の後ろからついて行く。次期アンバー公爵の婚約者として見られるのだ。姿勢を正した。
「ごきげんよう、アンバー公爵夫人」
「公妃様、ご挨拶申し上げます」
義母が礼を取ったのは、公妃だった。私も義母に倣って礼を取る。
ローズディアで1番位が高いのは、アンバー公爵家なのだ。
こちらから挨拶するのは公妃だけで、それ以外は挨拶される側になる、
「あら、そちらが噂のアンナリーゼかしら?お話するのは、初めてね!
公も公世子もシルキーもあなたの話でもちきりよ!」
「公妃様、ご挨拶させていただきます。この度、トワイス国よりアンバー公爵子息ジョージア様と
婚約させていただきましたアンナリーゼと申します。よろしくお願いいたします」
「ふふふ、公からも公世子からもシルキーからも聞いていますけど、近くで見れば、素敵な方ね。
こちらこそ、よろしく頼むわ!」
これは、一つの洗礼。
ここで、公妃に気に入られなければ、今後の社交界では厳しいものとなるだろう。
公妃は、シルキーに似て可愛らしいという言葉がよく似合う女性である。
「シルキーが、とてもあなたのことを気に入っているのだけど……あの子、学園でもちゃんとできて
いるかしら?末っ子だから、甘やかされて育ったから心配で……」
「はい、公妃様。私は、1年と少ない期間でとても仲良くしていただきました。ジルベスター殿下とも
仲良く過ごされているとお手紙もいただいてます。とってもかわいらしい方で、私はいつも励まされて
いますわ!」
私の回答に公妃は満足そうだった。
学園へ行き親元を離れたシルキーをとても心配していることがわかる。
私もシルキーと出会って、知らぬ土地に来たことで、手紙のやりとりにとても元気をもらっていた。
公妃への挨拶が終わり、少し雑談をしていたところで騒がしくなる。
「シルキーが来たようです……昨日、お茶会の話をどこかから聞いて急に城に戻ってきたのですよ」
公妃は、頭を抱えそうな勢いで頭を振っている。
「アンナリーゼ!!」
半べそ状態で現れたのは、ローズディア公国第二公女シルキーだ。
「シルキー様」
「アンナリーゼ!!もう学園なんて行かないのじゃ!そなたとここにいるのじゃ!」
シルキーに抱きつかれ、ぎゅーぎゅーと締っていく。小さな体のどこにこんな力があるのだろうか。
ちょっと苦しい。
「これ、シルキー!アンナリーゼのせっかくのドレスが汚れるでわないか!!」
母親に怒られようが、どこ吹く風で私にしがみつくシルキーに、私はさすがに苦しくなってきたので引きはがすことにした。
「シルキー様、少々、落ち着きましょうか?私は、どこにも行きませんし、シルキー様はいつまでも
大切なお友達ですよ?公妃様からお伺いしましたけど、急に帰ってこられたのですか?
