18 / 1,480
兄妹の計画案
しおりを挟む
僕は、アンナの部屋を出て、自室に戻ろうと渡り廊下を歩いていた。
中庭に散歩していたのかジョージアが寮に向かって歩いてきているのを発見したので、思わず渡り廊下から声をかけてしまう。
「ジョージア様、今、お帰りですか?」
僕の声に驚いたのか、ジョージアは、声のする方へと視線を向け声の主を探していたので、手を振っておく。
気づいてくれたのか、目があった。
いつかアンナが言ったようにジョージアは、綺麗な蜂蜜色の瞳をしている。
「今から、そっちに行きますから、少し待っててください!!」
頷いてくれたため、僕はそこから駆けていく。
合流する直前に、ふうっと一息入れて息を整えた。
「お待たせしました。
少しお話したいことがあるのですが、お時間よろしいですか?」
「もちろんだよ。部屋を用意しよう。
ついてきてくれ。あと、そのよそよそしい敬語もいらない。
同じ年なのだし、普通に話してくれてかまわない」
妹の入学から1年がたち、妹の話をきっかけに少しずつ話をするようになったのだが、いまだにジョージアに対して敬語だった。
特にこうしてくれと言われていなかったのでずっと敬語で話していたのだが、どうも堅苦しいのは嫌だそうだ。
ジョージアの部屋に通され、まずは、雑談を始める。
これは、相手がどんな状態なのか状況判断するためだ。
機嫌が悪かったり、体調がすぐれなかった場合、日程だけ決めてお暇するつもりだった。
「ジョージア様は、中庭に?
チューリップという花が見ごろだと先ほど妹が話していたけど、散歩に行かれてたので?」
侍女にお茶を用意してもらい、茶菓子が出てきたので一口ずつ口にしている。
ほんのり甘いクッキーだった。
甘いのがあまり好きでないらしい、ジョージアらしい茶菓子だ。
「あぁ、そうだ。ローズディアやトワイスで咲くものではないらしい。
ここの庭師が特別に取り寄せたらしくって、見てみたいと思って見に行ってきたところ」
ジョージアが他国の花に興味があるとは、あまり信じられなかった。
「花好き?」
「……あぁ、そうだな。割と花は好きだ。
特に他に興味が惹かれるものがないからなぁ……
他国には、太陽に向かって咲く大輪の花もあるときいている。
そういうものにも、興味はある。
でも、我が国が誇る薔薇は、格別だと思っているよ。
その中でも青薔薇は別格とね」
「青薔薇とは、そのままの?
技術的に青い薔薇は難しいという話を聞いたことあるけど、ローズディアでは、
完成しているのか?」
ジョージアは、ふっと不敵に笑う。
まさに青薔薇が似合いそうな貴公子だ。
女の子たちが騒がないわけないよなぁ……と、思える。
「我が国では、すでに完成している。
他国には、輸出されていないが、我が家の庭にもあったはずだよ」
ここの中庭は、季節折々の花が咲いている。
僕もたまに気分転換を兼ねて中庭をぶらついているのだが、まだ、青薔薇は見たことがなかった。
それこそ、去年あたりから他国の花も輸入して咲かせることもあるのだが……
「まだ、青薔薇は機密性が高いから、もうしばらくは、他国には出回らないはずだよ」
僕の表情を呼んだのか、先に答えを言われてしまう。
「是非とも、一度お目にかかりたいものだ。
そうそう。我が家にも珍しいものがあるのだけど、ぜひ、ジョージア殿に見ていただきたいと
我が家に招待したいのだが、どうだろう?
