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卒業式
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「なんとか、間に合いましたね?」
「本当だ……ギリギリってとこだけど……」
控室へ行くと、今日の主役である卒業生は誰もいなかった。
少しそこで待機することにし、時間が来たときに取り残されてしまうようであれば、自分たちで会場に向かうことにした。
しばらく待っていると、学園付きの侍女が控室に入ってくる。
「ジョージア様、どうぞ会場へご案内します」
会場の扉の前までやってくると、侍女が私を見てドレスをきちんと直してくれる。
気の利いた侍女である。
卒業式でも、卒業生の爵位順。
今回の卒業式では、卒業生に王族がいないため、ジョージアが最後となる。
ちなみ、パートナーがいない場合、一人で花道を歩かないといけないらしい。
卒業生はみんな、この日のために必死でパートナーを探すのである。
「卒業生、ローズディア公国、ジョージア・フラン・アンバー並びに、在校生トワイス国、
アンナリーゼ・トロン・フロイゼンの入場です」
扉が開かれた瞬間、目に入ってきた会場は混沌としていた。
ジョージアのパートナーが誰になったのか、誰も知らなかったからだ。
「すごい混乱だな……アンナの人気は凄まじいな……」
話しかけてくるので、わざとジョージアの方を見て返事をする。
すると、ジョージアも気づいたのかこちらを見てくれる。
「ジョージア様の人気もすごいと思いますよ?ほとんどが、ご婦人たちが絶叫ですもの」
二人でふふふと笑いあっているとさらに、悲鳴めいた声やため息、怒号?ぽいものまで聞こえてくる。
「でも、まぁ、成功ですね……ちょっと、効果が高すぎたようですけど……」
「そうだな、これは成功でいいだろうね。ここまでおもしろいことができたのは初めてだよ。
では、お姫様、私めのエスコート、受けていただけますか?」
ジョージアが手をすっと差し出してくれたので、それに手を添る。
「もちろん、喜んで!!」
そのままその手を腕への誘導してくれ、行こうかと声をかけてくれた。
返事とばかりにほほ笑む。
歩を進めると、さっきの喧噪がうそのように静けさを取り戻す。
固唾を飲んで皆が私たちを見ているのだ。
真ん中の通路を歩く私たちは、特に練習もしていないが、ばっちり歩調も合っていた。
元々見目麗しいジョージアが正装しているのだ。
ご婦人方だけでなく、見惚れているものも多い。
私、普段はそんな風に思わないが、今回はかなり鼻高々だ。
悩まし気なため息が、そこら近辺から聞こえてくる。
その中で、殺気のような視線を感じた。
私、これでも武術を修めているので、そういうのは敏感だ。
視線をそっとその方向に向けると、いた!夢でよく見かける、とてもよく見知った顔だった。
ダドリー男爵家のソフィアその人だ。
顔はにこやかにこっそりジョージアに話しかける。
「ジョージア様、ソフィアさんを卒業式に呼ばれたのですか?
先ほどから私に対して、殺気がすごいのですけど……」
「な……ソフィアが来ているのか? 我が家の招待では、呼んでない。
それより、ソフィアの顔がよく分かったな……?」
「そうですか。殺気を込めるほど熱烈な視線をくれるご婦人なんて、私の知る人にはいませんからね。
知らなくて、そこまでってなると、噂のご令嬢でしょ?
揉めるのは、卒業式の後にしてくださいね。ふふふ……」
それだけいうと、わかったと返事が返ってくた。
自席についたようで、ジョージアは、私を先に座らせてくれる。
あとは卒業生が、卒業証書の授与があって、学園長の長い話と王族代表の話が続く。
私はジョージアの隣でそれを見ているだけだ。
なので、ソフィアの殺気も視線も気になるが、せっかく注目されたので周りに耳を傾けることにした。
上々の出来であったこの卒業式の始まりのサプライズは、今も衝撃を与えているようで小声で話している私たちのことが聞こえてくる。
銀髪の君が、ソフィア嬢でなく、アンナリーゼ様を選ばれたなんて……
アンナリーゼ様もトワイス国の王子の誘いを断ったと聞いていたが……
銀の君はアンアンリーゼ様とのご婚約するつもりなのか……?
あのアンナリーゼ様の宝飾品は、すべて青薔薇で揃えてあるぞ! !
お二人の衣装は、とっても素敵ね。薔薇に統一されていてとてもお似合いね。
今日の正装されたジョージア様は尊いわ……絵師を連れてくるのでした……
アンナリーゼ様は、何故、ジョージア様を選ばれたのか……
ジョージア様とアンナリーゼ様の接点はどこにあったのかしら?
さっき、ソフィア様を見かけたよ……すごい殺気立ってた……
もっともな疑問があちこちで囁かれている。
今日は、在校生は少ないが、ここからでも見える殿下とハリーは、やられたなという顔をしている。
公務なので二人とも、「顔!」と思ったが知らぬ顔をしておく。
ジョージアがポケットから、先ほど渡した懐中時計を取り出して時間を確認していた。
チラッとジョージアを伺いみると、嬉しそうにしている。
「アンナ、本当にありがとう」
閉じた後、優しく懐中時計を撫でている。
喜んでもらえていることがわかって私も嬉しくなった。
「どういたしまして!」
ジョージアに笑いかけると、ちょうど長い挨拶が終わったようだった。
さて、卒業式も退出のみ。
そのあと、別会場で親も交じって祝賀会である。
ここからが、私の令嬢としての戦いだ。
まず、初めて会うジョージアの両親への挨拶があるのだ……胃が重い。
気にいられるよう頑張ろう、これも未来への大事な布石なのだから!!