そんなことしたら、警備の皆さんもみんな驚きます。もう、しないと約束してください。
もう少し落ち着いたら、必ず、会いに行きますから……」
私は膝をおってシルキーの視線より少し下に自分を置き、言い聞かせるようにシルキーに質問したり、諭したりする。コクンコクンと頷いてくれるが、やはり寂しそうだ。
私の知るシルキーは、公女としてもてはやされはしていたが、友人らしい友人はいなかった。
なので、私に固執してしまったのだろう。それならば、一人適任がいる。
「シルキー様は、1つ学年が上のメアリーはご存じですか?」
「見たことはある……」
「そうですか……彼女は、私の大切な友人の一人です。とっても心優しい彼女なら、シルキー様も
きっと仲良くなれるはずですよ!私からもメアリーに連絡してみますが、一度一緒に生クリーム
たっぷりケーキに誘ってみてはいかがですか?」
代替案ではないが、シルキーを支えてあげるには殿下だけでは難しいのであろう。
同性も必要なのだ。ただ、殿下との婚約が決まった今では、打算的な友人は集まっても、支えてくれるような友人は難しいように思う。
それなら、私の友人をシルキーと引き合わせればいい。メアリーは公爵家の人間だ。
身元もしっかりしている上、私と違い深窓の令嬢そのものであるので、シルキーが学ぶところはたくさんあるだろう。
私が面倒だから、任せるっていうわけでは、決してないんだからね……シルキーにもメアリーにも殿下にもプラスに働くはずだ。
兄の結婚式でも同じようなことが起こったな……もう対応は、トワイスで頑張ってもらおうと考えた。
シルキーも皇太子妃になるのだから……再来年には。
そのあとのことを思うと切ないけど、どうか未来が変わりますように……祈らずにはいられない。
「シルキー様、今度、贈り物をしてもいいですか?」
「構わぬ!アンナリーゼからなら、嬉しいぞ!」
「では、殿下にもお伺いしてから、贈らせていただきますね!」
むぅっと頬っぺたを膨らませているが、殿下もシルキーを大層可愛がっているという話も聞いているのでシルキーが望めば許してくれるだろう。
「楽しみにしていてくださいね!」
「うむ。そうするのじゃ!!」
猛獣のようなシルキーは、約束をしたら大人しく私の隣でお茶会に参加していた。
時折、私に話しかけているが、私が今日、ローズディアでの社交界デビューの日だと公妃に言われ、大人しくしていてくれるらしい。
「みんな、アンナリーゼは、とってもかっこいい女子なのだ!ローズディアでも大事にしてたもぉ!!」
「「「はい。シルキー様!」」」
シルキーのおかげで、私のローズディアでの社交デビューは、大成功に終わった。
こっそり『猛獣(シルキー)使い』なんて、通りながついたのは聞かなかったことにしている。
義母に公爵家の人間として恥ずかしくないようにしっかり勉強させてもらった。
今日は、その総まとめの日である。
「緊張しているの?アンナリーゼなら、どこに出ても恥ずかしくないわ!
自分が思う通り、過ごしたら大丈夫だからね?」
義母に背中を押されると、ちょっと緊張もほぐれる。
社交会には、私もトワイス国にいた頃、頻繁に出ていたのだ。
恐るるに足らず!準備もしっかりしたのだからと胸を張る。
「はい。お義母様。今日は、お勉強させていただきます!」
「では、いきましょう!」
ふふふと笑う義母。
私は、義母の後ろからついて行く。次期アンバー公爵の婚約者として見られるのだ。姿勢を正した。
「ごきげんよう、アンバー公爵夫人」
「公妃様、ご挨拶申し上げます」
義母が礼を取ったのは、公妃だった。私も義母に倣って礼を取る。
ローズディアで1番位が高いのは、アンバー公爵家なのだ。
こちらから挨拶するのは公妃だけで、それ以外は挨拶される側になる、
「あら、そちらが噂のアンナリーゼかしら?お話するのは、初めてね!