空いている日取りを聞いてもかまわないだろうか?」
ジョージアに訝しまれる、が、僕はめげない。
ここで、めげると、僕の奥さんが……紹介してもらえない。
話の切り口が悪かっただけ……ここで諦めるとアンナに叱られる。
そして、寂しい卒業式になるのは必然だ。
先程、アンナと日程調整をするために決めた日を提示したところ、いつでも大丈夫だと返事をもらう。
「公爵家には、ないと思う珍しいもだよ。
これが、なかなか手の焼く代物でね。
でも、そこも含めてとても可愛いんだ。
是非とも、ジョージアに見てほしいと思ってね!」
僕は、代物の名前は言わない。
ジョージアもまさか、アンナリーゼだとは思っていないだろう……
手の焼く代物なんて、本人が聞いたら、僕はしばらく再起不能にさせられてしまうに違いないが、きっとジョージアは、それが何だったとしても黙っていてくれるだろうと願う。
「それじゃあ、その日程のどこかで招待状を送るよ。楽しみにしていて!」
話はそれだけだったがアンナの話を少ししてから、ジョージアの自室から退出することにした。
中庭に散歩していたのかジョージアが寮に向かって歩いてきているのを発見したので、思わず渡り廊下から声をかけてしまう。
「ジョージア様、今、お帰りですか?」
僕の声に驚いたのか、ジョージアは、声のする方へと視線を向け声の主を探していたので、手を振っておく。
気づいてくれたのか、目があった。
いつかアンナが言ったようにジョージアは、綺麗な蜂蜜色の瞳をしている。
「今から、そっちに行きますから、少し待っててください!!」
頷いてくれたため、僕はそこから駆けていく。
合流する直前に、ふうっと一息入れて息を整えた。
「お待たせしました。
少しお話したいことがあるのですが、お時間よろしいですか?」
「もちろんだよ。部屋を用意しよう。
ついてきてくれ。あと、そのよそよそしい敬語もいらない。
同じ年なのだし、普通に話してくれてかまわない」
妹の入学から1年がたち、妹の話をきっかけに少しずつ話をするようになったのだが、いまだにジョージアに対して敬語だった。
特にこうしてくれと言われていなかったのでずっと敬語で話していたのだが、どうも堅苦しいのは嫌だそうだ。
ジョージアの部屋に通され、まずは、雑談を始める。
これは、相手がどんな状態なのか状況判断するためだ。
機嫌が悪かったり、体調がすぐれなかった場合、日程だけ決めてお暇するつもりだった。
「ジョージア様は、中庭に?
チューリップという花が見ごろだと先ほど妹が話していたけど、散歩に行かれてたので?」
侍女にお茶を用意してもらい、茶菓子が出てきたので一口ずつ口にしている。
ほんのり甘いクッキーだった。
甘いのがあまり好きでないらしい、ジョージアらしい茶菓子だ。
「あぁ、そうだ。ローズディアやトワイスで咲くものではないらしい。
ここの庭師が特別に取り寄せたらしくって、見てみたいと思って見に行ってきたところ」
ジョージアが他国の花に興味があるとは、あまり信じられなかった。
「花好き?」
「……あぁ、そうだな。割と花は好きだ。
特に他に興味が惹かれるものがないからなぁ……
他国には、太陽に向かって咲く大輪の花もあるときいている。
そういうものにも、興味はある。
でも、我が国が誇る薔薇は、格別だと思っているよ。
その中でも青薔薇は別格とね」
「青薔薇とは、そのままの?
技術的に青い薔薇は難しいという話を聞いたことあるけど、ローズディアでは、
完成しているのか?」
ジョージアは、ふっと不敵に笑う。
まさに青薔薇が似合いそうな貴公子だ。
女の子たちが騒がないわけないよなぁ……と、思える。
「我が国では、すでに完成している。
他国には、輸出されていないが、我が家の庭にもあったはずだよ」
ここの中庭は、季節折々の花が咲いている。
僕もたまに気分転換を兼ねて中庭をぶらついているのだが、まだ、青薔薇は見たことがなかった。
それこそ、去年あたりから他国の花も輸入して咲かせることもあるのだが……
「まだ、青薔薇は機密性が高いから、もうしばらくは、他国には出回らないはずだよ」
僕の表情を呼んだのか、先に答えを言われてしまう。
「是非とも、一度お目にかかりたいものだ。
そうそう。我が家にも珍しいものがあるのだけど、ぜひ、ジョージア殿に見ていただきたいと
我が家に招待したいのだが、どうだろう?