決意新たに、ジョージアと祝賀会会場へとまた歩き始めるのであった。
「本当だ……ギリギリってとこだけど……」
控室へ行くと、今日の主役である卒業生は誰もいなかった。
少しそこで待機することにし、時間が来たときに取り残されてしまうようであれば、自分たちで会場に向かうことにした。
しばらく待っていると、学園付きの侍女が控室に入ってくる。
「ジョージア様、どうぞ会場へご案内します」
会場の扉の前までやってくると、侍女が私を見てドレスをきちんと直してくれる。
気の利いた侍女である。
卒業式でも、卒業生の爵位順。
今回の卒業式では、卒業生に王族がいないため、ジョージアが最後となる。
ちなみ、パートナーがいない場合、一人で花道を歩かないといけないらしい。
卒業生はみんな、この日のために必死でパートナーを探すのである。
「卒業生、ローズディア公国、ジョージア・フラン・アンバー並びに、在校生トワイス国、
アンナリーゼ・トロン・フロイゼンの入場です」
扉が開かれた瞬間、目に入ってきた会場は混沌としていた。
ジョージアのパートナーが誰になったのか、誰も知らなかったからだ。
「すごい混乱だな……アンナの人気は凄まじいな……」
話しかけてくるので、わざとジョージアの方を見て返事をする。
すると、ジョージアも気づいたのかこちらを見てくれる。
「ジョージア様の人気もすごいと思いますよ?ほとんどが、ご婦人たちが絶叫ですもの」
二人でふふふと笑いあっているとさらに、悲鳴めいた声やため息、怒号?ぽいものまで聞こえてくる。
「でも、まぁ、成功ですね……ちょっと、効果が高すぎたようですけど……」
「そうだな、これは成功でいいだろうね。ここまでおもしろいことができたのは初めてだよ。
では、お姫様、私めのエスコート、受けていただけますか?」
ジョージアが手をすっと差し出してくれたので、それに手を添る。
「もちろん、喜んで!!」
そのままその手を腕への誘導してくれ、行こうかと声をかけてくれた。
返事とばかりにほほ笑む。
歩を進めると、さっきの喧噪がうそのように静けさを取り戻す。
固唾を飲んで皆が私たちを見ているのだ。
真ん中の通路を歩く私たちは、特に練習もしていないが、ばっちり歩調も合っていた。
元々見目麗しいジョージアが正装しているのだ。
ご婦人方だけでなく、見惚れているものも多い。
私、普段はそんな風に思わないが、今回はかなり鼻高々だ。
悩まし気なため息が、そこら近辺から聞こえてくる。
その中で、殺気のような視線を感じた。
私、これでも武術を修めているので、そういうのは敏感だ。
視線をそっとその方向に向けると、いた!夢でよく見かける、とてもよく見知った顔だった。
ダドリー男爵家のソフィアその人だ。
顔はにこやかにこっそりジョージアに話しかける。
「ジョージア様、ソフィアさんを卒業式に呼ばれたのですか?
先ほどから私に対して、殺気がすごいのですけど……」
「な……ソフィアが来ているのか? 我が家の招待では、呼んでない。
それより、ソフィアの顔がよく分かったな……?」
「そうですか。殺気を込めるほど熱烈な視線をくれるご婦人なんて、私の知る人にはいませんからね。
知らなくて、そこまでってなると、噂のご令嬢でしょ?
揉めるのは、卒業式の後にしてくださいね。ふふふ……」
それだけいうと、わかったと返事が返ってくた。
自席についたようで、ジョージアは、私を先に座らせてくれる。
あとは卒業生が、卒業証書の授与があって、学園長の長い話と王族代表の話が続く。
私はジョージアの隣でそれを見ているだけだ。
なので、ソフィアの殺気も視線も気になるが、せっかく注目されたので周りに耳を傾けることにした。
上々の出来であったこの卒業式の始まりのサプライズは、今も衝撃を与えているようで小声で話している私たちのことが聞こえてくる。
銀髪の君が、ソフィア嬢でなく、アンナリーゼ様を選ばれたなんて……
アンナリーゼ様もトワイス国の王子の誘いを断ったと聞いていたが……
銀の君はアンアンリーゼ様とのご婚約するつもりなのか……?
あのアンナリーゼ様の宝飾品は、すべて青薔薇で揃えてあるぞ! !
お二人の衣装は、とっても素敵ね。薔薇に統一されていてとてもお似合いね。
今日の正装されたジョージア様は尊いわ……絵師を連れてくるのでした……
アンナリーゼ様は、何故、ジョージア様を選ばれたのか……
ジョージア様とアンナリーゼ様の接点はどこにあったのかしら?
さっき、ソフィア様を見かけたよ……すごい殺気立ってた……
もっともな疑問があちこちで囁かれている。
今日は、在校生は少ないが、ここからでも見える殿下とハリーは、やられたなという顔をしている。
公務なので二人とも、「顔!」と思ったが知らぬ顔をしておく。
ジョージアがポケットから、先ほど渡した懐中時計を取り出して時間を確認していた。
チラッとジョージアを伺いみると、嬉しそうにしている。
「アンナ、本当にありがとう」
閉じた後、優しく懐中時計を撫でている。
喜んでもらえていることがわかって私も嬉しくなった。
「どういたしまして!」
ジョージアに笑いかけると、ちょうど長い挨拶が終わったようだった。
さて、卒業式も退出のみ。
そのあと、別会場で親も交じって祝賀会である。
ここからが、私の令嬢としての戦いだ。
まず、初めて会うジョージアの両親への挨拶があるのだ……胃が重い。
気にいられるよう頑張ろう、これも未来への大事な布石なのだから!!
決意新たに、ジョージアと祝賀会会場へとまた歩き始めるのであった。
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