公も公世子もシルキーもあなたの話でもちきりよ!」
「公妃様、ご挨拶させていただきます。この度、トワイス国よりアンバー公爵子息ジョージア様と
婚約させていただきましたアンナリーゼと申します。よろしくお願いいたします」
「ふふふ、公からも公世子からもシルキーからも聞いていますけど、近くで見れば、素敵な方ね。
こちらこそ、よろしく頼むわ!」
これは、一つの洗礼。
ここで、公妃に気に入られなければ、今後の社交界では厳しいものとなるだろう。
公妃は、シルキーに似て可愛らしいという言葉がよく似合う女性である。
「シルキーが、とてもあなたのことを気に入っているのだけど……あの子、学園でもちゃんとできて
いるかしら?末っ子だから、甘やかされて育ったから心配で……」
「はい、公妃様。私は、1年と少ない期間でとても仲良くしていただきました。ジルベスター殿下とも
仲良く過ごされているとお手紙もいただいてます。とってもかわいらしい方で、私はいつも励まされて
いますわ!」
私の回答に公妃は満足そうだった。
学園へ行き親元を離れたシルキーをとても心配していることがわかる。
私もシルキーと出会って、知らぬ土地に来たことで、手紙のやりとりにとても元気をもらっていた。
公妃への挨拶が終わり、少し雑談をしていたところで騒がしくなる。
「シルキーが来たようです……昨日、お茶会の話をどこかから聞いて急に城に戻ってきたのですよ」
公妃は、頭を抱えそうな勢いで頭を振っている。
「アンナリーゼ!!」
半べそ状態で現れたのは、ローズディア公国第二公女シルキーだ。
「シルキー様」
「アンナリーゼ!!もう学園なんて行かないのじゃ!そなたとここにいるのじゃ!」
シルキーに抱きつかれ、ぎゅーぎゅーと締っていく。小さな体のどこにこんな力があるのだろうか。
ちょっと苦しい。
「これ、シルキー!アンナリーゼのせっかくのドレスが汚れるでわないか!!」
母親に怒られようが、どこ吹く風で私にしがみつくシルキーに、私はさすがに苦しくなってきたので引きはがすことにした。
「シルキー様、少々、落ち着きましょうか?私は、どこにも行きませんし、シルキー様はいつまでも
大切なお友達ですよ?公妃様からお伺いしましたけど、急に帰ってこられたのですか?
そんなことしたら、警備の皆さんもみんな驚きます。もう、しないと約束してください。
もう少し落ち着いたら、必ず、会いに行きますから……」
私は膝をおってシルキーの視線より少し下に自分を置き、言い聞かせるようにシルキーに質問したり、諭したりする。コクンコクンと頷いてくれるが、やはり寂しそうだ。
私の知るシルキーは、公女としてもてはやされはしていたが、友人らしい友人はいなかった。
なので、私に固執してしまったのだろう。それならば、一人適任がいる。
「シルキー様は、1つ学年が上のメアリーはご存じですか?」
「見たことはある……」
「そうですか……彼女は、私の大切な友人の一人です。とっても心優しい彼女なら、シルキー様も
きっと仲良くなれるはずですよ!私からもメアリーに連絡してみますが、一度一緒に生クリーム
たっぷりケーキに誘ってみてはいかがですか?」
代替案ではないが、シルキーを支えてあげるには殿下だけでは難しいのであろう。
同性も必要なのだ。ただ、殿下との婚約が決まった今では、打算的な友人は集まっても、支えてくれるような友人は難しいように思う。
それなら、私の友人をシルキーと引き合わせればいい。メアリーは公爵家の人間だ。
身元もしっかりしている上、私と違い深窓の令嬢そのものであるので、シルキーが学ぶところはたくさんあるだろう。
私が面倒だから、任せるっていうわけでは、決してないんだからね……シルキーにもメアリーにも殿下にもプラスに働くはずだ。
兄の結婚式でも同じようなことが起こったな……もう対応は、トワイスで頑張ってもらおうと考えた。
シルキーも皇太子妃になるのだから……再来年には。
そのあとのことを思うと切ないけど、どうか未来が変わりますように……祈らずにはいられない。
「シルキー様、今度、贈り物をしてもいいですか?」
「構わぬ!アンナリーゼからなら、嬉しいぞ!」
「では、殿下にもお伺いしてから、贈らせていただきますね!」
むぅっと頬っぺたを膨らませているが、殿下もシルキーを大層可愛がっているという話も聞いているのでシルキーが望めば許してくれるだろう。
「楽しみにしていてくださいね!」
「うむ。そうするのじゃ!!」
猛獣のようなシルキーは、約束をしたら大人しく私の隣でお茶会に参加していた。
時折、私に話しかけているが、私が今日、ローズディアでの社交界デビューの日だと公妃に言われ、大人しくしていてくれるらしい。
「みんな、アンナリーゼは、とってもかっこいい女子なのだ!ローズディアでも大事にしてたもぉ!!」
「「「はい。シルキー様!」」」
シルキーのおかげで、私のローズディアでの社交デビューは、大成功に終わった。
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