空いている日取りを聞いてもかまわないだろうか?」
ジョージアに訝しまれる、が、僕はめげない。
ここで、めげると、僕の奥さんが……紹介してもらえない。
話の切り口が悪かっただけ……ここで諦めるとアンナに叱られる。
そして、寂しい卒業式になるのは必然だ。
先程、アンナと日程調整をするために決めた日を提示したところ、いつでも大丈夫だと返事をもらう。
「公爵家には、ないと思う珍しいもだよ。
これが、なかなか手の焼く代物でね。
でも、そこも含めてとても可愛いんだ。
是非とも、ジョージアに見てほしいと思ってね!」
僕は、代物の名前は言わない。
ジョージアもまさか、アンナリーゼだとは思っていないだろう……
手の焼く代物なんて、本人が聞いたら、僕はしばらく再起不能にさせられてしまうに違いないが、きっとジョージアは、それが何だったとしても黙っていてくれるだろうと願う。
「それじゃあ、その日程のどこかで招待状を送るよ。楽しみにしていて!」
話はそれだけだったがアンナの話を少ししてから、ジョージアの自室から退出することにした。
0
お気に入りに追加
120
あなたにおすすめの小説
僕は君を思うと吐き気がする
月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。
【完結】いせてつ 〜TS転生令嬢レティシアの異世界鉄道開拓記〜
O.T.I
ファンタジー
レティシア=モーリスは転生者である。
しかし、前世の鉄道オタク(乗り鉄)の記憶を持っているのに、この世界には鉄道が無いと絶望していた。
…無いんだったら私が作る!
そう決意する彼女は如何にして異世界に鉄道を普及させるのか、その半生を綴る。
ただひたすら剣を振る、そして俺は剣聖を継ぐ
ゲンシチ
ファンタジー
剣の魅力に取り憑かれたギルバート・アーサーは、物心ついた時から剣の素振りを始めた。
雨の日も風の日も、幼馴染――『ケイ・ファウストゥス』からの遊びの誘いも断って、剣を振り続けた。
そして十五歳になった頃には、魔力付与なしで大岩を斬れるようになっていた。
翌年、特待生として王立ルヴリーゼ騎士学院に入学したギルバートだったが、試験の結果を受けて《Eクラス》に振り分けられた。成績的には一番下のクラスである。
剣の実力は申し分なかったが、魔法の才能と学力が平均を大きく下回っていたからだ。
しかし、ギルバートの受難はそれだけではなかった。
入学早々、剣の名門ローズブラッド家の天才剣士にして学年首席の金髪縦ロール――『リリアン・ローズブラッド』に決闘を申し込まれたり。
生徒会長にして三大貴族筆頭シルバーゴート家ご令嬢の銀髪ショートボブ――『リディエ・シルバーゴート』にストーキングされたり。
帝国の魔剣士学園から留学生としてやってきた炎髪ポニーテール――『フレア・イグニスハート』に因縁をつけられたり。
三年間の目まぐるしい学院生活で、数え切れぬほどの面倒ごとに見舞われることになる。
だが、それでもギルバートは剣を振り続け、学院を卒業すると同時に剣の師匠ハウゼンから【剣聖】の名を継いだ――
※カクヨム様でも連載してます。
引きこもりが乙女ゲームに転生したら
おもち
ファンタジー
小中学校で信頼していた人々に裏切られ
すっかり引きこもりになってしまった
女子高生マナ
ある日目が覚めると大好きだった乙女ゲームの世界に転生していて⁉︎
心機一転「こんどこそ明るい人生を!」と意気込むものの‥
転生したキャラが思いもよらぬ人物で--
「前世であったことに比べればなんとかなる!」前世で培った強すぎるメンタルで
男装して乙女ゲームの物語無視して突き進む
これは人を信じることを諦めた少女
の突飛な行動でまわりを巻き込み愛されていく物語
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
【完結】私はいてもいなくても同じなのですね ~三人姉妹の中でハズレの私~
紺青
恋愛
マルティナはスコールズ伯爵家の三姉妹の中でハズレの存在だ。才媛で美人な姉と愛嬌があり可愛い妹に挟まれた地味で不器用な次女として、家族の世話やフォローに振り回される生活を送っている。そんな自分を諦めて受け入れているマルティナの前に、マルティナの思い込みや常識を覆す存在が現れて―――家族にめぐまれなかったマルティナが、強引だけど優しいブラッドリーと出会って、少しずつ成長し、別離を経て、再生していく物語。
※三章まで上げて落とされる鬱展開続きます。
※因果応報はありますが、痛快爽快なざまぁはありません。
※なろうにも掲載しています。
最強魔導師エンペラー
ブレイブ
ファンタジー
魔法が当たり前の世界 魔法学園ではF~ZZにランク分けされており かつて実在したZZクラス1位の最強魔導師エンペラー 彼は突然行方不明になった。そして現在 三代目エンペラーはエンペラーであるが 三代目だけは知らぬ秘密があった
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる